新しい家族

 【第16話】で『〈それ〉ができれば新しい家族を作れるらしい』と考えている純の「新しい家族」というのは、生涯を共にする伴侶と、自身の血を分けた子供ということになるのだろうか。『私には友達がいるから別に大丈夫』の「別に」ってなんなんだ、と思いながら、「新しい家族」を「友達」とほぼ同列に語るのならば、「長く一緒にいられる仲の良い相手」という程度にはなりそうで、家族らしい家族が欲しいわけではなさそう。

本気で「自身の血を分けた子供」が欲しいのなら、異性と〈それ〉をしなければならないし、相手が異性になるのなら、BLにはならないし、この作品はBLなのだから純は代理母でもたてなければ血を分けた子供を持てない。

純は結局なにが欲しいんだろう? と考えてみても、たぶん『孤独じゃなくなる約束』ができる相手で、男女問わず、なのだろうな、とは思える。それができれば誰でもいいのか、とも思えるんだけども。

純自身、人の好き嫌いは普通にあるだろうから、「好きな人」という条件は絶対だろうと思うのだけども、そこに恋愛と〈それ〉が必須になると、純には“できない”から諦める、みたいなことになるのかな。

純自身が「孤独になりたくない」だけで、矢晴を利用している、とすると、矢晴が反発したように『逃がしたくない支配欲』にはなるだろうなと思う。矢晴は純の愛情を信じてないからね。

矢晴は純の「人間に欲情したことがない」という性質を知りもしないから、自分や世間一般に当てはめてなのか、純の行動と気持ちを“性欲”と断じるけども。実際のところ“性欲”ってなんなんだよ、みたいに悩んでしまう。

純の「人間に欲情したことがない」という性質が、矢晴との触れ合いやら気持ちを通じていく過程で「矢晴には欲情する」になるんなら、R展開も期待できるが、矢晴との関係で「家族になるのに欲情する必要はなかった」と悟っていくとかだと、R展開はないんだろうな、という感じになる。どっちに転ぶんだろうか。

家族、というからには「友達よりも親密な関係」になっていくんじゃないかなーとは思うんだけど。純が矢晴と「新しい家族」になれたらいいのになあ、とずっと思う。


コメント