薬飲んだ?
【第16話】の『……夕食後の薬は飲んだ?』と正気に戻った純が矢晴に問いかけ、『聞いてない…。』と矢晴の現状を把握し、『服薬時間の遅れが影響して病症が強くでることってあるのかな?』と冷静に考えて、ついさっきまでノーテンキに古印葵に狂っていた自身の言動に青ざめるところが好きで。
このシーンにもけっこういろんな解釈があるなあ、とTwitterを眺めたりしている。
多くは「あるある」的な反応と、そこで薬のことを冷静に考えれる純を褒めてる感じで。
一部は、純が矢晴の言うことを「病気からの妄言」と突き放した、といった感じで。
一部は、純は「矢晴の病気からくる言葉が好きだと気づいた」と、いった感じで。
私の解釈では、後ろの2つにはちょっと異議を唱えたくなる感じではある。
純の好きな古印葵は誰なのか、と言ったら、矢晴が元気だった頃に描いた漫画の単行本2冊の古印葵なのだし。現状、矢晴のことを純は『彼の言動から察するに』『彼の自己肯定は一度破壊されてから再建されていない』と考えていて、矢晴のことを立て直そうと尽力しているのだし。
病気の状態から発されるのが古印葵の言葉、という認識にも至らないと思うんだけども……。
そしてまた突き放した、とも思わないんだけど、ただ、純はこの夜の矢晴の言ったことを、一旦、思案の外に置くだろうなとは思う。矢晴自身の思考から発せられてるにしても、言葉を選ぶ矢晴のフィルターを通してるわけじゃないし。
ついでに、そもそも、この夜、純が狂ったのは古印葵がどうのでもない感じが、しちゃってはいるんだけども。「自分の欲しかった言葉が、矢晴の口から飛び出してきたから飛びついちゃった」って感じで、それを『古印先生はどんな本よりずっと好ましい名前をつけてくれる』って古印先生に転嫁してるのはどうなのよ? って感じがする。
そんなところも純の可愛いところではあるけども、古印葵に狂い過ぎてて怖いところでもあるし、相互理解なんて絶望的な感じもしないでもない感じではあるから、ちゃんと冷静になれて、頭のいい純が真摯に矢晴に向き合ってくれてる方が、私は好きだな。
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