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8月, 2021の投稿を表示しています

野暮ったさ

 純のいう野暮ったさがどんなものかと考える。 どうも世間一般というか辞書による言葉の定義とはズレたところにありそうな気がするんだけども。 【第3話】『私が描くとどうしてもセリフ長いし理屈っぽいし古臭いし野暮ったくて ダサくなるし画面のセンスもいまいちで言語化できない部分の惹き込みが弱いんですよね』 【第10話】『長編って設定が複雑になる分説明も多くなるし』『ゲームのチュートリアルみたいなキャラが多くなればなるほど雰囲気が野暮ったくなるじゃないですか』 【第11話】『私どうしてもストロークが下手で』『線を重ねがちでこういうガサッとした絵柄になっちゃいまして』『いる線いらない線の取捨選択も苦手で絵が野暮ったいんですよね』『正解の線だけ残せてないっていうか』 野暮の対義語は粋とか洗練とかになるかとは思うのだけども。センスの良さとか。 純のいうところの野暮ったくないものは、「短い言葉でセンスよく核心をつくようなセリフ回し」「洗練された雰囲気」「正解の線を選びとり整った絵」って感じかなあ? 純が古印葵を褒めるときにはだいたい「センス」って言葉を使うから、古印葵のセンスの良さが一番理想で憧れなんだろうなとは思うのだけど。 純の暮らしぶりはけっこうセンス良さげには思えるんだけども、作風のセンスの良さと日常のセンスの良さは違うか。純が思う「野暮ったさ」がどんなものなのかは、やっぱりどうにもわからないなと思うのは、「望海可純の漫画」そのものを読めないからかな。んでもまあ、あの流行りの漫画っぽい感じかなー?という雰囲気は感じる、ような気がする。

【感想】第10話 経験・アンデッド

 前回、ラストが『いつもより多めに睡眠薬を飲んだ』という超絶不穏な終わり方で、「矢晴が死なないのは確定してるけど1週間後に台車で運ばれてるくらい動けなくなってるんだけど、ここで…?」とやきもきしての更新までの1ヶ月半が長かった思い出。 【第10話】は初のカラー表紙。白い髪、青い顔で赤い舌を出す純。カラーリングはシヴァ神。破壊と再生の神ではあるけども。矢晴を再生してくれたらいいけど、破壊まではしてほしくない。とはいえ、純と暮らしてく中で勝手に矢晴が破壊されそうな気はする……。矢晴の被害妄想の中で舌に矢晴を責め立てるような言葉が書かれてた純はこんな感じで出てきそう、って感じの怖い顔だなとも思う。 さて、本編。 転居2日目。深夜に多めに飲んだ睡眠薬の影響からか、矢晴が起きたのは昼12:18。『心労は一ミリもとれていないが』『肉体疲労はすさまじくとれた』と、さわやかな目覚め。『スーパーフカフカベッドすげえ!』とはしゃいでる矢晴がかわいい。元気でよかった。 断酒を決意して、お昼食べたときに純に財布を預けてる。その財布があまりにもボロボロで、純はそのうち誕生日とか同居○ヶ月記念とかで矢晴に財布をプレゼントしてやってくれと思ってしまう。『分かりました協力します』って純の笑顔がかわいい。矢晴に頼られてうれしかろうて、と勝手に思っちゃうんだけど、うれしい…よね? 純が仕事してて、ちょっと伸びをして。矢晴の部屋の時計で15:31と時間がわかり。台所にやってきたのは、純か矢晴か。とめくった次のページで冷蔵庫内から見たかなりヤバそうな表情の矢晴。アルコールの禁断症状っぽく。冷蔵庫漁って、台所漁って、料理酒を水割りにしてイマイチで、本味醂を水割りにして喜んでるところで、純登場。この手の大きさの違い、いいわあ。矢晴を抱きとめて、コップの中身を流しながら矢晴にかける言葉が優しくて、責めなくて、いいわあ。 矢晴が泣きながら飲んだサイダーの缶を床に置いて、それにロボット掃除機が当たって、轟音とともに暴走して、矢晴はソファーの上に避難して、という一連がかわいい、面白い。 鼻かんだティッシュをそのままそこらに捨てようとする矢晴もどうかと思うんだけども、その背後でキャッチしてしまう純の運動能力がぱねえって慄く。捨てたはずのティッシュが手に戻ってきた瞬間とか、それが純によってと気づいた矢晴の恐怖の顔...

お祭り

 で、作家さんの本業の過去作をざくざく読んでる。 そこかしこに、純の狂気や矢晴の涙や純の笑顔や矢晴の恐怖やらが見えて、うわーってなる。そしてまた、セリフ回しや画面構成がうますぎて震える。 なんかこう、【売れうつ】自体がこの作家さんの集大成かな? って思えるくらいなんだけども。この作家さんを【売れうつ】を読み始めるまで知らなかったのが悔やまれもするし、最初に読んだのが【売れうつ】であってよかった! とも思えたりする。 個人的な好みで、「ペンで細かく入れた線が好き」というのがあるんだけども、この作家さんの作品、そこいらじゅうに「ペンで細かく入れた線」があるので、毎ページはあはあする感じだし、どの作品も涙がきれいでたまらんと。

そわそわ

 そろそろ第11話の再投稿から3週だし、更新来ないかなーとそわそわし始める頃合い。先週もそろそろ2週だし、って勝手にそわそわしてたけど。 だって次の話じゃないですか、たぶん。第1話で描かれた転居1週間目って。 どきどき、わくわく、そわそわ。 「14話まではほのぼのライフ」ってことだから、転居1週間目のあの光景も、ほのぼのライフに転換していくのだろうかと思うと、なにがどうなって? とほんとにワクワクするんだけども。 15話からのほのぼのじゃないライフがどうなるのかも戦々恐々だけれども。 作家さんの本業の作品をいくつか見てて、ちらっと思ったのが、純と矢晴のキャラデザって、たぶんこの作家さんの手癖が一番出てる、馴染み深いキャラデザなんじゃないかなーと。言い換えれば、一番好きなタイプの顔かなって感じで。 あと、この作家さん、泣き顔がほんとに上手というか、こんだけ心揺さぶられる涙を描ける人はじめて見た……って気分になる。 はー……、矢晴の泣き顔はかわいい。笑顔もかわいい。純はかっこいいし、かわいいし。たまらんですなあ。 もうじき次の末尾0になるからあれやらこれやら書いておこうって考えたことをすっかりと忘れてしまって、メモをとっておくんだったと毎度の後悔をしながら。【売れうつ】の続きが待ち遠しい。

貶し方

 純は古印葵の漫画を褒める時にセットで自分の漫画を貶すけど、技術的な面を貶してはいるけども、ストーリーが面白くないとかは言ったことがないなと、思った。 純は、漫画が面白くなるようにストーリーを組み立てて、盛り上げて、ってことは普通にやれるし、面白い漫画になってるし、矢晴からも「漫画がうまい」と言われてるくらいだから、人気が出て売れっ子になってる。 漫画は「絵がうまい」「話がおもしろい」「漫画がうまい」みたいに分類されそうな気がするんだけども、「絵がうまくても話はいまいち」「話はおもしろいのに絵がいまいち」とかふつうにあるし。絵が、ってのも、絵柄だけの話じゃなくて、画面構成全体を含みそうで。絵柄も読者それぞれに好みの絵柄ってのがあるし。評価軸としてはかなり複合しそうな。 「漫画がうまい」ってのは、絵柄も、話も、構成も、全部コミコミの評価かなーと思う。ただ、純は、自分の理想の(古印葵みたいな)漫画は描けてなくて……というだけのことで。 もし、純が自分の漫画を「面白くない漫画」とかって貶してたら、矢晴はむっちゃ怒りそうだなあと、ちょっと思ったりした。矢晴、むっちゃ漫画好きだし、真剣だし。とはいえ、矢晴は「望海可純の漫画」が好きかどうかはわかんないから、「自分が好きな漫画作品を貶される」とはベクトルの違う怒りになるかな? 【第10話】では矢晴に諭されてたけど、矢晴にむっちゃ怒られる純が見てみたいなと、思ったりもする。

幻滅する病

 わりと、「この漫画(小説など創作物全般)好きだったけど、作者の人間性に幻滅したから、作品も好きじゃなくなった」という話は多い。 作品の魅力に心酔し、作者を神格化するあまりに、人間としての本性を知った時に幻滅するというのはよくあることかと思われ。政治の話をするなとかもそのたぐい。 【売れうつ】も、当初の急激なバズリから、「売るための仕込み」「どうせすぐ商業化」だのと言われているのはちらっと見かけた。 第5話では、作者さんが『五話目はキャプションとツイート含め、99%の創作に1%のステマを混ぜた実験的なもの』『作家バレしているのですぐ察知されると思っていた自己ツイネタがあまり察知されていないと思い、五話に仕込んだ自己ツイをキャプションに追加。』と、ステマかどうか、というと、むしろダイマな感じだが、作家自身を売るためというよりも、「作家さんが好きなものを紹介した」程度に思う。 【売れうつ】という略称を決めてくれたイラスト投稿【【売れうつ】ただの絵(1)】はキャプションでのお知らせが重要なのだが、キャプションを読まない人もわりといて。キャプション全文をキャプチャして流す人もいて。 閑話休題。イラスト投稿のキャプションを読む限りでは、5月頭の急激なバズリは商業的に売るための仕込みじゃないというのが、はっきりとわかるし、【第5話】のキャプションに『仕事が先5年は忙しいため現在商業化のお誘いはお断りしております。』ということが書かれていて、この作品は商業ベースに乗らないことが告知されている。 作家に対する幻滅のうちのひとつに、「作家が金の話をする」というのもあって、商業ベースに乗った途端に「金の亡者」だの「結局金稼ぎか」みたいなこともあり。それなりに盛り上がった作品も、商業への転換・告知の大失敗で急速にファンが離れて大惨事になったものもあり。 作品を純粋に楽しみたいがために、作家のひととなりは知りたくない人もいれば、身近に感じたいから作家のひととなりを知りたいという人もいる。そこらへん、塩梅がむずかしいだろうなあと思う。なにげない他愛ないひとことで激昂する人もいるから。 溺英恵さんの、pixiv以外にアカウントを作らない、というのも、作品と作者を切り離して作品だけを純粋に楽しめるように自由に描けるように、ということかもしれないし、作者を詮索することで作品に変なノイズが乗...

底が知れない

 純が矢晴の漫画に対して感じていること。 【第5話】で『底が知れない…』『うーー 芯の部分を分析できない言葉にできない』『こんなに魅力的なのに正体がわからない』と足をもぞもぞさせて考えてるところがかわいいなと思う。ハタチ前後の若造が、わりとけっこう傲慢な思考だなと思いつつ。 たぶん、今も古印葵のことは「底が知れない」と思ってるんだろうなとは思うし、底が知れるほどの作品量もなくて、分析できるほどの材料がないんだなと思う。魅力的なのは変わらず、と思うんだけど、その魅力が「正体がわからないゆえのミステリアスさ」から出ているのだとしたら、福田矢晴という人間を知っていくことで魅力的と思っていたものが色褪せていきそうな気はしてしまう。 とはいえ、【第9話】で『繰り返し読めば読むほど夢みたいに気持ちいい』と言っている。官能に訴えかける部分は「正体がわからないゆえの魅力」ではないと思われるので、純にとって、古印葵の漫画はただの娯楽作品としての漫画というカテゴリには収まらない別格のものになっているんだなと思う。 私自身が、娯楽作品としての漫画を読んでいて、その作家の”底が見えた”と感じてしまったときにそれ以降読むのをやめてしまうことがあり、その「自身のなかで急速に魅力が失われていくさま」を知っている分、純が古印葵に対してそうなってしまったら……という不安はずっとある。

呼び方

 純と矢晴は、最初、「古印先生」「望海先生」って呼んでて。矢晴は純に『純って呼んでください』って言われて「純さん」って呼ぶようになって。純は矢晴の本名聞き出して「矢晴さん」って呼ぶようになって。 敬語はずしてからは、「矢晴」「純」って呼び合ってて。純はたまに「古印先生」とも呼ぶけども、矢晴は純のこと、わざわざ「先生」って呼ばないな。 【売れうつ】の話をしている方々は、いろんな呼び方をしていて観測するのが面白い。 「純」「矢晴」と呼び捨てにしてたり、「純さん」「矢晴さん」、「純くん」「矢晴くん」と呼ぶ人もいたり。矢晴は下の名前で呼ぶのに、純は「上薗」「上薗さん」「上薗くん」と名字で呼ぶ人もいたり。 「望海先生」「可純先生」、「古印先生」「葵先生」と先生付きの呼び方もそれぞれで。 「上薗純」「福田矢晴」とフルネーム系も、「望海可純」「古印葵」とペンネームのフルネーム系もあり。 検索避けなのか、単純に間違えちゃってるのか「上園」「矢春」も頻繁に見かけたりはする。 人の呼び方ってのは、基本的には「近しい人が呼ぶように呼ぶ」か「自身の立ち位置を規定している」かなと思うので、呼び捨て、さんづけ、先生系は「わかる」って感じがするし、オタクは比較的フルネームで呼ぶからフルネーム系も「わかる」って感じがするんだけど、「くん付け」だけは、どこらへんの立場から呼んでるのかわからなくて。近頃のヤンキーは上の人たちを「くん付け」するっていうから、そこらへんの文化…?

ライバル心とか対抗心とか

 才能のある者同士の物語というと、だいたい、「相手の才能に嫉妬して」「勝ちたいと思って」「勝負して」みたいになると思うんだけども。 純は、古印葵の漫画に心掴まれてて、かなり強火のファンで、憧れてて、大好きで、執着してて、と思いつくまま並べても、別段、「古印葵に勝ちたい」とかの気持ちが出てきそうになく。同じ雑誌でデビューしたくて月例賞に応募するくらいだし。デビューして漫画家になったら、憧れの古印先生にご挨拶して仲良くなりたかったんだろうなあとか思う。 矢晴は、望海可純の漫画はうまいと思ってそうだけど、「ライバル視して同じ雑誌に載りたくないからB誌に移った」ってわけでもなさそう(語られてないだけかもしれないけど)。でも、デビュー作と連載2話目までしか読んでないのに望海可純の名前を覚えてたってあたりは、もしかしたら望海可純に何らかの感情をいだいていそうには思う。 ただ、今の矢晴は、漫画家として人気出てていっぱい売れてる純のことを、「成功した漫画家」として羨んでて、「成功してない漫画家」の自分と比べて、自身を嫌ってそうには思える。 漫画の内容とか描き方とか作風も違うしなあ。お互いを高め合う存在にはなれそうだけど、ライバルではないなあ、と思う。

【感想】第1話 虚・プライド (再)

 感想読み返してみると、第1話はなんだか感想になってなかったな、と思うので、ちょっと書き直してみようと思う。 『二年ぶりに漫画を描いた』1コマ目の一人がけソファーに座る矢晴の姿が、なんだか死刑宣告でも受けるかのように見えたり、2コマ目の目元のアップがしっとりかわいいと思ったり。 何周もして第1話に舞い戻ると、純が古印葵の前だというのに「男性」な感じなのがけっこう違和感出てきたな……って気分になるのだけど、1年も一緒に暮らしてたから矢晴にすっかり慣れたからの変化なのか、第1話だからキャラが定まってなかったからなのか、と、ちょっと本筋に全く関係ない疑問を持ちつつ。 矢晴としては『ブランクでボロボロの絵』『鈍った感覚で構成された緩急のないコマ割り』とうまく出来たとはまったく思ってなさげの漫画を『やっぱり矢晴は…』『古印葵先生は天才だ』から始まって『少なくともあと5周はして』『作品の感想をたくさん言いたいけど……』と古印葵ガチ勢の純が言うってことは、ちゃんと「古印葵の漫画」が描けてるんだなあ、と感慨深く。読んでみたく。 『漫画への思いは漫画で描いて返す』って純が、むっちゃ「男」の顔しててかっこいいんだ、これが。その後の展開が怖くなる予感しかしないけど。 『こいつが』『どれだけ』『褒めようが それが嘘だろうが本心だろうが』『関係ない』というモノローグが、けっこう好きで。初読時からここの流れがかなり好きだったと思うのだけど。純のこと信用してない雰囲気とか、なんかいろいろ。うわぁって気分になったところで、すごい美人な純の顔出てくるから余計に、うひゃぁってなる。美人すぎだろ、純。 『二年前 私は漫画を描くのをやめた』からの自然な流れで過去回想が27歳当時。髪も短くて目の下のクマもない矢晴、かわいい。 『まあ漫画なんてただの娯楽だし』のシルエットと風の吹き方がすごい好きなんだけども、ここも、うわぁってなる。 『最後に描いた漫画は初の連載の第4話』から担当の菊池さんとの打ち合わせ。菊池さん、ちょっと細い。こっから1年ちょっとで、矢晴はガリガリに(もとから細いけど)、菊池さんはもちっとしてしまうのね……。 この過去回想だけ見ると、菊池さんが古印葵を潰したように見えるけども、後からB誌で受けた仕打ちとか出てきて、菊池さんだけじゃなかったなあ、とは思えるんだけども。それでもこう、担当...

蜘蛛

 矢晴のアパートで、眠れず動けずで横になってるところに来る蜘蛛。矢晴の願望『外のことを私に見せないでくれ』と蜘蛛の糸で頭を覆われる矢晴のイメージ。 トラウマな記憶から現実を見ているもののほとんど思考できなくなった矢晴と「一緒に暮らすための契約書を作ろう」とはしゃいで矢晴を抱きしめる純。矢晴の首についている蜘蛛。 純との暮らしのなか、思考の共有中にこたつの上に現れた蜘蛛。 純が差し伸べた救済が、蜘蛛の糸のように脆いものだってことかなあ? とか、純が矢晴を罠に囚えてじっくり喰らい尽くすってことかなあ? とか。折々、現れる蜘蛛がなにを示しているのかは明示されてないから、各人のイメージに一任されていると思うのだけど。 行間を読むってのは、各人の想像力による描かれていないことの補足行為で。私は極力「行間を読みたくない」と思っていて、「描かれていることのみから読み解きたい」と思っていたり。各人が読んだ行間の話を聞くのは大好きだけど、自分は行間を読めないなと思うことはしばしば。 「蜘蛛は矢晴の幻覚と幻聴の産物」という話を見かけて、どこでそれがわかるのかが私にはまったくわからなくて、詳しく聞いてみたいなあと思いながら眺めていたり。 純の家に現れた蜘蛛については、あのロボット掃除機たちに捕まらずに純の家で生息できていてすごいな! みたいな感想しか持ってなかったりはするのだけど。

【感想】第9話 再現・クリエイト

 \祝/ 100記事目! おおまかに末尾が0になる記事で感想を書くようにしつつ、途中、ちょっと詰めたりしたら、100記事目で一番好きなシーンの入ってるエピソードの感想が書けることになり。ばんざい。 さて、本題。 いよいよ純の家に矢晴が引っ越してきて同居開始のエピソード。 まずは表紙。矢晴の部屋の原状回復費用の請求書だか見積もりだかを見ている純の思考が描かれる。『かわいい顔して』と小悪魔な矢晴を想起してるが、この『かわいい顔して』が常套句であるのか、本気で好みの顔で矢晴がかわいいと思っているのか…は謎だけども、矢晴はかわいい。 本編。純の家に引っ越してきて疲れて動けなくなっている矢晴に純が家のことを説明する。純の説明に矢晴は内心でツッコミをいれる感じで進行。 食事について。同居しているロボット掃除機について。矢晴の部屋に置いた小さい冷蔵庫について。矢晴は説明を受けながら酒のことしか考えてないけど、「酒を飲んじゃダメ」って思い込んでる感じがするのは「純がお酒を飲まない」からなのかな? お風呂が沸いて、純に引きずられロボット掃除機たちに押されてお風呂に連行される矢晴がかわいい。脱がされそうになるまで身を任せてる矢晴だけども、そのままにしてたら純が一緒にお風呂入ってそうな雰囲気だなーとは思う。 お風呂上がりに、ぴったりサイズのパジャマを用意してる純がかわいい。矢晴がボタンをかけちがってしまうのはうつの症状かアル中の症状かただのドジっ子か。矢晴の人生がボタンの掛け違いでこうなった的な比喩表現だったりするのかな? お風呂のリモコンに表示されてるのが23時で矢晴がお風呂を出たのが30分後。その後に純がお風呂入ってるから矢晴の部屋で話してたのは0時過ぎって考えると、けっこう夜更しになってるのでは? という気がするけども。 矢晴の部屋でクローゼットの説明をする純。特に疑いもしない矢晴。矢晴のボタンの掛け違いを直そうとする純。お風呂で脱がされそうになり、寝室で脱がされそうになり。サービスシーンかな? 前半は純の家の説明パートで、ここからが物語の本筋になるかと思われる。 矢晴の部屋を出ようとする純に『まだ仕事ですか?』と声をかけた矢晴への純の返答『夜更かしや徹夜してたら漫画描けませんからね』が、矢晴のトラウマを刺激する。 直前までの穏やかな雰囲気とは一変して、矢晴の精神状態が危う...

【売れうつ】という作品について個人的雑感

 第1話のキャプションにある『手の届かない範囲の好きな人たちが死んだり消えたりするたびに起こるスパダリになりたい気持ちから生まれた話。』という一文から、この作品を描いている溺英恵さんは「スパダリになりたい人」ということがわかる。 また、下書き状態とはいえ数日で100ページオーバーの手の速さ、すでに結末までのプロット(40〜45話分)が組まれているという超人的な手腕から、作家さん自身は「望海可純タイプ」と思える。 そんな「望海可純タイプ」の作家さんが描き出す【売れっ子漫画家×うつ病漫画家】という作品は、「古印葵の視点で描かれている」というのが、面白いなと思う。 作家さんにとって純が理想のスパダリなのか、というと描かれた狂気などからは、「理想とはなんぞや?」のような気分になってしまうくらい、望海可純はある種変態(褒め言葉)と思われ。【第6話】のキャプションでネタ混じりとはいえ『売れっ子を異常にすればするほど1話のキャプションが気色悪くなり後悔するが』と書かれていることから、「望海可純というキャラクター」としては「異常性」を盛っている模様。 売れっ子漫画家になるほど大衆に求められる人気の漫画が描ける望海可純が敬愛するのが、うつを患いアルコール依存になって落ちぶれた元漫画家の古印葵。この物語を望海可純の視点で描いたら、けっこうなホラーになるのか、傲慢さが鼻につくのか、献身的に世話をする純に対して恐怖を感じて怯える矢晴の様子に嫌悪感を抱いてしまうのか、などちょっと想像してみても、矢晴の思いや考えが見えないのはイマイチ盛り上がりに欠けるような気がする。 矢晴に焦点をあて、矢晴の内面を描写することで物語が進行し、ふたりの関わりを描くことで純の言動が矢晴にどのような影響を与えたかが紡がれていくことで、矢晴にも純にも共感できるのだなあ、と、思ってみたり。 作家さんご本人がうつを患ったことがあるからこんなに的確な表現ができるのだ、などとはまったく思わないのだけど、表現力が半端ねえな! とは思う。 実際のところ、「演技」や「表現」というものは、そのものを体験していなくても無限に広がる想像力で補えるものだと思っているし、本物でない分、より本物らしくなる気がするので。(なので、トランスの役はトランスの役者がやるべき論などについては、「演劇の敗北」とか思っている人間だったりはする。そこ...

矢晴ぅ!

 【第11話】で、矢晴に敬語使わなくていいよって言われて、むっちゃはしゃいでる純がかわいい。 たぶん純にとっては、タメ語と呼び捨てはセットなんだろうなあと。そこが2歳差のジェネレーションギャップみたいなところなのか、それぞれの生育環境からの差なのか。 でもこのはしゃいでる純と、笑顔になる矢晴の翌日朝が、【第1話】の『頭の中で矢晴を泣かせる奴は誰?』『お前』になるわけで……? 引っ越してきて2日目は、かなり晴れやかに起きてきた矢晴だけども、3日目の朝からはぐずぐずで毎度こう、ってんならいいんだけどもさ。 純の家に来てから多少の上下はあれども、ずいぶんと浮上してきて笑顔まで見せてくれるようになってるから、毎度こうってわけじゃないなら6日目の夜とか未明とかになにか、なにか、あったはずで。と気になっちゃって。と、ずーっとずーっと考えてしまう。 それにしても、はしゃぐ純はかわいい。笑顔の矢晴もむっちゃかわいい。矢晴の笑顔を引き出した純、えらいぞ、純、その調子だ。

断酒5日目

 純の家に引っ越した翌日に矢晴が断酒を決意。 断酒1日目。昼過ぎに目覚めて断酒を決意し、純に協力を仰いだ2〜3時間後、台所を物色し、料理酒と本味醂を飲む。断酒失敗。 断酒2日目。純により料理酒と本味醂が隠されてしまう。矢晴はどこを探しても見つからないから諦めた。断酒成功? 断酒3日目。マウスウォッシュでうがいをするフリをしてこっそりと飲む。すぐに純に見つかってマウスウォッシュが隠される。断酒失敗。 断酒4日目。特にアルコールに関しての記録なし。断酒成功? 断酒5日目。純のクロッキー帳に描かれた居酒屋で酔っ払ってる矢晴の絵を見たが、特に指摘はしなかった。 純と出会う前には相当量のアルコールを毎日摂取していたと思うから、純の家に引っ越した当日夜は酒を飲まず、翌日には断酒を決意。ちょいちょい失敗はしているものの、純に見つかるのが早くて大量に摂取することもなく。 けっこういいペースで酒が抜けてる気がする。いいぞ、矢晴。がんばれ、矢晴。 ただまあアルコール依存が出てしまった場合、それから永続的に脱するためには、生涯の禁酒になるはずで、ある程度断酒が続いても一度でもアルコールを口にしてしまうとまた戻るっぽいから、矢晴も純もこれからが大変だろうなあと思う。 転居6日目(断酒5日目)の、「純のクロッキー帳に描かれた酔っ払った矢晴の絵」が、やっぱりかなり効いてきそうな気がするんだけどなあ。いまんとこ、そこそこ酒のこと考えず、けっこう頭はっきりしてきて純と漫画の話ができてたりするけど、あの絵のせいでお酒のこと思い出しちゃうんじゃないのー? というか、これだけ創作上手い人だと物語上必要ないものは出てこないと思うので「これは、なにか、ある」と思うのが自然な感じにはなってしまう。

隔週ペースで

 来るかなー? とか、勝手にワクワク期待してたけど、来ないなあ。もし明日来たら、再投稿からの隔週ペースみたいにはなるのだけど。 定期的な更新だったら、もうじきもうじき、とかその日に向かってワクワクできるけども、そんな決まった期間での更新は作家さんの負担にしかならず。不定期にでも作家さんの気ままに更新していってほしいとは思っているけど、読者として楽しみにしている分、気分的にはかなりワガママなことを考えてしまう。 第1話で示されたあたりがそろそろ描かれそうなのに、細かく刻んでまだまだ〜って感じなんだもの。やきもきしちゃう。 こういう「次は?次は?」という気分になるのが嫌で単行本でまとまったら読む、とか、完結したら読む、という人が多いのは納得できる。 この作品も、紙で読みたい、単行本で出してほしい、などの要望は支部のコメント欄でもツイッター上でもよく見かける。単行本化を出版社が商業ベースでやってくれたら、紙の単行本にできるかもしれないなあとは思うけども、単行本で6〜7巻くらいにはなろうかというページ数を個人で発行・販売するのはまず無理だろうなと思う。将来的にはペン入れして電子で出すかも、とは作家さんが言われているので、出たらいいなと思う。 でも、やっぱり見開き構成にされている部分とか、左右ページとかをしっかり考えられて描かれているなと思うので、見開きで読める「本」で読みたくなっちゃうなと思う。

2大、好きなシーン

 【第9話】のパジャマ姿で恍惚の表情の純。セリフとともにむちゃくちゃ好きな1ページ。 【第11話】ラストページの矢晴の笑顔。たまらんかわいい。

お掃除

 純の家は、基本的に床掃除はロボット掃除機がやってるけども、たぶんロボットたちの守備範囲は廊下とリビング・ダイニングだけかなあ? とは思う。矢晴は凶暴なロボット掃除機に怯えてるし。怯える矢晴かわいい。 第1話のラスト、矢晴が粗相したときの矢晴の部屋の床がえらいこと荒んでるな、と思って。矢晴の部屋の掃除は誰がやってるんだろう…? と気になった次第。 もともとの設定として、矢晴は掃除などの家事方面壊滅的とかがあるのかな? とも思ったり。アパートのゴミ屋敷は、睡眠不足やらなんやらかんやらの複合でゴミ出しすらもできなくなった結果で『ゴミ屋敷作るほど性格が怠惰』ではないと思ってたんだけども、どうなんだろう? 純が布団乾燥機とかやってて、矢晴をその都度部屋から出してるなら、純が掃除してそうかなー? 布団乾燥機かける毎なら、2日に1回掃除するって感じかなー? とは思うのだけど。 同居して1ヶ月も経ったら、「自分の部屋は自分で掃除する」みたいに言い出すのかな、矢晴。ちょっとでも働かないと、みたいに思って。どうなんだろーなーと。 そこらへんの細かい生活が描かれるのかどうかはわかんないけども、続きが読みたーい。

使命感

 【第11話】で『私は社会的で政治的なものは描けません』『もっと正直に矮小なものでいたい』『使命感から逃げたい人生だったし』と矢晴が語る。 矢晴にとっての「使命感」が何だったのかはわからないが、「自身に課せられる何かから逃れて、漫画という自分が正直であれる世界の片隅で過ごしていたかった」と解釈してみる。 漫画家としての成功も「使命感から逃れる」ために必要なものだったかもしれない。「漫画家」という職業を持っていれば、他を課されることがないから。何かしらの使命感から逃れたい、だが、漫画家としても道を踏み外し病んでしまった現状は、矢晴にとってかなり辛いのだろうな、と思う。 対して、純は、現状「矢晴を助けること」に使命感を抱いているのではないかと思う。【第4話】『この世があなたを見放して孤独にさせたなら』『孤独があなたを殺そうとするなら』『私があなたを忘れないでいることであなたを守ってあげられる』と語ったように、「古印葵=福田矢晴を忘れないでいること、助けること」が、純が自分自身に課した使命となっている。

間に合った純

 矢晴の状況は、やっぱりそれなりにひどかったわけだけど、完全に手遅れにはなってなくて、純が間に合ってよかったなあ、と思う。 アパートの部屋はゴミで埋もれてて、かなりヤバい状態ではあったけど、矢晴自身は、バイトに行けてたし、風呂に入ることができてた。病院に通って薬をもらうことはできてた。 ただ、アルコール依存症もあったから、精神科の薬とアルコールの取り合わせで、いくら薬を飲んでいても良くなりようがなかったとは思うのだけど。 この状態で冬になってたら、いよいよヤバかったかもしれないけども、その前に純が間に合った。 こんな生活になってから1年ちょっとだったっていうのも、まだ取り戻せる程度で済んだところかなあ? と思う。 【第9話】で『好きな人が目の前で死にそうだったからあれこれ悩む暇がなかったんです』とさらっと告白してるようにも思うのだけど、純は矢晴の現状を知って、かなり焦ったんだろうなあと思う。矢晴が精神を病んでるって話を担当編集から聞いたときに最悪を想像しちゃっただろうし。 担当編集から古印葵が編集部に来ることになったよって連絡もらったときは、相当喜んだろうなあと想像できる。 編集部で会えた古印葵はわりとボロボロでかなり心配な状態には見えただろうけど(元気な頃の古印葵知ってるし)、歩いてるし会話できるしで多少は安心したかな? アパートの部屋見たときは、また最悪を想像しちゃっただろうけども。ほんと、間に合ってよかったよー、純。

ふたり以外の人

 編集部を出てからは完全にふたりの世界になっている。ロボット掃除機はいるけど。1階の子たちは出てるけど、2階の子たちはいつ出てくるのかしら…? 純の家のなかで、ふたりで過ごしてくれるだけでもドラマは生まれるし、特に他人の介入を求めているわけではないけれど、純の家に来る家事代行の人とか、矢晴が通う病院の人とか、なんかしら、あってもいいような。 純が編集部に出かけなくなった場合、打ち合わせに担当が純の家に来るようになるのかなー? とかも。アシスタントが来ることはないから、純の家に来るの担当編集くらいしかいないだろうし。 基本的に矢晴視点で描かれてて、純の内面や純だけの行動ってのは純視点のエピソードか、【第9話】の表紙みたいなイレギュラーなところでしか見られないから、純がひとりで出かけたら、「純がいないときの矢晴」の話にしかならないからなあ。純はいったい何してるんだろう、みたいになる。 純のおでかけについていく矢晴とかも見たい。 これはないだろうなあーって思うんだけど、純から片時も離れなくなっちゃう矢晴みたいなのもあっても、いいような。逆に、矢晴が心配すぎてそばから離れなくなる純とか。 矢晴と純が編集部で会ってから約10日で同居してて、編集部に行ったのが秋の終わりの水曜日で、何日だったかまでは言及ないから11月中旬から下旬とか考えてみるけども、そろそろ12月かもう12月か。同居から1ヶ月くらいだと年末年始くらいの頃合いと思えるのだけども、そこらへんの行事的なものは描かれるのかしら? どうかしら? と思ったり。

【感想】第8話 零・クッション

 ほのぼのライフ開始回。 思考停止状態で純の釣り針にかかった前回ラストの続きにはなるのだが、雰囲気が変わる。 矢晴が通っている銭湯が一週間休業になっているということで、純の家の風呂を借りることになり、純の車で純の家へ。純の車、マニュアル車かな。 純の家は風呂も広い。矢晴ガリガリ。かわいい。 純が勝手に服を洗濯しちゃって、矢晴に自分のジャージを着せる純。こやつやりよる……。ぶかぶかジャージの矢晴がかわいい。お風呂上がりでツヤツヤ髪なのもかわいい。 ピザにノンカフェインコーカ。ノンカフェインというところが、純の気遣いか。 自我を持ってる飼い主にも容赦ないロボット掃除機初登場回でもある。追いかけられてる矢晴がかわいい。ロボット掃除機たちも小上がりには上がれないからか、純が矢晴に和室に置いた巨大ビーズクッションをすすめる。 『ダメ人間がのっても変化ないですよね』『…………』『ダメにする…というより人をゼロにするクッションだと思えば』『矢晴さんにとっては今より良くなるクッションじゃあないですか?』というここの会話が好き。矢晴の卑屈な言葉に、『…………』って少し考えてから話すところが、良い。 ピザ平らげて、口の周り汚してよだれまで垂らしてクッションで寝る矢晴と、その口元拭いてあげてる純がかわいい。小さな3コマでさっさか片付けしてる純が、たったそれだけで家事能力高すぎってわかる。こんだけ手際よかったら矢晴のアパートの部屋のゴミ一晩で片付けれるわ。ほわー。 クッションで眠くなってる矢晴。どんだけぶりなんだろうなあ、ちゃんと眠れるの。って感じ。眠ってるとはいえ矢晴をひとりで置いてくの心配じゃなかったのかな? とかちらっと思うんだけども、買い物から帰ってきた純に矢晴が柔らかい顔で『……おかえり』って言って、それに純も柔らかい顔で『ただいま』って言う、このシーンが、すごい好き。かわいい。純の『こんな日がずっと続いたらいいですね』って言葉がすごくいい。再び眠りに落ちる矢晴をなでてる純がこれまたいい。でっかい手。 もうほんと、こんなふうにふわふわ幸せそうな日々でいいというのに、矢晴ったらもう。 『結局私は純の家へ引っ越した』の1ページで、その次のページの飛び跳ねる純と同じ気持ちになる。純、よかったね、憧れの古印先生来てくれて。 引っ越してきて、『人間らしく振る舞わなくていいですよ!』...

矢晴の部屋

 純の家の、矢晴の部屋。 どっち向きなんだろう…? とかも気になるところだけども、玄関から扉は見えない位置らしい。トイレは廊下につながってるとして、お風呂はキッチンの向こう側だから近いかどうかは謎だな…? とは思えるけども、脱衣所か洗面所のどちらかに廊下からも入れる扉があればいいのか。 ちょっと間取図描いてみたくなったけど、わからないところが多すぎてまだ厳しいなと思う。 矢晴の部屋は扉横にクローゼットがあって、クローゼットは出っ張ってる。その奥にベッドが置かれてて、窓の下に小さい冷蔵庫が置かれてて。 クローゼットの中身は、純が通販して開封すらしてない家電で埋められてて。クローゼットがギチギチなのは自殺防止っぽいのかな? と考えると、「物置として使ってた」というのも方便かしら。クローゼットに詰めるために家電をわざわざ買ったのか、家中の使ってなかった家電をかき集めてきたのか。 ベッドの向こう、窓側にサイドテーブル。時計とディフューザーが置かれてる。香りは天竺葵なのかな? 神経系を強くして抗うつとかの作用があるっぽいやつ。これも純が調べて矢晴のために置いたのかなー。 矢晴が引っ越してくるまでの1週間、純もいろいろ準備してたんだなあと思うと、ほんと純がかわいい。 矢晴の使ってる部屋もそうなんだけども、この家、全体的に窓が小さい気がしたりするんだけども、そんなもんなのかなあ? 大きい窓っても庭やベランダがないなら必要ないもんなあ。小上がりの和室の窓はでっかいなあ。温室が庭のかわりになってるのかなあ。とかだらだら考えるのもまた楽しい。

ちくふわ

 【第11話】で『矢晴さんに会ってから』『チクチク言葉は使わない方がいいって実感して反省したことですかね』と言っていて、純が矢晴に掛ける言葉がとことん責めず、優しいことの理由がわかる。 【第4話】では、けっこう「チクチク言葉」になりそうなことを言っている気がする。『うわ防犯皆無』『うわ!!』『くっさ! きったな! くっさ!』『空間がない!』あたりもそうなると思うのだが、最たるものは『じゃあここで死ぬんですか?』『それはやだなあ…』『ファンとして…』ではないかと思う。 「チクチク言葉」なるものを使わないようにしているとはいえ、純の言うことはわりとザクザク矢晴を傷つける形で刺さる。矢晴自身のうつによる被害妄想や極大解釈によることもあるのだが、深く考えずノリでしゃべってザックリいってることは多い。 純の「実感して反省」する姿も見てみたいのだが、矢晴が夜にベッドのなかで被害妄想に苦しんでいるのと同じように、ベッドのなかで「あんなこと言わなきゃよかったー!」とジタバタしてるのかもしれない。

薬と病院

 矢晴は精神科に通ってる、はず。薬は純がアパートの部屋を片付けたときに机にまとめてくれてたから、ちゃんとあるはず。 純の家で暮らしてる部屋に小さい冷蔵庫置いてもらってて【第9話】で『薬飲むときや動けないときそこから水分補給してくださいね ちゃんと定期的に中身を入れに来ますから』と言われてるから、薬を飲むってことは矢晴に任されてて、純が確認するのは冷蔵庫の中身がちゃんと足りてるかどうかだけ、かな。 そもそも初日の夜に『いつもより多めに睡眠薬を飲んだ』って怖いことになってるから、薬を多めに飲もうが、勝手にやめようが、純は知る由もなく……みたいにはなりそう。 【第1話】で『じゃあおにぎりとココアとサプリと薬だけ食べて』『ちゃんと薬の飲み合わせ調べたから副作用はないと思う』って、副作用に言及してるのがずっと不穏だなあと思ってはいるんだけども。ただまあ、サプリと薬の飲み合わせよりも、おにぎりとココアの取り合わせのほうが気にはなる。パンとココアだったらすんなり食べれそうだけど、米とココア…? 病院に行く頻度はまだ語られてないからどうなるんだろうなあ? って感じはあるけども、たぶん居住区が変わった関係で遠くなって、自力で行くのは辛くなってるんじゃないかなー? とかも思うから、純の車で連れてってもらうといい。ドライブデート♪

ボーイズラブと

 ブロマンスは似て非なるもの。 そしてまた、現状の純と矢晴の関係は、 「まったくもって、ブロマンスではない!!!」 と、かなりフォントを大きくしたい気持ちになるのだが、けっこうな頻度で見かけるのだけど、この作品をブロマンスとおっしゃられる御仁は、いったいどのような定義でもって、そのようにおっしゃるのかと、ご高説賜りたく。 と、ビミョーに意地悪く思ってしまうのだけども。 いやさ、【創作BL(ボーイズラブ)】と銘打たれているものを、わざわざ否定して「ブロマンス」というってことは、それなりになんかあるんだよねえ? みたいな気分にもなり。 個人的に、この作品にBL(わりと定義的には男同士のエロとして)は求めてないなあ……って気分から、じわじわと、あってもいいかな? くらいに移行して、自分で二次創作して気持ちの整理をつけて、どんと来い! くらいまで来たものだから。 求めてないなあ……って気分のときでも、この作品をブロマンスだと思ったことは微塵もないので、どこがどうブロマンスなんだろう…? と、率直な疑問ではある。

古印葵の絵

 話が進むにつれ、古印葵がどんな絵を描いていたのかがだんだんと見えてくる。 【第11話】では影の付け方。『……光を 画面の外に何があるか想像させるような形の光をここからここ…カラーなら反射光を補色でここにいれます』『毛の影を長めに強調するのは私の癖です』 【第5話】で純が『線はシンプルめでカラーも線画も透明感のある絵柄』『古印先生なら透明感と光のカラー得意ですし』と言っている。 【第3話】で純が古印葵の漫画を褒めちぎるなかで『線はシンプルだけど確実に正解を選んでて』とも言っている。 純が自身の絵について語ることと考え合わせると、古印葵の描く絵は「ストロークも長く、一筆で正解の線を選び取って描ききっている」と推測できる。 影の入れ方も影を描くというよりも、光を描いているから影ができる、という感じがして。1コマ、1ページの絵がその範囲だけにとどまらず、画面外になにがあるのかまでを読者の心に投影してくるようなひろがりをもっているのではないかと思う。 古印葵の絵、絶対、好みだわー。むっちゃ見たい。古印葵の漫画、読みたい。

衣服

 純のふだんの服装は、かなりラフ。 家にいるときはだいたいジャージか、ラフな衣服にカーディガンとか。けっこうシンプル。ジョギング用のウェアもいかにも定番くらいでなにかこだわりがあるわけでもなさげ。出かけるときもそこまでオシャレに気を使ってるわけじゃない。家にいるときよりは外着って感じではある。 純が衣服にかなり気を使ったのは、古印葵に会えるからって用意した派手なジャケットとシャツ、気合い入れたパンツって感じの一式と、矢晴とお揃いで買ったパジャマくらいな気がするけども。 純と矢晴のお揃いパジャマも初日の夜以来見てないのだけど(単純に描かれてないだけか)、矢晴がボタンをちゃんと揃えてとめれないのがわかったから、パジャマをスウェットに変えたのかもしれないなあとも思える。 矢晴の服装は、とりあえず着れればいいくらいのチープな感じ。お金の使い方はお酒に全振りしてそうな生活になってただろうから服装に回す余裕なんてそもそもないだろうなとは思える。漫画描いてたころはまだもうちょっといい服着てるかな。 純の家で暮らし始めてからは、スウェットに半纏でずっと過ごしてるけども、全部純が揃えたものなのか、矢晴が持ってきた服なのかはわからない。初日の夜に『私のものを新しく買いそろえなくていいですからね申し訳なくなるので』とは言っているから、純も服を買ったりするのは控えめにしてそうだけど。矢晴が持ってきた着古したスウェットだったとしても純の家で洗って乾子ちゃんにかけたらふわふわの快適な感じにはなるかなー。同居1ヶ月で粗相したときは「買ってもらった部屋着」って言ってるから、お揃いパジャマなのか別の部屋着か。 第1話冒頭で1年後として描かれたときの矢晴は、そのままちょっとコンビニとかくらいまでは出かけれそうなトレーナーとパンツって感じはしたけども。1年後、一体どうなっているのか、はよ見たい。 1年も純の家で過ごしてると、矢晴が持ってきた服だけじゃ足りなくて、矢晴の服の大半は純が揃えたものにはなりそうだけど。「似合うと思って」「着てほしくって」ってどんどん買ってこ?

納得いかない

 純の納得いかない世界。古印葵が認められていない世界。 純にとっては、古印葵が世の中に認められて称賛される世界が尤も、ということなのだろうが、古印葵が描き出す世界を認める者は少数派であって、世に広く認められてはいない。 古印葵がA誌で継続して活動していたなら、じわじわと人気が上がる、世に認められるということは「あったかもしれない世界」だとは思う。デビューして2〜3年で短編集を2冊、国内の漫画賞で部門賞、海外の漫画賞で部門賞を穫れるだけの実力はあったのだから、その時点で「漫画の実力は高く、その才能を認める者も多くいた」といえる。 結局のところ、古印葵が姿を消してしまった(B誌に飼い殺しにされてしまった)2年半、A誌に戻ったものの古印葵らしさを殺されてしまった連載、漫画を描けなくなってしまった1年の約4年は、世の中が古印葵を忘れるには十分すぎる期間だった。 【第4話】『なんであなたがこんな目に合わなきゃいけないのか』『納得できない』 アパートの一室でゴミに埋もれて生活する矢晴の、劣悪な環境を見ての純の言葉。矢晴自身にとっても「なぜ自分がこんな目に」というのは日々思うことだったろうとは思うのだが、納得できるかできないかにかかわらず、そうなってしまったのだからそこから抜け出す手立てがない。 純としては、古印葵を認めない世の中に見切りをつけて、古印葵を庇護して自分自身が「古印葵を認める世界」になることにしたように思える。その小さな世界は純の納得のいく世界にはなるのだろうが、ふたりの小さな世界の行く末がどうなるのかは気になる。

ゆるゆると

 第11話の更新は第10話に比べて早い更新だったこともあってか、「更新来てた」と喜ぶ方がゆるゆると増えていく感じ。 「更新来てた」と言われると、え? 12話? と一瞬喜んでしまうのだが、そんなことはなかった……となってしまう。それはまあ私の問題なので別段これといって。 作家さんのキャプションでの伝達からは、「14話までほのぼのライフ」「ハッピーエンド」ということがわかっているのだけど、14話までのほのぼのライフが、何日目までなのか、が気になる。 第11話まででまだ同居から6日。 第8話:矢晴が純の家に転居 第9話:転居当日の夜 第10話:転居2日目から5日目 第11話:転居6日目 第12話は第1話にも描かれた転居7日目(1週間)だと思うのだけど。第9話で『本当に動けないときは大学時代にコミケで使った台車で運びますんで安心してくださ〜い』と言っている台車で運ばれてるもんだから、転居してすぐから動けなくなってた!? と思ったら、全然元気に動き回ってて、6日目の夜に一体何が!? という気分が抜けない。 第12話が転居6日目の夜で、第13話が転居7日目だとしても、「14話までほのぼのライフ」なら、それなりにやっぱりまだ元気だなあ……と思えるし。 日数がぽんと飛んで、第14話くらいには同居から1ヶ月(粗相した日)までいっちゃう可能性はありそうだなと思うのだけど。 矢晴が漫画描き始めるのがどれくらいかなー? というのも気になるし。 同居始めて、純と過ごしてるうちに絵を描き始めるのがいつかなー。同居から3〜4ヶ月くらいにはスケッチとか始めてそうな気はするけど。半年くらいはかかるかな? 漫画の出来上がりが同居から1年で、描きたい漫画の内容とか構成とか考え始めるのは1〜2ヶ月前くらいじゃないかなと思うと、同居から10ヶ月くらいには、漫画に向き合い始めてて? 漫画を描き始めるまでのところで地獄巡り…? 何が起こるんだろう。まったく想像つかないよー。残りの話数で2年ちょい分をということだと、だいたい1話で1ヶ月ずつ話が進む感じにはなりそうな。重要エピソードは細かく刻む、となると、どっかで半年とか飛ぶよな。 矢晴と純との暮らしぶりもじっくり見たいし、矢晴が元気になってく過程もじっくり見たい。矢晴がどんどん純に絆されてくとこが見たい。絶対かわいい。ふたりともかわいい。 一緒に暮らしち...

純の目的

 純が古印葵であった福田矢晴を助けた目的。 最終的には「古印葵の復活」だろうなあと思うのだけど。矢晴は純から同居を持ちかけられて口説かれてるときに、純の目的を聞いてるけども、純の言う『助けるのが目的です』ってことをまったく信じてない。 そりゃあ、会って数日の知らない人からいきなり「あなたを助けたい」とか言われても、騙されて利用されてポイ、とか、期待した結果今よりも悪くなるとか、ありそうだし、矢晴自身、そうなってるから今こんなことになってるんだし。信用できるわけがない。 純が「古印葵だった福田矢晴を助けたい」「古印葵を忘れたくない」ってのは本当だろうし、矢晴を騙して利用しようなんてのは微塵もないはず。「古印葵の漫画が分析できたら矢晴をポイ」なんてことも絶対にないはずで。分析できたとしたって、純が古印葵風に描けてもそれは「望海可純が古印葵風に描いた漫画」であって、「古印葵の漫画」ではないから、純の言う『夢みたいに気持ちいい』ってのは感じられないと思うから。 目的として、「古印葵を自分専属の漫画家にする」はあってもおかしくないかなあ? という感じはする。そうなると、なんかサブジャンルが変わる気がするんだけど。それはそれで……いいかもなあ。 とはいえ、この作品は「二年以上かけて幸せにする話」だから、純の目的は「古印葵を幸せにすること」でそれは達成される、はず。

【感想】第7話 誘惑・ユートピア

 今回は、【第4話 荼毘・アルコール】【第6話 上薗純、曰く その(2)】のラスト、矢晴の部屋を徹夜で掃除した純が、矢晴に同居を持ちかけて『あなたの亡骸は私が拾いたいんです』『死ぬまで孤独じゃなくなる約束しませんか?』からの続き。 怯えた矢晴は部屋の隅まで後退り、体に首、顔がめり込むほどに怯えている。そんな矢晴を見て、純は内省。純の目のアップで目の動きが描写されて、嘘をつこうとしているわけじゃなく自身と対話しているのがわかる。 内省後、にっこりと笑う。その笑顔が作り物くさくて信用できないんだが。 『ルームシェアで暮らすの夢なんですよ』と一通り、同居についての話をして、『また来ますね』と帰っていく純。ここで追い詰めたらダメだしねー、純も徹夜で頭働いてないだろうから、ちゃんとしてて、良い。純が帰る直前のコマの矢晴がむっちゃかわいい。好き。 純が帰ってしばらくしてから、矢晴は布団に這っていく。布団のなかで純に抱きしめられたことを思い出して、『呪いか?』と考えてるとこ。純の気持ちが伝わってる感じがする。正しく伝わってるかどうかは別にして。 『死ぬまで独りで死んでも独りで溶けて腐る想像を毎晩する』から、純が持ちかけた約束は『この病気にとって蠱惑的すぎる』と、矢晴の背骨になにかが芽生える。矢晴はそれを「あいつの呪い」って言ってるし、芽生えた場所は「純に抱きしめられて手の体温が食い込んだ場所」で。純が作用しなきゃ生まれなかった蟲は、矢晴に取り憑いた純の気持ちなのか、矢晴の心が生み出したものなのか。 矢晴が布団に潜ったまま、何もしないで世の中は回り、夜が明ける。矢晴はバイトを無断欠勤していてクビになる。酒がほしいけど動けない、死にたいと繰り返し考えるところとか、蜘蛛の糸にまかれて視界を遮断する想像とか、身につまされる。 昼になって、矢晴のアパートに再度来訪する純。インターホンを鳴らすも壊れてる、声をかけても返事がない、差し入れをドアノブにかけて帰ろうとしたらドアが開く。『…開いた』『不用心すぎませんか?』と顔に焦り汗と縦線が入った純はけっこうレアな気がする。 矢晴を同居に誘い続ける純の言葉が軽くて、「お金は全部出すから」って言われても、初めて会ってから3日目の「望海可純という漫画家」以外のことを知らないのに、信用できるわけもなく。逆に怖い思いしかしないんだけども。純は【第6...

弱者じゃないのよ、矢晴は

 【第11話】で、純の不用意な発言から、『他人に愛される弱者しか救われないって話ですか?』と矢晴の感情を刺激してしまったわけだけども。ここの一連の矢晴の話、けっこう重要そうなのに、純は途中で混ぜっ返しちゃったけど。 【第9話】でも、『どうしてここまでしてくれるんですか?』『私はダメ人間ですけど これじゃあさらにダメ人間になりそうな気が…』『あのまま放っていたら矢晴さん死んでたので』『ほっといたら死ぬだろうなって人私以外にもこの世にいくらでもいるじゃないですか』という会話があって。 矢晴は「ダメ人間」になりたくなくて、「弱者」として救われるのはプライドが許さなくて、世の中にいる不幸だとか弱者だとかの分類に当てはまりそうな人々がいるなか、自分だけを助けようとする純の意図に不信感しかない、かなー。「人の善意」を信じてない(信じたかったけど、これまでの環境・状況からまったく信じられなくなった)。ように、思う。 別段、心理学などを学んだわけでもないので、人の心はこうである、こう分析できるとかってー難しいことは知らないけども、作中の矢晴の気持ちを、作中で見える範囲から想像して、こうかな? と考えたいだけで。 【第11話】『好きなものしか愛せないのが人間の弱さですから』と、【第5話】『みんな他の人が言ってることしか喋りたくないんだ』が、奇妙に呼応する気がして。 純が古印葵を好きなのはけっこう特異なこと、というか、多少なり認められて短編集が賞をとっても、「古印葵のファン」はかなり少数。そのなかでもガチファンというか熱烈なファンというか、純レベルのファンは純以外いなさそう。 純自身も「自分の好きなものでないもの」については話題にしないだろうし、興味もなくて存在することすら忘れるだろうと思う。好きなものしか愛せないのは誰しもそう。 「弱者」に対する「施し」であっても、その「弱者」が「施しを与える者(強者)」に愛されていなければ「施し」すら受ける機会がそもそもない。みたいな話。矢晴のいう『強者の中で他人を愛する才能のある者』っていうのは「博愛主義者」ってことかなと思うけども。結局「博愛」だから、「弱者にも平等に向ける愛がある」ってことで、わりとやっぱり堂々巡りしそう、かな。そもそも「弱者だから助けてあげなければ」みたいなのが出発点になるのなら、「強者の傲慢」みたいなもんで。 純が...

アナログとデジタル

 【第1話】の矢晴の過去回想では、紙の原稿の束を持って、右手はインクで汚れて、左手にはトーンのカスと思しきものがちらちらとついている、という感じ。机の上にはペンや道具が散らばって……。……あれ? もしかして案外やっぱり整理整頓や掃除が苦手系の人……? 連載作品やってるときのペンはつけペンっぽくないから、デジタルっぽい。と、思う。液タブか板タブかはわかんないけど。同居から1年後に再び漫画を描いた時はデジタルっぽい。 【第2話】の矢晴の過去回想では、22歳ではアナログっぽい。25歳でB誌から連絡が来たあたりでは、キーボードの下に板タブがあるっぽく。けっこう大きめのしっかりしたパソコン本体にディスプレイもそこそこ大きいから、デジタルでやってるっぽい、かな? 【第4話】で純に掃除された部屋には、パソコンがない感じ。連載やめた後にお金に困って売っちゃったとかかなー? とも思えるのだけど、どうだろ。 【第11話】で『私はこの感覚を知ってる だから解る』というシーンに映る矢晴は、液タブ使ってるっぽくも見える。角度つけた台でアナログっぽくも見える。 【第5話】では、純はアシスタント先はアナログっぽい。古印葵の布教活動に入ったときには完全にデジタル環境で、アシスタントも在宅のデジアシ。もともと自分の漫画はデジタルでやってたのか、デビューしてからデジタルにしていったのかはわからないけども。板タブ使ってて、モニタは2つ。下を見ないから首やら肩やらはそんなにこることなさげ。姿勢良く描けるようになってる。 【第8話】ではコタツでネームやってるけども、これはタブレットPCかな? 【第10話】では矢晴にネームを見せるのにタブレット使ってて、修正もそのタブレットでやってる。 【第11話】では純の落書きが見れる。クロッキー帳にシャーペンで。クロッキー帳持ってきた時、一緒に消しゴムも机の上に置いてたけど、あんまり消しゴム使ってる感じはなかったな。

フィクションでエンタメ

 【売れっ子漫画家×うつ病漫画家】は、フィクションで、漫画というエンタメ作品。 フィクションの力というものは存分に発揮されていて、「これは私のことだ」とか「これは私の言いたいことを代弁してくれている」とか諸々、刺さる人には刺さる的なこともあり。 とはいえ、フィクションだから、矢晴の病状はうつ病やアル中の症状のうち、代表的なものとか、巷にあふれる体験談などからの取捨選択による抜粋であろうから、「これがうつ病のすべて」とか「これがアル中のすべて」とかでは決して、ない。純の対応も、純が矢晴に対して行っていることであって、「これが正しい対応」ということも決して、ない。 あくまでも漫画というエンタメ作品の登場キャラクターが患っている症状、対応としてしか表現されていない。 フィクションとしてのリアリティーをもって、作家の想像力と表現力によって、物語が紡がれている。そして紡がれた物語のなかを生きるキャラクターが魅力的で、彼らの行く末が見たくなる。ハッピーエンドは約束されているから、そこへ至るまでの彼らの物語が見たい。 「うつ病」というのが、精神疾患ということもあり、かなり取り扱いに注意が必要というか、患っている当事者からすれば、「エンタメとして消費するとはなにごとか」という向きもあるだろうが、「エンタメとしてでなければ表現できないこと」「エンタメでなければ表現できないこと」もある。 と、私は考える。 もし、この作品が、商業作品として世に出されたならば、「正しいうつ病の知識を啓蒙すべき」だの「信頼の置ける医療監修のもとで出版せよ」だのと、フィクションをフィクションとして済ませてくれない輩が登場するような気がする。 商業作品にはそれ相応の責任がつきまとうのはわからないでもないが、一度世に出された作品までもが、抗議によって作品内容を変えられてしまうという前例ができてしまった今、この作品が商業化を断ってくれているというのは、この作品が変わらない・作家の思うままの表現をしてくれる、という安心材料ではある。

体格差

 純と矢晴の体格差が好きで。 純の身長や体重はわからないけども、かなりいい体つきしてるし、筋トレやジョギングして体作ってるし、漫画描く時の姿勢もいいから、身長よりも大きく見えそう。第1話表紙の矢晴との比較だと170後半〜180前半くらいにはなるのかな? もっと大きいかな。 矢晴は純の見立てだと身長は160センチ台前半(160〜165)でパジャマはMサイズ。すっかりガリガリになっちゃって、漫画描く時もわりと猫背気味だったけど、今は筋力もなく鬱々として猫背が板についたみたいな感じ。身長よりも小さく見えるだろうなあと。 そもそも第2話冒頭で一緒にお風呂入って、矢晴のヌードと純のパンイチは見てるのだけど、第11話で、矢晴の被害妄想のなかで、矢晴のガリガリの背中に馬乗りになった純がペンで文字書いてるシーンなんかはかなりドキドキする。 コタツで後ろから手を重ねたところなんかは、その体格差がヤバイって感じで。すっぽり包めちゃうところがいいわ〜。純がクッションで底上げしてるからよけいにすっぽり感が高まってるのも、いい。 矢晴は体調回復の一環として、純と一緒にストレッチでもしたらいい。そのうち純と一緒にジョギングできるようになったらいい。 純の家に来る前は頬がこけた感じがしてたけど、純の家でやっぱりちゃんと食事とってるみたいで、頬のこけた感じはなくなったなと。ふっくらした、とまではいかないけど。数ヶ月もすれば、それなりに肉ついてくるかなー。太りはしない体質っぽくは思えるけども。 逆に純は太りやすい体質なのかも…? 高校時代までは太ってて、大学を機に痩せて、それからは太らないように筋トレとかで体重維持してるみたいな。どうなんだろうなあ。

望海可純の絵

 望海可純は自分の漫画があまり好きではなくて、絵も理想から程遠いのが悩みのタネらしい。累計1400万部を売り上げる人気作家だというのに、本人はそれに納得がいっていないところが、相対的に望海可純が理想としてる漫画家・古印葵の天才性を浮き彫りにする。 【第11話】『私どうしてもストロークが下手で』『線を重ねがちでこういうガサッとした絵柄になっちゃいまして』『いる線いらない線の取捨選択も苦手で絵が野暮ったいんですよね』『正解の線だけ残せてないっていうか』と、自身の絵に対しての悩みを吐露する。 【第3話】『絵が映画みたいでページ全体のデザインがセンスがあって線はシンプル だけど確実に正解を選んでてカットの選び方とストーリーへの組み込み方と描き方… 一番すごいと思ってます理想です』と、古印葵の絵に対して語っているように、望海可純の絵と古印葵の絵は、かなり違うようだ。 望海可純はこれからの古印葵との暮らしによって、画力は向上するような気がする。理想とする線に近づいていくとも思えるのだが、現在の絵についているファンからしたら、「以前のほうが良かった」となる可能性もあり。キャラクターのコンセプトなどは変わらず絵柄だけが洗練されていくのならまだ良いが。 【第10話】で、古印葵が危惧したように、作家の作風が変わったために、その作家のファンであった人間が好んでいたものがなくなることは、けっこう多い。「これはこれでアリ」と変わらずついてくるファンもいれば、「コレジャナイ」と離れていくファンも出る。望海可純はそのどちらでもなく「コレジャナイから元の魅力を布教しよう」という一種、過激派のファンだ。 一番良いのは、古印葵との暮らしによって、「望海可純の漫画と絵」を望海可純自身が納得して受容することかなと思う。古印葵に褒められたら一発な気がするけども。もともとデビュー作の時点で古印葵は望海可純の漫画がうまいと言っているし、連載開始で「さらにめちゃくちゃ漫画がうまくなってる」とも言っているのだから普通に褒めてくれそうな気はするけども。読んでくれたら。読んでくれるのかなあ? 資料用に付箋つけた単行本出してきて置いてたりはするから、いつの間にやら読み始めてた、みたいなことは起きそうな気がする。楽しみ。 余談。前回もそうだが、今回も、使用するペンが変わったのか、ペンタッチが変わったのか、これもう絶...

■【売れうつ】の二次創作(3)(小説)

 第11話の19ページ下段から24ページ上段くらいの、純が怖いバージョンを考えてみたけど、別に怖くないな…? という気分にはなっている。(むしろ純のこと書いてないし) 純の怖さって、「矢晴が感じる恐怖」と「矢晴の感じる純の得体の知れなさ」かな? とは思うので、純自身はすごく純粋に古印葵=福田矢晴への愛からの行動で微笑ましくてかわいいんだよな、とは思っている。矢晴以外の人間(古印葵に害をなす・古印葵をみとめない)に対しては素で怖い人ではあるけども。第11話では、矢晴は純に対して恐怖をまったく感じてないので、ずいぶん馴れたものだと。 第10話からそうなのだけど、純が矢晴の前だとけっこうおバカ全開みたいになってて、第11話で弟が欲しいって言ってるけども、純はかなり矢晴に甘えてる感じがして。でも矢晴をお兄ちゃんみたいに思って甘えてるわけでもなし。純が弟を溺愛する感じでもなし。 古印葵の漫画が純の理想で、古印葵を神みたいに崇拝してて、ってこと考えると、矢晴がママか………? 聖母なのか…? ちょっとしっくりきた。 ■

推し活

 現状、純が矢晴を養ってるのは推し活だと思ってるんだけども。だから純としては別に矢晴が働く必要を感じてないと思う。そこに存在するだけで貢ぎたいってだけだと思うし。 矢晴は「働かず金も稼がず何もせずで日々を浪費し続けること」に抵抗があるとは思うんだけど。んでも、まだ純の家に住んで1週間も経ってないんだからそんなこと考えるのはやすぎよー、ってなだめたい。 【第11話】で、矢晴が『これじゃ私ただのヒモじゃないですか』って言った時、純は『矢晴さんはヒモの才能がありますよ』『他人にほっとけないと思わせる人間って そんなにいないですから』って答えたけども、一番ダメなやつ。 そもそも、矢晴が「他人にほっとけないと思わせる人間」だったら、編集からも彼女からも家族からも見放されてないと思うし。ここは「純自身が矢晴を庇護したいから、勝手にやってる」って話をするのがよかったよなーと思ってる。 あとは、「働きたいなら、まずは身体と心を治すためにゆっくりのんびり過ごしてほしい」とかかなー? 「私の推し活なので、矢晴さんはここに住んで元気になれるよう過ごしてくれるだけでいいです」「は…はい」って感じに押し切る話はちらっと頭に浮かんで、ふふふ、みたいな気分にはなるけども。 純の失言は今に始まったことじゃない、考えなしに言っちゃうとこがある。それがわりとピンポイントに矢晴を追い詰めるし、矢晴の地雷踏んでるとこがあって、そのすれ違い加減と相手の真意のわからなさ、が作品として面白いところと思ってる。 矢晴が『他人に愛される弱者しか救われないって話ですか?』って話しだしたのを、純は『それが矢晴さんの漫画の才能ですよ』って、話をそらしちゃうけども、純自身がそういう社会的なことを考えたくないのか、「純が古印葵を好きだから、矢晴は救われない弱者から救われる弱者になった」ことから話をそらしたかったのか。 社会構造的に、福祉の恩恵を受けるものは「申し訳無さそうにしろ」だとか「助けてほしければ愛されるようにしろ」みたいのがあって、そりゃあ尊大な態度で助けろそれが当然だみたいな人がいたら誰が助けるもんか、みたいになりそうだけど、殊更、遠慮がちにどうか優しさを恵んでくださいみたいにへりくだる必要もなく。 とはいえ、「誰かに手を差し伸べられなければ助からない、手を差し伸べてもらうには愛されないといけない」ってのは...

4分の1

 40話〜45話予定として、最大45話で考えても、4分の1、第1コーナーを曲がった、みたいな気分。 【2年以上かけて幸せにする話】で、出会い(1日目)から再訪(3日目)、同居(再訪から1週間後、10日目)開始から転居6日目(出会いから数えて16日、約半月)で、劇的に矢晴が回復してる。もともと、最悪の状態にまで到達してなかった(間に合った)状態だから、環境整えて睡眠と栄養と十分にしたら表面上は劇的回復するかな。 話としては、同居開始から6日目まで3話に渡っていて、細かく刻んでる。まだあと2年近くあるので、残り34話予定で2年。たぶん1年後に古印葵が再度漫画を描いた時から純がお返しに描いた漫画でどうこう、あたりはまた刻んでくる気がするけども。ドキドキするー。 描かれてないだけなのか、本当に出かけていないのか、週1編集部に行っていた純が矢晴と同居してから出かけてない気がするんだけど、打合せをオンラインに変えたのか、家に編集に来てもらうことにしたのか。 こっから編集部には行かなくなったら、ほんとに古印葵の情報仕入れるためだけに編集部に通っていた説が裏付けられてしまうのだが。それはそれで、よき。 担当が望海可純の家に来て打ち合わせしてるときに、矢晴がいつもの半纏姿で通って、担当が「なんで古印さんがここに!?」ってなってるところ、純が「えへへー、古印先生に無理言って同居してもらったんですよー」とかって惚気けてくれたら、かわいいな、と思う。

新しい表紙、かわいい

 【第11話 蜘蛛・オキシトシン】の表紙が差し替えられた。 差し替え前の表紙が見れるところ 最初の表紙がセンシティブ判定されたらしく。今回、ログインしてないブラウザからはたしかに見れなかったのだけど。そういう理由だったのかー。 新しい表紙は純と矢晴が前屈してて、かわいい。お詫びの礼も兼ねてるのかしらん? 毎度そこそこコメントたまったところでコピーしてじっくり読もうと思っていたから、今回の差し替えでコメント消えちゃったのは残念無念。 最初に【第11話】がアップされたのは8月5日だったと思うのだけど(ほぼ毎時みたいに更新確認してるからさすがに前日の更新見逃したはないはず)、新しい表紙では『8/4にアップした』とあって、4日にアップする予定だったのならほんとにぴったり2週間(隔週刊)で更新する予定だったのかな? と次の更新2週間後? とワクワクしちゃう。

【感想】第6話 上薗純、曰く その(2)

 純パート、その2。その1に続き、表紙の憂いを帯びた純の表情もすてき。こういう顔、誰にも見せてないよね、純。 前回の続きで編集部から。何時に来てたのかはわかんないけど、夜8時くらいまで打ち合わせしてるって、純が粘ったのかなんなのか、長すぎじゃないか? で、編集と食事に出かける。 車の後部座席で『納得いかない』『この世に納得いかない』って考えてるのが、ちょっと怖いところ。(第11話でも思うことだけども、純の思考対象はでかいな) 編集との食事も、古印葵の情報収集目的だったし。情報持ってないから諦めてるけど。この担当、わりと口が軽いってか、なんでもべらべらしゃべってくれるから、純にとっては都合がよさそう。四階についての予備知識を入手。ここで四階のことを知ってるから、「望海可純が四階を古印葵にけしかけた説」がでるのかな。 私は、ここで「四階の扱いに困ってる、編集部では叱るタイミングが難しい」と聞いてるから、「古印葵に罵詈雑言言った四階を、仇討ちついでにこらしめて、古印葵に会う機会をつくってくれた担当に恩返し」と読んでるけども。 そして時間が進んで、古印葵とカフェ。サインをねだる純。『この名前ももう捨てたんですけどね』『私は』『ずっと覚えてました これからもずっと覚えてます』というのが、矢晴にとっていい言葉になってるのか、ただのプレッシャーなのか、呪いなのか。ただまあ、作家としては「そんなにファンだって言うなら、消える前に出てきてくれよ」って感じな気もする。 カフェを出てから居酒屋へ移動するまでの道中。ミント色の錆びた鉄柵。古印葵が足を止めて、『あの色いいなって』と、感性が死んでないことが明らかになる。『写真撮らないんですか?』と言う純、授賞式の古印葵のスピーチをはさんで、『……今はもう必要ないので』とうつむく矢晴。このシーン、好き。 夜になって、居酒屋。(桜紅屋:第11話の純のスケッチで判明) 矢晴が語る映画の話をニコニコと聞く純。『でも絶対助けてくれる主人公が…』『やっと手に入れた大金を盗まれたのに「たかが金」って言ってくれるなら…』『希望じゃぁないですか』と酒に酔って血色の良くなった矢晴。この『たかが金』の話を矢晴は覚えてないんだけど、純の心にはしっかり刻まれた。純は矢晴にとって「絶対助けてくれる主人公」になりたいし、そのためなら自分の持ってる「たかが金」はどれ...

6日目の夜から7日目の朝

 今回の【第11話】で、6日目の夕方からの数時間が描かれてて、夜ご飯はまだっぽいし、夜寝るまでにも数時間ありそうだから、そこらへんで次の第12話かなー。 7日目の朝、ベッドで歯磨きされてたり台車で運ばれてたりも、実は朝はぼんやりしすぎててまともに起きれてないから、毎朝こう、って可能性もありそう。昼過ぎとか夕方くらいからどうにか動き出すみたいな。 6日目で、純のクロッキー帳で、居酒屋の矢晴が描かれてたのを、矢晴が特に指摘しなかったのが、気になる。後から効いてきそう。夜に自分の部屋に戻ったら、純の絵思い出して、「お酒飲むことが気持ちよかった」って思い出しちゃって、離脱症状とうつひどくなって朝起きれない程度ならまだいいかな。 【第11話】のラストページが、笑顔になってる矢晴がかわいいねえ、よかったねえ、ってうるうるっときちゃうところに、芋虫爆ぜてる感じがね、気になる。幸せ感じて芋虫がむくむく成長してる図だったら、順調に育ってるねえって安心できそうなのに、半身骨のなかで爆ぜてるって、なに!? なんの表現なの? 骨の表面にいた芋虫が同化するってことかなあ? 骨の内部に入り込んで、すみずみまで純の愛情が浸透するみたいな? それならいいんだけど、いったいなんなんだろう。わかんなくてドキドキする。

思考の共有

 って、えっちですね。 純がうまいことやりやがって、後ろから抱きしめて(抱きしめてはない)、手を重ねて。考えてることなぞらせて。純は絵を描くのも楽しかったんだろうけど、矢晴を抱っこしてるのがまた楽しかったんだろうなあと思う。だらんと垂らした左腕で矢晴を抱き込んであげればいいのに。 純とのふれあいに慣れてきたってのもあるだろうけども、矢晴が触れられることに抵抗がなくなってるし、肌も合うみたいで、よかったわ。ほんとに生理的に合わない人だったら、ちょっと触れられるだけでゾワゾワしてピリピリしてってなるから。 純が大きいのもいいよねー。座り心地のいい椅子。大きなテレビで映画でもってなったら、ソファーで純が座ってるとこに毛布持ってきて純の足の間におさまって純を背もたれにしてほわほわしてほしい。かわいい。 純が影の入れ方聞いた時に、なにかと比べたりもせず『へえ〜〜なるほどなぁかっこいい…参考になります』って褒めてて、それに対して矢晴の耳が赤くなってるのが、かわいくて。その直後に純が地雷踏んでプラマイゼロみたいになっちゃったのがあかんけど。 矢晴の話聞いた後のトーンに沈んだ純の顔って、やっぱり「地雷踏んだ」「取り繕わなきゃ」「そうだ!」みたいな感じなのかなあ? もーほんと、純ったら、初日の夜に言ったみたいに「好きな人だから一緒にいたい、幸せにしたい」とか言っとけばいいのに。「矢晴さんが生きてるだけで私が幸せだから、役に立ってる」とかでもいいかな。とはいえ、どんな言い方しても、たぶんダメだけど。でも一番ダメな言い方をしたと思う、純。 同居初日【第8話】に『人間らしく振る舞わなくていいですよ!』って言ってるんだから、「ここでは働く必要ないですよ、のんびりしてくれればいいですよ」くらいだったら、まだいいかなあ? って、話がそれたけども。 こういう思考の共有は、これからもちょいちょいやってくれるのかな? そのうち手を入れ替えて、古印葵の思考を純に伝えるみたいになったらいいな。

てんこもり

 予想外に早い更新で、隔週刊みたいな。うれしいー。 今回、なんかいろいろてんこもりのほのぼのライフ。 矢晴には姉がいて、純は一人っ子。矢晴の漫画に少女漫画の技法が入ってたのは、矢晴が子供の頃から日常的に少女漫画も読んでたからなんだなあと。漫画に入るきっかけが姉が読んでた少女漫画っぽい、かな。 純は川辺をジョギングしてる。布団には布団乾燥機とダインソを2日に1回。洗濯と乾燥機は月1回。ふかふか清潔すぎる気がするんだけども。無理矢理にでも矢晴を布団から出す時間つくるためなのかもとからこうなのか。転居4日目も乾燥機かけられてたもんね。 純が矢晴に会ってから『チクチク言葉は使わない方がいいって実感して反省したことですかね』ってのが、いい。矢晴の影響ってより、矢晴を追い詰めないためだろうけど。 泣いちゃう矢晴がかわいいー。覗き込んでる純もかわいい。 矢晴を抱くように矢晴の後ろから座る純がいい。手を重ねて。『いつもの奇行』と矢晴に思われてるところがまたいい。純のボディタッチに抵抗なくなってるし、なにしても受け入れてる矢晴がいい雰囲気。 純のクロッキー帳には居酒屋で酔った矢晴のかわいい顔が描かれてて。ジョッキがぐちゃっと消してあるのは、矢晴が断酒するって決めたことを受けてなのか、酒がこの人をダメにしたみたいな気持ちからのものなのか。 『顔は見えないけど楽しそうに描いてるのがわかる』ってシーンがたまらんかわいい。その後矢晴が沈みそうになったけど純の話で引き戻されてるのもいい。 純に対して『セリフも絵も野暮ったさを嫌う人だなあ』って思ってるのが、あとあと効いてきそうな気がする。 思考の共有で描いた純の絵に、矢晴が影を入れて、ふたりの初めての共同作業! みたいな気分になってるけども。純にとっても宝物だろうなあ、この絵。 『矢晴さんはヒモの才能がありますよ』って純のセリフ、そんなこと言っちゃダメだー! そこは「私が矢晴さんと一緒にいたいだけです」とか言っとかないとヤバイぞーって思ったら、案の定ヤバかったところ『他人に愛される弱者しか救われないって話ですか?』で蜘蛛をつぶす(つぶしてなかったけど)ところがドキドキする。自分がそのシーンで思ったことはいろいろ社会構造だとかの話になるから割愛するけども、矢晴の話を聞いて『それが矢晴さんの漫画の才能ですよ』って純が言うところ、むっちゃ共感...

だい11わ!

 きゃー! ほのぼのライフ。かわいいー。 あと、純、すげえがっつり矢晴を漫画に引き戻そうとしてて、やべえ。 最初からフォントが明朝系でなんか違う雰囲気の漂う。 敬語のあたりはこう来たかー。ふふーかわいい。純はしゃぎすぎ。かわいい。 矢晴の笑顔がむっちゃかわいいところで、芋虫が爆ぜてる雰囲気が。わーわー! またあとで数周してから感想書こう。

【感想】第5話 上薗純、曰く その(1)

 この話は、待望の上薗純パート。 なぜ、望海可純はこんなにも古印葵に入れ込むのか、が明かされる。 旅行中、寝台列車のなかで初めて古印葵の短編『春眠の底』を読み、心を掴まれる。そのまま10周してしまうあたり、ずぶずぶにハマってる。旅行中の寝台列車という非日常な空間だったことも影響してそうなんだけど。 日常なら、ただ毎週買ってる雑誌にたまたま載ってた短編をその場で読んですぐに忘れる、なんてことはザラにある。でも、『芯の部分を分析できない 言葉にできない』『こんなに魅力的なのに正体がわからない』『今まで触れられたことのない場所を触られたような…』までいっちゃってるから、その場では忘れたとしても、心のなかにずっと潜み続けそうな気はする。いつかは絶対どっぷりいくやつ。 純が実物の古印葵を初めて見れたのが、E・B大賞の授賞式。師匠の牧野先生に連れてってもらって、という話。頬を染めてスピーチする元気な頃の古印葵がかわいい。これはかわいい、純が惚れる。いや、いまもかわいいけど。 牧野先生の話しぶりだと、アシスタントの純が授賞式の案内見た時にでも「古印先生がいる!」って大騒ぎしたんだろうなと、連れてってほしくてがんばったんだろうな、って感じがする。もともと読んでいたのか純にすすめられて読んだのかはわからないけども、牧野先生もちゃんと古印葵の作品読んでくれてるのも嬉しい。『見学したいって言ってたけど実際のところ』『サインもらいに来たんだろ? 行きなよ』って純の背中を押してくれる牧野先生やさしい。けっこうな大御所作家さん(E・B大賞の大賞)に可愛がられてる純もなかなかスゴイ子だなと思う。 純は純でがんばって、古印葵を追いかけて月例賞に応募してA誌でデビュー。けど古印葵はいなくなっちゃった。ちっちゃな予告見て『3年ぶりに古印先生がA誌に帰ってきたときは本当に嬉しかった』って喜んでる純がかわいい。 『けど』 古印葵の新連載読んで愕然とする純が切ない。ここで「古印葵がスゴイと思ってたのは自分の勘違いだった。古印葵はオワコン」的な思考にいかなかった純の盲信もたまらんうえに、純の行動の傲慢さもなかなかのもの。 インタビューのときの『今そんな話してないんですが』って顔。アシスタントのライングループ退会しちゃうとこ。アシに『もしかして先生って感情がない?』なんて失礼極まりないこと言われたときの...

■【売れうつ】の二次創作(2)(小説)

 一度、二次創作をすると、次から次へと書きたくなるなど。 わりと創作中はそっちに頭持っていかれて、他のことに頭回らなくなるなと実感中。 普段からそうではあるのだけども、書きっぱなしで推敲なし(書きながら遡って直したりはしてるけど)。 今度のは特にBL風味はなく。矢晴のバイトがこうだったらいいなという、もしもの話。 ■

忘れたくない気持ちと忘れられない呪い

喫茶店でサインをねだられた時の 【第6話】『この名前ももう捨てたんですけどね』『私は/ずっと覚えてました これからもずっと覚えてます』のシーンの矢晴の気持ちはどうなんだろうなと、考える。【第2話】で連載を投げ出したことを謝って『それで全部終わりにしよう』と、たぶん漫画家であることをやめようとしていたはずのところを、純に引き止められた感じ。漫画家としての古印葵を「覚えてた・これからも覚えている」と言われるのは、「古印葵が生き続けてる」ってことになる。 忘れ去られたら、生きてないことになるし、そもそも存在していないことにもなる。【第1話】『世界はまるで初めから私がいないように振る舞う』【第6話】『みんなに忘れられたから金をもらえなくなって 金がないから全てが不足して 全てが不足したから持っていられたものを落として なにも持ってないからみんなから忘れられる』 【第4話】での『古印葵は死んだと思ってください』という矢晴の訴えに、純は『古印葵が死んだとしてもこうして話せるなら』『私はあなたを一ミリも忘れたくない』『この世があなたを見放して孤独にさせたなら』『孤独があなたを殺そうとするなら』『私があなたを忘れないでいることであなたを守ってあげられる』と抱きしめる。 純にとっては「忘れたくない」という強い気持ちがあるし、忘れられないでいてもらえるってことは矢晴にとってはすごい救いに思えるのだけど、同時に、矢晴を古印葵に縛り付ける呪いでもあるなと、思う。 矢晴は病むほどに古印葵であったってことなんだけども、もし矢晴が古印葵を捨て去ってたら、存在しなくなってしまった古印葵を求める純がいたのだろうか。結局、純も忘れてしまったかもしれない。 【第10話】で『まだ古印葵は死んでない』と純が確信できたことと1年後には古印葵が漫画を描き始めているから、「矢晴自身が古印葵を忘れ去る」という状況は生まれないけども。

純と矢晴の言葉遣い

 今のところ、お互い、さん付け、ですます調で丁寧。ふたりとも一人称は『私』。二人称は『あなた』。 内心でしゃべるときは「お前」「こいつ」と少々乱暴な言葉も出てくる。矢晴は純に追い詰められたときには『何様だよあんた!!』と口走る程度には、フランクなしゃべり方になる。【第1話】の同居1週間後でも『頭の中で矢晴を泣かせる奴は誰?』『お前』という会話があったり、丁寧にしゃべる場合でない言葉遣いは、わりと乱暴かもなあ、という感じで。 高度な言語化の能力と人への優しさが描写されてるから、福田矢晴はもうちょっと穏やかなしゃべり方をするんじゃないかという印象もあったりして、そこらへんちょっとキャラクターがつかみきれない気分にはなる。 今のところ、上薗純のほうが、穏やかなしゃべり方、言葉選びかなと思う、矢晴を相手にするときだけかもしれないけども。古印葵を相手にすると、ちょっとおバカっぽくなる気がするので、そこらへんのスイッチはどこだ? とは思う。

だんだんと

 漫画っていうのは、連載が続くにつれて絵柄が変わっていくものだなとしみじみ思うわけだけども、【売れうつ】も、最初は完全に下描きモードで描かれてたはずなのに、今は「これが下描き…?」というレベルに感じるほどしっかりした線が入っているように思う。トーンとかの効果もしっかり入れられていて、これが息抜きで下描きと言われると世の漫画描きさんはそれはそれは恐れ慄くのだろうなと思った。 個人的には、そこまでしっかりした線にしなくていいから、さくさく更新してほしいという、かなり身勝手な欲望を持ってしまうのだけども。だって、はやく続きが読みたい。 もはや、下描き、ネームといわず、プロット、セリフのテキストだけでもいいから最後まで知りたい……という気にもなりつつあったりして、自分を殴りたくはなる。 だって、毎度毎度、次はどうなんの!? って気になっちゃうくらいに漫画がうますぎて。 だって、『まだ古印葵は死んでない』んだよ!? でも、転居1週間であんな動けないなんて、続きが気になるー。1年後に古印葵の漫画読んで望海可純が描く漫画も気になるー。 だってもー。だってが多い。 なんかちょっと二次創作してみたら、気持ちの整理がついちゃったというか満足したというかで、ブログに吐き出したい気持ちが薄れた感じがしないでもなく。創作ってやべえな、という気分にはなる。うずまく気持ちの大放出だもんな……と、考えると、『漫画への思いは漫画で描いて返す』っていう純もそうとうヤバそうな気がしないでもなくなってくる。 この時の望海可純の漫画は大衆受けしやすい系統の「望海可純の漫画(言葉が親切)」なのか、必要最小限のセリフ、絵や画面構成で魅せる映画のような漫画で描くのかと気になる。 純もそんなに自分の漫画に不満があるなら、連載の傍らで古印葵みたいな作風を目指した短編でも描いてみたらいいんじゃないのか…? と思ったりもしたけれど、たぶんそれをやるとどっちもダメになるんだろうな、という気がした。器用にいろんな作風を操れるようになれば最強だろうけど、純はそもそも「古印葵みたいな漫画を描きたいけど自分には描けない・自分が描くとそうならない」ってのが悩みの種っぽいし。 難儀だねえ。 また別の話だけども、【第10話 経験・アンデッド】で、矢晴が純のネームを読んだ後、『まんまと流されて一年ぶりに漫画を読んでしまった…』って...