病症がもたらした言葉

同居1ヶ月目の夜、一緒に寝ることになった寝室で、矢晴が激昂して言い放った言葉や激情にかられて言い募った言葉たちを、矢晴の薬の飲み忘れに気づいた純は『今の矢晴の言葉は』『病症がもたらした言葉かもしれない……?』『その言葉を私が「良い」と言ってしまったらそれはつまり――』と考えて、焦り出す。

どこからどこまでが「病症がもたらした言葉」なのかは定かではないが、矢晴の目がぐるぐるして、感情が高ぶってからの言葉はどんどんと、うつ故の思考回路から生み出されている可能性は高い。

ただ、純が反省せねばならんのは、矢晴がまともに話していると思い込んで「そんなことまで考えるなんてすごい!」的に褒めたことではなくて、純自身がこれまでの人生で渇望していたであろう「人に欲情する」ことを表す『もうそれ性欲だろ』という矢晴の言葉に、飛びついてしまって思考停止してしまったことではないか、と思う。

同居して1ヶ月経ち、慣れと緩みが出て、矢晴が酒を買って飲んでしまったことも、「酒を買いに行くほどの体力がついた」と思い『スリップは回復の段階であることだよ』と言ったのが慰めでもなく本当に「矢晴が回復しているからスリップした」と思っているのかもしれないなあ、と思う。

それらもコミコミで『私の性格は君にとって良くない』と言っているのなら純がすごいしえらいのだけど、どうなんだろう。


コメント