回想回

作者さんのブログにて綴られたあとがき(解説)にて、『この回はわりと回想回でもあるので』とのことだけれども、矢晴の口から出会った当初のアパートでの純に対する印象が正確に語られて、矢晴の蟲がどういう感情から生まれたものかが明示された、これまでに提示された謎への解答編みたいな印象もある。

どうもうまい言葉が出てこない。予定残り話数40話と3分の1を超えているところで状況整理した回というかなんというか。なんていうんだ。

【第7話】で矢晴が純の胸に飛び込んで(股間にダイレクトアタックに見えてるんだが、余談)背中の蟲が生まれたのは【第25話】『寂しいことが一番怖くなった』『一人で死にたくないって思った』『だからお前にころさ』(れたいと思った)から、という作者さんのブログによれば『極大の甘えが発露』した結果。

なるほどなるほど。と、矢晴の心境がわかって嬉しい回。


編集部で会った時の純の印象は【第16話】でも語られてるけど、矢晴はその時は純の攻撃性が自分に向いたら、という恐怖に怯えてた。純は矢晴が饒舌にしゃべってくれるのが嬉しかった印象でこれは酒の入った居酒屋の印象だろうなあ、と思える。矢晴は覚えてなくて、純だけの大切な思い出になりそうな気がする。

そのうち居酒屋で語った映画をふたりで一緒に観て、「このセリフ好きなんだ」とかなんとか話してるうちに同居当初の純の言葉思い出して「あ…」ってなって欲しい。

で、アパートでの純の印象を『妙に距離が近い大男が突然やってきて』『家を掃除したり抱きしめてきたから』『ああ』『私はコイツに今から』『襲われるんだって思ったんだ』と恐怖体験を語って、純が驚くあたり、すり合わせが上手にできた感じがする。純が必死に矢晴を助けようとしたあれこれ全部、矢晴にとっての恐怖体験だったのがわかったのは純にとっては良いことだ。

死にたいから殺されたいけど襲われるのは怖い、とはいえこのぬくもりの中で死ねるなら……とかだったのかなーと思ったりすると【第8話】の『ここで死ぬならいいかもな』ってモノローグとラストの蟲の感情もわかる気がする。死神としての純への期待と欲望で蟲も育ちますね、はい!

「純に殺されたい」が極大の甘えということなら、【第17話】の渾身のハグからの矢晴ったら、恥も外聞もかなぐり捨てて(ふたりきりの空間だから外聞なんてものはないが)超絶甘え倒してた感じだなーと思うけど、純にはそんなに通じてないような通じてたような。純の『私はあなたの理想じゃない』が当初よくわからないセリフだったけど「私はあなたの理想の死神じゃない」ってことならなるほど、と思えるかも、と思い始めてきた。いややっぱりよくわからんが。


【第25話】がけっこうこれまでの話の総括と解答って感じはあるから、この話を踏まえて最初から読み返すと矢晴の心情がもっと深く強く迫ってきそうだなあと思う。

久しく通して読み返せてないけど、読むかー……。


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