時系列

 ちょっといろいろ詳細になるにつれ、時系列に混乱が出始めた。

矢晴がA誌に戻って連載を始めたのは、読んでる純が半袖だから夏ぐらい。連載読んだ純が古印葵の布教活動の手始めにブックワインのインタビューで古印葵をプッシュしてるのが7月なので、夏なのは間違いなく。

矢晴が語った身の上話で父親が事件を起こしたあたりが秋か冬。身の上話をした時から「ちょうど1年前」と言うから12月くらいなんだろうかな、と思うと冬。

アルコールに逃げるようになったのは父親が事件を起こしてからで、そこらへんで連載も終わりにしている。

連載中は休載がかなり挟まれての4話までで、夏から冬にかけて月1、隔月くらいの掲載になってたのかなー? とは思う。

うつ状態、難聴やらの身体症状は連載中には出てて、父親の事件は矢晴のうつ状態やアルコール依存を加速させはしたけれど、原因ではない。

父親に殴られたことが原因で家に寄り付かなくなって、漫画家として成功しなければ、という強迫っぽい状態になっていただろうなとは思う。それによって、連載のとれないA誌を離れて、誘ってくれた(必要としてくれた)B誌に行ったのかもなあ、とは思うんだけど、A誌は前年末に賞を獲った作家をこれからさらに売り出そうと思ってたんじゃないかと思うと、なんでB誌に行ったのか、矢晴よ……という気分になる。

B誌で掲載がなく、ボツを繰り返されたことで古印葵を否定され続ける経験をしてて、すでにうつ状態に陥っていると思う。A誌で連載がとれたけど、自分の漫画を描けているわけでもなく生活のためだけに面白いと思えないものを描き続けることで自分を壊していってしまった感じ。

忘年会で純が「ネーム一発で通るくらいじゃないと連載ついていけない」「命取り」と言っていたのに自身の経験を顧みて全面同意してる矢晴がかわいい。あの話を聞くと、古印葵の新担当がどれだけ仕事できてなかったか、作家の作業量を考えてなかったかが明らかになってしまうのだが、今は大丈夫なんだろうかな?

閑話休題。

矢晴のこれまでの漫画家人生を簡単にまとめると

  1. 15歳くらいから漫画投稿を始める
  2. 大学入学後、父親の性格が変わり怒りっぽくなる
  3. 21歳でA誌デビュー
  4. 大学卒業後の帰省で父親に殴られる、実家に帰らなくなる
  5. A誌で読切を掲載、単行本を2冊出す
  6. 2冊目の単行本が受賞
  7. B誌に移籍。漫画の掲載がなく2年半
  8. A誌に戻り連載獲得。連載開始
  9. 過度なネーム量と度重なる徹夜などでうつ状態に
  10. 父親の事件の知らせからアルコールに逃げるようになる
  11. 連載を4話で終わらせる
  12. 父親が脳腫瘍だったことを知らされる
  13. 10回目のOD
  14. アルコールに溺れて1年弱後、純と出会う

出戻り作家がすぐに連載もらえたあたり、A誌は古印葵をかなり高く評価している感じがしないでもなく、連載始めてもすぐに休載が続くのに会社側から連載打ち切りにならなかったあたりもすごいなあと思う。

古印葵の連載休載が続くのを怒られてたのは担当の菊池さんなのかもしれないけれどもそれを矢晴には特になにも言ってなさげ、休載を責めたりはしてなさげ、という感じはする。菊池さんなりに作家を守っていたのかもしれないけれど、やっぱり掲載用20ページのために100ページのネームは作家の身体のこと作業量のことなんも考えてないよな……? という気にはなる。

純みたいにプロットがちがちに固めてからネームにするやり方をしてたら矢晴の漫画家人生もうちょっと長かった気はする。とはいえ、父親の事件によって矢晴が折れちゃってアルコールに逃げちゃってで打ち切りにする感じはしないでもないから、結局連載は途中で終わっちゃったかな、と思う。

父親の事件がなくてもすでに矢晴は連載を続けられる状態にはなくて、父親の事件がなかったらそのまま漫画家として潰れて忘れ去られていたかもしれない、と思うと、父親の事件によってアルコールに逃げるようになったのはまだよかったのかもしれない、とまで思うようになってきた。


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