底が知れない
純が矢晴の漫画に対して感じていること。
【第5話】で『底が知れない…』『うーー 芯の部分を分析できない言葉にできない』『こんなに魅力的なのに正体がわからない』と足をもぞもぞさせて考えてるところがかわいいなと思う。ハタチ前後の若造が、わりとけっこう傲慢な思考だなと思いつつ。
たぶん、今も古印葵のことは「底が知れない」と思ってるんだろうなとは思うし、底が知れるほどの作品量もなくて、分析できるほどの材料がないんだなと思う。魅力的なのは変わらず、と思うんだけど、その魅力が「正体がわからないゆえのミステリアスさ」から出ているのだとしたら、福田矢晴という人間を知っていくことで魅力的と思っていたものが色褪せていきそうな気はしてしまう。
とはいえ、【第9話】で『繰り返し読めば読むほど夢みたいに気持ちいい』と言っている。官能に訴えかける部分は「正体がわからないゆえの魅力」ではないと思われるので、純にとって、古印葵の漫画はただの娯楽作品としての漫画というカテゴリには収まらない別格のものになっているんだなと思う。
私自身が、娯楽作品としての漫画を読んでいて、その作家の”底が見えた”と感じてしまったときにそれ以降読むのをやめてしまうことがあり、その「自身のなかで急速に魅力が失われていくさま」を知っている分、純が古印葵に対してそうなってしまったら……という不安はずっとある。
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