古印葵に狂う前、狂った後
純の友達のことを考えていたら、純の友達は純が古印葵に狂う前・後をリアルタイムで見ているということで?! と気付いた。
純が古印葵に出会ったのは大学時代の旅行中。矢晴が21歳の春にデビューしていて、そのデビュー作を純が読んでいるのだから2歳下の純は19歳の春かしら。
まだ成人してない若い子を狂わせちゃって、古印葵ったら罪な人。
大学入学辺りまでは古印葵を知らない純。
小さい頃は漫画の感想を恐竜のぬいぐるみに話したりしている純朴さ。小さい頃にお父さんを亡くしているから、それなりにさみしい時期とかもあっただろうな。
中学生頃は漫画を描いて友達に褒められたりしている。クラスメイトの眼鏡くんには勉強を教えてもらったり、絵を褒められたりしていた。けど、眼鏡くんは自殺しちゃっていなくなっちゃった。
高校生頃も漫画描いてたんだろうな。このあたりで自分が実在の人間に欲情しない性質を自覚したのかな。2次元には欲情するけど3次元には……という自覚の仕方なのか、みんながアイドルとかグラビアでどれが好きだの抜けるだのって騒いでるけど、自分はなんの感情も抱かないなあ……って感じだったのか。女に興味がないのか男はどうなんだ、みたいな検証はしたのかどうか……? ちょっと知りたい。
大学入学時にも漫画描いてる。同人誌作ってコミケに出たり、ってのは高校生くらいからやってるのかな? 大学入ってからかしら? 牧野先生のアシスタントを始めたのはここらへん?
大学2年の春、友達との旅行中に古印葵と出会う。
旅行後からは古印葵に夢中かしら。古印葵と同じ雑誌に載りたくてA誌の月例賞に応募し始める。
大学3〜4年あたりで、古印葵の初コミックスをゲット。
大学卒業あたりでA誌で商業デビュー。憧れの古印葵と同じ雑誌の漫画家になれた。古印葵の2冊目のコミックスをゲット。その年の年末、E・B大賞を受賞した牧野先生に連れてってもらって授賞式に行って、生の古印葵を見る。サインはもらえたのかどうか。牧野先生には「社会見学」だとかなんとか取り繕いつつ、「大好きな古印葵が授賞式に来るから行きたい!」という本音も隠せてなかったんだろうなと微笑ましい。ちゃっかり牧野先生に古印葵の作品読ませてる感じ。【第5話】の牧野先生の『古印先生って男の人だったんだね名前と作風で勝手に女の人かと思ってた』という評が純がどんだけ古印先生について熱弁してきたのか、みたいな雰囲気も感じられ、牧野先生のお人柄にほっこり。
翌年、古印葵がA誌から去る。望海可純の連載(シヴァ・アンバー)開始。コミケ参加時のペーパーでアンエン(Unexpected Encounter)を布教しているつもりらしい。
連載作家になって、アシスタント使ってて、折々で古印葵の話をする。大きな家を買う。
25歳あたりで古印葵がA誌に戻ってきて喜ぶ。古印葵の連載作に期待を裏切られるも、古印葵の本来の良さを布教すべく、世の中の基準を自分寄りにしようとして、インタビューなどで古印葵を猛プッシュするが玉砕。
26歳、古印葵と会える機会をゲット。病んだ古印葵と出会い、知り合い、サインをもらい、同居にこぎつける。古印葵=福田矢晴の世話にかまけて、自身の原稿が遅れがちになる。
古印葵に狂って人生変わったとするなら、順当にいけば師事してた牧野先生と同じ雑誌に持ち込みなりして漫画家デビューだったんじゃないかってところを、「古印葵と同じ雑誌に」と別雑誌でデビューしたあたりかしら?
もしも、望海可純がデビューしたことで矢晴がうちのめされてA誌を去ったとか、望海可純に自分の連載枠を奪われてここでは連載できないからってA誌を去ったとかだったりしたら、矢晴が純の人生を狂わせたことで自分の人生を狂わせたという、なんと表現したらいいのかよくわからない状態。
矢晴のせいでもないが純のせいでもないが矢晴のせいで純のせい。でも純は矢晴が古印葵だったおかげで憧れてA誌デビューして連載とって大人気の売れっ子作家になって大金持ちになった。でも自分のせいで古印葵をA誌から追い出したことになって、憧れの作家と同じ雑誌に載りたかったせいで憧れの作家の居場所を奪ったという、……なんともやるせない。
そんな状態で病を得て寄る辺ない矢晴を同居にこぎつけて、自分の手元に置けるようになった(目の前にいるからもう見失わない)のは、純の一途さ必死さ古印葵への執着の果てで、古印葵ファンの純の大勝利……なのかどうかはわからんが。
今は同居して福田矢晴の療養をして、漫画への執着をなくしていない矢晴が古印葵として再出発できるようにとあれやこれやの道中。矢晴をアシスタントとして雇用して、矢晴の有能さを教えてやる(思い出させる)と息巻いている。
1年後にはまた古印葵の漫画を読めるのだから、純の手腕よ!
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