事象の理由

 矢晴が「事象には理由がある、理屈を考えよう」みたいなことを言ってからの山渕の『普通の人って寝不足にならない限りこういうこと起こらないんでしょ?』からの矢晴の表情と回想とで、矢晴が何を考えているのかが全くわからないんだけども、それはそれとして。


矢晴は、純への気持ちに侵食されたくなくて曖昧にしたくて酒飲んで、朝になってもベッドから起きずに動けずに昼まで過ごして粗相しちゃったのを、なんだか「自分の知能やらなんやらが低下して自分の身体への認識がなくなっちゃって垂れ流してる」みたいに思っている節がありそうな? と思ったりする。

いやさ、1.5〜2リットルくらいの水分量とアルコールの利尿作用と、夜から昼までの12時間とか考えると、普通にトイレ行かなきゃ限界きてその場で漏らすよな……? としか思えず。ふつうに膀胱ぱんぱんになってて限界きたから開放しちゃっただけで夜尿症というわけでもなく。

動けなかったのも肉体を動かすための筋力低下とかでもなく、二日酔いと純にバレたらどうしようの恐怖ととかからだから、なんかちょっと矢晴が考えてることがよくわからないなあ……と途方にくれる。

事象の理由を考えると、矢晴が失禁しちゃったのは酒飲んで怯えてたから、でしかなくて、その夜に『純のベッドで失禁したらどうしよう……』とか考えてるのもちょっと違うんじゃないの? という気分になる。

矢晴自身は「排尿制御もできないくらいに知能・認知の低下がある、人間としての尊厳すら守れない状態になってる」と思ってるんだろうなぁ、とは思うんだけど。なんかこう、こだわりすぎてる気はしないでもない。そこにこだわってしまうのが矢晴なんだろうな、とは思う。漏らしちゃったは恥ずかしすぎるんだろうけどもね。

そのちょっと前に呻くだけの肉になってたあたりなんかは、アルコール依存からの離脱症状だろうしなあ、と思うと、矢晴が動けなかったという事象にはいろいろな理由があって、それはそれで致し方なし、という感じだし矢晴が「自分は馬鹿になった」と気に病む必要もなし、という感じがする。


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