降るもの

 第1話冒頭から、紙が舞い降る。

この作品では「何かが舞い降り、落ちる」という演出があり、かなり印象に残る。

【第1話】では、紙(原稿)が舞い降る。

【第2話】では、本が降り落ちる。

【第4話】では、矢晴の涙がコマを越えて降り、純の肩を濡らす。

【第5話】冒頭には本が降る一コマがあり、【第6話】では原稿の舞う一コマがある。そして、海が波立ち水が散り降る。

【第12話】では枯れ葉が散り、舞い降る。

多少省略したかと思うが、数え上げると案外少なく、少ないことに驚くくらいに印象が深い。

【第1話】の紙が降る、私は最初のシーンも好きなのだが、『褒めようがそれが嘘だろうが本心だろうが』『関係ない』のシーン、矢晴の顔を半分隠して降りかかるところがかなり好き。目元が隠れて、横顔の鼻と口が見えるところ。この口元と顎のラインが特に好き。

【第12話】ではモチーフとして枯れ葉が多くあしらわれていると思うのだけど(枯れ葉の龍とか)、29ページの一番下のコマ、散らばった服と枯れ葉のところだけ、心象なのか現実なのかわかりづらく。このページを構成する他の要素は、純に抱きしめられたり、純と手を重ねてたり、純に背中を撫でさすられたり、純に『妹だときっとかっこつけちゃうから同性の方がいいなって』と言われているシーンだったり、心臓だったり、で。純とのふれあいの思い出と、自身の心臓だろうかなとは思うものの、散らばった服は矢晴が家を出ようとしてか何かを探してか荒らして散らしたとしても、枯れ葉はなんだろ? と思ってしまって。

現実で、PASMAをズボンのポケットから抜き取るシーンには枯れ葉が散っているわけではないから、先のシーンはなんらかの心象だろうなあとは思うのだけど。

違う話だけども、そのページの『妹だときっと〜』の『妹』だけ、大きな文字で強調されてるのが何なのか気になるなーと思っている。


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