矢晴の状態

 純と編集部で出会った時の矢晴は自分でスタスタ歩いて、いろいろ理知的に喋って、酒が入ったら饒舌に語ってくれてて。翌朝、起きたときも二日酔いで頭痛いとかはあったけども、わりとまともに受け答えしてくれてて。

その翌日は、前日に純が帰った後、食事もせず、酒も飲めず、睡眠もできず、だから、相当弱ってたし、頭も働いてなくて。純は、そんな状態の矢晴に愕然として、駆り立てられて説得してたわけだけど。その後、お弁当食べて、純の家でお風呂入って、ゲームしてピザ食べて、ゆっくり眠って、たぶん夕食も食べてって。けっこう動けてる矢晴を純は見てるわけだし。

引っ越してきた日は、『引っ越しって使用体力以上に生命力が奪われる行事だよな…』『今すぐ五リットル酒飲みてえ〜』ってソファーに臥してるけども、その日の様子はと言えば、酒は飲んでないけども、食事のときに酢酸をたくさん摂取してるみたいで頭は働いてる。夜中に純の言葉に恐怖を覚えて睡眠薬を多めに飲んじゃうくらい。

翌日は、比較的さわやかな目覚めで、断酒を決意して純に財布を預けた後、酒を探してキッチンを漁る。その翌日も酒を探して家中探してるらしいし、そのまた翌日はマウスウォッシュ飲んで。

ちょいちょい動きつつ、ベッドにもこもる感じだけども、まだそこまで知能の低下は認められない雰囲気、かな? とか思う。

純の見立てだと、薬飲んだら病状がマイナス100からマイナス20になる程度には浮上してるらしいから、「動けない・動きたくない」状態の矢晴も見てる感じではあるのかな。

5日目はネーム見てアドバイスして、6日目は純とはしゃいで。

たぶん、食事時に酢酸摂取した後なら、多少頭働いてる感じだけど、それ以外の時間はほんとに動かなくなってきたんじゃないか……? と思う程度に、脳ミソに栄養足りてなくて『逃げ道がないので脳が爆発しそうになる』『そうなると脳が仕事を放棄して言葉が口から出ずうめくだけの肉になる』んじゃないかなあ? って気がするんだけど。

ここらへんの時期の純は、『最近はうめいているだけで純がこちらの意志を汲み取ってくるようになった』ってことだけども、純としては、こんな状態の矢晴のことをどう思っていたんだろうか……? 同居してからどんどん状態悪くなってるんだけども。

矢晴が1日のうちまともでいられるのは2時間だけ、とか言うけども、明らか同居前はもうちょっと活動時間あったし。酒浸りだったけど。

状態がどんどん悪化してる感じがするけども、それを純は前向きに「断酒の離脱症状だからそのうち回復する」とか捉えてたかなあ? どんどん悪くなってる感じのを心配してオロオロするみたいな姿を純が見せることがないのはとても良いと思っている。

純は「素人の出来る範囲」とちゃんとわきまえてるから、人間ドック受けさせて、病院行かせて、ってしてくれるのがいいんだけど。

それはそれとして、やっぱりこう、同居前よりも同居してからの矢晴の状態って明らかに悪くなってるようにしか見えなくて、ついでに言うなら純と同居してるおかげでどんどん悪化していく感じもあって。それを見て、純が何を思っていたのかが、知りたかったな、純視点で。

【第13話】の純視点は同居1か月目までいったけど、ここらへんの状態悪くなってたところはスルーしちゃったしね。

そういえば、その同居1か月目の前日、純にスマホ鳴らしてもらおって2階から降りてくる矢晴が[トタトタ]ってむっちゃかわいいんだけども、矢晴は純のいない2階で何してたのよ? とずっと気になってる。たぶん、また物置荒らしてたんだろうかな。


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