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11月, 2023の投稿を表示しています

金太郎

 【第8話】で純が矢晴の着替えに自分のジャージを出しておいて、ぶかぶかのジャージに身を包んだ矢晴に対して『あはは! 初期の金太郎ですね!』と言い、矢晴は『丈が長いことをそういうのか…?』と考えている微笑ましいシーン。 簡易チャットで「初期の金太郎」の話題が出たので、そういえば、以前に考えていたけど、記事にはしてなかったな、と思ったので、こっちでも改めて。 純がなにをもって「初期の金太郎」と言ったのかは謎なんだけど、金太郎といったら、あのマサカリ担いだ金太郎だよねえ……? とは思う。さすがにサラリーマンではないだろうと思うんだけど。 金太郎の物語、というか昔話自体は、いろんなパターンがあって、私が知っているのはかなり簡略化されたものかな、と思う。どれを知っているのかもよくわからないけれども、ちいさなカラー絵本程度のはしょられたものかな。 矢晴の身体に対して、純の衣服が大きく、袖も裾もだだ余りのぶっかぶか、ということに対して「初期=小さい頃」の「金太郎」と言ったのかな? とは思って。 赤ん坊の金太郎に、大きくなるようにという願いや母の愛が込められて、ぶかぶかの大きな腹掛けをさせていて、願い通りにすくすく育って大きくなって腹掛けもぴったりに、という筋立ての話はあるらしい。後世のバリエーションになるらしいから、大本の金太郎の物語とか見てもそこらへんはなさそう。 金太郎の読み聞かせなり、アニメの視聴なり、と純と矢晴のそれぞれの生育環境での知識の違いとかが出てるのかな〜? と思える。純はぶかぶかの腹掛けをつけていた金太郎の出てくる物語を知っていて、矢晴は金太郎自体は知っていてもそのバリエーションは知らなそうな感じ。もしくは知っていても思い至らないだけか。 成長を願っての大きな服を着せることが母親の愛情、としたら、矢晴に大きなジャージを着せた純はお母さんごっこをしているみたいには思う。そして、矢晴の中学入学時に大きな学生服を着せていた矢晴の両親、母親も、矢晴の成長を願って慈しみ愛情を注いでいたわけで、コミュニケーションはへたっぴでも、そこに家族愛は確かにあったのだなあ、と思いを馳せる。

希望

 【第6話】で純と居酒屋でしたたかに酔っ払いながら話した映画の話で矢晴が『でも絶対助けてくれる主人公が…』『やっと手に入れた大金を盗まれたのに「たかが金」って言ってくれるなら…』『希望じゃぁないですか』と言っていて。たぶんこの話をしたことを矢晴は覚えていないのだけど、純はしっかり覚えている。 純は矢晴の希望になりたくて【第9話】で『〈たかが金〉じゃあないですか』と言っているんだろうけれど若干通じてない感じが切ない。 【第22話】で『あのお前が変わった事実は』『今の自分から変わりたい私にとって……たぶん』『かなり希望かも』と、純の変化に自分の希望を見出して。純は嬉しかっただろうなと思う。矢晴が純に良い影響を与えるように、純が矢晴に良い影響を与えている、と矢晴が言ったみたいに聞こえたかな? 【第23話】では、矢晴は『創作すればするほど嫌な時間が減るわけで創作そのものが人生の希望になる』と語るけれども、これはどこまで本心かわからない。そして、矢晴の語る絶望を裏返して『君の一番の希望は「面白いアイディアが浮かぶこと」ってわけだ だろ?』と純が言う。 『君の不安も希望も正体は同じものなんだ』と純の言葉は矢晴にどんな思いを抱かせたんだろうかな。すとんと腑に落ちる、とかあるかしらん? 矢晴は『面白いものが一生思い浮かばないままだったら私は死ぬまで無の人間になるから絶望してる』と矢晴の絶望について語るけれども、矢晴の絶望は面白いものを考え続けて死んだときにしか証明できない。本当に杞憂でしかない。 結局、矢晴は漫画のことを考え続けたい、けれど、面白いものが浮かばないかも、という不安でもって、考えることを拒絶してるから、なにも浮かばないから絶望、みたいなやらなきゃ結果の出ないことを、やらないでやらなかった結果だけを見てる。瓶の蓋を閉め続けるだけして、瓶の蓋が開かないって言ってる感じ。 変化した純が矢晴の希望になったように、純はアシスタントとして矢晴を雇って自立(収入を得る)への道を示しつつ、漫画家として再起させようとしてくれるのが、矢晴の未来を輝かせる希望だなあ、と思える。 望海可純ったら、ほんとに名前の通りに矢晴の希望の海なのね。

正義感と道徳と

 純のこれまでの行動を振り返ると、正義感を振りかざし、道徳的であろうとしている感じがある。 【第22話】で矢晴が『もっとこう……正義感が過ぎて自分のやることに疑いを持たない印象だったよ』と言うように、編集部で古印葵を罵倒した四階をやりこめたことは、古印葵を助けなければ、守らなければ、といったところから出てきた正義感であろうし、純の謎の自信に裏打ちされて正当化されたものだったろうな、と思う。 正義感、で考えると、【第6話】の挿話から第4の壁を破壊して訴えかけてくるような一連の感情も、かなり納得できる。私があの挿話からの一連に拒絶反応が出るのも納得。 人命第一、が心から、というよりも、道徳的に、という感じも強くて。 【第17話】の純の脳内での『命よりも自分が正しいマンはここに立つな』とか、矢晴に立ち聞きされた【第19話】の『人の命より重い漫画ってこの世にないので……』とか。 【第20話】の『私が見離してあの人が死んだら私は世界に敗北する気がする』というあたり、一体何と勝負してるんだ、という気もするけれども、ここらへんは道徳と古印葵信者としてのなんじゃもんじゃが格闘している気がする。 ついでに、担当が純の言った『人命優先ですから漫画を忘れますよ』『どんなに気持ち良くても漫画は私しか救わない無能の紙屑だし』という言葉を大笑いしている時に『人として当たり前のことを言っただけなのにどうしてこの人は笑ってるんだ?』と疑問に思っているところがかわいい。担当が笑ってるのは純が「無能の紙屑」と言ったことに対してだけだから、ちゃんと寝た方がいい。 矢晴を助けたいのは古印葵だから、でしかないだろうけれど、人命を優先すべき、とか【第15話】の『同情だけで他人の腹や心は満ちない』という思いだとかは、純の正義感と道徳心から、口だけのニセモノじゃなく、行動するホンモノになりたいという思いでもって出てくるんだろうなあ、と思ったりする。 純の“慈愛”は慈愛じゃないし、純は博愛精神でもって矢晴に手を差し伸べたのではないし、純の基本はかなり利己的だったところを、矢晴と同居してからこっち対話を続ける中で変化してきている。のが、矢晴に好意的に受け取られていて、希望とまで言われているのが良かったな、純。 毎日古印葵浴びて古印葵に染まってるってだけかもしれないけれど。純の脳内ワードローブに古印葵の言葉がむ...

ちょうど

 先の記事で今年の記事数がちょうど100件になり。その前の2年で1000件超えてるんだから、今年どんだけ書いてないのか、というところ。 個人的病の発症により、あやうく全てが嫌になるんじゃないかと思っていたけれども、とりあえず回避できたような……? 感じ……? とまだ怪しんだけれども。 いい加減どうにかしたいなという気持ちもあるから、1200記事目くらいで【第20話】の感想を書こうかなと、考えている。宣言しない辺り、まだまだ。

龍涕の

 純がやっと理解できてきたかも、という「龍涕」の龍の台詞。 『「色々なものに自分の面影を残すからあなたの憎い相手にも私の面影を見て世界を愛しなさい」「私を愛したければ世界を愛しなさい」「そうすれば愛は返ってくる」』 純にとって、当時、この龍の台詞は理解できていなかった、らしいのだから、純の思考や行動原理に、「嫌い・憎いものでも愛する」「博愛」だとかの意識はない。 実在する人間に欲情したことがない、というあたりからも、誰かを愛したことがない、とも思える。好きなもの、好感のもてる友人などはあれども、一番の幸福・快感を感じるのは自分の漫画を考えている時っぽい。 【第17話】の『矢晴は……』『……あんな相手にも〈それ〉ができるのか』『相手の脳を再現することだよ』『私は心を惹かれた相手やモノにしか〈それ〉ができないし』『矢晴に関しては底知れなくて把握しきれない』と言っていて、純は自分の好きなものや相手に関しては深く考えるけれども、好きではないものにはとことん無関心だった感じ。 純が矢晴のことがわからないのは、「龍涕」の龍の台詞がわからないことにも通じそう。矢晴の思考・感情・愛情の広がり方自体が、純の考えの及ばないところまで広い感じもあり。だから【第13話】で『もっと色んな事を考えて答えられるようになりたい』という思いにもなり、『私もそんな話ができたらなって憧れてる時のポーズだよ』なんてことにもなり。 矢晴が【第11話】で『他人に愛される弱者しか救われないって話ですか?』〜『好きなものしか愛せないのが人間の弱さですから』と語ったことを、純が熟考し、【第17話】の矢晴の激情に打たれ、【第20話】で気づき、【第22話】で言動に現れて矢晴に『だけど今は色んな人に対して性格が優しくなったと思う』と言われるほどになり、『嫌な人もどんな人もないがしろにしないでいたいって思ったからで』と話し、『全然まだまだ綺麗ごとだけど…』と謙虚さもあり、実践に遠く及ばないという実感もあり。 矢晴との対話を経て掴むことのできた、龍の台詞の解釈を話す純に矢晴は『自分の漫画の話されるの恥ずかしいからやめて地獄』とかまで言ってしまうけれど、内心はどうだったんだろうかな? 理解されて嬉しいとかあったかな? 純のこれまでは狭義で排他的な範囲にしか好きという気持ちがなかったし、好きな人を集めて暮らしたいという話...

更新カレンダー

  売れうつ更新カレンダー  を作ってみた。無料ダウンロードできるカレンダーにPDFにスタンプとかの加工ができるサイトでもってぺたぺたと。 まだ今年の更新もあるんじゃないかと思うし、カレンダーは4月始まりのにしてあるから来年3月までの枠があるんだけども、とりあえず出来たよ見て見てーって気分で出してしまう。 売れうつの投稿日にマークしただけだけども。(第11話については、表紙差し替えの再投稿があるんだけれど、それをマークしようかどうしようかは悩んでやめにした) 【第13話】の前編・後編の公開日が、ほぼリアルタイムで純と矢晴の出会いからキスマーク記念日という感動を知らしめたいがために、どうしてもカレンダー形式にしたかったんだけど、いい感じに出来上がったので満足している。 ちょっとばかりフォントの具合に不満はあるんだけれど。中黒の位置が……、中黒の位置が……、と気になる性質で。

純の自信

 自信満々の純の自信はいったいどこから来るものなのか。 自己肯定感は激高な気はするんだけど、古印葵に憧れてて、理想で、自分の漫画や絵には納得いってなくて、自分のことを内心で「醜い純」と思っていたりする。性的に人間に欲情したことがなくて、孤独や不安を感じてもいる。それなりにコンプレックスとかある感じだけど、謎の自信が漲っている感じ。 『こちとら生まれた時から図々しい人間ですからね…』と独りごちるあたり、生来の図々しさが謎の自己肯定感と謎の自信を生み出しているのかもしれない。 両親から愛されて育ったゆえ? 周囲から好きな絵や漫画を褒められ続けたゆえ? 現状、描いた漫画は売れに売れ、大金持ちになったゆえ? と純の自己肯定感を高めてきたものを考えると枚挙に暇がない感じにはなりそう。 そんなに自分のことで挫折したとか否定されたとかはなさそうなんよね。 そもそも、生得的に図々しいから、他人がなにかしら否定的なことを言っていたとしても気にもとめない感じなのかなとは思うんだけど。アシスタントの無礼千万な物言いにはものすごい形相ではあったけれど。切り替えが早くて、忘れるようにしているのか、忘れはしないけれど別フォルダに突っ込んで以降見返さないみたいなものなのか。 でもやっぱり「世の中、古印葵を認めない馬鹿ばっか」みたいな意識はありそうなんだけどー。 純自身が他人に興味なさげに思えるんだけどなあ。好き嫌いもはっきりしてそうだし。好きなものにしか夢中にならないだろうし。 とかなんとか考えていると、純が矢晴に言った『私は描いたものを人目に晒す時決めてることがある』あたりの発言は、やっぱりなんだか純にそぐわん……という気分になる。 単純に私が「純は他人に興味がない」という印象に固執しているからなんだろうけども。あとこのあたりの発言が、【第20話】の純の話と矛盾するような……? みたいな気分にもなり。寝不足と矢晴に振られたでガッタガタなところからの言動だから、話半分なのかもしれないけれど。 純自身が本当にそう思っているのかどうかは置いといて、矢晴に正論ぶつけて説教してやる精神からの発言なのなら、まあ……うん……? そうね……、という気にはなるかもしれない。解説によれば、純の自信からくるズレた説教、ということのようではあるし。 その自信はいったいどこから来てるんだ、純よ。 個人的な偏見で...

寡黙と饒舌

 矢晴は饒舌な人だけれど、家族は寡黙。矢晴自身も家のなかではしゃべることもほとんどなく、しゃべっても返事がほとんどなく、会話が続かずで、家族全員、ほとんど会話をしない静かな家族。 物静かで穏やかで、と言えば聞こえはいいけれど。 矢晴自身は家の中でしゃべることができない分、外ではかなりしゃべっていたのかもしれないし、溢れる言葉を漫画に昇華していたんだろうな、という感じがする。 古印葵の現担当の菊池は『古印先生はおとなし〜い方でしょう?』と言うけれど、それに反論して純が『いえいえ! 古印先生が喋らないのは意見がないとか無言で大人しいからではなくて』『先を考えすぎて一般人の10倍自分に我慢を強いているため言いたいことを抑えているだけなんです』と、どこまで本当なんだかといった語り方で、仲良しアピールしてくる。 純の仲良しアピールは「耳鳴り」で気がそれてか女性陣にそこまで突っ込まれなかったのがちょっとさみしい。 純は古印葵を寡黙もしくは物静か、口数は少なめ、みたいに考えていたのか、『古印葵福田矢晴は』『思っていたより饒舌だ』と回想していた。 純の言った「先を考えすぎて〜」はどこらへんから来たんだろうかな? と思うと、矢晴が純を責め立てるように言った「後先考えず〜」からなのかなあ? とは思うんだけど、普段の言動が未来への悲観しかないみたいなところもあるのかな? どうなんだろう。 純に対してべらべらしゃべるところはそんなに我慢している感じはないような気がするけれど、語りすぎたと『恥ずかしそうなバツが悪そうな顔をする』あたりから純が認識した矢晴なのかな、とも思う。純に見えてる矢晴は思慮深い人のようだし。 矢晴がB誌にしがみついてた期間は、思慮深いとは言えそうにないけれど。 矢晴が純に先輩風吹かせて思慮深く見せているのかもしれない。 今は漫画を描けないから、思ったこと考えたこと全部喋ってたりするかもしれないな、と思うと、漫画を描くようになったら物静かな人になってしまったりするんだろうか……? とかちょっと気になる。純と長々おしゃべりずっとしてほしー。

四階みたいな

 矢晴は四階からあれやこれやと言われた時に四階のことを『噂話でしか聞いたことのない――目の前に存在するとは想像できない――』『初めて会うタイプの人間だったからか――私の脳が少しバグったのだろうか』と表現しているのだけれど、居酒屋で純に語ったことやら、B誌での過去のことやら、と見ていくと、矢晴の周囲、そこらじゅうに“四階みたいな”人間はいたんじゃないか? と思えてくる。 ペンネームの話をした時に、『あと男が恋愛漫画描いてると「なんで男なのに少年漫画じゃないの?」ってしつこく聞かれてうざいから女の名前で女のフリするってのもあります。あいつら歴史も文豪も知らねーんです』と言っているから、しつこく聞かれてうざい思いをしたことがわかるし、歴史や文豪を知らず自分の考えだけを押し付けてくるような人間が複数いたらしいこともわかる。 矢晴が「古印葵」というペンネームを使い始めたのがいつからなのかはちょっと疑問になってきたけれど。デビュー前の投稿時(15歳〜)からなのか、一度本名で入賞時に名前が雑誌に載ったのを見咎めた周囲にあれやこれや言われてうざかったから、女の名前にした、のか。気になる。 A誌の担当編集はそんなこと言いそうなタイプでもなし、二人三脚でいい感じに見えるし、受賞を一緒に喜んでくれるし、良い人だったんだろうなと思うんだけど。 B誌の担当編集はそれなりに矢晴の作風を理解してくれて評価してくれてるっぽいけど、上の言いなり。上の人は上の人で流行に乗った売れ線しかいらないとか、単行本の印刷代かかるから原稿料下げてとか、なんかもうヒドイ人間で、それこそ四階みたいな人種では? と思える。 四階みたいにあからさまに作品と作者を罵倒してくるような人間は、初めてだったのかな? とも思えるけれど、多少マイルドな四階みたいな人種は、矢晴のまわりにも普通にそこかしこにいた感じはする。 それだけ四階が強烈だったのかな? とは思えるけれど。こんな人間マジでいるの? と想像の範囲外だったあたり、矢晴は人間を信用し過ぎではないか、みたいにも思ったりする。 ただ、矢晴自身はそういった人種と好き好んで付き合うようなことはしないだろうから、友人知人は穏やかな人たちばかりだったのだろうなとは思う。ただ、小さい頃からとか中高で仲良くなったような地元の友だちとは、父親の事件をきっかけに自分からも連絡を取らな...

実家

 純と矢晴の実家のことを考える。 純の実家は、庭付き一軒家。そこそこ大きそうな雰囲気。庭にうさぎ小屋があって、うさぎの脱走防止にコンクリで地面埋めてるとかなんとか。うさぎをいつから飼ってるのかはわからないけれども。 純が20冊くらいもらう献本のうち、2冊は自分用、8冊はアシスタントに、残り10冊を実家に送って親戚に配らせる、と言うから、実家に2冊取っとかれたとしても親戚8軒あるとか? 地方の資産家か豪農で純の家が本家で分家がたくさん、みたいにも思える。純の家が分家でもいいんだけど。本家分家で親戚たくさんのイメージは変わらない。 お父さんは小さい頃に亡くなっているから、実家にはお母さんがいる。胃弱のおじいちゃんは存命なのかどうかはわからないけれど、もし亡くなっているなら、そこそこ大きなお家の実家にお母さんとでかいうさぎで、ちょっと寂しそう。 純はフルデジタルなんだから、実家でも漫画家生活できそうなのに出版社に通える距離に大きな家を買っているのは、出版社に通うためだったのか実家に帰る気がさらさらないからか。実家に帰ると後継ぎだからとか結婚とか孫がどうのとかせっつかれるのかもしれない。 矢晴の実家は、地方の団地。父親も母親も真面目で、家族全員大人しい平和な雰囲気だったけれども。姉も矢晴も大学入学で実家を離れて、父親の性格が変わり、矢晴は大学卒業後に父親から殴られたことで実家に帰ることをしなくなった。姉はそれ以前に連絡先もわからず音信不通になってしまっていた。 矢晴が27歳の頃に父親が事件を起こして犯罪者になってしまったことで、矢晴の母親は実家に戻り、団地も引き払ってしまったのかな、と思うと、矢晴の実家はもう存在していない。 母親は事件をきっかけに宗教だかなんだかにのめり込んでしまって矢晴は絶縁したみたいな感じだし、父親は事件後に脳腫瘍が見つかって、今は入院しているのかどうかもわからないけれど、矢晴は怖くて見舞いにも行けない。 姉とも父母とも連絡を取っていなくて、絶縁状態。 純は矢晴の家族については、絶縁状態みたい、くらいの認識から、矢晴に家族の話を聞いたことで、なぜどのように絶縁状態に至ったか、を知った。 矢晴はまだ純の実家がどんな感じなのかは、あまり知らないかな。献本を親戚に配らせる実家がある、父親はいない、くらいの認識。 純は今後も実家に帰るとかはなさそうな気...

ペット

 矢晴は小学生くらいの頃にペットを飼っていたらしい。団地で飼えるペットというとあまり吠えないタイプかな? 臭いが出るらしいから、うさぎとかモルモットとかハムスターとか、そこらへんかしら? まだか弱い子猫、子犬とかだったかもしれない。 冬休みに友達の家に泊まっている間に、臭いからとベランダに出されて凍死してしまった、というのだから、矢晴の住んでいた地域が特段寒いのか寒さに弱い動物であったのか。 姿は見えないから、どんな動物だったのかは定かではない。世話は完全に矢晴がしていて、矢晴が不在で糞尿の始末ができなかったために臭いが出てしまっての不幸な出来事であろうか。 それ以降、矢晴はペットを飼っていない。と思う。でも、ゴミ屋敷にしてしまったアパートにはネズミが出ていて、【第4話】で『野生の虫と野生のネズミとも暮らしてます』と言っちゃうのは本気だったのか冗談だったのか。 純は、ジョギングの道中で猫を激写したり、矢晴の様子を猫に例えたりするから、猫派の人なのかな? と思う。今のところ、純がペットを飼っていたというエピソードはないけれど、純の実家には大きなうさぎがいるらしい。 うさぎの寿命とか考えると、純が実家を離れてから飼われたものではないか? という気がするのだけれど、そこらへんの詳しいこともまだわからない。 ただ、純の実家のでかいうさぎのキック力は矢晴より強いらしい。矢晴のパンチなんか〈ムニッ〉って程度なんだからキック力もたかが知れてる感じだし、子猫の猫パンチですら矢晴より強そうな気がする。 キック力を比べるようなエピソードが今後来るとすると、矢晴が純の実家に行くということで、それは結婚のご挨拶……? とウキウキワクワクしてしまう。

背中

 純に抱きしめられて背中に生まれた蟲は最近ご無沙汰だけれども、どこに行ったのかなあ? と思いつつ。 矢晴の背中は底の見えない崖を見続けていた。 【第22話】で『父親に殴られた日から』『自分の背後が』『すごく冷たくなって暗くなって』の状態で数年漫画家として活動していて、『父親が人を刺したって聞いた日から』『自分の背後が』『底の見えない崖になって』うまくいかない連載を終わらせて、そして背後から希死念慮が追いかけてくるようになった。 【第13話】で純が『こっちを……』『私の顔を見て確かめてください』『あなたが背中で見ている不安は存在しないことを』と言った時、純は自分の本当の姿を見て欲しい、という気持ちで言ったのだろうけど、矢晴にはまた違って聞こえたんじゃないのかな? と思う。 そして【第22話】で純が『君の後ろの崖が浅くなるならいくらでも言ってやるよ』『君の命は美しいよ』と底知れない深い崖を美しい花で埋め尽くしてくれる。 純に抱きしめられた背中はあったかかったんだろうなあ、と思うし、純の家でゼロクッションに身を委ねて浴びた西日もあったかかったんだろうなあ、と思うし、純が『あなたの背中に目はついてない』と言うし、思考の共有で『背中があったかい』し『手があったかい』し、あったかい電気毛布で寝させてくれて背中から全身あっためてくれるし、純は背後の崖を埋め尽くしてくれるし、と矢晴の暗く冷たい背後を、純がどんどんあたためてくれるんだよなあ。 願望としては、物理的に毎日純が矢晴を前から後ろから抱きしめて、ずっとあっためてあげてほしい〜。 矢晴がデビューしてちょっと、読切が載るか載らないかの不安定なところで、『今すぐ辞めろ』『そんなんで生きてけると思ってんのか』『辞めろ! 今すぐ辞めろ!!』とそれまで進路に反対したことのない父親に殴られたことがトラウマになってて、というのを考えると「温厚だった父親に殴られた」こともトラウマだけど、「漫画家として成功しないとまた殴られる」って強迫観念がありそうな気がする。それを払拭するには「漫画家として成功して売れて父親に認めてもらう」必要があるのかしら。

哲学

 【売れうつ】の根底にあるのは「哲学」なのだろうかなあとぼんやり考える。 哲学自体は答えのない問いを考え続け思索し続けるみたいなものだろうけども、そうして考え続けることで思考が自由に広がる、みたいなものなのかな、と【第22話】の『君の話を聞いた後はすごく考える』『処理しきれない時もある』『けどその後すごく頭が自由で世界が美しいんだ』という純の台詞で表されているのかな? と思う。 哲学的思考をできるようになるには、良い哲学者と話すといいらしい。【売れうつ】では、矢晴が哲学者なのであろうな、と思う。 古印葵の作品も哲学的なのだろうし、純が寝室にニーチェの本を置いていたのも古印葵を理解するための哲学を理解するための……みたいに繋がっているんじゃないかと思う。 私には哲学の素養なんてものはありはしないのだけど。 「己とは」「人間とは」なんてのも哲学で考え続けるものなのだろうなと思うし、哲学の分野だっていうなら、答えが出るはずのないものなんだろうと思う。 ただまあ、矢晴が「己とは」と話したうちの半分は納得いくけど、半分は矢晴がこねくり回した「描かない理由」なんだから、どこまで信用していいものか、みたいな気分にはなる。 矢晴と純は、矢晴が教え導いて真理にたどり着く、というよりは、矢晴の話を聞いた純が己で考えて、己の真理に手を伸ばす、みたいな関係かなーと思えるようにはなってきた。 矢晴自身、見失った「自己」を見つける途上であるし。 矢晴の話を理解しようと思えるだけの知性が純にあることと、矢晴の話を余すことなく真剣に聞き続けたいと思える憧れが純にあることが、矢晴にとっては得難いものなのだから、大事にしてほしいなあ。 純は純で、矢晴の言うことを無条件で信じるみたいなところがあるようでない感じの、必要なところではそこそこ反論(というか説教)する感じが、矢晴にちょうどいいなと思う。

扉絵の記念写真

 【第21話】の扉絵。女性陣との飲み会の記念写真というか、証拠写真なのではないかと思ったりする今日このごろ。 純が『申請する時に金額突っ込まれたら私の名前を出していいですよ』っていやらしーく胡散臭ーく女性陣をそそのかしよるから、じゃあ、望海可純がちゃんといたって証拠にまずは写真撮っときましょう〜って感じかな〜と。 この写真見せたら、間違いなく望海可純がいたってことを証明できるわけだし。 とはいえ、やっぱり純が自分が売れっ子だからって編集部から特別扱いされてるっぽくて、そのせいで自分が四階をこらしめたことが編集部全体で四階を散々に扱っていい方向にしたんじゃとか後悔してた人が、さらっと自分の威光を笠に着て人をそそのかすのはいかがなものかと思わないでもない気がする。 でもまあ利用できるものはなんでも利用する人だからな、純。 飲み会終わりは矢晴がパニック起こしてて、体調悪くなったからってふたりで帰ってるわけだから写真撮る暇ないしそんな状態でもないし、となるとやっぱり飲み会始める時、純が女性陣そそのかして、じゃあ証拠に、ってのが自然だなあ。

純の容姿を勝手に想像してみる

 純の若い頃の顔が執拗に隠されていることから、純は授賞式後に古印葵に見合う美しさを手に入れるために整形したのでは疑惑を持っている。 全身医療脱毛は、美しい肌を手に入れるためなのか朝晩のヒゲの処理だのムダ毛の処理だのに煩わされないための合理性なのかはわからない。 小さい時の純は、半ズボンにハイソックスの似合うとても可愛らしいショタの雰囲気。ただし顔は映らない。 中学生頃の純は顔は映らないけれど、友達に囲まれている時や褒められた時、修学旅行の写真の雰囲気、シルエットからは、太ってた感じがとてもする。 高校生の頃はわからないけれども、【第16話】冒頭の純の語りに添えられた純の過去っぽい感じの映像からは、純は太ってた感じがする。高身長高体重って感じ? 古印葵の漫画に出会った頃の純は、高身長だけれども肥満とは言えない適度なスリムさなので、高校受験あたり〜大学入学あたりでさらに身長が伸びて縦に栄養が使われる分横がスリムになったとかだったりするかしら? と思ったりする。 牧野先生のところでアシスタントをしていた頃の純は黒髪だったのかなあ? と思うと、デビュー当時も黒髪で授賞式で古印葵にサインをもらったとしても、高身長の黒髪の子、ということになる。 ただ、こんくらいの身長の、ってそこそこ珍しい気がするから、矢晴が授賞式で背の高い子にサインした、とか思い出してくれたらそれは純だ! ってなりそうなんだけど、今のところ、矢晴が授賞式で背の高い子に会ったという話は出てこない。 黒髪だったから印象が違う、だから今の純とつながらない、とも考えられるのだけれども、黒髪だったからといってもこの身長にこの美貌だったらそれなりに面影が重なるとかあってもいいんじゃないかなあ? って思う。当時、古印先生のサインを求める人間が多くて、大勢のうちのひとりで特に印象に残らなかった、とかも有り得そうだけど。 純の顔が出てくるのは、授賞式から数年後。古印葵がA誌で連載を始めた辺り。その頃には今のスタイルで髪の上のほうは少し伸ばした感じで脱色していて、下の方は黒髪のまま刈り上げて。チェーンのピアスもしている。 このスタイルにしてから作中現在まで、確実に2年ちょっと。このスタイルで固定している感じ。 顔が出てこない授賞式からこのスタイルの顔が出てくるまでの3年くらいの間で、純が古印葵に見合う美しい人間になるため...

古印葵に狂う前、狂った後

 純の友達のことを考えていたら、純の友達は純が古印葵に狂う前・後をリアルタイムで見ているということで?! と気付いた。 純が古印葵に出会ったのは大学時代の旅行中。矢晴が21歳の春にデビューしていて、そのデビュー作を純が読んでいるのだから2歳下の純は19歳の春かしら。 まだ成人してない若い子を狂わせちゃって、古印葵ったら罪な人。 大学入学辺りまでは古印葵を知らない純。 小さい頃は漫画の感想を恐竜のぬいぐるみに話したりしている純朴さ。小さい頃にお父さんを亡くしているから、それなりにさみしい時期とかもあっただろうな。 中学生頃は漫画を描いて友達に褒められたりしている。クラスメイトの眼鏡くんには勉強を教えてもらったり、絵を褒められたりしていた。けど、眼鏡くんは自殺しちゃっていなくなっちゃった。 高校生頃も漫画描いてたんだろうな。このあたりで自分が実在の人間に欲情しない性質を自覚したのかな。2次元には欲情するけど3次元には……という自覚の仕方なのか、みんながアイドルとかグラビアでどれが好きだの抜けるだのって騒いでるけど、自分はなんの感情も抱かないなあ……って感じだったのか。女に興味がないのか男はどうなんだ、みたいな検証はしたのかどうか……? ちょっと知りたい。 大学入学時にも漫画描いてる。同人誌作ってコミケに出たり、ってのは高校生くらいからやってるのかな? 大学入ってからかしら? 牧野先生のアシスタントを始めたのはここらへん? 大学2年の春、友達との旅行中に古印葵と出会う。 旅行後からは古印葵に夢中かしら。古印葵と同じ雑誌に載りたくてA誌の月例賞に応募し始める。 大学3〜4年あたりで、古印葵の初コミックスをゲット。 大学卒業あたりでA誌で商業デビュー。憧れの古印葵と同じ雑誌の漫画家になれた。古印葵の2冊目のコミックスをゲット。その年の年末、E・B大賞を受賞した牧野先生に連れてってもらって授賞式に行って、生の古印葵を見る。サインはもらえたのかどうか。牧野先生には「社会見学」だとかなんとか取り繕いつつ、「大好きな古印葵が授賞式に来るから行きたい!」という本音も隠せてなかったんだろうなと微笑ましい。ちゃっかり牧野先生に古印葵の作品読ませてる感じ。【第5話】の牧野先生の『古印先生って男の人だったんだね名前と作風で勝手に女の人かと思ってた』という評が純がどんだけ古印先生について...

矢晴の家事能力

 純は掃除も完璧ピカピカで、自炊もするからそれなりに料理ができる。洗濯は全自動洗濯機とガス乾燥機だから、洗濯物干しなんていう家事はしないけど、乾いた衣服やタオルなんかは自分で畳んでしまっているはずで、脱衣室に並んだバスタオルの感じを見ると、そこらへんも完璧っぽく。さすがスパダリ。 対して矢晴はどうなんだろう? と考えてみるに。 うつ発症してズタボロになる前は部屋はきれいにしてるっぽいんだからそれなりに掃除はできそう? 料理はできるのかどうか。一応キッチン付きの物件に住んでたんだから、なにかしら料理したりはあったかもしれないけれど、一人暮らしだと自炊するより買ってきたりカップ麺やレトルトで済ます方が安上がりになることも多いから、お湯を沸かすくらいしか使わないキッチンだったかもな、という感じもする。 彼女と同棲してたみたいな雰囲気はないから、ずっと一人暮らしだったんだろうなと思うんだけど。 矢晴の実家ではお母さんが家事一切やってる感じで、矢晴が家事を手伝うとかそこらへん全然しなくて、部屋の掃除もお母さんにしてもらってた感じだったら、家事できるって感じはしない。 コミュニケーション不全な関係だから、家事を教えるとかのしつけ方面もそんなにしてないんじゃないかなあ? という感じはする。とはいえ、きちんと洗った服を着せる、清潔にする、あたりはお母さんがしっかりしてそうな感じはあるから矢晴にもちゃんと身についてると思う。 うつ発症してからは掃除とかに手が回らないのと清潔に無頓着になっちゃってあのゴミ屋敷であろうなあ、って感じはあるんだけど、純の家に来てからもゴミをそこらに放り投げようとしたり、粗相した日の部屋の荒れようを見るに、もともとズボラでもありそうなんだよなあ、とも思うんだけども……。 とかいろいろ考えてみるけども、純が家事万能だから別に矢晴に家事能力なくたっていいじゃないの、というあたりに着地する。でも矢晴はそうやって世話されて自分がなにもできないとか思っちゃうのも嫌なんだろうなあ〜って感じもあって、難儀だな。

友達

 純の友達は、【第16話】冒頭のイツメン風の大きな子、眼鏡の子が一番の仲良しさんなのかな? 〈ラクガキまとめ〉の中の純の友達と純のくつろぎ具合とか、どんだけ仲良しなんだ! ってくらいなんだけども。 純は【第8話】で『あ!友達がきてゲームするならピザ頼まないとですね』と言っているのが「世間の定番として」なのか「実際の生活上」なのかはよくわからないけれども、純の友達が来た時もゲームしてピザとってとやっていそうな感じはする。 〈ラクガキまとめ〉の中のホットカーペットに思い思いの方向に頭向けて3人とも携帯ゲーム機持ってる感じだから、ローカルプレイでなんか一緒にやってそうなんだよな。なにやってんのかなー? 矢晴の分はないのー? 純ー? 純の家のテレビはでかいから、据え置き機で複数人プレイで画面分割されても普通にでかめのモニターサイズくらいはありそう。 純と矢晴がやってたゲームはTPSのガンシューティングゲームっぽいけども、なにやってるんだろう? 純がゲームするのはなんかわかるんだけど、矢晴がゲームできてるのがなんかすごいな、という気分にはなる。ゲームするんだ、矢晴。 純の友達が来たら、矢晴も混ぜて4人でゲームしてるとこ見たいな〜。チーム戦とかトーナメントとかやったらいいじゃん! それにしても、純が友達とくつろいでるところを見ると、純ったら普段矢晴の前でけっこうカッコつけてるんだ〜って感じがする。友達といる感じの境地まではまだまだかかりそうねえ。

矢晴と漫画

 矢晴が漫画を描き始めたのは正確には何歳かからなのかはわからないけれど、15歳くらいからはもう投稿始めてる感じの。 15歳から21歳まで出版社に送る漫画を描いていた、というから、漫画自体を描き始めたのはもうちょっと前、で15歳くらいには「漫画家になりたい」と夢を現実にしようとがんばってた感じ。 21歳でデビューしてるから、投稿始めて6年くらいで世に出てて、やっぱり才能のある人なんだよな、と思う。 雑誌に読み切り載せて、それがコミックスにまとまるのが23歳。デビューから2年。翌年にもコミックス出せてるわけだから、読切の掲載ペースも上がってる。 古印葵のデビューからファンやってる純もそれはそれは嬉しかっただろうなあ、と思う。 描いた漫画が認められて賞をもらって、さあ、これから、ってところでB誌に行っちゃったのが何故なんだ、ってほんとに思うんだけど。 B誌では企画が通らない、描いても没、で掲載なし。2年の間にどんだけ描いてきたのかはわからないけれど、A誌での連載時に純が『絵は格段にうまくなってるし冒頭の台詞のセンスも相変わらずいい』と言ってるくらいだから、相当描き続けて絵が洗練されてきてたんだろうとは思う。 格段に、という言い方で、デビュー当時はまだそこまで絵はうまくなかったか……? みたいな気分にもなるんだけど。純が憧れてるくらいにはうまかったのが、さらに磨かれた感じだろうなとは思う。 結局、A誌に出戻りして連載持っても、夏に始まった連載を秋に4話で終わらせるという、よくまあそんなに間空けても打ち切りにされなかったものだ、みたいな気分にもなる。たぶん週刊誌で月1連載になってたの、編集部で問題になってなかった……? 大丈夫……? みたいな気分にはなる。多少なり担当からせっつかれてて、余計に追い込まれちゃったかな、矢晴。 A誌でデビューして漫画家として生活してきたけど6年間で2冊しか単行本が出なかった、というならかなり細々と漫画家生活続けてきたんだな、という印象になるんだけど、実態はデビューから3年で単行本2冊出して、2年行方知れずになって、出戻りで連載持ったけど1年もたずに終わらせて、3年、コミックス出してないという、なんでそんなことに、みたいな状態。 A誌にずっといたら、読切だけだったとしても毎年単行本出てそうだし、短期集中連載とか経て、連載漫画家になれてた気し...

矢晴の収入と生活を想像してみる

 矢晴は高校生のころはバイトしてたらしいけども、お母さんが家事全般をやっているから、「学校、バイト、漫画」を満喫して、雑事に煩わされることのない生活。 大学生のころは実家から学費を出してもらっていて、父方の祖父母の援助で一人暮らしができた、ということだから、バイトをしていたとしても自分のため(漫画のため)くらいなのかな? 家賃は祖父母が出してくれるけど、食費・光熱費とかは矢晴持ちだったらもうちょっとバイトがんばってる感じかな? 21歳の春(大学4年になるくらい?)に商業デビュー。ここからは読切を載せれるたびに原稿料が入る。就活はしなかった。 大学卒業後は漫画家として専業。読切が載るかどうかくらいの不安定さ、な感じだけど、それなりに安定してコンスタントに読切載ってれば、バイトしなくても生活できそうか、バイトと合わせて安定した生活できそうくらい。 23歳で初コミックス。初版から版を重ねて累計7万部として、印税が350万円くらいになったとすると、仮に1万部ずつの7回増刷かかるたびに50万円ずつの収入が発生して、読切の原稿料もあるから、バイトしないでも生活できるくらい。 24歳で2冊目のコミックス。初版から版を重ねて累計7万部として、印税が350万円くらいになる。読切の原稿料もあるから、バイトしなくても生活できる。国内、国外で賞をとる。  この時点で、コミックスの印税だけで700万、印税を全額貯金していたとして、2年くらいは無収入でも生活できる。でもたぶん、1冊目のコミックスの印税と原稿料で生活維持してて、貯金に回せたのは2冊目の印税からくらいかな? と思うと、貯金額は400万円くらい、切り詰めて生活すれば1〜2年くらい無収入でもぎりなんとかなるかしら。 25歳でB誌に移る。A誌での読切掲載もなくなり、B誌でも掲載がないため、原稿料の収入が一切ない。 26歳、B誌での掲載がないから無収入。貯金がなくなってきてレジ打ちのバイトを始める。家賃滞納、電気代滞納などしてしまう。バイトも打ち合わせの日は休み、漫画を描く日は休み、みたいな状態だと週に3日入れたかどうかじゃないかと思うとバイト収入月10万円もいかなそう。 27歳、B誌に見切りをつけてA誌に戻る。連載枠を得る。連載開始するまでは無収入だからバイトを継続しているとしても、連載前の打ち合わせ、連載開始後、ネーム100枚...

矢晴の売れ方

 存外、矢晴は売れっ子なんだが……。と思う。 なんだって順調だったA誌から先行き不明なB誌に移ってしまったのかが謎でしょうがない。(そのうち明かされるだろうと思うんだけど。はよ知りたい。) 解説によれば、矢晴の単行本2冊合算で14万部くらいらしい。純の発行部数1400万部(電子はその倍くらい売れていて全部で4000万部とか超えるっぽい)の「百倍」「百分の一」が、単純に慣用表現とかじゃなくて実数だったらしいのだけど。 単行本15冊で累計1400万部 VS 単行本2冊で累計14万部 単行本2冊で186万部(連載4年目時) VS 単行本2冊で14万部 ……そもそも純だって初期はじわじわしか売れてないだろうから、初版部数とか矢晴より少なかったりするんじゃ……? と思えるんだけど。 だいたい、新人漫画家のデビュー単行本が1万部超えてたりってのもすごい状態じゃないかと思うんだけど、矢晴、1冊目と2冊目が同数出てるとして、7万部ずつでしょ……? 短編集で。多くない……? 矢晴、どんだけ野望持ってんの……? これで全然売れてないとか言ってんの……? B誌に行かなけりゃそのまま短編集増刷かかって、そのうち連載でもっと安定してただろうに……。 国内のE・B大賞の部門賞を獲り、フランスの漫画賞の部門賞を獲り。 フランスの漫画賞を日本語のままで受賞したのかどうかは定かではないが、フランス語翻訳されてフランスでも発行されていた、と考えるほうが無難な気もするから、そうなると、矢晴は国内でそこそこの部数を売っててさらに海外で翻訳版が出る作家、という……。売れてるよなあ。 まあ、【第1話】で『買われたところで一冊だけだし』『収入としては心もとなく生活に箔がつくほど売れてない』と言っているくらいだから、多少なり贅沢な生活ができるほどは売れてない(漫画専業でも生活はできる)という感覚かな。 いやさ、賞とってこれからじゃん! 『そしてみんなすぐに忘れる』って、あんたが消えたんだよーーーーー!! って叫びたい。 なんか、純の覚えてるE・B大賞の授賞式での矢晴のスピーチからは無欲で、漫画描いてるだけで幸せで、細々とでも自分の漫画描いて生活していけたらいい、みたいな印象を受けるのに。とんだ守銭奴だよ、みたいな気分にはなる。 とはいえ、矢晴の語り自体が、漫画描いても没にされまくりの連載とっても大失敗の貧...

作者ブログが開設されまして

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これまで登録制でログイン必須のSNSのくるっぷにて公開されていた情報が、ブログに移行されて、誰もが見れる状態になった。 開かれた場所なので、見てる・見てないを気にすることなく、話題に触れたり引用したりできるかなーと思っている

承認欲求のこじらせ方

 なんていうタイトルだけど、別にこじらせ方のレクチャーではない。 こじらせてる人の相手して疲れた経験はある。「自分の作品のほうが上手いのに、あんな下手な作品に多くのブクマがついてるのはおかしい!」と憤慨してたり、「前回のものより今回のもののほうがブクマが少ない。やっぱり私はダメなんだ」的なこととか。 別に、ブクマやいいねの数で自分の承認欲求を満たすのはいいと思う。目に見える形での承認なわけだし。ただ、数の多寡とか、人と比べて少ないことで自分は無価値とか自分には才能がないとかいう方向に思考を持っていくのが、そもそもおかしいと思っている。 以前のものより承認数を増やさねば! という思考で、他人の好みに媚びたものとか流行に乗ったものを出し続けたら、もともとその人の作風を気に入ってファンになった人たちを振り落としていくわけだし。たぶん一番大事にしなきゃいけない「自分の作風とそのファン」を、承認数を増やしたいってだけの欲望で切り捨てて、後に残るのは枯渇した自分だけになる。 「己のために創作せよ」ってのは大事な考え方だよな、とすごく思う。己のために、というよりは、自分を大事に、と思うけれども。 ただ、自分が世間でどのように評価されているのか、とか自分の才能はどの程度のものなのか、は他者評価を得なければわからない。そんなこと知らなくても大丈夫な人が一番強い。 人の好みは千差万別だから、「面白い」「どうでもいい」「つまらない」の3評価で受け付けたとして、たぶん「面白い」の得票数が一番少ないんじゃないかなあ? と思っている。比較的感性の合う人、と母数を減らせば減らすほど「面白い」の得票数は増えると思うんだけど。 そんな狭い世界なんだよな、と。 矢晴は承認欲求のために自分の作風を切り捨ててきたわけじゃないけど、編集の意向が「売れるもの、流行るもの、人気の出るもの」というもので、そこで矢晴は自分の作風を切り捨てさせられてきた、感じにはなると思う。 でも、矢晴の本質のなかに、「売れたい」とかはしっかりありそうだから、今は特に「売れない自分は無価値」とかは思ってる感じだけども。そりゃもう、普通に作家として生計立てて、って考えたら、売れなきゃどうしようもないんだけど、矢晴自身はA誌にいた間、漫画専業で生活できてて賞までもらって多くの承認を受けてきてて、そこまでは順風満帆だったわけで。 ...

漫画みたいに

 【第23話】で矢晴が純にちょっと呆れながら『はあ……お前は言うことが漫画みたいにオーバーなんだよ』と言っているところにまったくもって同感で。純の言うことはきっと純の描く漫画みたいなんだろうなと思うことは度々ある。 そしてまた、鉄棒で超回転する奇行に走った純に対して『ふふ』って矢晴の笑顔がいいんだー。 純のオーバーな物言いと奇行を「純だから」って受け入れてて微笑ましく思ってて。ちょっと大人な矢晴がちょっと子供な純を見守ってる(侮ってる)風味も感じないでもないけれど。そんなふたりがとてもかわいい。 純は純で、漫画的なオーバーな物言いで、矢晴を引き上げる言葉をどんどん繰り出してくれるのが、かっこよくって、いい。 たまにちょっと、あまり考えずに発した言葉はズレてたり矢晴を傷つけたりしてるけれども。矢晴は比較的、意図的に純を傷つけようとするけど、純は無自覚で矢晴を傷つけてる感じがする。 純はちょっと考えるといいこと言うんだけどな。ちょっと考えるだけでいいこと言えるんだから、相当頭の回転速いよなあ、と思う。 この「漫画みたいにオーバー」なのって、【第22話】のラストあたりのことも含めて言ってるよねえ、矢晴ぅ〜。

■【売れうつ】の二次創作(48)(小説)

 純が古印葵の漫画で抜いていたらいいなとか思ったりしている。 若干、性的な描写がある。 ■

ぬるま湯

 矢晴は今の純の家にいて純に世話してもらっているのを「ぬるま湯につかっている」と言うけれども、そもそも病気療養中であることを思い出してほしいな、と思う。 金の心配もいらない、住居の心配もいらない、衣食住に満たされて、まずは心身を立て直そうという、療養中じゃないか、矢晴よ。 自立志向が高いというか、他人の世話になりたくない、施しを受けたくない、惨めになりたくない、とかのいろいろなプライドなのかなんなのかが高すぎて、純の家で暮らすこと世話されることにも抵抗があるみたいなんだけども、いいじゃんもー甘えろよーーー! ただ、純が「漫画を描かなくてもいい」って甘やかしてくる状態を「ぬるま湯」と言って「だから描かない」ってわけでもない感じが、“ぬるま湯”という語から想像する創作者の姿ではないな、と思える。 仲間内で褒め合うだけで、特段作品を完成させるでもなく賞に応募するでもなくプロになるための研鑽を積むでもない、“ぬるま湯”ってあるじゃん。その仲間内ではどんな駄作も傑作だと褒めねばならん同調圧力とかあったり。なんかもういろいろ。創作者としてダメになりそうな“ぬるま湯”。 矢晴が他人が言う通りに人生の進路決定をするなら、〈純が「描かなくていい」って言うから描かない人生を選ぶ〉ってなりそうなのに、矢晴自身は漫画を描きたいけど今は描けないから、どうにかして描かない理由を集めつつ描きたい気持ちに蓋をしようとしてるみたいな。 と、書いてて、固い瓶の蓋って矢晴ががんばって締めてんだな、と思った。

褒められたから

 矢晴は「人に褒められたから」絵や漫画を描いて、漫画家を目指して、と他人の評価によって自分の進路を決めてきた、みたいに言うけれども。 もともと、矢晴自身が絵を描くことが好き、漫画が好き、で、「好きな絵を描いていたら上手だねと褒められた」「漫画を描いたら面白いねと褒められた」というのは、矢晴の才能を周囲が認めた、矢晴の技術は褒めるに値するものだった、という才能の証明なのではなかろうか……? と、【第23話】を読むたび思う。 「好きなものを褒められたから嬉しい、だからもっと上を目指したくなった」という、根源的に、絵や漫画を描くことが好きなのは誰なのか、みたいなところを、矢晴は落っことしてる感じがする。 だって、嫌いなものを褒められてもうれしかないし、それでプロを目指そうとかなんないし。「嫌いだけどむっちゃ才能あったからプロになっちゃったけどやっぱり嫌い」ってことはありそうだけど。矢晴は漫画大好きじゃん! それこそ、【第14話】の純の言った『子供の性質は人間の持って生まれた性質だよ』『性質は成熟過程で薄まりはしても消えはしない』『みんな死ぬまで持ってる君も私も』の通りに、矢晴は小さい頃から絵が好きで漫画が好きで、死ぬまで漫画家でありたい人だろうし、創作できなきゃ死ぬ人なんじゃないかなあ? と思う。 今は、B誌では好きなものを描かせてもらえなかった、何を描いても没にされた経験と、A誌での好きでもないもの盛り込んで切り刻まれてぺらっぺらになった漫画を描いてしまったという後悔とで、創作に意欲が出なくて、創作できないから死にそうになってると思うんだけども。 自己の形成に他者の影響(学習など)があるのは当然のことだけども、それを取り入れるにあたって「自分」が選び取ったこととか興味を持ったこととかが基本だろうし、他者評価によって自分の向き不向きが明確になるとか自信になるとかはあるだろうけど、【第23話】の矢晴の話は、「全く無の状態から他人の言葉が自分を作ってきてそこに自分の意志はない」と言っているように聞こえてしまって、どうにも、ムカつく。 今の矢晴は「人に褒められたから自分には価値がある」とか「人に貶されたから自分には価値がない」みたいな基準で考えてるような気がするけど、そもそもその価値基準を捨てれ。ふんまにもう。 褒められたら嬉しい! ってだけでいいじゃんよ。純も褒められ...

■【売れうつ】の二次創作(47)(小説)

 編集部で矢晴と純が出会った記念日を楽しむ数年後のふたり。 夕方チャイムの時間のアイディアは簡易チャットでの会話からいただきました。 ■

アンケートやってます

 【売れうつ】に関するアンケートやってます。(2022/3/29から常時回答受付中です) アンケートフォーム  もしくは、 アンケートページ (フォーム埋め込み)のどちらからでも、お気軽にご回答ください。 設問は 【売れうつ】の好きな話数を教えて下さい。(5つまで) 【売れうつ】の特に好きな話数を教えて下さい。 上で選んだ話数が特に好きな理由を教えて下さい。 【売れうつ】のなかで、特に好きなシーン、特に好きなセリフを教えて下さい。 この中で、一番好き(or 感情移入する or 興味がある etc)なのは誰ですか? 【売れうつ】に対するあふれるパッションをどうぞ。 と、当ブログについて3問(無回答送信OK)となってます。アンケートの1問目のみ、必須回答となっております。1問目だけ選んで、そのまま送信でも歓迎です。 アドレス等の収集はおこなっておりません。こちらへは個人情報等も届きませんし、複数回答も可能なので、「好きな話数を選びきれない」場合など何度でもどうぞ。 公開話数が増えるたびに設問の話数も増やしてます。 結果の概要  も見れるように設定してあります。2023/11/05現在で17件の回答をいただいております。 また、2023年11月〜、ブログ各記事に「いいね」ボタンを設置しました。こちらも  概要  を見れるように設定してあります。 ランダムで記事を表示するボタンも設置しましたので、なにか適当に読みたいときなど、押してみてください。(ちなみに、ボタンの配色はミントグリーンと錆色でグラデーションにしてみました)

部屋着でそいや

 純の部屋着がかわいいなあ。と思って。 【第5話】で矢晴の連載読んでた頃は「Hey、ヤギ」のTシャツを部屋着にしていて。 【第23話】はジャージの「Soiya」ってロゴのポーズがむっちゃかわいい。(そいや言われると一世風靡が頭のなかで踊り歌うんだが、今回の散歩(道の上)まで掛かっていたりするんだろうか?) おでかけ予定がない時は純は前髪のセットをしない感じなのかなあ? その日の気分なのかなあ? くらいに前髪ちゃんとしてるときとしてないときとあるけれど。 普段家にいるときは、あの重そうなチェーンピアスとイヤーカフスは外してる感じ。でも、家にいても友達とビデオ通話する時はちゃんとした服にヘアセットしてピアスつけてるんだから、自宅でくつろいで友達とおしゃべり、って雰囲気のわりに見栄っ張りなおしゃれしてる感じがする。 基本的に部屋着はジャージかTシャツか、みたいな感じな気がするけど、部屋着というより、仕事着としてジャージなのかも? とも思える。アナログだったら汚れるから、みたいには思えるけど、デジタルだからな……と考えると、楽に着れるから、程度のジャージかもなと思う。 お出かけ着は、多彩におしゃれで、新しい間取りの洋服部屋は7.4畳もあって所狭しと服が入ってそうな感じだから、けっこうな量の服を買っているんだろうなと思う。たまに気合い入れすぎて変な柄のジャケット買わされてると思うと、純がかわいい。 部屋着とかパジャマとかざらっと見直してて気付いたんだけど、【第12話】で矢晴が飛び出して帰ってきてベッドで酒抱えてる時、矢晴におかえり言ってる純がパジャマだけど髪の毛セットされたまんまっぽくて、もしかして純ったらお風呂はいらずに矢晴の帰り待ってたりした? と思ったりした。

散歩道

 純と矢晴の出会いの日も、出版社から住宅街の公園の横を通り、喫茶店、ミント色の柵を経て、居酒屋へと長い散歩をしていたけれど。 矢晴の心身のために遠目のスーパーまで散歩する道中には、大型店舗でも建つのか工事している囲いの遠く向こうには高架があり、小さなポールのある交差点、煉瓦っぽい塀、公園と、変わる景色が面白い感じ。 交差点の小さなポールは『ボラードっていうらしい』と純が言ってる感じで、ボラードというとハードボイルドな波止場で足をかけるアレか、と思いながら調べてみると車止めもボラードというらしい。そうなんだ〜と知識が増えた。それにしても小さなポールで、車止めとして機能しそうだけど、それ以前に歩行者に対して罠になりそう。矢晴がひとりであの交差点通ったら、あの小さなポールに躓きそうだな、と思った。 建築中の囲いは、なにが建つのか。日々、あの通りを散歩したら建物が出来ていく過程とか見て、楽しいかもしれない。純はショッピングが好きだからか、ドンキができてほしいっぽい感じ。かなり大きな囲いになっているから大きな店舗かマンションでも建ちそう。 同居1ヶ月目のあの日に矢晴ひとりで散歩に出されたときには、毛糸の帽子はかぶっているけど、着ている上着は薄そうで寒そうで、という感じだったけれど、遠目のスーパーまでの日課の散歩では、純が用意したんだろうフード付きのあったかそうな上着を着ていて、これは女性陣との会食の日にも着ていた上着なのかな? 矢晴の自前のジャンバーは寒そうだから、あったかいコートでもあげてほしいなと思っていたけれど、ちゃんとあったかそうな上着着て、毛糸の帽子かぶってと防寒しっかりしてるみたいでよかった。 でも、もう冬の最中で夕方なんてけっこう寒そうだから、手袋もあげてほしいかもしれない。矢晴の思考癖でポケットに手を入れていては危ないから。 とはいえ、「寒いね〜」って自然に手をつなぐための策なのかもしれない。 正月あたりには初詣ついでに神社まで散歩、みたいにするんだろうかな〜と思うと、これまた見てみたい。ふたりで迎えた初めてのお正月。見たいわぁ。

出会ってから

 純と矢晴が編集部で出会ったのが、たぶん11月3日で。あら、今日って、出会ってから2年目の記念日になるんじゃないかしら? と思いを馳せた。 純は手帳にサインもらってるから日付も書いてあるだろうし、【第6話】で『今日ここで会ったこと思い出すためにサインをもらいたいんです』って言ってて普段使ってる手帳にサインもらってるんだから、ちょくちょくサイン見て思い出してたかもしれない。 出会った当時の姿を思い出して、今、目の前にいる矢晴の姿を見て、純の家に来てからどんどん身体の健康を取り戻し、ゆるゆると精神の健康を取り戻していくのを走馬灯のように思い出すのかもしれないな、と思うと、ふたりに幸あれ! と叫びたくなる。 2年以上かけて幸せにする話、の2年に到達しているわけだから、リアル時間の今現在、矢晴はずいぶんと幸せに近くなっているんだろうなと思う。が、描かれる物語の終わりを想像してしまって、ちょっと寂しくなった(まだ起こってない事象でダメージを受ける)。 出会って同居してから1年で漫画を描き始め、2年となると、漫画家復帰していたりするかもしれない。風通しの良くなったA誌で読切を載せているか連載をしているか。矢晴の状態からは週刊連載って厳しそうな気がするから月刊誌とかで連載になってもいい気がする。同じ雑誌に載りたかった純はちょっとさみしいかもしれないが。 作中現在ではまだ出会ってから2ヶ月も経っていないのにあの回復ぶりなのだから、2年も経つと、どんだけ健康になっているのか、楽しみではあるが、そこに到達するまでにまだまだあと20話とか30話とかもっとかもしれないがある。はやく幸せになったところを見たいけれど、もっと長くふたりの生活を眺めていたいジレンマみたいになりつつ、まだ先は長いぞ、と自分に言い聞かせている。

悪意

 というタイトルで始める割に、まずは、ここのところコメントを多くいただけていることへの感謝をば。 記事へのコメント、二次創作への感想コメント、ありがとうございます。返事はしたりしなかったりになりますが、お気軽にコメントくださいませ。 また、簡易チャットのほうへもいらしてくださる方が増え、楽しくお話させていただいております。お立ち寄りの売れうつファン同士の交流などにもお気軽にご利用くださいませ。 で、本題。 【第23話】で純が『「言われたい感想」は「憧れ」にしていいが「正しさ」にはしない』『それしちゃうと「こう言われたくない」を全部悪にしちゃうから』『人の悪意はこの世にあるだろうが人の善性や知性を必ず信じる』と、自身の創作を発表した時の他者の反応に対しての心構えを語る。 あんまり純っぽくないんだよなあ……と思ってしまうのだけど、純自身、売れっ子なので、アンチ的に悪意をぶつけてくる人とかはいそう。でも、全員がアンチでもなし、悪意でもって攻撃してくる層なんてのは、ごく一部で、大多数は好意的で、また表現を理解してくれるだろうと思う。 矢晴は自身の作品に対して、「つまらない」と言われたくない、という思いもあって、描く気になれない、と言うけれど、どんな大傑作を描いたところで、刺さらない層は必ずいるだろうしなあ……と思うと、どれだけ矢晴が無い物強請りをしているのかと。ついでに目の前の古印葵ガチ勢に古印葵の漫画読ませたら大絶賛するが? それは無視か? という気にもなる。目に見える古印葵ファンにつまらないと見限られたくない、という思いは密かにありそうではあるけれど。 だいたい、純が売れっ子で〜って言ったところで、人口比で考えても漫画を読むごく一部の層のうち、純の漫画を楽しんでいる層なんて、ものすごく少ない、とも言えるわけで。純の漫画を楽しんでいない層はそもそも漫画を嗜まない人が多いけれど、漫画を読んでも望海可純はいらない・つまらない、って思ってる層がいるわけだからさー、というのはふつうに思う。 実際のところ、悪意でもって攻撃なりなんなりしてくる層というのは、作品の出来はどうでもいいって人ばかりになる気がするから、そもそも相手にする必要はない、と思う。 作品内にありもしない悪意を見出す人や、作品の表現に対して自身の思想と合致しないからと敵認定する人なんかもいると思う。思うという...

現実逃避

 矢晴が『漫画を描く目的は「嫌な現実から逃げるため」っていう方が良いモチベーションになると思うんだよ』というのに、半分は納得しつつも、半分は納得いかない気分でいる。 現実よりも創作に没頭するほうが楽しい、というのならわかるんだけども。引き合いに出されていた(「空襲がきても漫画を描いていた人(手塚治虫)」「生涯誰にも見せずに大長編の物語を描いた人(ヘンリー・ダーガー)」)人たちがどんな思いで創作に没頭していたのかはわからないけれど、現実が嫌だから創作に没頭した、と断言できるものかというと疑問。 純も現実よりも創作のほうが楽しいタイプではあると思うんだけど、「創作してると脳からヤバいものたくさん出てきて気持ちいい」からというのは良いのか悪いのかよくわからんが。ただ、純は「自分が人間に欲情できないから孤独」という現実からの逃避先に『私には漫画があるから たぶん、大丈夫』と若干大丈夫じゃなさそうな思考をしているのが気になる。 矢晴の言うように、「嫌な現実から逃げるため」の創作で嫌な気持ちになるのだったら、現実も創作も嫌なものになってしまって、どこにも逃げ場はなくなってしまうのだけど。 矢晴は創作世界では嫌な目にあったわけじゃなくて、自身が商業漫画家であるという現実で漫画を描いていて、仕事や生活のために描きたくもない漫画を描かなければならない、描きたい漫画は雑誌の傾向で没にされる、という現実がのしかかってきたから、描けなくなった、描きたくなくなった、わけだから、なんだかちょっと、矢晴の話に納得できないんだよなあ、と思う。 漫画を描く行為が嫌になった、とは思うけれど。 自分の創作世界に没頭できて、楽しく漫画を描けて、それが自分の生活も支える商業漫画家になれれば、万事解決、という感じはする。A誌でデビューしてからの数年は、そうだったし、さらに国内外で認められて賞もらえて、これからもっと上に行けそうな感じだったのに、なんでまたB誌なんかに……。 「目的」を現実逃避にしてしまうのは、なーんか違うよなあ? と思ってしまって、納得いかない。 ついでに言うと、矢晴の話で『もし漫画を描いた時だけ嫌な思いをして』『描かかずにいれば嫌な思いをしないってなったらさ』『創作においての「己」は根本的に崩れるよ』と言うけれど、ちょっと極論に走っているような気がするんだけど、「創作の目的が現実逃避...

洗面所

 矢晴の洗顔姿がかわいくて! 後ろ髪しばって、前髪はヘアバンドで上げて、きれいな生え際見せてくれるのが、とてもいい。 普段、長い前髪ですっぽり隠れてるおでこ全開なところがいい。 そんでもって、純の家の洗面所はお湯が出るのねえ〜矢晴が冷たくなくていいわねえ〜って思った。ここのお湯もいい感じのぬるま湯なのかな〜。 あと、洗面所にズラッと並んだ瓶やらボトルやらチューブやらってのは、純のケア用品なんだろうなと思うんだけど、なにが置いてあるんだろう? とちょっと気になる。おしゃれさんのヘアケアとかスキンケア お湯で洗顔なら保湿剤は置いてありそう。純の頑固なヒゲ用にシェーバーとかあるかな。あんなに泣くほどの痛みで脱毛したのにまだ生えてくるって、純つらい。 前に矢晴がマウスウォッシュ飲んでからマウスウォッシュは置いてないんだろうけども、アルコールの入ってないマウスウォッシュに切り替えたとかしたかなあ? 純の家の洗面所は広いけど、シンクはひとつだから一人ずつしか使えない。ふたりで同時に使う時は純が先に顔を洗って隣でスキンケアとかして、矢晴が洗顔する、みたいな感じになるかなー。大きな鏡だから、純がドライヤーやらコテやら使ってても、矢晴も並んで身支度できそう〜。鏡越しにかっこよくなる純を見つめててもいいのよ、矢晴。

暖房

 【第17話】ラストのルーフバルコニーに遠赤外線ヒーターっぽいものが映ってて、【第22話】で矢晴がひとりでルーフバルコニーで日向ぼっこしてるっぽいところでは遠赤外線ヒーターに加えてパネルヒーターもあるっぽく。 作中、12月の中程だから日中でもそれなりに寒いだろうなあ、という感じはあるから、純がちゃんと寒さ対策してるのはいいなと思った。 矢晴に日光浴をしっかりさせたいんだろうな、と思うし。日光浴という言葉がすぐに出てこないで、つい天日干しって言いそうになったのは余談。 でも、あの空間に矢晴ひとりでいるのはさみしくないかな? とは思ったりした。「恵まれた環境なのに希死念慮が来る」って話をしてるところに挟まれるシーンだから、ちょっと寂しかったりもしてるかもしれない。 お家のなかの暖房はどうなってるんだろう? と、前にも考えてた気はするけど、純の通話を階段で待ってる矢晴がそこまで寒そうではない感じで考えると、家中、床暖房とかでそこそこあったかいかな? とは思える。純の寝室の室温も22度ということで、快適な温度にしてあるし。 必要な部屋全部にエアコンで暖房、かもしれない。電気代が怖い気がするが純の稼ぎならなんの問題もない。でもその電気代、矢晴が聞いたら、「前の家の家賃の倍じゃん……」ってなりそうな気もする。 電気毛布の電気代はそんなにかかんないから、矢晴も安心して使える。