いつだっていいよ
【第22話】のあったかゾーン。純の言葉がとても良くて、とても好き。
『私は君が消えたら悲しいし』『君が生まれたことに祝福しきれない』『ご両親にも感謝だ』と矢晴の存在そのものを言祝ぎ、『でも死ぬのはいつだっていいよ』と矢晴の希死念慮すら肯定する。
死なないで欲しいと願ったり強要したりするでなく、「死ぬのはいつだっていい」と言えるようになった純がいいなあ。【第20話】でも『あのおじいちゃんには』『死ぬなら寒くてひもじい場所じゃなくて』『暖かくて肌触りの良い場所で死んでほしいんです』『だから一緒に暮らしたいんです』と言っていて、生き続けて欲しいというのも本心だろうけども、死ぬなら暖かい場所で穏やかに召されて欲しいというのも本心なのだろうなと思う。
【第22話】で『君が天に帰りたくなってもそれ自体を責めたくないよ君が好きだから』と死を願ってしまう矢晴のことも優しく包み込んでくれるような言葉で、さらに「君が好きだから」って。
純が矢晴のことを「好き」って言ったの初めてなんじゃないの? とか思っちゃうんだけど。「あなた(古印葵)の世界が好き」「矢晴のフィルター(古印葵)が好き」とかはちょいちょい言ってたけど、矢晴自身を指して『君が好きだから』ってのが良い。純が古印葵に心掴まれてなければ純と矢晴は出会うこともなかったけれど、純が矢晴を矢晴として好きって言ってくれるようになったのがもうね、いいよね、たまらんね。
古印葵と福田矢晴を切り離して認識し始めたとは思わないけれど、「古印葵(福田矢晴)」から「福田矢晴(古印葵)」になった感じがしないでもなく。「古印葵だから好き」ってのが「矢晴が好き」になった気はする。
そして『矢晴がいつか天に召された時は骨は拾うよ』『そこらへんの世話も任せてくれ』と、出会った頃の『あなたの亡骸は私が拾いたいんです』『死ぬまで孤独じゃなくなる約束しませんか?』なんて鬼気迫る感じでなく、矢晴の死後の世話まで任せて頼れる存在になったんだなあと感慨深くもあり。
やだわぁもう、まだあれから2ヶ月も経ってないのに。あんなに怖かった子がこんなに頼れる子になって。
矢晴が死にたくなるまで死ぬときまでの間、『それまでは私のわがままに付き合ってほしいんだ』って純が言うのが良くて。矢晴に無理強いするんじゃなくて、純のわがままでやりたいことと認識して、それに付き合って欲しいって純が言ってくれるのがいいんだよなあ〜。もう、ついこの間「矢晴が望むならなんでも〜」とか言ってたヤツがだよー、えらーい。
個人的に、なんだかたぶん、矢晴よりも純のほうが先に死にそうな気がしている。「純の嘘つき」って微笑む美爺の矢晴が見たいだけの個人趣味。
コメント