純の嘘

 あの顛末で矢晴はお互いが嘘をついていた、それをぶちまけた、風に思っているらしいけども、ぶちまけたのは矢晴だけで、でも、お互いの嘘は嘘としてまだ明かされてもないような気もしていて。

ついでに、その顛末後、純の嘘が加速しているような気がするんだが、大丈夫か?

あの薄い本たちのなかに純が謝り倒してしまうような古印葵作品の同人誌があったとして、矢晴が『あ!もしかしてお前が描いたエロ本もあるからそんなに慌ててんの?』と言ったことに対して『ないない! ないよ!』と純が答えるけども。古印葵作品の同人誌が「エロではない」なら「お前の描いたエロ本」には該当しないから、嘘ではないけど。古印葵作品の同人誌があるなら「お前の描いた本」には該当する気がして。嘘じゃないけど、嘘、みたいな。

あと、珍しく仕事を日付が変わるまで、ってのも純は聞かれて『ドタバタしててね』って答えるのが、「仕事が忙しいからドタバタ」「昼間は矢晴の病院でドタバタ」「クローゼットの仕込みでドタバタ」というのが考えられるけども、「クローゼットの仕込み」だった場合には、完全に嘘、ということになるし、他の場合でも正直に言わない、ある意味嘘つき、みたいな扱いをされそうな気がする。


同人誌に関しては、エロでもエロじゃなくても、さすがに作者様にお見せできるようなものではない、というオタク心があるだろうから、矢晴にもそんなに踏み込んでほしくはないけども、純の古印葵への愛がめいっぱい詰め込まれた同人誌は見せてあげたい気持ちもある。矢晴が二次創作に嫌悪を感じるタイプの作者でないなら、だけども。

純の「ドタバタ」は矢晴が原因なら、矢晴の気を病ませる要因になってしまうから、言えないよなあ、と思うんだけど、そこらへんの矢晴と暮らすことによるスケジュールの再編とか、矢晴も交えて考えたほうがいいんじゃない? みたいには思ったりもする。

なにが嘘でも、純は矢晴を騙して利用しようみたいな嘘じゃなくて、矢晴の気持ちを慮っての嘘になるかなあ、とは思えるんだけども。

なにが理由でも矢晴が純の嘘を許さなかったら、あとあと怖いことにはなりそうで、怖い。


コメント