張り付いた

 【第7話】で矢晴を布団に張り付ける呪いの形が、しっかりと純の手の形をしているのが、いいなあ、と思う。

矢晴にとっては、純の『あなたの亡骸は私が拾いたいんです』『死ぬまで孤独じゃなくなる約束しませんか?』という言葉は「絶対的な孤独を消してくれる」「蠱惑的すぎる」と縋り付きたい言葉だったのねえ、と改めて思ったり。でも怖いけど。

言葉自体は縋り付きたいほどだけど、その裏にある純の真意がわからないから怖いのかな。

純の真意を『もうそれ性欲だろ』と断じてたけど、「慈愛」のほうが矢晴にとっては好ましくないか……? と考えたりもする。でも、施しみたいなのがイヤかな。個人を求められたいって欲と純を独占したい欲とがあるから、慈愛じゃ困るもんね。


矢晴は「動けない」って思ってるとき、張り付けられてるイメージなんだなあ。と、【第12話】終盤も見て思う。動きたいけど動けない、なにかに固定されてしまって動けない、って感じかなあ。

【第7話】だと『頭が痛い身体が重い』『あいつの呪いのくっついた背中が重くて起き上がれない』と、呪いからのびる粘液かなにかが矢晴の身体を床に固定する感じで。【第12話】だと紐かなにかでぐるぐる巻にされて釘だか杭だかで固定されてて。動けないんだなあ、と思いつつ。

【第7話】の『死ぬまで独りで死んでも独りで溶けて腐る想像を毎晩する』のときと、【第12話】の『じゃぷっ』のときと、胎児のポーズだなあ、と思ったり。


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