愛と執着

 仏教語では、愛とは執着のことらしく。純の古印葵への執着具合は、“愛”なんだよねえ、としみじみ思ったりする。

仏教モチーフが多い気がするから、解釈にも仏教的なものをからめるほうがいいのかなー? と思ったりもするけれど、知識としても浅いので、だからけっきょくどういうことだい? と、疑問で終わってしまったりする。

純は古印葵が好きだけど、生身の矢晴に触れて、生身の矢晴の語る言葉たちからさらに古印葵作品への理解度が深まるとかあったかなあ、と思うんだけど、あんな貧相な暗い顔でもうっすら笑顔になっただけで「笑ってくれた」とか「かわいい」とか思ってしまうあたり、矢晴の外見も相当好きでしょ? とは思える。

矢晴は純の外見とか優しいところ、明るいところとか好きになってるんだろうなあ、と思うんだけど、ただ矢晴の世界が純の家だけになって、純以外との交流がないから純しか見えない、ってだけで、それを矢晴自身は純に恋したと勘違いしていた、と処理したのかどうなのか。

同居1ヶ月が経過したあの朝、恋心が続行中なのかどうなのかはわかんなくはなったから、次の話が読みたいのだが。

純のほうはなんだか別の執着が芽生えたようには思う。古印葵への執着から矢晴をそばに置くようになって、1ヶ月目の夜の顛末で、古印葵を切り離した福田矢晴への執着が生まれたような。古印葵は変わらず好きだけど、矢晴は矢晴で、という感じ?

矢晴がのばした手が肩を抱こうとしてるからって、かなり身を屈めているあの純がとてもかわいい。


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