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彼の脳に触れるなら

 【第13話】で純が考えてる『彼の脳に触れるなら』『言葉を介さない「皮膚」からじゃないと届かないかもしれない』『気持ちを言葉じゃなくて温度と感触で表さないと伝わらないかもな』と考えているところが好きで。 そんなことを考えていた翌日は、なんだか疲れた顔をしながら、言葉に訴えているわけだけども。 同居6日目はがっつりふれあってじゃれ合って。矢晴の全開の笑顔もかわいくて。よきかな、よきかな、という感じなんだけども。 それ以降、特にべったりふれあってる描写がないのが残念なのだけども。同居1ヶ月目の一緒にお風呂、一緒のベッドで素肌に触れさせるは別枠として。 【第16話】の『矢晴が契約書になる?』がどれだけ性的なのかは扠措いて、より脳に近いうなじの「皮膚」に、唇の「温度」と「感触」で、気持ちを伝えようとする純の真剣さが、素敵よねえ〜〜〜! と思っているところ。 口約束も契約書もNGなら、矢晴に直接刻みつけるしかないじゃない。矢晴もそれがいいんでしょ? ねえねえ。とか思っちゃうけど、矢晴がホントに性的接触に恐怖心を持っている子だったらこんなふうにはしゃぐのは申し訳ないな、と思うけど。 もし矢晴がホントに性的接触に恐怖心があるんだったら、人に欲情しない純とお似合いじゃないの? とも思うけど。別に性的接触がなきゃ愛を育めないわけでもなし。でも、矢晴が性的接触含む好意で恋愛する人だったら、純のこれから次第で禁欲になっちゃって欲求不満になりそーではある、けどけど、別に純が人間相手に勃起できんだったとしても、性的接触自体はできるだろうしなあ、と思うから、ふたりがどうなろうと、問題なさげな気がする。絶対挿れなきゃならんこともなし。 どうなるんだろ。ワクワク。

逃がしたくない

 【第15話】の矢晴が言った『逃がしたくない支配欲と執着の過ぎた好意があったら』『もうそれ性欲だろ』の「逃がしたくない支配欲」がやっぱりどうも飲み込めず。 純にとっては「逃がしたくない」というよりは「失くしたくない」だろうしなあ、と思うのだけど。 と、考えつつ、「逃がす」は「にがす」と「のがす」があるんだよな、と思い出し。 矢晴にとっては「捕らえておきたい」「手放したくない」の「にがしたくない」であって、純にとっては「手の届かないところにやりたくない」「失いたくない」の「のがしたくない」にはなるかなーと思ったり。 文字で見ると、どちらの読み方になるのやら、とは思うけど、矢晴はしゃべってるんだから明らか「にがしたくない」と言っているんだろうとは思う。 支配欲からの性欲、ってのはわりとまあ、普通にあるものだろうなと思うんだけども、純には当てはまらないなあ……と思いつつ。矢晴がそう思っている、というのは別にいいんだけども、これからそこらへん純と擦り合わせていけばいいことではあるし。 矢晴としては純に「そうじゃないよ」「支配しないよ」とか言われたかったんかしら? とかも思うけど。矢晴の言うことを逐一否定するようなことは、純はやらないと思う。でもさすがに『私』『それがいいな』は矢晴の想定を遥かに超えた反応だったんだろうな、と思ったり。 そういえば、この記事の冒頭を書いていて「飲み込めず」ってところで、【第16話】の矢晴の『「お前は攻撃的な人間だ」って私が言ったらお前は飲み込むか?』と言っていたのを思い出し。ちょっと不思議な言い回しだなとは思ったのだけども、その前の『私はあなたの言葉を着たい』とかから考えると、極論「私が死ねと言ったならお前は死ぬのか」レベルで純が思考停止してることを咎めるようなセリフでもあるんだな、と思った。 その後、純の返答に対して『〈矢晴には〉!! そういうとこだよ!!』『考えないからそんなことを言えるんだお前は!!』と激情に駆られていくわけで。 純も考えてないわけじゃないと思うんだけどな……。自分の攻撃性を自覚した上で、「大事な人には向けない」という理性があるとは思うんだけども。 ただまあ、いつかそれが反転するとか、壊れる、とかはあるんだけども。その可能性まで含んでも、純は『けど 矢晴には攻撃的にならないよ』しか言えないと思うんだけどなあ。 ここ...

編集者

 【売れうつ】はそこそこいろんなパターンの編集者が出てくるけども、作者さんがキャプションで『売れうつは編集者にとって読んで気分の良い漫画ではない。』と書かれるように、“悪い”編集者の見本市のような感じでもある。 “良い”編集者は、古印葵の最初の担当だけではないかな? という気さえする。 四階は人間的にもアウトな性質を持ってる感じではあるけども、『ムードメーカーだし仕事は早いしそれは評価してるんだけどさ』と良い面はあれども、『菊池や数人から四階が怖いって報告はきてて』『たまに電話口で担当作家を大声で怒鳴ってたりする』と人によって態度を変えるあたりを問題視されてはいる。純はその話を聞いて『そういう人って治療が必要だと思いますけど…』と言っている。 菊池は、古印葵の連載作の打ち合わせ、進め方が古印葵に致命傷を与えたくらいに、編集者として古印葵を活かせなかった。善人そうではあるし、古印葵の作品を好きとは言うけども。矢晴もまともにコミュニケーションとらなかったのが悪いと思うんだけども。初手『古印先生ってこの3年間ってなにも発表されてませんけど』『なにされてたんですか?』はキツイわなあ……。 桜木は、純が話しやすい相手というのもあるのだろうけど、社内事情を作家にそんなべらべらしゃべる? って感じはする。ただ、そういう性格だから、『じゃあもし打ち合わせにきてくれるってなったら日時教えましょうか?』なんて言っちゃうんだろうけども。純にとっては良い担当。 B誌の編集は、意思がブレブレで黙り込むこと多くて1回の打ち合わせに4時間かかるとかキツイし、その上役だろうか色眼鏡の編集者は『コミックスの印刷費って結構かかるんで原稿料ちょっとまけてもらえないかなーと』とか『あれ全没ねまた企画からおなしゃーす』とか『コミックスにするとは言ってないけど?』とかひどすぎるし。 矢晴の記憶改変も入っているかも、とは思えるけども、B誌はほんとひどかったと思うんだ。 ピタゴラ的に……と言われてるから、もしかしたら、矢晴が編集から言われた言葉のいくつかは、作家さん自身が言われた言葉かもしれないし、似たようなことを編集から言われた経験から生み出された言葉かもしれないし、と思える。 「この編集は〇〇社の〇〇」なんて特定できるようなものではないと思うけど、こういう経験をされたことがある人は多いような……? 作...

どんな本より

 【第16話】の『古印先生はどんな本よりずっと好ましい名前をつけてくれる』という純の言葉と、純が折々で思い出す膨大な量の本とか本からの受け売りとか。 純はかなりの読書家なのか、必要そうな本だけ雑多に読んでる人なのか。自分の求める答えが書いてありそうな本を読むけど、古印葵の漫画に描かれる言葉以上に感銘を受ける言葉が見つかったためしがないのかな。 矢晴の言葉の紡ぎ方が一番好きなんだろうな、とは思うんだけど。 ここまで純が古印葵の“言葉”に心酔しているところを見ると、【第5話】の矢晴の失敗した連載作を読んでの、『あれ?』『絵は格段にうまくなってるし冒頭のセリフのセンスも相変わらずいい』『けど…』『なんか…』『なんで?』と混乱しているような純の心境が、「古印葵らしくない漫画」というだけでなく、純が酔えるような“言葉”すらなくなっていたんだなあ、って感じなんだろうかな。菊池さんにばっさり切られた冒頭6ページを読ませたら喜ぶかな? 矢晴は現状、漫画を描かないけど、溢れる言葉は純に向かってずっと吐き出していくから、純は「古印葵の紡ぐ物語」は読めずとも、「矢晴の紡ぐ言葉たち」は浴びれている。 「古印葵の言葉を着たい」という思いからなのかなんなのか、ちょいちょい矢晴の言葉を吸収して再現している節はある、というか、口調が移ってる感じはある。 【第13話】の『私もそんな話ができたらなって憧れてる時のポーズだよ』ってうっとりと矢晴の話を聞いてた純の思考が、矢晴のように深く考えて言葉を紡ぎたい、でなくて、矢晴の言葉で矢晴みたいな話をできるようになりたい、ということだったのかどうか。そんな気もする。おかしいな、そのちょっと前に『もっと色んな事を考えて答えられるようになりたい』だったのに。んー? 「矢晴みたいに深く考えて矢晴みたいに話したい」かなあ? 純は矢晴と読書会でもしたらいいんじゃないかな? 矢晴がこれまで読んできた本を純も読んで、感想言い合ったり矢晴に解説してもらったり。そんなことずっと続けたら、ちょこっとくらい矢晴の言葉を着れるようになるかもしれない。 ――ちゅーてキミたち、視覚優位の子たちではなかったのか……?

純の欲

 純はそれなりに欲のある子だとは思うんだけど、欲張らない子でもあるのかな。 古印葵に認められたい一心からかA誌でデビューしたくて頑張ったり。矢晴に自分を見て欲しかったり。それなりに欲はある。純の意識の中でどういう扱いなのかはよくわからんが、かなり古印葵(福田矢晴)を特別視している。 けど。 父親を亡くすとか、級友が消えるとか、デビューしたら古印葵が消えたとか、布教活動しても世の中は変わらないとか、どうにもならないこともわかって諦めてきたりとかしてて。 我欲のままに突き進めばなにかに阻まれる、拒絶されるみたいなことが“わかってる”感じ。 【第13話】前編の終盤から後編の序盤で、純が振り向いた矢晴が怖くなって萎々としてしまったのは、「ちゃんと見て欲しい」という欲を出したけど、その欲によって失ったらどうしよう、みたいなブレーキがかかっちゃった、とかあるのかなー? と思って。 純ならもっとぐいぐい行きそうな気がしてたのに、あまりにも萎々と、純らしくない感じがあって。 【第11話】で矢晴にペンを持たせたりして漫画に向かわせようとすることを『これが矢晴さんにとって社会復帰へのきっかけになるのか』『それともただの私の欲望なのか』『今の段階では判別がつかないんです』と言っていたけど、ここの矢晴の答えが「それは純の欲望」だったりしたら、純はその後一切漫画の話をしなくなったかもしれないな、とかも思う。 【第16話】では『我欲に走って言葉をほしがって君を傷つけた』『私と一緒に住む君は不憫だ環境を変えよう』と矢晴を手放すような決意までしているのは、純が欲を出したばかりに「本来の福田矢晴」を失うことを恐れたかな? と思える。 人に欲情したことがない(できない)のも、それが“欲”だからで、純自身が抑え込んでる、とかはありそう。はからずも、矢晴に見つめられ、その口から自身に「ない」と思っていたものを「ある」と言われて、『あなた自身であなたの美しい世界で証明してくれるなら』自分の欲望じゃないから何も失わない、だから『もう何も怖くない』になるのかなあ……? なる? 古印葵である福田矢晴を守りたい、庇護したい、忘れたくないとかもがっつり純の欲望だと思うんだけど、そこで“欲”を表出すると失うから、『これは慈愛』と自身に言い聞かせるような、言い聞かせていたような気がする。 『矢晴が望めばなんでもす...

恋愛

 純自身は、まず間違いなく、「恋愛」をしたことがない、と思うのだけども。「恋愛」に関する知識としては、ある程度あるはずではあって。 『恋愛を扱ってるけどA誌によくあるラブコメではない』と古印葵の漫画を分析していて。恋愛をしたことがない純にとって古印葵の漫画が「恋愛観」の教科書になっていてもおかしくないかも……? とは思える。 ただ、少年誌であろうA誌では、男女の恋愛漫画しか載らないんじゃないかなあ? とは思って。 純が自身の性的指向を勘違いしているだけならいいなあ、と思ったりもして。 「普通の人は異性に恋をする、欲情する」けど「純は人間に欲情したことがない」のは、そもそも純の恋愛対象が同性だから、で、すでに古印葵に恋してるから他の人間に恋しない、欲情しないってだけで。ということであればBL的に話が早くて助かりはする。 男女の恋愛漫画を読んでも、特にときめくこともなく、それは人間に欲情しない自分の特性だから、と済ませてきてて、恋愛対象が違うことに気付かないような子だったり……しない? どうかな? とはいえ、そんなところに落ち着かれても、嫌なんだけど。そんなところに落ち着かれたらある種裏切られた気分になりそうなんだけど。ジタバタ。でも、BLで矢晴と恋愛して欲しいからさー。ジタバタ。 純の父親とその友人の仲の良さに、別種の憧れを抱いてしまっていたりとか、してない? してなかった? とか、聞いてみたくなる。 とかなんとかむりくりでいろいろ考えてみても、二次元では抜くんだったな……とかで、破綻するんだけど。 『愛という言葉を考えるときに思い出すもの』が『父の友人が父によく言ってた言葉』というのもおかしな話なんよ。だって、普通ならそこは「友情」だもの。「愛」を入れるなら「親愛」「友愛」とか言葉はあるけど。なんで“慈愛”だよ? てか、ここ、順序が違うんよね。 【第6話】では泣いてる矢晴に対して“慈愛”を先に持ち出して、「愛とは」って考えて、父親のエピソード持ち出してきて型にはめた感じで。 【第15話】では父親のエピソードから導き出した約束が“慈愛”なんだ、と言っちゃってる。 そこらへん、純の記憶改変になってるんじゃないかなー? みたいに思っちゃう。矢晴に対する恋心を「恋愛」と結び付けられないけどなにかしらの愛情と庇護欲とをごった煮にしてなんとかひねり出した言葉が“慈愛”だ...

美しい世界

 純に見えている古印葵の「美しい世界」というのはどんな感じなんだろか。 純はなんだか舞い上がっちゃって『私にも〈それ〉ができると』『あなた自身であなたの美しい世界で』『証明してくれるなら』『もう何も怖くない』となにをどう証明するのかすらわからん思考で恍惚としてるけども。 矢晴の世界の住人になりたい、古印葵の世界の住人になりたい、みたいなところはありそう。古印葵の描き出す世界はあんなに美しいのだから、矢晴の見ている世界もあんなに美しいのだろう、とか。矢晴が『――きれいだな忘れたくないなと思ったものをカメラで撮るのが日課で』『漫画も』『忘れたくないと思ったモノや感情を取り込んで形にしてます』と言うのだから、矢晴の見てきた美しい世界が古印葵として描き出された美しい世界なわけで。それが「筆先で見せてくれた忘れたくないもの」なわけで。 矢晴が激昂して言った『性欲を慈愛だとか清潔な言葉で飾りやがって』『きったねえ欲望を蓮華座に乗せてんじゃねーよ糞野郎』なんていうキレッキレの罵倒すら、純にとっては「古印葵の美しい世界」であるのか、「蓮華座」って言葉だけは辛うじて耳に届いていたものの、罵倒されていることにすら気付かない恍惚であったのか。 「逃したくない支配欲」についてはそうなのかどうなのか議論の余地がありまくるけども、矢晴に矢晴の言葉で「純は性欲でもって大好きな矢晴を家に住まわせて甘やかしている」と言われて、それは「矢晴の見ている世界」なのだから「矢晴の美しい世界」の中のことで。 純自身がどうであっても、矢晴の見ている世界の中の純には「性欲」がある、なら『私』『それがいいな』になるわね。そして、それを矢晴の世界で証明して欲しい……。うん。 しかしながら、どうやって証明したらいいんだ……? 『あなた自身であなたの美しい世界で』……「あなた自身で」……。やだもう、純ったら矢晴にメロメロじゃん……。最初から知ってるけど。

体力

 矢晴は純と暮らし始めて、ちゃんと食べて、日光浴やらふれあいやらでホルモンバランス整えられて、同居開始の頃にはげっそりとやつれていた顔つきもすこしふっくらしてきて、多少なり体力も戻ってきたんじゃないかしら? と思える。 夜はやっぱり妄想に苛まれ、“湯冷め”に耐えて、とあまりしっかり眠れてなくても、純とふれあってふんわり眠くなって昼間に眠るとかもあったかもしれないし、見た感じ同居開始の時から考えると、やっぱりずいぶんと回復してきているようには見えるのかも。 でも、うつとかの希死念慮強めのって、そういう回復してきたように見える時期、そこそこ体調戻ってきた時期が一番やばそーではあるんだけども。それまで自殺できるだけの体力気力がなかったから生きてただけ、に比べて、実行できる体力気力がついてきた時期で。それを超えてもっと前向きに生きるための体力気力がついてくれば快方に向かうのだろうけど。 『スリップは回復の段階であることだよ』という純の言葉は、アルコール依存症の断酒からの再飲酒に関しての本やらネットやらの受け売りで言っているのかもしれないけども。矢晴自体は、純の献身のかいもあり、純が用意した清潔快適な空間での療養で身体は回復しつつあり。 精神状態はと考えると、純への恋が芽生えてて、ちょっと大変そうではある。でも、そうやって人への好意が芽生えてるだけ、心も回復しつつあるんだろうな、という感じがする。 とりあえず、今回、矢晴の体力は純を引き止める全力に振り向けられてて、矢晴が自殺しそうな気配がないのがよかった。たぶん、矢晴の自殺の可能性は同居21日目に切れてるんだろうけど。

病症がもたらした言葉

同居1ヶ月目の夜、一緒に寝ることになった寝室で、矢晴が激昂して言い放った言葉や激情にかられて言い募った言葉たちを、矢晴の薬の飲み忘れに気づいた純は『今の矢晴の言葉は』『病症がもたらした言葉かもしれない……?』『その言葉を私が「良い」と言ってしまったらそれはつまり――』と考えて、焦り出す。 どこからどこまでが「病症がもたらした言葉」なのかは定かではないが、矢晴の目がぐるぐるして、感情が高ぶってからの言葉はどんどんと、うつ故の思考回路から生み出されている可能性は高い。 ただ、純が反省せねばならんのは、矢晴がまともに話していると思い込んで「そんなことまで考えるなんてすごい!」的に褒めたことではなくて、純自身がこれまでの人生で渇望していたであろう「人に欲情する」ことを表す『もうそれ性欲だろ』という矢晴の言葉に、飛びついてしまって思考停止してしまったことではないか、と思う。 同居して1ヶ月経ち、慣れと緩みが出て、矢晴が酒を買って飲んでしまったことも、「酒を買いに行くほどの体力がついた」と思い『スリップは回復の段階であることだよ』と言ったのが慰めでもなく本当に「矢晴が回復しているからスリップした」と思っているのかもしれないなあ、と思う。 それらもコミコミで『私の性格は君にとって良くない』と言っているのなら純がすごいしえらいのだけど、どうなんだろう。

描かなくていい

 矢晴が純に心を動かされているとき、「描かなくていい」と言われているときだなあ、と改めて思う。 【第9話】で『あなたの世界が好き』『けど描けとは言いません』『幸せになってほしい』と純に肩を抱かれ、矢晴の蟲は背中を指で突かれてのけぞっていて。 【第13話】で『瓶の中身が漫画にならくてもいい別のものでもいい』『けど開かないからって理由で瓶を放り投げるな!』『私じゃ古印葵を紡げないのは私が一番知ってる』と純に言われて、縄が切れていて。 矢晴自身は、描きたくないといいながらも、漫画に囚われていて、描きたい気持ちもあれども描けない、描けなくなったから諦めたいけど未練があって、とずっとぐるぐるしてるんだろうなと思うんだけど。 漫画を描くことを強制されないのがいいのかな、と思うんだけども。純は矢晴のことを「憧れの古印先生」って目で見るけど、「描けとは言わない」のは「矢晴の世界が好きだから」で、「矢晴が生き続けてなにかになればいい」と思ってる感じ。 純は「描かなくていい」って言ってるのに、矢晴は『私は漫画を描かなくて済むんだ』とか『だからもう漫画家にはならない』『純が聞いてくれればもう充分だよ』『全部お前にやる』っていやらしー笑顔で言ってくる。 『全部お前にやる』なんて、矢晴が「矢晴の世界」を捨て去ろうとするみたいなこと言われて純が嬉しいわけもなく。 と思うんだけど、【第16話】の純の『私はあなたの言葉を着たい』って狂ってる純を考えると『全部お前にやる』なんて超絶嬉しい言葉になるんじゃないの……? 違うの……? という気分にもなり。 純にとっては矢晴の世界、古印葵の美しい世界がある状態(矢晴が生きている状態)で、矢晴(古印葵)の言葉で純を飾り立てて欲しい、ってことになるのかなー? 矢晴の世界のなかで、矢晴の言葉を着たい純。だから矢晴の世界があれば漫画を描かなくていい。漫画を描かなくていいけど、矢晴の世界をなくすことはイヤ。って感じだろうかな。 1年後(描き始めるのは数カ月後くらいになると思うけど)に漫画を描いて純に見せるのって、矢晴が自立するってことなんだなあ……と思ったりした。