季節と衣服

 純と矢晴は秋の終わりに出会い、冬の始まりに同居生活を開始した。

季節の分かれ目の基準は、二十四節気となる模様。

同居1ヶ月目は12月11日と純の寝室の時計の表示にあったので、大雪の時期になる。純の住んでいる地域でそんなに雪が降るものだろうか……? という疑問はあるが、雪が降ってもおかしくない季節。

同居を開始した当初から矢晴は家のなかで綿入れを着ている。同居開始前から純の家ではコタツが出ている。

同居1ヶ月目の矢晴は散歩に出かけるのに自前のジャンバーは寒そうだけどもあたたかそうなニットの帽子を被っているし、純はファー付きのあたたかそうなアウターを着ている。

早朝のルーフバルコニーではふたりともあたたかそうなアウターを着ている、矢晴は前夜に“湯冷め”の予防に着ていたダウンなのだろうか。

矢晴が1年以上前、A誌に戻って連載を開始した頃は、矢晴はパーカーを着ていて、新担当の菊池さんも長袖なので、春先〜夏前の涼しい時期かな? と思われる。連載を終了させて本格的に体を壊し始めた時期は夏のようで、部屋の中では半袖にハーフパンツで薬の過剰摂取をしている。(ついでにこのあたりの描写を見るに、矢晴は連載を終わらせた後に一度引っ越している気がする。)

同居開始の1年と少し前の夏。純は半袖の部屋着(Hey やぎ)でA誌に載った古印葵の作品を読んで愕然としている。(ここの格子窓の向こうにベランダっぽい柵が見える。ここが仕事場なら仕事場にはベランダがあるということにはなるが。ついでにこの窓、フランス窓っぽいなと思う。)その少し後が、純のカレンダーでは2020年の7月13日の月曜日。ブックワインのインタビューを受けている純も付き添いの担当も半袖。

純がアシスタントとのグループトークを退会したのも夏。純は前髪をゴムでまとめ、半袖を着て仕事をしている。これがインタビューを受けた少し後の夏なのか、1年後の夏なのかは定かではない。

純が15巻の献本を受け取り、菊池さんの持っている案件に古印葵を推薦した日は秋頃。純はシャツにニットにジャケットを着ているけども、担当は長袖をまくっているのかどうか7分丈っぽく腕を露出している。菊池さんはブラウスにスカート、厚手のタイツという感じがするので、それなりに寒い時期になるのかな? とは思える。

この純の打ち合わせの日からどれくらいで矢晴が編集部に呼ばれたのかは正確にはわからないが、秋の終わり(立冬より前)ということは間違いがない。

秋の終わりの冬に近い寒い時期、矢晴が編集部に行くために着用しているのは着古した感じのジャンバーとズボン。純が古印葵に会うために着用していたのは派手なジャケットにおしゃれなシャツ、色の濃いパンツ。純はこの日のために用意したおしゃれ着っぽく。

そんなおしゃれ着だけども服に頓着しないのか、矢晴の部屋を掃除して、『白い靴下が黒くなって黒い靴下が白くなる』ような部屋を歩き回り、床に正座までできる。

その翌日に再訪した時は、編集部で会ったときよりもオシャレ度はがくんと下がる。それなりにおしゃれだけど常識的な範囲になるんだろうか。この日も濃い色のパンツだけど、ためらいなく床や矢晴の布団の上に座る。

純の家の中での服装は、ジャージだったり、おしゃれっぽいシャツだったり、シャツにニットやカーディガンといった感じで、気温に合わせて着るものを調節している感じはする。冬の空調の効いた屋内だけども、そこまであったかい気温にはしていないのだろうかな、とは思える。

純の寝室の時計によれば12月11日の夜の室温は22度、湿度は50度だから快適な状態と思える。家のなか全体がその程度に整えられているかもしれない。そうでなきゃ玄関前の階段で180分、綿入れもなく座り込んでた矢晴は凍えそうだし。

矢晴がお酒を探して部屋を荒らした日は同居してから22日〜23日頃かしら?(と言えども、「お酒を探していた」というのは純が言っていることだから、矢晴自身がしたかったことは違うのかもしれない、とは思う。)矢晴はスウェットで綿入れは着ていない。ルーフバルコニーに連れ出されたときにはアウターを着ているが、このアウターは純が温室で着ていたり、12月12日の早朝に着ていたものと同じではないのかと思える。


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