担当編集
矢晴の最初の担当は、矢晴とかなり相性がよくて、一緒に喜んでくれて、かなり良い人だったんだなあと思える。
矢晴は6年で2冊しか単行本を出せなかった、と言っているけども、実際のところはデビューから3年くらいで短編集を2冊なのだから、『遅筆だし』というのを差し引いても、ボツも少なく、コンスタントに読切を載せて、いい感じにまとめれた上に、賞までとれてるってのは、けっこうな成果という気がする。
賞がとれて、そこから連載でもできてたら、漫画家としてはけっこう充実な人生になったかなー(安定して彼女と結婚まで考えれるくらいにはなっただろうなー。純とは始まりようがないけど、純は古印葵の漫画が読めれば幸せだろうからそれはそれで)。
やっぱりここでB誌に移っちゃったのが、ダメだったよなーって。担当さんが強く引き止めてくれてたら、って思わないでもないけども、引き止められたのをぶっちぎったのかどうかは語られてないからわからない。
B誌の担当は、明らかにハズレって感じなんだけども。どんだけネタ出ししても企画が通らない、やっと通った企画も4月の掲載目指して修正2ヶ月続けても土壇場で企画変更の全ボツ、さらに上のひどい編集から原稿料減額言われて、流行りジャンル以外載せたくないとか、まーほんと、B誌ひどすぎんよ。だったらなんで古印葵に声かけたよ?
B誌で2年半も我慢したのは長すぎたし、古巣のA誌に戻って担当が変わっちゃったのも辛かった。A誌の新担当の菊池さんはいい人ではあるけども、新人だからか編集としてはまだ未熟っぽかったし、古印葵がB誌で変に鍛えられちゃった「編集の言うとおりにしないと載せてもらえない」意識と「自分を殺してでも生活するお金のために漫画を描かないといけない」意識とが、矢晴の繊細な部分を病ませるには十分すぎて。
3年間もなにやってたかわかんないような出戻り作家に3巻分の連載枠とってくるってのは、菊池さん相当がんばったんじゃないかなあ? というところから、菊池が古印葵を買っているってのはわかる気がするんだけども。
古印葵と担当の菊池福子の相性が噛み合わないってのと、古印葵がもっと主張できてれば、菊池さんも受け入れて、二人三脚でいい感じの連載できたよなー、と思う。
矢晴が心のなかで思ってたこと全部菊池さんに言えてたら、ってのと、菊池さんが張り切りすぎちゃってて若干作家置いてけぼりの独善的な打ち合せになってなければ、ってのと。菊池さんが古印葵作品が好きってのはわかるけど、作家をのばせなかったのは未熟だった。
担当としては悪くない、けど、そこまでに至る矢晴の状況が悪かった。
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