推し活

 現状、純が矢晴を養ってるのは推し活だと思ってるんだけども。だから純としては別に矢晴が働く必要を感じてないと思う。そこに存在するだけで貢ぎたいってだけだと思うし。

矢晴は「働かず金も稼がず何もせずで日々を浪費し続けること」に抵抗があるとは思うんだけど。んでも、まだ純の家に住んで1週間も経ってないんだからそんなこと考えるのはやすぎよー、ってなだめたい。

【第11話】で、矢晴が『これじゃ私ただのヒモじゃないですか』って言った時、純は『矢晴さんはヒモの才能がありますよ』『他人にほっとけないと思わせる人間って そんなにいないですから』って答えたけども、一番ダメなやつ。

そもそも、矢晴が「他人にほっとけないと思わせる人間」だったら、編集からも彼女からも家族からも見放されてないと思うし。ここは「純自身が矢晴を庇護したいから、勝手にやってる」って話をするのがよかったよなーと思ってる。

あとは、「働きたいなら、まずは身体と心を治すためにゆっくりのんびり過ごしてほしい」とかかなー?

「私の推し活なので、矢晴さんはここに住んで元気になれるよう過ごしてくれるだけでいいです」「は…はい」って感じに押し切る話はちらっと頭に浮かんで、ふふふ、みたいな気分にはなるけども。

純の失言は今に始まったことじゃない、考えなしに言っちゃうとこがある。それがわりとピンポイントに矢晴を追い詰めるし、矢晴の地雷踏んでるとこがあって、そのすれ違い加減と相手の真意のわからなさ、が作品として面白いところと思ってる。


矢晴が『他人に愛される弱者しか救われないって話ですか?』って話しだしたのを、純は『それが矢晴さんの漫画の才能ですよ』って、話をそらしちゃうけども、純自身がそういう社会的なことを考えたくないのか、「純が古印葵を好きだから、矢晴は救われない弱者から救われる弱者になった」ことから話をそらしたかったのか。

社会構造的に、福祉の恩恵を受けるものは「申し訳無さそうにしろ」だとか「助けてほしければ愛されるようにしろ」みたいのがあって、そりゃあ尊大な態度で助けろそれが当然だみたいな人がいたら誰が助けるもんか、みたいになりそうだけど、殊更、遠慮がちにどうか優しさを恵んでくださいみたいにへりくだる必要もなく。

とはいえ、「誰かに手を差し伸べられなければ助からない、手を差し伸べてもらうには愛されないといけない」ってのはあって。かなり難しい分野の話になってしまうやつ。

だから、ここは「他人にほっとけないと思わせる人間」どうこうじゃなくて、矢晴のアパートで言ってたみたいに「私があなたを助けたいだけ」って話にしておけ、純! と思ったわけで。

変な具合に話をそらすのは、純がアシのライングループ退会した原因と同じ状況だぞ? 矢晴に縁切られたくないだろ? とかも心配しちゃう。



コメント