純の欲
純はそれなりに欲のある子だとは思うんだけど、欲張らない子でもあるのかな。
古印葵に認められたい一心からかA誌でデビューしたくて頑張ったり。矢晴に自分を見て欲しかったり。それなりに欲はある。純の意識の中でどういう扱いなのかはよくわからんが、かなり古印葵(福田矢晴)を特別視している。
けど。
父親を亡くすとか、級友が消えるとか、デビューしたら古印葵が消えたとか、布教活動しても世の中は変わらないとか、どうにもならないこともわかって諦めてきたりとかしてて。
我欲のままに突き進めばなにかに阻まれる、拒絶されるみたいなことが“わかってる”感じ。
【第13話】前編の終盤から後編の序盤で、純が振り向いた矢晴が怖くなって萎々としてしまったのは、「ちゃんと見て欲しい」という欲を出したけど、その欲によって失ったらどうしよう、みたいなブレーキがかかっちゃった、とかあるのかなー? と思って。
純ならもっとぐいぐい行きそうな気がしてたのに、あまりにも萎々と、純らしくない感じがあって。
【第11話】で矢晴にペンを持たせたりして漫画に向かわせようとすることを『これが矢晴さんにとって社会復帰へのきっかけになるのか』『それともただの私の欲望なのか』『今の段階では判別がつかないんです』と言っていたけど、ここの矢晴の答えが「それは純の欲望」だったりしたら、純はその後一切漫画の話をしなくなったかもしれないな、とかも思う。
【第16話】では『我欲に走って言葉をほしがって君を傷つけた』『私と一緒に住む君は不憫だ環境を変えよう』と矢晴を手放すような決意までしているのは、純が欲を出したばかりに「本来の福田矢晴」を失うことを恐れたかな? と思える。
人に欲情したことがない(できない)のも、それが“欲”だからで、純自身が抑え込んでる、とかはありそう。はからずも、矢晴に見つめられ、その口から自身に「ない」と思っていたものを「ある」と言われて、『あなた自身であなたの美しい世界で証明してくれるなら』自分の欲望じゃないから何も失わない、だから『もう何も怖くない』になるのかなあ……? なる?
古印葵である福田矢晴を守りたい、庇護したい、忘れたくないとかもがっつり純の欲望だと思うんだけど、そこで“欲”を表出すると失うから、『これは慈愛』と自身に言い聞かせるような、言い聞かせていたような気がする。
『矢晴が望めばなんでもするよ』も、なんで決定を矢晴に押し付けてるんだ? って思ってたけど、「矢晴が望むから」って大義名分があれば自分の欲じゃなくなるからかな。
やっぱりこれは矢晴から純に告白して、ずっと離れないって約束しないと進まない気がするなぁ。でも、純のその何も失いたくないから無欲であろうとするあたりをどうにかして純が欲を出せるようになるとかにもなったりするかなあ。
続きが読みたーい。けど、ここらへんがはっきりするのって数話か十数話先な気がするー。ついでに全然違った……って感じにもなりそうだけども。
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