骨と亡骸

 【第17話】のタコのように純に絡みつく矢晴が『骨を拾う て言った』『約束守れよ』という台詞が、矢晴が言ったというよりは純の子供心が純の父親の友人に対して言いたかった言葉かなあ、とかも思ってたりしたんだけど。

「物理じゃねえよ!」とツッコみたくはなる。

【第15話】の支部版の台詞では『常套句の冗談だって分かってたよ』と言い、『でも約束したのは嘘じゃないんだよ』と続けるあたりにずいぶんと拗らせている印象を受けたものだけれども。サイト版の『2人とも常套句だってわかってたよ』となると、父親とその友人の仲の良さを多少なり純が把握していたように見える。

「後のことは任せとけ」と死にゆく友に言えて、そう言った友を信じて逝く、このふたりの友情を純はどこまで分かってたんだろうかなあ。

結局のところ、純から見た父親の友人は「死んだら骨を拾うと約束したけど、拾わなかった嘘つき」になっているけれど、だから物理で拾うって話じゃねえんだよーーー! と純に言いたくなる。そりゃあ、純は物理的に矢晴の亡骸を拾いたいんだろうけどもさ!(と、考えると作者さんの落書きの麗しい純の姿を思い出す)

冒頭で提示した台詞の続きで『この口先だけ薄っぺらが』『本物になってみろよ』は、父親の友人が嘘をついていたと思っていることと、【第6話】の挿話後に純が『私はあなたの前では「たかが」を渡さず口だけ出す偽物なんかにならない』と考えていることとも合わせて、過呼吸状態の矢晴が本当に言ったことというよりも、純が自分に対して言いたいことのようにも思える。その後、正気に戻った純が『現実逃避してる場合じゃない。』と考えてるから、どれが本当に矢晴が言ったことなのか判別つかないし。

純は矢晴に【第4話】『あなたの亡骸は私が拾いたいんです』と言っていて、【第20話】で『あのおじいちゃんには』『死ぬなら寒くてひもじい場所じゃなくて暖かくて肌触りの良い場所で死んでほしいんです』とか言っちゃうから、まるで「今すぐにでも矢晴は純の腕の中で死んでほしい」みたいに見えんこともないけれど、死ぬまで、死んでも、一緒にいたい、暮らしたい、一生添い遂げたいって感じがして、一途なところがとても好き。

そんな一途な純の気持ちは矢晴に通じているのかどうか。

ただ、添い遂げるのは矢晴がいい、なのか、籠絡するのに矢晴がちょうどよかった、なのかは気になるところで、矢晴もそこらへんひっかかりそうな気がするんだけど。

一蓮托生で偕老同穴って感じになるといいなあ、純と矢晴。


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