【感想】第11話 蜘蛛・オキシトシン
表紙がセンシティブ判定されたらしくの、表紙差し替えというびっくりなことが起こった。前屈する純と矢晴がかわいくて良い。以前の表紙が見れるところ
【第11話】は表紙や本編あらすじのフォントが少し違っている。フォントも表現に使うかたなので、意図的だろうと思う。なにより、これまでの話ではひび割れていた『うつ病漫画家』の文字がひび割れてなくて。まだガタガタはしてるけども、快方に向かっていることがうかがえる。
さて、本編。
転居6日目の夕方から。【第10話】で描かれた5日目の翌日。純のネームを見て、純にいろいろ漫画のことを話したことを『ずっと恥ずかしくて後悔してて』と言ってるし、被害妄想のなかでは上半身裸でうつ伏せになってる矢晴に馬乗りになった純に背中にマジックで『えらそうに売れっ子漫画家にご高説を垂れて恥ずかしくないのか』なんて書かれて泣いちゃってる矢晴がかわいいし、現実でふかふかの布団にくるまって泣いてる矢晴もかわいい。
時計は17:13。ジョギング帰りの純が矢晴に野良猫の空中バトルの証拠写真を見せに来る。純は矢晴の部屋に入るとき、ノックはするけど返事待たないな? 【第1話】の1ヶ月後だとノックすらしてなかったな…? 省略されたのかもしれないけど。
矢晴は落ち込んで泣いてたところだから、楽しげな純に『純さんはいつも楽しそうでいいですね…』って嫌味を込めてるんだろうけど、純は素直に『はい』って答えるのがかわいい。でも、『最近落ち込んだことあったかなぁ』って話を続けるから矢晴が言葉にしなかった言葉は通じてるのかな? って感じがする。
『今度から担当に出す前のネーム見てもらえませんか?』っていう純に『嫌です』って即答する矢晴がいい。『なにより漫画を描けないやつが』と泣き出す矢晴がかわいい。純に『漫画に未練あるからですか?』って言われた瞬間の矢晴の表情が好き。
直後に純が矢晴の顔をはさんで変な顔にするところは面白いんだけど、もしかして表情筋のストレッチでも兼ねてるのかな? 自然な流れで矢晴の体を起こして、コタツに誘導してるところ、純ったらやるわね。
言われたとおりにコタツにいる矢晴。ただ、なぜに「いつも純が座るところ」に座っているのかが、気になってしまう。でも、そこに座ってるおかげで純が矢晴を抱くように座るのが自然に見えるから、そういうことなんだなと納得はするのだけども。
純のクロッキー帳。純も「いいなと思ったこと、忘れたくないこと」を描きとめるようにしてるんだなと、感慨深く。居酒屋での酔って饒舌に話してくれた矢晴のこと、大好きなんだなと。他のページも見たいなあ。
布団乾燥機セットして、たぶんシャワー浴びて着替えて、自分の部屋に行ってクロッキー帳に矢晴の変顔描いて、クロッキー帳持ってコタツに来て。矢晴をコタツに誘導してからどんくらい時間経ってるんかな? とか気になったり。純の行動、事細かに知りたくなったり。クロッキー帳のページ間違えたってのは、間違えたふりかな? とかも気になったり。
それはそれとして、「思考の共有」と言って矢晴に持たせたペンで純が描く、というのがやっぱりえっち。素敵。矢晴が『いつもの奇行だし好きにさせるか…』って、純のやること受け入れてるのがいいんだけども、「いつもの奇行」って言われるくらいいつも変なことやってるのか、純は。いつも、どんなことやってるんだろ?
このシーンで、「望海可純の絵」が見れる。編集部に貼ってあったポスターでもちらっと望海可純の絵は見れるけど。
すごい自然に絵のことを話してる矢晴と、『楽しそうに描いてるのがわかる』『私はこの感覚を知ってる』『だから解る』の「わかる・解る」という言葉の使い方にしびれる。
そこから沈みそうになる矢晴をすぐに引き戻す純がいい、というか、純の声で引き戻される矢晴がいいというか。これまでだったら、純の声聞こえなくなって自分の思考に沈んでただろうから。純が自分の絵の不満点をあげていくところで『セリフも絵も野暮ったさを嫌う人だなあ』と考えてる矢晴の顔が好き。純のいうところの野暮ったさって、どんなんなんだろうなあ。
『矢晴さんだったらこの絵のどこに影を落とします?』ですごく自然に矢晴にペンをもたせてる純がさすが。純ってなんかこういう誘導がむちゃくちゃ巧いなと思うのだけど、矢晴が素直なだけかしら? 古印葵の影の描き方を教えてもらって比較することなく素直に褒めてる純がかわいいし、さりげなく両手を背中に当ててるのもいいし、褒められて耳まで染めてる矢晴がかわいい。
その後の『これじゃ私ただのヒモじゃないですか』『矢晴さんはヒモの才能がありますよ』『他人に愛される弱者しか救われないって話ですか?』の、ほのぼのから一気に様子が変わるところ、それに対する純の対応が的外れには見えるけども、矢晴の思考をそらすことには成功しててどうにかなった風味。ちょいちょい純は言葉選びに失敗してるけど、じっくり考えたときはそれなりにいいこと言ってるから、純の性格なんだろうなあ。考えなしにしゃべるとだいたい矢晴の地雷踏むのは純のかわいいところかな。
『矢晴さん』『ペンを持たせたり漫画の話をしたりしてますが』『辛くないですか?』の問いかけに対する矢晴の表情がまた沈んでいきそうだけども、純の手が添えられてないのにペンを持ったままなところがいいなと。そして純が『それともただの私の欲望なのか』と、自身の欲望(古印葵の復活)に自覚的なところが好き。矢晴は「辛い」とは答えないから、このまま漫画に触れさせても良さげで良い。矢晴が蜘蛛と見つめ合ってるところもかわいい。
『お互い敬語やめません?』と、こういう流れで純が提案するのかーと。さりげなく家族構成の一部が明かされて、うれしい。再度、純が矢晴の手に手を添えて絵を描きだして。矢晴の思考が語られて。矢晴の思考の経路がいいなあ、素敵だなあと思う。純に乗せられてる新幹線の座席がとても良い。純に守られて快方へ一直線に運ばれそうな。
眠くなって思考できなくなった矢晴が『いいよ』『敬語使わなくて』と純の提案を受け入れるところが、ふたりの関係がより親密になる第一歩って感じでとても好きで。矢晴のさらさらの髪の毛の具合もきれいで好きで。
びっくり顔の純もかわいいし、素直に大喜びしてる純もかわいい。
そして、最後の見開きの5コマ。これがまた素敵すぎて。矢晴の笑顔と骨と蟲。この蟲が不穏の示唆なのか吉兆なのかが、わからないのが怖い。矢晴の笑顔が眩しくて、その対比でよけいに怖いんだけど、どーなるのー? この後【第1話】の転居1週間目なんでしょー? ジタバタ。
- 転居6日目。被害妄想に苦しんでいるうちに夕方。
- ジョギングから帰ってきた純が野良猫の空中バトルを報告。
- 矢晴に会ってからチクチク言葉は使わないほうがいいと実感して反省したこと。
- ネームを見て欲しいと言う純。即答で断る矢晴。『漫画を描けないやつが』と泣き出す矢晴。
- 布団乾燥機をかけるからコタツに移動するよう促される。
- コタツにいる矢晴のところにクロッキー帳を持ってくる純。
- 矢晴の真後ろに座って、矢晴にペンを持たせ手を添えて絵を描く純。
- 絵を描く楽しさの感覚を思い出す矢晴。
- 純に促され、純の絵に影を入れる。
- 『他人に愛される弱者しか救われないって話ですか?』
- 『それが矢晴さんの漫画の才能ですよ』
- 漫画の話をしたりすることが辛くないかと問う純。わからないと答える矢晴。
- 古印葵が自分の意志で絵(影)を描いた記念に敬語をやめようと提案する純。
- 純は一人っ子、矢晴は姉がいる。
- 矢晴の思考。『お前といると自分がいかに鈍行故障列車か突きつけられる』
- 敬語をやめることを了承する矢晴。大喜びする純。
- 矢晴の笑顔と弾けた蟲。
いまいちまとまらないというか、このページ数にどんだけ詰まってんだ? くらい充実してる気がする。
冒頭の矢晴の被害妄想で泣いてるところと、漫画を描けないって泣き出したところの矢晴の泣き顔がかわいい。
がっつり矢晴を漫画に引き寄せようとしてる純が好き。この努力が実って1年後には古印葵の漫画が読めるのかと思うと、これから描かれる純と矢晴の漫画談義が楽しみでしょうがない。
純に馴染んでる矢晴が良い。矢晴を笑顔にさせた純が良い。矢晴の笑顔を見た純の反応も見たかった!
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