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餅と老後

 今年は個人的な病の発症により、ブログの更新を全然してなくて去年の6分の1くらい。来年はもうちょっといろいろ考えたり綴ったりしたいなと思う。 二次創作も次で50個目になるから、なにかしら特別に……? とか考えないでもないけれど、そうやって思うと次が来なくなるから軽く衝動のままに二次創作もしたいと思う。 という雑談を前置きにする。 忘年会編を心待ちにしていたけれど【売れうつ】の年内の更新はなくて、次もいつになるのやら、という感じらしくちょっとさみしい気持ちでいるけれども、作者さんのブログにて、餅を燃やしてしまった純と矢晴と、老後の純と矢晴の姿がアップされていて、とてもうれしい。とてもかわいい。 並べて眺めて、これがこう……、と感慨深く。 炎上する餅を眺める矢晴の文豪然とした佇まいがとても素敵で、そしてまた老後の矢晴の全開の笑顔がたまらなく素敵で。 あんなにボロボロになってたのに、こんなに長生きしてくれるなんて! ととても嬉しく眺めている。 純もこんなにスタイルのいい美青年だったのに、老後は太って禿げてチャーミングな爺様に成長するらしく。でもあの身長でその太り方をされると、矢晴には支えきれなくて大変そうな気もしてしまう。でも純のふくよかな腹を枕か背もたれにして眠る矢晴とか見たい。

■【売れうつ】の二次創作(49)(小説)

地の文はふっとんだので、ごく短い会話文。 クリスマスの話に組み込もうかと思ってたけど、入り切らない感じがしたから独立させた。  ■

にかげつ

 前回更新からはや大の月で2ヶ月分、62日が経過した。 次の話はまだかしら? と思いつつ、作家さんの本業の作業の進行具合を考えると、年内……来ないかな? とも思える。 と思いつつ、しれっと明日とかに更新されないかなーとか欲深く思っているのだけれども。前回が日曜の夕方だったからさー。 ぼちぼち世の中はクリスマスだけれども、純と矢晴はどんなクリスマスを過ごすのだろうか、とちょっと考えたりする。 でも純はお笑い好きだから、矢晴とソファーに並んで座ってとかコタツにみかんでお笑い番組を楽しむ日になっているかもしれないな、と思ったりはする。 クリスマスに恋人らしいデートとかするかどうか、と思うと、店も街も混み合うからと出かけないで家でまったりかもしれないし、純がうきうきでショッピングとレストランとってプランを考えてたりするかもしれないし。お家を電飾で飾ってはしゃいでるかもしれないし。 ロマンチックな雰囲気でディナーとかして欲しい気持ちはあれども、その後ロマンチックな雰囲気のままベッド・インまでして欲しい気持ちもある。とはいえ、純だからなあ……。どうなんだろうなあ……?

うつうつと

 矢晴のうつはいつ頃からか、と思うと、B誌に移ったあたりから、と思う。 自分の漫画が採用されなくて、他の漫画が読めなくなっていったあたりから。 家庭環境の影響はどれくらいだろうかな? とは考えてみるけども、うつに陥る状態へと追い立てる感じはあれども、直接的な原因ではない気がするし。 矢晴が「漫画家として連載もって、安定して独り立ちしなければ」くらいに思い込んで自分を追い込むくらいには、父親から殴られて実家に帰ることも怖くてできないし母親にも助けてもらえないしで家族と疎遠になってたけれども、それがうつの直接の要因かというと、そうでもない、と思う。 A誌に戻ったときには、もうすでにかなり追い詰められてた状態で、B誌ではことごとく没にされ続けて自分の創作を否定されてきて、出戻ったA誌では連載枠をもらえたけれども、自分の創作を切り刻まれて、限界が来て。 父親の事件の連絡が来た頃には、もう、うつが発症していた状態であるから、家族のあれそれはアルコールへの逃避・依存の契機にはなっているけど、うつの発症には関与しない感じ。 B誌に移ったのは、ステップアップ(読み切り作家から連載作家へ)のつもりだったんじゃないのかなあ? とはずっと思ってるんだけど、矢晴が移籍を考えるにあたって、矢晴が2冊目の単行本を出して賞をとった年にデビューした望海可純の影響はあったのかどうか、というとよくわからない。影響はない気がする。 望海可純が連載開始した時期と矢晴がB誌に移った時期との前後がよくわからないけれど、今のところ語られている分で考えると、矢晴がB誌に移った後に望海可純が連載を開始した、ように思うから、矢晴が「ついこの間デビューした望海可純がもう連載を開始した。古印葵はまだ連載持ててないのに。私はダメなんだ」という気持ちでもってB誌に行ったわけではない、と思える。 望海可純の連載が先なら、デビューしたての新人作家に軽く追い越されて辛いし、今後もこの雑誌では連載が望めないかもしれない、と移籍を考えるってのはありそうなんだけど、どうなんだろう。 でもB誌にいた2年半、ってのを考えると、2年半が矢晴の記憶違いによる誇張でないなら、年末に賞をもらった年明け早々にはB誌から声がかかってすぐさま行ってる感じではある。 望海可純の連載って、やっぱりもともと古印葵の連載をやりたいって古印葵の担当が準備し...

特別

 ぼちぼち感想を書けるようにと思ったものの、目に見えて失速したからどんだけ嫌なんだ(嫌悪とかじゃなくて恐怖)という感じがとてもする。 次の話が来るのが先かとも思うけれども、年内忘年会時期に来るのかどうか、と思うと状況的には難しいのかもしれない。 忘年会ったらどこのグループの忘年会なんだろうったらやっぱりたぶん望海組じゃないのかなー? と思うから、純のアシスタント連中の顔を見るのが楽しみではあるけれど。純曰くなのかどうかも気になる。 という前置きの雑談をした。 純にとって矢晴というか古印葵がとてもとても特別な人で、古印葵である矢晴も特別な人だと思うんだけども。 矢晴にとっての純は、現状語られた中では特段なにかしら特別な人ということはない。恋愛方面で特別視しそうになったから逃げたしたくらいには、すでに矢晴にとって特別な人にはなっていると思うんだけども、矢晴自身は、差し伸べられた手に縋って依存してるだけで、「上薗純が人として特別に好き」ということにもなってないんだろうなあ……と思える。 お互いが好きで特別だから大事にしたいとか、いう境地には至ってないよなあ……、まだまだ。と、BLとしてとてももどかしい期を過ごしているような気がする。 【第17話】でドアノブガチャガチャして『彼の性処理でもすれば』〜と純が言っていたのには矢晴を大事にしてなさそうで怒りも湧くけれど、『私は彼のたった一人になれるだろう』という望みはわからんでもないので、あんなドアノブガチャガチャ方面でなく、矢晴のことを大事大事にしながらも純の望みが叶えられる方向に行ったらいいけどな、とは思う。 とはいえ、その夜を超えて、編集部の顛末を経て、純が自身を顧みて「龍涕」を理解して、という今あたりの純のなかに「矢晴の性処理をしよう」みたいな気持ちがあるのかどうなのかと気になる。というか、ふたりの関係の進展のなかですでにしたのかどうなのか、どうなんだ、と気になっている。 気になりすぎてる。 すでにあの夜に矢晴の性処理をして、純が「特別になれたから両想い」と思っていたのかどうなのか。でも矢晴自身、うつもあって男性機能が弱っている気もするから性処理にも至らないのかもしれないし、どうなんだ。 どうなんだ。 とはいえ、矢晴は純に自分の身の上話をしても良いと思えるくらいに純のことを信頼していて、特別に思っているような気はす...

忘れてたわ

 12月11日に「捺印記念日〜♪」とか言いたかったのに、きれいさっぱり忘れて数日……。え……。 純と矢晴は、再契約とか契約更新とか言って、キスマークつけたり、したんかのう……? お互いに……? 身体中に……? どう? どう? とか、当日にはしゃぎたかった……。後悔。 明後日は矢晴が身の上話してくれた記念日だけども、どうなんだ、記念日にするようなものではないか……。両想い再確認記念日か? ん? と、考えつつ、あの頃、両想いになったと思った翌日くらいに純はこっぴどく振られて、担当に愚痴った割に、1週間も経たないうちに、「両想いだよ!」ってハイテンションに酔ってるんだから、純の前向きすぎる感じがかわええな。 あの巨大なキスマークったら1週間で消えるようなもんでもなかろうに、と思うと矢晴が純に意を決して身の上話をしたあの時にも矢晴の首筋には、純の約束の印が刻まれていたということで。うんうん。 そして、今年も残すところあと半月、みたいな状態で、24・25話は前後編で忘年会編ということだけども、まだかの? そろそろかの……? とソワソワしながら、たまについったで「更新されてる」とか見かけて「マジでー!」と喜び勇んで見に行ってF5アタック並みに再読込してもないじゃん、ないじゃん……というのを何度かした……。 忘年会時期に忘年会してほしー。リアル日付と作中日付が重なる感じだったらあと1週間くらいは後かもしれない。いつくる……? くる……? と身悶えしながら待っている。

朝ごはん

 【第23話】の朝ごはん。純はたぶんプロテインを飲んでて、コーヒーと、厚切りパンに目玉焼きのせたのと、なにか野菜。矢晴は顔を洗ってからダイニングに来てるからこれから朝食なのかすでに朝食を終えているのかわからないけれど、矢晴の席にはカップがひとつ置いてある。 同居1週間目くらいでは朝に純に起こされてもまともに起きれず、ベッドで歯磨きされて台車で運ばれてた矢晴が、朝、純と同じ時間に起きて自分で身支度してるというのが、元気になったし、生活習慣が良くなってて、とても良い。 まだ純と矢晴は同じベッドで寝てるのかなあ。純が朝目覚めて、隣に眠る矢晴を起こしてるのかなあ〜と想像するととても楽しい。一緒に1階に降りて、身支度して一緒に朝食とってとか。純は先に起きて身支度して朝食の準備して矢晴を起こしに2階に戻ってもいいけれど。 この日の朝食はパンにコーヒーと、いい感じの取り合わせだなと、同居1週間目のおにぎり・ココア・いちごの取り合わせを思い返しながら思う。あの日もパンのほうがよかったんじゃない……? 朝食は純の気分でいろいろなのかな。 【第12話】で矢晴の頭の中いっぱいの純の、パンケーキだかホットケーキだかも朝ごはんだったりするかしら?

有能

 矢晴は今のところ自己肯定感やらなんやら完膚なきまで破壊されてて、自分のことを価値がないだの、馬鹿だの、私程度の人間がだのと、自分で自分を貶めているけれども、元来、純が憧れて理想とするほどの漫画の才能がある人。 A誌にいた間に出せた単行本は2冊だけだけども新人漫画家の単行本としてはかなり売ってたほうで、2冊目は国内外で賞を獲るほど認められていた才能。 小さい頃から絵を描くのが好きで、中学3年〜高校1年あたりから漫画家を目指して投稿しはじめて、大学4年の春には商業デビュー。デビュー作にはカラーページもあるんだから、かなり期待の漫画家でもあったんじゃないかと思える。 【売れうつ】という作品自体が、才能のある漫画家が漫画を描けなくなってうつ病で死にかけてたところをそのファンを名乗る売れっ子漫画家に拾われて療養して幸せになるまでの話なのだから、矢晴に漫画の才能があるのは前提として存在してるわけだけど。 なんの取り柄もない無価値で無能な主人公のもとに訪れる王子様、って図式の漫画ではない。けども、そういうのを期待してた層は、【第2話】で矢晴が賞獲った話をしたあたりで離脱したっぽい。 矢晴が漫画家デビューして純の心を鷲掴みにしてなけりゃ、純が矢晴を助けることもなかったんだから、純も全方位に善人であるということもなく。憧れの漫画家への執着とファンとしての崇拝とかから生まれた古印葵限定の善意でとても好感が持てる。 矢晴は今のところ自分に才能があるだとか価値があるだとかは思ってないけど、純は自分の憧れの作家の才能を信じて疑わない。古印葵は天才だという確信がある。それが純だけの思い込みだったとしても、純が矢晴を有能だと確信していることは間違いない。 でも、折々で矢晴の才能はチラ見せされているから、読者としても矢晴の才能を疑うこともない。 もともと才能のある矢晴が、自己肯定感失ってて自分の才能を信じてないしないものとして扱うし自分自身を貶めるから、純が矢晴に才能があること、有能なことを教えてくれるって話になってて、これからがすごく楽しみに思っているところ。 有能だから価値がある、無能だから価値がないとかいう話ではなくて、元来矢晴には漫画家としての才能があるのを矢晴自身が信じてないから、古印葵を憧れの漫画家として崇拝するファンの純がこれでもかと教えてくれるってだけのことで、無能な人間...

ブレるブレない

 「己」を構築するのに必要なのはブレない芯、というか自我とかいうやつなのかしら。と考えていて。 矢晴はすでにアイデンティティを捨ててプライドを捨てて自己肯定感を失っててうんちゃらもんちゃらのぐっちゃぐちゃ状態だから、芯だの自我だのなんだのいちばん大事なところが、今はない。 【第23話】で矢晴の言った『「己」フォルダの中に入れてた学習データが増えたり変わったりすれば』『己そのものが揺らぐことだってあるよ』というのはわからんでもないけれど、学習データによって成長したり変化したりは普通のことで、己の中心にある自我が纏うものによって道も変われば周囲も変わるとかはあるわけで。でも、たぶん矢晴が言ってる「己が揺らぐ」は「自我を保てなくなる」なんだろうなと思う。 矢晴はいろんなことで自我を保てなくなって、芯がブレてる状態かな、と思う。 対して、純は、矢晴の影響によって善良な方向へと変化し始めているけれども、芯はブレない。芯がブレないから自分の我儘を押し通せる。 純は矢晴の古印葵として発露してきた自我のエッセンスに強烈に惹かれてると思うんだけども。一番根っこのところは、純も矢晴も「漫画が好き」で共通してて、漫画が読みたい・漫画が描きたい気持ちは同じはずだけど、矢晴はあれやこれやと自分の好きで描いた漫画を否定されて読めなくなって描けなくなって……。純は憧れの作家と同じ雑誌にとがんばってデビューしたら憧れの作家がいなくなったという悲しい出来事がありながらも、連載することになって連載続けてて。 純はデビューして同じ雑誌だ〜って喜んだのも束の間で、目標としてた作家がいなくなったことでがっくりきて漫画が辛くなってもおかしくなさそうなんだけど……、人間に欲情しない性質の逃避先に漫画があるから漫画をやめるみたいな選択肢はそもそもないとは思うんだけど。どうだったんだろうな、当時の純の気持ちが知りたい。 プロット、ネームとやってるときは脳内物質ドバドバで気持ちいいけど、ペン入れとかめんどくさいとか言ってるのは、ネームまでは現実逃避できて楽しいけれど、ペン入れから先はただの作業になっちゃっててつまんない、みたいなことなのかしら。どうなんだろう。 とはいえ、ペン入れ作業はめんどいとか言ってても漫画を描くことは大好きで楽しいっていう芯の部分はブレないんだから大丈夫なのかな。 矢晴は芯は強い人だと思...

いつだっていいよ

 【第22話】のあったかゾーン。純の言葉がとても良くて、とても好き。 『私は君が消えたら悲しいし』『君が生まれたことに祝福しきれない』『ご両親にも感謝だ』と矢晴の存在そのものを言祝ぎ、『でも死ぬのはいつだっていいよ』と矢晴の希死念慮すら肯定する。 死なないで欲しいと願ったり強要したりするでなく、「死ぬのはいつだっていい」と言えるようになった純がいいなあ。【第20話】でも『あのおじいちゃんには』『死ぬなら寒くてひもじい場所じゃなくて』『暖かくて肌触りの良い場所で死んでほしいんです』『だから一緒に暮らしたいんです』と言っていて、生き続けて欲しいというのも本心だろうけども、死ぬなら暖かい場所で穏やかに召されて欲しいというのも本心なのだろうなと思う。 【第22話】で『君が天に帰りたくなってもそれ自体を責めたくないよ君が好きだから』と死を願ってしまう矢晴のことも優しく包み込んでくれるような言葉で、さらに「君が好きだから」って。 純が矢晴のことを「好き」って言ったの初めてなんじゃないの? とか思っちゃうんだけど。「あなた(古印葵)の世界が好き」「矢晴のフィルター(古印葵)が好き」とかはちょいちょい言ってたけど、矢晴自身を指して『君が好きだから』ってのが良い。純が古印葵に心掴まれてなければ純と矢晴は出会うこともなかったけれど、純が矢晴を矢晴として好きって言ってくれるようになったのがもうね、いいよね、たまらんね。 古印葵と福田矢晴を切り離して認識し始めたとは思わないけれど、「古印葵(福田矢晴)」から「福田矢晴(古印葵)」になった感じがしないでもなく。「古印葵だから好き」ってのが「矢晴が好き」になった気はする。 そして『矢晴がいつか天に召された時は骨は拾うよ』『そこらへんの世話も任せてくれ』と、出会った頃の『あなたの亡骸は私が拾いたいんです』『死ぬまで孤独じゃなくなる約束しませんか?』なんて鬼気迫る感じでなく、矢晴の死後の世話まで任せて頼れる存在になったんだなあと感慨深くもあり。 やだわぁもう、まだあれから2ヶ月も経ってないのに。あんなに怖かった子がこんなに頼れる子になって。 矢晴が死にたくなるまで死ぬときまでの間、『それまでは私のわがままに付き合ってほしいんだ』って純が言うのが良くて。矢晴に無理強いするんじゃなくて、純のわがままでやりたいことと認識して、それに付き合って欲し...

病院通い

 純はすぐに矢晴を病院に連れて行きたがる。内臓の病気やらなんやらは素人の純が外から見ただけではわからないから専門医にかけたいのだろうなというのはわかるんだけど。 矢晴と同居を始めてから2週間目にふたりで人間ドックにかかって、矢晴は要精密検査の項目がたくさんあったから、そこらへん専門医でそれぞれ検査しに通ってるんじゃないかなあ? と思うと、週に1〜2くらいは病院行ってそうな雰囲気。 あと、矢晴の精神科の通院を同居3週間〜あたりに予約とって行ってるわけで。もともと矢晴が通っていたところに行ってるんなら純の家からはけっこう遠そう。新しく純の家の近隣で通えるところがあったりしてないならそのままこれまでの病院に通うのだろうから、月に1〜2回、ちょっと遠くの病院に行く感じになるのかな。 同居1ヶ月目に一緒に寝て、矢晴の“湯冷め”を目の当たりにした純は、矢晴を内科に連れてったらしいけど、『色んな病院でめちゃくちゃ検査した』となると1軒2軒ではきかなそうなくらいの病院を渡り歩いたっぽくは見え。 矢晴がヒゲが生えた〜と喜んでるのに、純は自分の剛毛と矢晴の薄毛のあまりの違いに泌尿器科で血液検査しようとするわけで。さくっと予約入れただろうから数日後には血液検査のために病院行ってるんだろうなあ。 などと思うと、この1〜2ヶ月でどれだけ病院に行っているのか。 病院の送り迎えと付き添いで必ず純が同行しているのだろうから、そりゃもう昼間に原稿進まないのは当然ね。 純自身はそんなに病気で病院に世話になる、みたいなことは少なそうな健康優良児な雰囲気だけど、全身医療脱毛あたりは、毛のサイクルに合わせて何度も通ったのだろうし、それなりの金額はかかりそうだから、そこそこ売れてきてから行くようになったのかな? と思うと、授賞式のあたりの純はまだ脱毛してないのかも……と思いを馳せてしまう。

循環と意思疎通

 【第23話】で矢晴が『人は他人と完璧な意思疎通はできないけど』『言葉や情報は自己と他者を循環してると思うんだ』と言うのが好きなんだけども。 とはいえ、矢晴は純と完璧な意思疎通は出来ないんだよ、と断言したようなもので、それはちょっとどう……? “完璧”とか言っちゃうとそりゃ絶対に出来ないものだろうけど、それなりに意思疎通できたり……しない? 『言葉や情報は自己と他者を循環してると思うんだ』と矢晴が思っているのはいいなと思う。矢晴の発した言葉も他者に届いて、他者の自己を形成するものになっているんだと矢晴が思ってくれてるならば。 「己は他者の影響、他者からの学習のみで出来ている」みたいな話からすると、けっこう流れ的に矛盾をはらむ話な気はするのだけども、自己の成り立ちに対する矢晴の考え、としては、とても良いことを言っている気がする。 矢晴が古印葵として発した言葉は純の心を鷲掴みにするわけだし、矢晴の言葉は純の性格すら変えていくんだから。 純が古印葵が好きだから、というのはあるけれども、純にとって矢晴の影響力は絶大だから、矢晴にとっても純の明るさとかポジティブさとかの影響が大きくなるといいなあ〜と思ってて、『こういう時自分の感情より根拠のないお前にBETする方が楽なんだろうな』と、むしろ矢晴の不安を感じる感情のほうが無根拠だったりしてないかと思いつつ、同じように根拠がないなら明るい方に、みたいに賭けてくれるのは良い兆候だな、と思う。

正解

 だらだらと「循環」とか考えてたけど、そういやちょいちょい「正解」って言葉が出るな、と思って、正解を考えてみる。 純にとって矢晴の漫画は理想だからすべてが「正解」の世界なんだろうなと思う。 【第1話】で『矢晴は漫画描いて正解だよ』と言うし、【第3話】で『絵が映画みたいでページ全体のデザインがセンスがあって線はシンプルだけど確実に正解を選んでてカットの選び方とストーリーへの組み込み方と描き方…一番すごいと思ってます理想です』と言うし、【第11話】で自分の絵への不満を漏らしながら『正解の線だけ残せてないっていうか』と言っていて、矢晴の漫画や絵の描き方が純にとっての正解で憧れで、とずっと言ってるけど矢晴に届いているのかどうかはわからない。 矢晴は、B誌に移籍した辺りからずっと「不正解」「外れ」「間違い」の道を選び続けてきた感じがして、正解を選びたいと思っているのか、自分の選んだ道やしていることが正解なのかどうかを気にするようになったのか、【第23話】で『散歩をしている間は散歩だけをしていれば正解の世界になる』『気が楽だ』と考えている。 純の家で療養するのも「正解」だと思うんだけどなあ。 矢晴は、純は人生で「正解」だけを選んできて、売れっ子になってて金持ちになってる、とか思ってるのかなー? と思えるんだけども。 もし、純が正解だけを選んでこれたから今の状態、というなら、それを導いてきたのは古印葵だなあ、と思う。純は古印葵目指してA誌に来たわけだし。 わりと世の中、「正解」だけを選び続けたいとか、「正解」以外を選びたくない・失敗したくない、とかって感じで、身動き取れない状態の人が多い気がするんだけども、矢晴の理想の自立の前段階もそんな感じになってるなーって思う。誰にもつまらないって言われないくらいすごい漫画のアイディアを思いついてそれを誰にも文句つけられないくらいに正しく描いて、みたいな、土台無理なことを考えてそうな。 だから純の『何回失敗しても何十年かかっても君が有能なことを教えてやる』って言葉がとても好き。 人生たった一度の失敗で終わるわけでなし、何回失敗しても都度やり直せばいいし別の道を探してもいいし、何十年かかっても最後に成功すればそれは成功ですべてが正解なんだと思う。

自己

 ずっと考えてはいるけれども、やっぱりなんだかまとまらなくて、文章にできるほどの思考はないんだけど、文章にすることでなにかしらとっかかりがつかめんものかと思ったりする。 矢晴の『「どうやって自分が自分になったか」を考えてみたんだ』と語り始める内容が、なんだかねじれている気がするはする。 『赤ちゃんが言葉をしゃべるようになるのは外から聞いた言葉を真似したからだ』『善悪の線引きの基準は外から学習したもので形成されてそこから自分の意見が構築される』というあたりは、【第16話】で純が言った『生まれた時人は服を着ていなかったように』『思考も言葉を持たずに生まれそして言葉を選んで着る』『人間の脳はそういうものだと思う』『私はあなたの言葉を着たい』にも通じそうな話だと思うんだけど。 矢晴は『「自分の考え」は自分一人で全て思いついたものではなく』『他者から学習したものだからだ』と、「己は学習の集合である」と結論づけている感じ。だけども。学習の集合ってのに異論はないんだけど、矢晴は「他者・外部のみから与えられ作られたもので、自身の思考ではない」と言っている感じで、純は「外部から与えられたものを自分で選んで思考する」と言っている感じがする。 と、まとめてみると、私は純寄りの考えかな。 『他者評価は己を作る過程でもあるんだよ』『同時に他者評価は目的やゴールにもならない』というのは正しいと思うんだけど、矢晴のこれまでの言動からはなんとなし矛盾を感じるような……? 『人は他人と完璧な意思疎通はできないけど』『言葉や情報は自己と他者を循環してると思うんだ』というのも正しいと思うんだけど、話が飛躍したのかズラされたのか、さっきまでと話が通じてない感じがしてしまう。 『絵を褒められた経験から漫画を描きはじめて漫画を描いたら褒められて漫画家を目指しはじめて……』『そう考えたらやっぱり「己」は外からの影響で作られてるよ』というのも、正しいとは思うんだけど、たぶんいちばん大事なところを意図的なのか無意識なのか落っことしてる感じはある。 『だけど今の私は』『描いても描いても否定される失敗を経験しすぎて「己」の中が否定で埋め尽くされてる』という矢晴の状態は、それはそれは辛い。 矢晴の話の中では、「自分は絵を描くことが好き」だとか「好きで描いた絵を褒められた」だとか「好きで描いた漫画を褒められた」だと...