タイトル考
私自身はタイトルや名前を考えるのが超絶苦手で、詰まるところが「タイトルについて考えるのが苦手」ということなのだけども、なんでこのテーマを選んでしまったのかと悩みつつも、【売れうつ】のタイトルも各エピソードのタイトルも好きだなあと思っているから、ちょっと考えてみたかった。
古印葵の漫画のタイトルは、今のところ2つ出ていて、純が雑誌で読んだ短編『春眠の底』と2冊目の短編集のタイトル『Unexpected Encounter』。古印葵はたぶん漫画の内容もさることながら、という感じでタイトルもけっこう凝っている気がする。(古印葵がタイトルにも凝る人・こだわる人でもいいんだけど、商業的に横文字の小難しいタイトルは売りにくいと思う。覚えらんないし口頭で注文しにくいし)
望海可純の漫画のタイトルは、雑誌に載った分(同人時代は省く)だと、デビュー作『鬼弾児』、連載作『シヴァ・アンバー』。ペンネームの付け方も考え合わせると、タイトルや名前をつけるのが苦手か、単純に安直につけてるか、と思える。(少年誌的なところから考えると主人公の名前か属性かな?って感じにも思えるから、『シヴァ・アンバー』はシヴァとアンバーの二人組かも? とか思ってみたり)
で。
【売れっ子漫画家×うつ病漫画家】というタイトルは、キャラクターの属性とカップリングが一目瞭然でわかる、安直なタイトルと言えるけども、だからこそ興味を惹かれる良いタイトルだと思う。好き。
各話タイトルは、矢晴視点のエピソードは「漢字・カタカナ」という形式で統一され、純視点のエピソードは「上薗純、曰く」(第6話の表紙では「上薗純の視点」になっているけど)とされている。
矢晴視点のエピソードでは、そこで語られる話の根幹をタイトルにしていると思うのだが、なにかしら特別な意味合いを含んでいるとしても、私にはわからない。辞書的な言葉の定義から考えてみる。
【第1話 虚・プライド】「虚」は中身がないとか、実が伴わないとか。「プライド」は誇りとか、自尊心とか。
【第2話 後悔・プライド】「後悔」は失敗だったと悔やむこと。「プライド」は誇りとか、自尊心とか。
【第1話・第2話】はまとめて1つともとれるかな? と思うので、過去を悔やむ、自身の行動と周囲の仕打ちで傷ついたプライド、うつろな現状みたいな感じかなー? とか考えてみる。
【第3話 攻撃性・マインド】「攻撃性」は意図的に相手に危害を与えようとする性質。「マインド」は心、精神、意識。純の四階への意趣返しとか、その攻撃性を生み出す精神・本質ってあたりかな。
【第4話 荼毘・アルコール】「荼毘」は火葬して弔うこと。「アルコール」はアルコール。古印葵は死んだと思って欲しいこと、アルコールで泥酔して二日酔いの矢晴。
【第7話 誘惑・ユートピア】「誘惑」は心を迷わせて誘うこと、惑わすこと。「ユートピア」は理想郷。純の提示する理想郷への誘いに惑わされる矢晴。
【第8話 零・クッション】「零」は0(ゼロ)、小さい少ない、おちぶれる。「クッション」は西洋式座布団、衝撃をやわらげるもの。純が言った『ダメにする…というより人をゼロにするクッションだと思えば』『矢晴さんにとっては今より良くなるクッションじゃあないですか?』から、そのままのタイトルかなと思う。
【第9話 再現・クリエイト】「再現」物事を再び現すこと、模倣。「クリエイト」は創造すること、創作すること。純の考える漫画、創作物が他者の技法の分析・再現であること。
【第10話 経験・アンデッド】「経験」は感覚や内省を通じて得るもの。得られた知見及びその累積。「アンデッド」は不死、死んでるのに活動している、死んでない(かなあ?)。『古印葵は死んでない』
【第11話 蜘蛛・オキシトシン】「蜘蛛」は蜘蛛。「オキシトシン」は「幸せ/恋愛/愛情/抱擁/信頼/絆/思いやり/癒し(ホルモン)」など、さまざまの異名を持つ神経伝達物質のひとつ。ストレスを消して多幸感を与えてくれる。純とのふれあいで矢晴にオキシトシンが出てたかな。
【第12話 幼生・トランスフォーム】「幼生」孵化から変態までの時期。「トランスフォーム」は外見・性質・機能などを根本的に変えること。この場合、変態かな? 矢晴のなかの蟲が幼生から蛹になって変態しようとしているところ。
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