転換

 矢晴が純の家に住んでから1ヶ月とちょっと。矢晴は断酒し、薬もよく効き、規則正しい生活に栄養充分な食生活を送っていることで、ヒゲも生えないほどの栄養不良な状態からも脱し、いろいろなことを考えられるようになった。

これまでずいぶんと純を怖がり、不信感不審感もあった感じだったのが、純が矢晴の影響によって物事の考え方が変わり、周囲への対応も変わってきたことで信頼感が増したのか、自らの家族の話、そして父親の事件についても純に打ち明けることができた。

純がその話を聞いても態度を変えないどころか、矢晴を世に送り出してくれた両親への感謝まで伝えてくれるのだから、矢晴から純への信頼は爆上がりしたのだろうなと思う。

そして自立を考え始め、その自立への道筋に「漫画を描く」という選択肢も考えつつ、それでも描かない・描けない理由を集めまくっているところへ、純が適切に現状把握を促し、矢晴の本音を引き出していく。という、純の手腕がすごすぎる。

今までであれば心の中、頭の中だけでダメージを増大させる妄想をしていたのを、純に対して言葉で示せるようになったことで、純が適切に妄想を止められるし、純の制止によって、思考を変換させられるようになった矢晴もえらい。

そして、自立への第一歩にもなるのだろうが、純が矢晴をアシスタントになるようにと誘う。『君は有能だそれを教えてやる』という力強い純の言葉が頼もしい。

現在あまりにも自己評価の低い矢晴にとって、矢晴の有能さ、古印葵の才能を知る純のもとで働くことは最善の道でしかないと思う。

病の療養から一歩進んで、自己肯定の再構築へと物語が転換した。


それにつけても、公園の純はかっこいい。もう、毎日公園でおしゃべりしなよ。


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