生きててくれればそれだけで

 よかったはずな気がするんだけどなあ、純。

【第4話】で徹夜で掃除して矢晴に同居迫って、矢晴の吐露を聞いて抱きしめたときには、「古印葵だった福田矢晴が生きててくれればそれだけでいい」って心境だったと思うんだけども。自分の担当から「人知れず死んでるかも」って聞かされてショック受けて、編集部で会えたときも、「生きてて、そこにいるだけでいい」って思ったとは思うんだけども。

【第10話】で『まだ古印葵は死んでない』って気づいちゃった。

というか、純は今、矢晴のことを「福田矢晴」として生きていてほしいと思っているのか、「古印葵」が生きていてほしいと思っているのか、も、やっぱりかなりごっちゃになってる気はするんだけども。

古印葵の生身は福田矢晴だから、【第4話】で『古印葵が死んだとしてもこうして話せるなら』『私はあなたを一ミリも忘れたくない』って言ってる時は、「古印葵が死んでても、福田矢晴が生きていればそれでいい」ってなったと思うんだけども……? 【第10話】で『まだ古印葵は死んでない』って気づいてからは、「古印葵の再生」を夢見て、矢晴の話をうっとり聞いてる感じはする。

福田矢晴のアイデンティティが古印葵だっていうなら、破壊されたアイデンティティの再生・構築は古印葵を取り戻すことになるのかなーって思うんだけども。

【第1話】の『やっぱり矢晴は…』『古印葵先生は天才だ』『矢晴は漫画描いて正解だよ』あたりは「矢晴=古印葵」だけど、「古印葵は古印葵」って感じもしちゃうしなーとか、ぐるぐる考えている。

矢晴は「福田矢晴として上薗純が好き」で、純は「古印葵が好きだから、福田矢晴の世話をする」みたいな感じになっちゃってるし、矢晴は純のことをそう思ってるだろうなあって感じもするし。と、結局、福田矢晴と上薗純と古印葵の三角関係の話に帰結しちゃうわけだ。

同じ話を何度も何度もしてしまうのは、同じ話をするのが好きだからなんだけども。

最近、というか、同居1か月目の時点では、純は矢晴と古印葵を切り分けてる感じがするようなしないような。ただ、矢晴に対してはかなり対等な位置に来たような気がする。とする根拠が単純に『君も私も』って言い方が! って部分なんだけども。

『君も私も』ってむちゃくちゃいい! 「君」だよ、「君」! って萌え転がり続けている。


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