BLかどうか
【売れうつ】は作者さん自身が「創作BL」としてジャンルタグをつけてくれているので、紛うことなくBLなのだけど。
もともと設定段階で『ギリギリまでGLにするかBLにするか悩んだせいでキャラクター達の身体と名前は男、一人称は「私」、PNは女性名になりました。』と【第1話】のキャプションで説明されているように、「男同士」でも「女同士」でもよかった物語のようで。つまるところ、「同性の人間同士の物語」を描きたかったのかなー? とは思える。
でも、恋愛要素が絡んでくるから、GLかBLか、ということになったんだろうなと思って。
よくこの作品を紹介するのに「BLの枠に収まらない」とか「BL苦手でも読める」とか言われるのは、「人間同士の物語」を描いているからだろうし、いまのところというか、【第11話】までは恋愛要素が薄くて、明らかに純の一方的な片思い(矢晴は彼女がいたからノンケと認識されるし)だし、うつの思考は生々しいし、介護だし、とか諸々の要因があるだろうけども。
「男同士で恋愛要素が薄いからブロマンス」みたいに言われるのだけは、心底我慢ならん気分になってしまうので、憤慨するのだけど。
ブロマンスには男同士の恋愛はねーし。恋愛やら肉体関係やらになるならそれはもうBLだからな! とか思うし。純と矢晴の間には、ブロマンスに必要な度を超えた親密さや信頼関係は存在してないし。心理テスト的に「愛する女と親友が崖からぶら下がっててどちらかだけは助けることが出来る、どっちを助ける?」みたいな状況で、「愛する女を助けて、親友とともに落ちる」のが私にとってのブロマンスの定義に近いものではあるのだけども。ほら、BLならそもそも「愛する女」なんて出てこねーでしょーがよ! っていう。
原典がブロマンスなのはそれはそれは素敵で素晴らしいから、それはそれで尊んで、二次創作でスラッシュにする、というのは、とてもよい……と思うタイプだけど、BLと銘打たれたものをブロマンスと言われると、とても憤慨するタイプではある。
閑話休題。
それで、【第12話】【第14話】で矢晴の頭のなかは純のことでいっぱいになってきて、いよいよBLとしての恋愛発展! と色めき立つ感じではあるのだけど、今度は純が矢晴の質問「恋人つくらないの?」に答えて合コンや婚活、と恋愛対象は異性っぽいようなことを言い出し始めて、え……? と動揺しちゃってるんだけども。
BLなんだよね? BLでしょ? 純が矢晴のこと好きで、矢晴が純のこと好きになったら両思いでハッピー! ってBLになるんじゃないの!? と、動揺していたりする。そこまでの道中、紆余曲折がありまくるのは問題ない。ゴールがBLならいいんだ。いいんだ……。
商業BLのような、読者を惹きつけるためのあからさまな演出・展開だとか、読者層に合わせた露出や行為だとかは、この作品では描かれないかもな、とは思ってるんだけども。そういう行為がないからブロマンスだ、みたいに言われるのだけはほんと勘弁してほしい……。
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