純は金持ち
デビューしてからの初連載作が大ヒットで、ぼちぼち初版100万部みたいな感じになりそうな売れっ子漫画家の純は、それはそれは金持ちで。
矢晴に同居してもらって療養させるのにどれだけでも金が出せる。
もしも、純がそこそこの、週刊連載に間に合わせるためのアシ数人は雇いながらも自身の生活でギリギリな漫画家だったとしても、矢晴を同居に誘っただろうな、とは思えるけども、純はバリバリの売れっ子だったので、余裕がある。
【売れうつ】自体がキャラクター設定やらストーリーの設定時点で、「売れっ子の金持ちと落ちぶれた元漫画家の貧乏人」なんだから、純は金持ちだから他人の世話ができるとかいうのは、違うよなあ、とうっかり蒸し返された思考をどっかにやりたい。もとよりスパダリ設定なんだから、金持ちじゃなきゃおかしいだろうて。そういう設定の漫画だぞ。ぷんすか。
古印葵に狂ってる純は、自分の生活がギリギリだったとしても、あの環境から矢晴を引きずり出すと思うけどね。
で、純は金持ちだから、自宅が大きいのもわかるんだけども。
一人っ子のわりに将来的には実家を継ぐ(家業を継ぐわけじゃなくて、実家自体を)とか親の介護のために将来は帰るかも、みたいな感じはなく、完全に独立してる雰囲気だよなあ、というのが、ちょっと純の実家方面への疑問ではある。ただ、純の性質で考えると、どのみち実家を継いだとしても純の代で終わる可能性は高いから、実家に住む人がいなくなったら畳んでしまうのかもな、とは思うし、実はすでに両親とも他界していて育てられた家を実家と言っているのなら、帰ることもなかろうな、という感じはする。
純はずっとこの大きい家に住むんだろうな、と思うし、住み替えとかもまったく考えてなさそうな感じはある。
純が『それに私は大きい家に好きな人を集めて一緒に暮らすのが夢なんだ!』と言っていたけど、それは「仲良しの友達同士での共同生活」という感じではなく、「経済的に困窮している友達や若い世代を養いたい」という話にも聞こえて、矢晴の純の家での療養もその一環、には見える。
ちょっと、金持ちの道楽みたいには思えたりする。でも、純としては『同情だけで他人の腹は心は満ちない』とずっと思っているのだから、出せる金があるうちは出せるだけ出すんだろうな、という感じはする。でも、世の中の全ての困窮している人を、なんてことはもとより出来ないし、「純の好きな人」という条件はついてしまうから『排他的になると残酷になる』という自覚があって、それを直視しないようにしている感じなんだなあ、と思う。
家事のアウトソーシングやロボット使ってとかも、金があるからできることではあるけども、純の金の使い方は「自分が生活に追い立てられない」形で、とても良いなと思う。素晴らしい。
純の家のロボット掃除機たちはなんだか、純と友達の仲良しトリオみたいにも見えるわねえ、とか思ったりもする余談。
純が金持ちなのは、純の描いた漫画を読みたいと買い求める人がン十万人いる、ということで、純の描く漫画が世の中の多くの人に認められてて売れるから、という点で、落ちぶれた漫画家である矢晴は、落ちぶれる前ですらそこまでの人には認められてないし売れてないしな状態で。純が売れっ子ってだけでそれなりの劣等感やらなんやらいろいろ苛まれちゃうから、そもそも矢晴の療養環境としては不適だけども、快適な療養環境を与えられるのは金も手も出す純なのよねえ……、とか思ったりする。
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