純はどこまで受け入れるのか

 純は古印葵である福田矢晴のすべてを受け入れている、とは思う。とはいえ、純だって人間だろうから、限界はありそうな気もして、いつかどこかで矢晴が負担になるのではないかと。それが地獄巡りになるのではないかと、ドキドキする。

純は、矢晴のズルさを受け入れた。編集部で出会った後、食事も奢りたいと純が言った時に、矢晴は純が年下であることと矢晴と仲良くなりたい純の気持ちにつけこんで、酒までねだるズルさを見せた。

純は、矢晴のゴミ屋敷をつくる怠惰な性格を受け入れた。ゴミ屋敷に対しては、矢晴の境遇への怒りからひと晩かけて掃除までした。同居してからは、矢晴が無意識に投げ捨てたティッシュをキャッチして、そっと手に戻す程度で、叱りつけるなんてことはしない。

純は、矢晴の断酒の意志を受け入れた。矢晴の申し出により財布を預かり、協力すると約束した。矢晴が禁断症状から料理酒や味醂、マウスウォッシュを飲んでいても、叱りつけるわけでなく、冷静に止める。矢晴の手の届くところにアルコールの含まれたものを置かないように配慮した。純だけで暮らしていれば、矢晴がアル中でなければ、する必要のない生活の不便が発生している。

純は、寝込んで泣いている矢晴を受け入れた。夜にはしばらく付き添って声をかけ安心させている。

これまで純はひとりで気ままな生活をしていたところに、憧れの漫画家である古印葵だとはいえ、他人が同居することにはかなりのストレスがかかりそうな気がする。健康であったとしても他人がいるストレスは発生するかと思うのだが、矢晴はうつ病やアル中を抱えている。

純自身は、それらも含めて、面倒をみて、世話をする覚悟で同居に踏み切っているのだろうけども、ある程度の期間が経過すると、矢晴の態度も変わってくる(純を試し始めるなど)のではないかと思われ。理不尽なことを言い出すようになった矢晴に対して純が今の状態を貫けるのかどうか……と、ドキドキする。

【第1話】で同居1週間目の安楽死の薬がほしいと言う矢晴の『純』『買ってよ金持ちだろ…』に対しての純の無言が、そんな雰囲気を醸し出していて…。っても、同居1週間でこれは、早すぎない? まだ同居5日目で「純さん」「矢晴さん」って呼び合ってるのに。いったい6日目になにが…………。気になるー!

とはいえ、現状、同居5日目に矢晴のなかの古印葵が純にもたらしたもの、というのが大きな報酬となってるから、純はまだまだ意欲的に矢晴の世話に取り組めそうだし、そもそも1ヶ月後や1年後のふたりの関係は良好?そうだし。

純と矢晴の生活自体は第1話で描かれた1年後よりも先の幸せになるまでのそっから1年ちょっとも描かれそうだし、幸せになったらずっと一生添い遂げてくれるだろうし、ハッピーエンド万歳だけども。だからそこに至るまでの地獄巡りがどこなのかと。


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