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メソッド

 矢晴が純の家で暮らし始めた日の夜に【第9話】『分析できた作品って自分の漫画で手法(メソッド)を再現できるんですか?』と言っていたのが、単純に技術的な手法のことなのかなーと思ってたんだけども、矢晴的には違いそうだな、ということを、【売れうつ】ではない別の漫画を読んでて思ったりした。 【第24話】で矢晴の見た夢が舞台で演技するってのも、矢晴が自分を分解して何人もの人格・感情を分析するってのも、「メソッド」につながるのかなーと。他人の脳を再現するってのも、そうなんだろうな、といろいろつながってくる。 そう考えると、純が『それが漫画でしょ?』『漫画以外の創作物もそうだと思いますけど』と軽く言ってのけたことに対して矢晴が『そんなことひとつもできない――』と落ち込んでいるのも、確かに純が恐ろしいことをやっているように思えるんだけれど、「古印葵の漫画だけは分析できない」に対して『だったら他全部は――』と考えてる矢晴の認知の歪みが追い立ててるだけで、純は実際のところ、古印葵レベルでの分析はできてないから矢晴が落ち込む必要もないが……? とぐるぐるし始める。 純にとっては、矢晴の言った「メソッド」は単純に技術、技法、表現方法って感じだと思うけど、矢晴の言うところの「メソッド」はもっとずっと深いところにあるんだろうねえ……と、途方に暮れる。この天才め。

プロット

 純はプロットをしっかり作る派。ネームに時間をかけないようにプロットの段階で全部決めちゃう感じがするから、『下書きを兼ねたネームは5時間でできるし』というのは、矢晴が考えてるよりもネームにかける労力が少ないからこそ出来る芸当、という感じはある。 純のプロットは、会話や動作を全部、文章で書き出してから、どんな絵にするのか、ページ構成をどうするのかと考える、というから、かなり詳細なプロット、というよりも脚本に近い感じがする。 プロットにもいろいろな段階があって、ざっくりめに「何が起こって、何をして、こうなる」といったものから、もうちょっと詳細に、さらに詳細に、ってなると思うけれども。純のは脚本から簡易な絵コンテを経て、一発で通るようなネームにする感じなんだろうなと思う。 漫画として構成してからセリフの推敲する感じでもなく、脚本みたいなプロットの段階でもうセリフも完全に決まってそうな感じ。 テキストでそこまで詳細にセリフを用意してるんなら、ネームにするって段階で、まず大まかなコマ割りにセリフ配置して、どんどん絵を入れる感じになるんだろうと思うと、作者さんがたまに【売れうつ】の進捗を上げている画像の状態がそのまま純の制作スタイルっぽくもあり。 私は1テーマの短いものしか書かないし、会話文が苦手すぎて地の文を書くほうが好きでプロットを立てることはほとんどない。文章だからというのもあるから漫画とは全く違うんだけれども。 漫画は基本的に会話劇で、地の文にあたるところが絵になるのだから、プロットでセリフを並べ立て、ページ配分して構成してる純は効率的だし上手だなあと思う。 ただ、純は最初に文章で物語を構築するから、説明的な文章が多くなるのかもしれない。それがダサい、と思っているのかもな、と思う。 矢晴はどんなプロットを立てるんだろうと気になる。極力言葉を排す感じっぽいから、純みたいに詳細なプロットからセリフの推敲を経て、文字数半分くらいになってそうな気がする。絵で魅せるところ、言葉で魅せるところの取捨選択が巧みなんだろうなと思う。 絵は描かなくても、物語を構築することに抵抗がないんなら、純のアシスタントの仕事の合間にプロットやアイデアメモを量産して欲しい。けど、今の状態だと頭の中で思いついた瞬間に否定してボツにしてでアウトプットにまでは至らないんだろうな。もったいない。