描かなくていい
矢晴が純に心を動かされているとき、「描かなくていい」と言われているときだなあ、と改めて思う。
【第9話】で『あなたの世界が好き』『けど描けとは言いません』『幸せになってほしい』と純に肩を抱かれ、矢晴の蟲は背中を指で突かれてのけぞっていて。
【第13話】で『瓶の中身が漫画にならくてもいい別のものでもいい』『けど開かないからって理由で瓶を放り投げるな!』『私じゃ古印葵を紡げないのは私が一番知ってる』と純に言われて、縄が切れていて。
矢晴自身は、描きたくないといいながらも、漫画に囚われていて、描きたい気持ちもあれども描けない、描けなくなったから諦めたいけど未練があって、とずっとぐるぐるしてるんだろうなと思うんだけど。
漫画を描くことを強制されないのがいいのかな、と思うんだけども。純は矢晴のことを「憧れの古印先生」って目で見るけど、「描けとは言わない」のは「矢晴の世界が好きだから」で、「矢晴が生き続けてなにかになればいい」と思ってる感じ。
純は「描かなくていい」って言ってるのに、矢晴は『私は漫画を描かなくて済むんだ』とか『だからもう漫画家にはならない』『純が聞いてくれればもう充分だよ』『全部お前にやる』っていやらしー笑顔で言ってくる。
『全部お前にやる』なんて、矢晴が「矢晴の世界」を捨て去ろうとするみたいなこと言われて純が嬉しいわけもなく。
と思うんだけど、【第16話】の純の『私はあなたの言葉を着たい』って狂ってる純を考えると『全部お前にやる』なんて超絶嬉しい言葉になるんじゃないの……? 違うの……? という気分にもなり。
純にとっては矢晴の世界、古印葵の美しい世界がある状態(矢晴が生きている状態)で、矢晴(古印葵)の言葉で純を飾り立てて欲しい、ってことになるのかなー?
矢晴の世界のなかで、矢晴の言葉を着たい純。だから矢晴の世界があれば漫画を描かなくていい。漫画を描かなくていいけど、矢晴の世界をなくすことはイヤ。って感じだろうかな。
1年後(描き始めるのは数カ月後くらいになると思うけど)に漫画を描いて純に見せるのって、矢晴が自立するってことなんだなあ……と思ったりした。
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