純の仕事
【第18話】で純が珍しく日付が変わるまで仕事をしていたらしいのだけど、それを矢晴に言われて、純は『ドタバタしててね』と答える。
仕事自体のスケジュールが狂ってしまってどうこう、だと、「バタバタしてる」が適切な言い方になるような気がしなくもなく。敢えて「ドタバタ」というのはなんでかな? とかちょっと気になったり。
とはいえ、言葉としては「ドタドタ」と「バタバタ」が合わさっての「ドタバタ」だから、バタバタを強調しているようにも思えたり。
物理で「ドタバタ」とうるさくしていた、と考えると、仕事に見せかけて矢晴の部屋のクローゼットでテトリスしてたんじゃないのー? と疑ってしまうわけだけど。そして、純は「嘘は言ってない」ってことになるのよ。と、微笑ましく思ったりした。この純の、「嘘は言ってないけど誤魔化してる」のは健在なの、かーわいー。
純の仕事自体は、これまで通りに週刊連載の漫画をフルデジタルで作業しているのだろうと思う。
秋にアニメ化されたけど、アニメ関係の仕事は一応矢晴との同居前には終わっていたらしいことが【第8話】で言及される。
ネームを兼ねた下描きは、5時間でできる。担当には「これ以上ネームを送ってくるな」と言われるくらいにストックが有る。
とはいえ、これ以上〜が1か月分(4〜5本)だったとしても、同居してから思うようにネーム作業の時間がとれなかったりしたら、同居1ヶ月が経った今、ストックはほとんど残っていないことにはなる。
純自身は独りで暮らしていたときには発生していなかった「矢晴の相手をする時間」「矢晴の世話をする時間」が発生しているから、日中の仕事時間を「朝から夕方まで」と決めていたとしても、そのうちの1〜2時間は矢晴の世話に取られてしまって、日々、仕事が蓄積していくことになる。
純の2020年(作中、去年)のカレンダーを見てみると、月〜木、火〜金にラインが引かれていて、これがアシスタントが入る日程なのか、純の実作業の日程なのかの判断はつかないものの、「作業日」として確保しているようには見える。毎週土日に作業は入れず、不定ながら月曜・金曜は漫画の作業は入れずにインタビューや打ち合わせなどを入れているのかな? と思える。
矢晴と同居する以前は、毎週編集部に出向き、数時間の打ち合わせをしていたらしいから、週のうち1日は打ち合わせ、実作業は4日間、土日は休みにしていたと考えられる。矢晴と同居してからは打ち合わせに編集部へ行っているのかどうかは不明だが、「矢晴を病院に連れて行く」という予定が人間ドックの日、精神科の日と、確実に2日は平日の時間を取られている。
作中の日付によれば、あの夜の日とその翌日に病院に行った日、というのが土日になるのだけど、純はあの夜のベッドで『そういえばね今日ね』『作業通話しててさ』と話すから、「土曜日に仕事していた」ことがわかる。矢晴を起こしに行ったけど昼まで寝かせてと言われたからの朝〜昼まで作業していたのかな、とは思える。昼からは矢晴を風呂に入れる、矢晴のベッドシーツや毛布、衣服を洗うという家事が発生し、散歩に出した矢晴を迎えに行くというイレギュラーが発生しているから、午後の作業はそれなりに押している感じにはなる。日曜に食い込んでもおかしくない。
日曜は日曜で、前夜の矢晴の“湯冷め”の原因を知るべく、『色んな病院でめちゃくちゃ検査した』となると、日中の作業時間は一切取れなかったことになる。夕方に家に帰ったとすると、夕食後〜深夜日付が変わるまでの数時間(軽く見積もって5時間)を作業に当てていたとしても、その実、平日の朝から夕方までよりも、作業時間は短い。
(ここの作中の日付が、後々清書されたときに変更になったとしても、日中は病院に行っていたから、作業時間を夕方からにズラして日付が変わるまで、になる、というだけで「矢晴の病院で、純の作業時間がズレた」ことに変わりはない。)
これまで平日に毎日7時間程度の作業をしていたとして、矢晴の世話で2時間なくなると実作業が5時間になり、4日分の8時間をどこかで取り戻す必要があるとすれば、土日作業も普通になってしまうわけで……と、矢晴と暮らすことによる純の時間へのしわ寄せがきていて、どんどん“負担”が可視化されてきているような気がする。
矢晴は矢晴で、そんなふうに「純の時間を奪っている」という意識はなさそう。それこそ最初は「忙しいでしょうから」と言っていたけど、純が大丈夫というし、純の仕事ぶりとか聞くと大丈夫そうではあるし、今は「自分が純と過ごす時間がなくなること」のほうが怖い感じみたいだし。矢晴が純の時間を奪っているんだ、と気に病んでほしくはないから今のままでいてほしいなとは思うんだけど。
純が矢晴の世話に疲れなくても、仕事時間が思うようにとれないとか、スケジュール通りに進まないとかで疲れてしまったり倒れてしまったりしたら……とドキドキはしてしまう。
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