純の言うところの

 「人間」とは。

【第14話】では『人間ってみんなもともと子供だろ?』『子供の性質は人間の持って生まれた性質だよ』『性質は成熟過程で薄まりはしても消えはしない』『みんな死ぬまで持ってる』『君も私も』と、「人間の性質」について語り。

【第16話】では『生まれた時人は服を着ていなかったように』『思考も言葉を持たずに生まれそして言葉を選んで着る』『人間の脳はそういうものだと思う』と「人間の脳」について語る。

なんとなーく、矛盾しているようなしていないような……? ハテ。という気分にはなるのだけども。

この、純の言う「子供の性質」というのは、人それぞれの子供の頃から発現している生来の気質、性質、という話でなくて、「人間みんな子供のまんま」という意味での「子供の性質」なのかな? うん、「一生・ベイビー」だしな。

ただ、【第16話】の人間の脳の話は、多分に純が狂ってるので話半分で聞きたい感じではあるけども、「言葉を選ぶ」という判断が出来ている時点で、すでに思考するための言葉を獲得してしまっているわけだし……。

ただ「着る」という行動で考えると、あれやこれやと着替えることができそうな。なんでも好きなものを選んで着る、という感じではあるから、今着ている言葉を脱ぎ捨て、別の言葉を着込む、なんてこともできるのかもしれない。純は。

私は、人それぞれが成長の過程で「頭の中に各個人の辞書を持つ」と思っているから、読んだ本や人との関わりなどで、頭の中の辞書の語彙が増えるとか、語釈が変わるとかは普通にあることだと思っているのだけども。私なら、たぶん、頭の中の辞書に古印葵特集を組むみたいな感じかな? と思ったりするけども。

純の『私はあなたの言葉を着たい』は、そんな感じではない感じがとてもする。

『古印先生はどんな本よりずっと好ましい名前をつけてくれる』と言うから、思考するための基本の言葉、語彙ではなくて、語釈に対する見出し語、なのかなあ? という感じがする。純の辞書は語釈はあっても見出し語がないから、それぞれの語釈に合う言葉を古印葵につけてもらいたい、ということにはなりそう。ただ、それが「正しい解釈の見出し語、名前」ではなくて、正しくなくても「純が好ましいと思った名前」を採用してしまうのだから、どないもこないも……とは思う。

名前をつけてくれた古印葵とも意思疎通が不可能じゃないか、言葉の意味が違うんだもん……。

ざっくりまとめると純は「人間みんな子供のまんまで、自分の好きな言葉を選んで着ることで思考する」って言ってる感じになるんだけど、合ってるのか……?

って頭かかえたところで、フィルター忘れてたことに気づいた。

【第13話】で矢晴が『私の頭の中もお前の頭の中も歪んでる』と言って、純が『歪みって人間がもつ脳内フィルターだろ』と言う。

【第16話】の矢晴の話を踏まえると、矢晴の言った「歪み」は、純の言うような「フィルター」ではない。純は「歪み」を各人の個性として扱ってる感じにはなるのかな。

うううん。純の考える「人間」がどんなものか、考えれば考えるほど混乱する。まだ材料が足りないのか、まともじゃないときの解釈を混ぜるから混乱するのか……。


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