純の顔

 努めて、幸せを見出そうと、【第13話】を読み返してはいるのだけども、冒頭で振り向いた矢晴が見た純の顔がどんななのか、というのが気になる。気になりすぎて困る。

「矢晴の見た純の顔」となると、純視点では見れないわけだけども。純視点で描かれても、矢晴の認識とは異なるし。でも、その時の純が認識している純の顔すら描かれないので、さらに気になる。

矢晴が振り向いた時の純の反応から察するしかないのだけど。

純の見た矢晴の表情は、暗く冷たい印象。なにかしらの感情はなくて、瞳もハイライトはなく黒い。こういう黒い目は、漫画表現からいくと、「何も見てない」というのがセオリーではあるかな? と思うのだけど。

純の身長が高いから、純を見るためには上を見る形だけども、矢晴は顔を上げて見ているわけじゃないから、目だけを動かしてて、それが「睨みつける」ような形。

黒い瞳で睨みつけ、トーンがかかるから、余計に冷たく、暗く、強く、見える。

矢晴の『怒ってますか……?』というのが、純の表情を見た矢晴の純への印象を確認する言葉、とすると、【前編】の『こっちを……』『私の顔を見て確かめてください』『あなたが背中で見ている不安は存在しないことを』という真剣な純の表情は、矢晴には「怒っている」と認識されたと純は解釈して。

【後編】の『いいえ!』『怒ってません しんぱ……』『……… ………』『……動揺しただけです』と、矢晴に自身が「怒っていない」ということを伝える。にしても、「心配」という言葉が言えなくて、床を見るほどうなだれて、力なく下ろした手とか、ずいぶんとしょんぼりしている感じがする。間に挟まれるトーンのかかった矢晴の睨みつけるような目と合わせてのこの一連の印象では、「矢晴は純が期待したような反応を一切見せなかったので、純は落ち込んだ」「矢晴は目線ひとつで純を支配した」ように思える。

「支配した」方面の解釈はここずっと私が囚われている解釈なので、ここでは脇に置いておく。(ちなみに、ファンを逸脱して対等になろうとしてるんなら、そこは押し切れ! と、ふがいない純に怒っている側面もある)

「矢晴は純が期待したような反応を一切見せなかったので、純は落ち込んだ」という状態であったと考えると、【第6話】を思い出すわけだけども。『気持ちを伝えれば伝わるはずだ』『なにを言えば一番安心する?』と考えて差し出した一番の言葉が、ものすごく矢晴を怖がらせ怯えさせた。

それとこれとが同じだった場合、「お前は、また、そんな独り善がりなことを!」とも思うわけだけども。

矢晴の反応が思ってたのと違うから「また、怯えさせてしまう、怖がらせてしまう」と純が怯えて、うなだれた、とは考えられる。(ここでまた、結局、矢晴に支配されとるやないかーい、と思っている私)

それにしてもトーンかかった矢晴の目は怖い、強い。純が座り直すのを見る矢晴の顔もトーンがかかって怖い、強い。

純が座ったのを確認してから、矢晴が話しだしたのを見て聞いて、純がぽわんと口を開けて、泣き虫アメーバから人間に進化したみたいなことを考えてるあたり、純はかなり安心したんだなと思える。【第7話】では怯えて逃げて、生命の危機すら思う恐怖を感じてた矢晴が、ここでは逃げずに理性的に話しだしたんだから。


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