気づいているのかどうか
矢晴が純のことを(性的に)好きになっているのかどうかを、純が気づいているのかどうか、が気になる。というか、それを純視点で知りたかった。けど、ない。
純は編集部で会ったときから、矢晴に好印象を与えて、嫌われないように努力しているかと思う。はじめましての挨拶した時は、影から聞いてて四階に怒りを滾らせていただろうに、矢晴に『優しい顔…』と思わせる良い笑顔で挨拶したし。その後の四階をやり込める一幕で若干台無しにはしたけれど。
がんばって引き止めて、一緒に散歩して、居酒屋で過ごして、家に送り届けて。ゴミ屋敷になってる現状にまた古印葵をないがしろにする世の中への怒りを滾らせて大掃除して。起きた矢晴に同居を提案し。忘れたくないと抱擁し。そして「安心させたい、愛情を伝えたい」と差し出した言葉で死ぬほど怯えられはしたけども。じっくり考え笑顔を取り戻し、深追いせずに引き下がり。
より親密になるための努力であろうか、翌日に差し入れ持って、矢晴のアパートを再訪し。ここで数日あけるような常識人でなかったあたりが、純のえらいところだなあ! とも思ったりする。
1日動いた形跡がない、食べた形跡もない、病院の薬は掃除中に見つけていたけど薬しかなくてまともな食事もしてないし、ゴミは酒ばっかりだったしと、矢晴が死に向かって一直線なことは容易に想像できてしまって。がんばって説得して。この時の矢晴は食事してない眠ってないもあるけど、そんなだから薬も飲んでないからそりゃあ精神ぐちゃぐちゃだったわね、と改めて思う。
純は「矢晴を安心させたい」「矢晴に嫌われたくない」という思いはあれども、「矢晴に好かれたい」までは思ってないんじゃないかな? とは思える。「信用されて好かれたい」とは思ったりもするかもしれないけども、「矢晴からの純個人への好意」が生まれなくてもかまわないと思っていそうな感じはある。ただし、嫌われては元も子もないから、嫌われたり怯えられたりしないように努力してそう。
純視点で見る矢晴は、純に対してなにかしらの好意があるようには見えないし、むしろ対応しょっぱめだったりする感じ。それでも、純は矢晴が純を嫌うことなくそこにいるだけで良かったんだろうなあ、とは思うんだけど。
同居1ヶ月頃のあの矢晴の『純にとって私はチワワ何匹分だよ?』という発言と真っ赤になって逃げ出した矢晴のことを、どう思い、どう考えたのか、を純視点で見たかった、知りたかった、けど、ない。
ここが知りたかったのにーーーー!
なにかしら、気づいているのかどうかのヒントはないかと【第13話】の終盤、入浴シーンを見返してみるが、特に気づいているような素振りはない。けども。
祈りのシーンで矢晴にウェディングベールのようにバスタオルをかける純は、矢晴を娶ることを決意しているんではないのか……? とか考えてみたりする。矢晴の好意の正体に気づいていての行動ではあるまいか。
ベールは魔除け、母親の愛の象徴とかなんとか、矢晴を守りたい純の気持ちだろうかな、とか思ってみたり。
『世界が綺麗に見える時間はこれから増えていくよ』と言いながら、矢晴の視界をタオルで狭めて、矢晴に見える世界には純の笑顔しかないこの状況。どうなんだ、矢晴を幸せにする誓いなのか? そうなんだな!? と勝手に萌え転がっている。
ついでに、矢晴のちょうど目の前に純のパンツが見えてるから、矢晴が散歩中に『あいつの顔が、ベッドのションベン染みが、洗われた下着の映像が』『網膜からはがれない』と考えてるけど、純の下着姿もパンツも想起しちゃって大変なんでしょ! もう、矢晴のスケベ! とか思ったりもした。
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