二次創作:いちゃこら

 「お前と両想いになれる奴はいないよ」
 矢晴の言葉に、心臓が凍るほどのショックを受けた。だって、私達、両想いじゃないの? 私が矢晴のことを好きで、矢晴は私のことを好きで。そしたら、両想いなんだって――。そしたら、私達はずっと一緒に生きていくんだって――。
「だって、お前のランキング、私のことなんてこれっぽっちも書いてない」
――そんな! あんなに矢晴のことばっかり書いたのに!
「私のことなんて、ランキングに入らないくらい好きじゃないんだろ?」
 いじけた様子の矢晴は、私を非難しているというよりも――。
「そんなことない! そんなこと言ったら、矢晴のだって、私のこと書いてないよ」
 そう私が指摘すると、矢晴はこたつ布団に埋もれんばかりに顔を伏せる。耳を避けるように、首を避けるように流れた髪の間から見える耳と首が、真っ赤に染まっている。
「……そんなの……、恥ずかしい……」
 自分は恥ずかしくて書かないのに、私のランキングに名前が載らないのがイヤなんて……。……かわいすぎて殿堂入りだよ! 最初からそうだけど!
 私は文房具をしまってある棚のなかから、金色のマーカーを取り出して、ランキングを書いた紙の1位の上の余白に王冠を描き、その隣に大きく「矢晴といること」と書く。
「ほら見て! 矢晴は別格! 私は矢晴が大好き!」
 私が差し出した紙を、矢晴は少しだけ顔を上げて見る。そしてすぐにまた顔を伏せてしまったけれど……
「……うん…………」
 と、応えるか細い声の奥に、「好き」って聞こえた。たぶんきっと間違いなく。
 ふふ、私達、両想いだよね!











着手:2022/11/08
第一稿:2022/11/08

コメント

匿名 さんのコメント…
いちゃこらしてる矢晴と純が可愛いです。何回も読み返しました。ありがとうございます!