【感想】第3話 攻撃性・マインド
第3話は編集部で純と矢晴が出会ったところから。
矢晴が四階に罵詈雑言浴びせられているところに割って入って、優しい笑顔で頬を染めつつ挨拶する望海可純が登場したところ。矢晴の『のぞみ…かじゅ…ってあの…』という反応に、矢晴が望海可純のことを認識しているのは確認できる。
四階の態度がガラッと変わり、体育会系の後輩のようなお辞儀と挨拶。からの、『王道バトル漫画家から見てどうです? これ』という四階としては自分と同じように「古印葵の作品を貶す方向」を期待しての問いかけだろうが、特大の地雷を踏んだ。
望海可純のターン。古印葵に向けた優しい笑顔はすっかり消え失せ、物凄い冷気が漂う。『なんで笑ってるんですか?』と言う望海可純への四階の『へ………………………』という反応が、ヤバさを物語っている。純が怖いよー。
『ずっと聞いてました』と打合せブースの影で佇んでいる純の映像がこれまた、怖い。どんだけ古印葵を貶す四階への憎悪をたぎらせていたのか。
純が四階への反論を述べ、菊池の意見を求めたときの四階と菊池のにらみ合いもなかなか怖いが、純の怖さの前には霞む。菊池が『私は古印先生の漫画好きなので…』と言ったときの矢晴の表情が、「初めて知った」衝撃の表情に見える。
望海可純のターンはまだまだ続く。『四階さんの早口でまくし立てるしゃべり方』『真似してみたんですけどどうでした?』という1ページまるっと使った笑顔がこわいー。純がこわいー。
第3話では「望海可純はヤベえ奴」というのが前半で印象付けられる。
先輩編集者から謝れと言われて蒼白になりながらも、四階がちゃんと古印葵に謝ったのは好印象だった。ここで望海可純に対して謝ってたら、もっとヤバかっただろうなと思う。純は謝ってる四階を頭下げさせたまま放置して矢晴に4年前の受賞の話を四階にも聞かせるように始めてるのが、やっぱり怖いんだけども。
純が矢晴の肩に手を回した時の矢晴の視線が肩に置かれた手に向いている顔とか、極力純の方を見ないようにする矢晴の視線の動きとかが、笑顔の純と対照的。
矢晴が菊池に連載を投げ出したことを謝って編集部を出ようとするところを純に引き止められる。純が能天気な雰囲気を出しているところ、矢晴が表向きも内心もかなり真っ当なことを言っていて、矢晴の知性と理性が見える。
純が頬を染めながら早口で古印葵の作品を褒めるところ、まではいいのに、本心だろうと自作と比較し始めて矢晴を怒らせてるところが、矢晴の「漫画家としてのプライド」が見えるかな。
純の人間性に対する矢晴の分析から矢晴は純の攻撃性がいずれ自分にも向くことを察知して離れようとするところが、矢晴の聡明さを見せてて好き。むちゃくちゃ焦って追いすがろうとする純もかわいくて好き。
『サイン描いてくれませんか?』『今度は…手帳に…』って言う赤面してる純がかわいくて。耳まで赤いんだもの。ちっちゃいフォントの『今度は…』で、過去にサインもらってるっぽいなーというのがわかる。小声過ぎて矢晴には聞こえてなさそうなのもかわいい。
そんなこんなで最終ページ、『どうして自分の家にまで入れたんだっけ?』というひきが、本当に漫画がうまい! と唸ってしまう。
第3話では、純が怖かったり可愛かったりと忙しい。古印葵にだけ見せる乙女な純はすごく可愛い。好きな人を前にするとちょっと知能下がる感じも可愛いのだけど。ヤベエ怖い と むっちゃかわいい、の中間がなくて、見えないところが、今後の不穏を煽っているような気がする。そういう演出なのだろうけど。
- 四階をやりこめる望海可純
- 古印葵が受けた賞の授賞式にいたことを話す望海可純
- 古印葵にファンだと告げて早口になる望海可純
- 帰ろうとする古印葵を散歩に誘いサインをねだる望海可純
と、第3話は「古印葵のファンである望海可純」に全振りしているエピソードだが、純に興味がわき、どうして純はそこまで古印葵が好きなんだ? という疑問やサインをねだったときの『今度は…』の前回は? という疑問に、この後第5話、第6話の上薗純視点が答える。
大好きな古印葵に早口になっちゃう純がかわいい。
比較されて静かな怒りに燃える矢晴が好き。漫画家やめれない感じがいい。
古印葵の担当編集の菊池への印象が変わった。ちゃんと古印葵の漫画好きな人だったんだなと。編集としての能力足りなくて古印葵の良さを生かした漫画作れなかったけど。
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