だい22わ!!

 きたよーーー! 319日ぶりの売れうつ更新〜〜〜!

はーーーー! 1回目、読み終わった。とても良かった。ゆっくりと矢晴の話を聞いてくれる純がよかった。そしてもう、純の愛が。数日前に両想いになれるやつはいないって言われて超絶落ち込んでたやつとは思えないくらいに。


ぼちぼち2回目読みながら初見感想書く。【第22話 瓦解・ファミリー】


冒頭は次回予告として公開されていたからついついさらっと読み飛ばしそうになりつつ。編集部の四階についての話。四階のやらかしとか、訴えても問題視しない編集部とか、けっこう赤裸々に語ってるが大丈夫か? という気がしてしまう。

編集部の話が聞きたいって菊池呼んでもらった純だけど、その連れに“クーデター”の首謀者を引き当ててるところが読むたびに純の強運を感じる。

結局のところ、四階が古印葵に暴言かましてそれを望海可純がやりこめた日よりも何ヶ月だか何週間だか前から若手は動いてて、古印葵と望海可純の出会いの日から数日後の会議のときに若手編集が“クーデター”を起こしたものの、四階自体はその時に辞めるつもりはなくて、会議の3日後(会議が週末だから週明けなのかな)に四階にパワハラ受けてた若い編集が証拠用意して被害届を出したから四階が退職勧告受けて退職。で、ほんとにまあ純がやりこめたことが原因で、なんてことはかけらもない。

それでも自分の行動がこの事態を……って悩んで落ち込んだことが後々矢晴の信頼を勝ち取れたんだから、関係なかったことがわかる会合を持てて良かったよね。

被害届を出した若い編集へのパワハラの話をしてるときに桃井が言った『「嫁の肋骨折ったことがあるんだお前の肋骨も折ってやろうか」とか色々四階は同僚に言ってたんですよね』というのが矢晴のトラウマを刺激して過呼吸っぽい感じになってるのを、桜木についての話を聞いてる純はしばらく気づかず。

純にとっては一応信頼してる担当編集なんだろうから、桃井から語られる桜木の話もけっこうショックなのかもしれんなあ、と思う。

矢晴の異変に気づいた純はすぐに矢晴を連れ出してくれる。夜7時50分くらい。ベンチに座って矢晴の冷たくなっちゃった手をさすって温めてくれる純がかわいい。

コンビニでカイロとあったかレモン買って、ベンチで無言で約1時間。急かしたりしないで隣りにいてくれる純がとても良い。良い。

矢晴が過去を話す決心をして話すよと言ってるときに、矢晴から! 純の手を! 握っているのが! とても良い。矢晴からですよ! 矢晴から〜〜! それにしても身長差と同じに手の大きさの違いもかわいいわ、このふたり。

そして始まる矢晴の家族の話。まず赤ちゃんの頃の矢晴がかわいい。

矢晴の家庭環境は、私としては〈家族と関わりを持たなくていい上に、生活に不自由がなく、金銭面での不自由もなくて大学まで通えるなんて、なんて恵まれているんだろう!〉としか思えないし羨ましくて仕方がないので、この家族のコミュニケーション不全がどんな影響を矢晴に与えているのか、とかもろもろちょっと想像すらできないな、と思う。

ただ、矢晴は言葉があふれてくる人だと思うから、しゃべりたいことは山ほどあっただろうけど会話にならない家族とほぼ無言の生活は辛いだろうなあ、とかは思う。その分漫画に発露してたんだろうな、と思える。

そして幼児から青少年へと成長してく矢晴がとてもかわいい。

矢晴のお父さんが急に怒りっぽくなった、というあたりで私は脳腫瘍かな? とは思った。

やっぱり『春眠の底』は矢晴のデビュー作なんだ〜〜〜! 21でデビューしてるから大学4年の春、は4年生になったばっかりくらいで、それを純は大学2年の春の旅行中に読んだってことになるのかな? 純は矢晴のデビュー作から熱烈なファンになってるのねえ〜。

とか考えつつ。大学卒業後の矢晴の帰省時の衝撃的な出来事。矢晴のトラウマが語られて。

『あれ以降』『人がたくさんいる場所では大丈夫なんだけど』と純と居酒屋でしゃべってたヒトコマと『狭い場所で知らない人と2人きりとかちょっとビビるようになったかも』と矢晴のアパートで純に迫られてたヒトコマと。そんなトラウマあったら、純のあの迫り方は怖いわ。直前に編集部で純が四階やり込めてるとこも見てるわけだし、狭い部屋で昨日会ったばかりで人となりを全く知らない人だもんね。怖かったね、矢晴。

ああ、だから最初に純に車で話そうって言われて矢晴は外がいいって言ったんだなあ、と合点がいく。狭い場所で2人きりになっちゃうもんね。

父親に殴られてるときに母親が助けてくれなかったことに絶望し、その後母親からの電話、のシーンの母親の異常さはたしかに怖いよなあ、と思いつつ、矢晴がいる部屋の様子が矢晴の部屋ではない感じだから、ここは彼女の部屋ね? そこのてっぺんでおだんごしてヘアバンドしてる女が矢晴の彼女ね!? ということに気になるんだけど、彼女が見てるの古印葵の生原稿だったりする? とかも気になって。ファッション雑誌とかかもしれんが。

矢晴が家族と絶縁状態になったところまで話して、純に『帰るか?』って聞いてるところ、一緒に家に帰ろうってことじゃないんだなあ、とは思うんだけど、かなりショッキングな話をしているし、これからもするから聞きたくなければ帰っていいぞってことではあるんだろうけど、純が矢晴を置いて帰っちゃうわけがないし、純の『続けていいよ』が矢晴のすべてを受け止めるよって感じにも聞こえて、好き。

『――ちょうど1年前』ちょうど1年前……?

ちょうど1年前に連載やめるかどうか的なあたりだったら1年以上疎遠だった担当から連絡が来て、ってのが1年未満になってしまうなあ……と思うんだけど……。うううん。というのが気になりすぎて、そういうのが気になる自分の性質がとても嫌。

連載がうまくいかなくて鬱になってて、というのに追い打ちをかけるような父親の事件と、それが原因での彼女との破局。彼女ーーーー! 鬱の矢晴に愛想つかしてよりもひどい別れじゃないか? とはいえ幼馴染なんだから地元一緒だし、未遂とはいえ人殺そうとした人間の息子との付き合いはきついんだろうなあ、と思えんこともないけれど。数日後の母親からの電話もなかなか。母親も辛くて宗教だかなんかに逃げた感じはあれども。

漫画描けなくなったの漫画だけが原因じゃないんだなあ、というか家族なあ……。

間に挟まる矢晴の足で暖を取る鳩がかわいらしい。クールダウンタイムのカボチャのマッシュも良い。ほんわかする。

で、アルコール依存が加速した話とお父さんに脳腫瘍があった話。矢晴が自分がやっていればよかったかもしれないことを後悔してるけども、私は思考がつい横道にそれてそのうちなんでB誌に移ってしまったのかも語ってほしいなあ、と身勝手なことを考えてしまう。

私個人は血縁の家族と暮らしたのは5〜6年間程度でほとんど記憶もないし、家族の絆的なものもよくわからないし、一応血の繋がった家族らしい人たち、という希薄さだから、家族の話はよくわからんな、というのが正直なところだけども、よくわからんな、と逃避しているのかもしれないな、とも思う。

矢晴の話が丁寧だから、なるほどそうなのか、とは思うけど。矢晴の両親も姉もなんらかの障害・特性があるんじゃないかと思えるし、母親はそれが原因で家族から疎まれて結婚させられて厄介払いされたっぽい感じもあり。矢晴の家族間だけのコミュニケーション不全の話ではないんだなあ、と思える。

矢晴はしっかり考えるようになってえらいなあ、すごいなあ、と思うんだけど、『嫌な性格だ……』って落ち込んでるけど、私から見るとそれって普通のことじゃない? とも思う。『こんな人間だから』と因果応報みたいに考えてるところは、純の愛の力で全力で否定してやってほしいなあ、と思う。

クールダウンタイムのロボット掃除機たちがとてもかわいいけども、スピード狂の1階のロボットたちと比べて2階の子たちはどうなのか、ってのも知りたい。


というところで上巻終わり。(個人サイト版だと上下に分かれててちょっとびっくりした。ページ数に制限があったのかしら?)


ほぼ初見の感想を残したいと思っているんだけども言葉にならないなあ、と思って何回も読んでしまって、初見とは……? みたいな気分にはなっている。


さて、下巻。

矢晴の背中の崖と希死念慮。純の家にいて頼って甘えてるのにまだ死にたくなるんだってびっくりしたと矢晴は言うけど、他人に甘えて頼ってる自分が情けないから死にたい死にたいとも言ってたんだし、結局のところ死にたくなるのに理由はないから死にたいんだよねえ、と思う。

たぶんそれなりに元気になっても楽しい気分で過ごしてても、ふとした瞬間に死にたいなって思っちゃうだろうなあ、と思った。

『ずっと願ってた』と過去形になってるあたりは、あの当時は、みたいな振り返りで今現在のことじゃない、と切り離せている感じはして、ちょっといいな、と思う。

服薬時間の夜9時半のアラーム。8時ちょっと前からここにいるから2時間弱。気持ちの整理に1時間弱、ゆっくり話して1時間弱。そこまで時間かかってないな、と思っちゃう。

薬飲んで、さあ帰ろうって感じなのかなー、の9時45分。お家で待ち焦がれてるロボット掃除機たちがかわいいったら。

ふたりで駐車場まで歩いて、車のなかでも手を繋いで、『今日はお疲れ様』って純がせつないかわいい。

犯罪者の息子ってことで彼女と別れたみたいな矢晴だから、その話を純にしてもいいのかどうかってすごい悩んでけど話して、それを純はちゃんと受け止めて、でもそんなことで矢晴を手放さないって行動で示してるみたいな、ずっと握ってる手が愛しい。

『私は君をないがしろにしたくない』って言ってる純が矢晴の顔を見れないところが、なんだか純は変わったなあ、って思う。なんか、普段だったら、むっちゃ見つめて圧かけそうなのに。矢晴のほうを見れないで視線そらしてる純に対して純のほうを見る矢晴という図が、いつも顔を見ようとしない矢晴があああ、みたいに得も言われぬ感動がある。

『胡散臭い』って言われた純の顔よ。なんてかわいい。そして、矢晴の軽口めいた口調がとても愛しい。

今日の会合での純の態度が矢晴から純への見方を変える一助になってたのがよかったなあ。1ヶ月前、出会った当初は純ったらほんと独り善がりな感じだったものねえ。

たかだか1ヶ月同居して過ごしてきただけで何を知っとる、みたいな気にもなりつつ、お互いに良い影響を与えあってきた濃密な1ヶ月なんだよなあ、とも思う。素敵ね。

『かなり希望かも』と言われた純の顔がもう、かわいくてかわいくて。

帰路につき。走らせてる車のなかで純が話し出して、同居6日目に矢晴に言われたことがきっかけで『嫌な人もどんな人もないがしろにしないでいたいって思ったからで』と話してて、あのときの話、けっこうしっかり純の心に残ってたんだなあ、と感慨深く。また、それを古印葵の作品になぞらえて話す純がこれまたほんとに古印葵のファンでオタクでたまらんな、という気分になる。

「龍涕」すごく読みたい。龍の涙。泣きながら天に昇ったのかしら。素敵な漫画。雨が降るたびに男は龍の愛を感じてそうな気がする。読みたい〜。

自分の漫画の話されるの恥ずかしい、と顔を覆った矢晴にかける純の言葉がどれもこれも素敵で、矢晴の悲惨な家庭環境や家族の話を聞いてなお、矢晴が生まれたことを祝福して矢晴の両親に感謝するし矢晴の希死念慮を否定しないで受け入れてくれる感じだし、純がランキングで並べたことを「君と一緒に」と並べ立ててくれて『骨は拾うよ』『そこらへんの世話も任せてくれ』と言ってくれる純がもーね、たまんないな。

純の父親の友達が純の父親に言った「死んだら骨は拾ってやる」と同じ心持ちになったんかなーと思える。物理でも拾うつもりになってるだろうけど、それは矢晴の家族になるって宣言でもあるし。素敵。

純の話に矢晴がうるうるきてるのがとてもとてもきれいで素敵と思ってたのに、純が『私を愛してるくらいに優しく美しい人なんて』と素頓狂なこと言い出すから、矢晴の涙ひっこんじゃったじゃない! とちょっとうらめしい気持ちになりつつ。純の話が素敵すぎて、私もそう思われたかったな、という個人的な辛い出来事を想起する。

『愛だな』の純の笑顔がめっちゃうれしそうで、ハイテンションで、酔ってるのを疑われるほど酔ってて、かわいいけど、ちょっと事故りそうで怖くなる。

『私達はねえ両想いだよ』『ずっと前から』と純の言う「ずっと前から」がいつからなのかが皆目見当つかないけれど、純を含めた世界のすべてを愛している矢晴と古印葵が好きになって全てを理解したいと努力してて矢晴のことも好きな純、であれば、矢晴が古印葵として作品を発表して純がそれを読んだときから両想いなのかも……? とか思考をこねくりまわしちゃうけども、そのうち「いつから」ってのが純から語られるといいなーと思う。

そしてラストページがとても素敵で。ヘッドライトが形作るハートに向かって走るふたりの乗った車と矢晴の背後の崖を花で埋め尽くしてくれる純と、そのセリフと。なんて素敵な。

矢晴の重い家族の話と愛を実感してこなかった矢晴に、あったかゾーンの純の言葉がほんとあったかくてきれいで、とても良い。とても良い。

たしかにこの話を3分割とかで数日おきとか数週おきで読んでたら、バッドな気分が長すぎてキツかっただろうなと思う。このページ数を一気に描き上げて公開してくださったことに大感謝。


というところで、初見感想書き終わりにしておく。


余談:個人サイト版で一部の誤字が修正された。矢晴の母親の名前は1箇所「晴美」になっているところがあるけれどSNSで「晴子」と言ってらしたから「晴子」で確定っぽい。


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