古印葵が好きな純
純視点で語られると、純がどれだけ古印葵が好きなのかがわかる、というか、古印葵がどれだけ魅力的で素晴らしいのかをこれでもかとプレゼンされる、というか。
矢晴視点で描かれた素の矢晴とファンとして古印葵を讃える純、垣間見える古印葵としての才能や魅力を、純視点で確実なものとして強化されて心に刻まれる感じがする。
【第1話】の時点で純は『やっぱり矢晴は…』『古印葵先生は天才だ』と同居1年後もブレないし。それだけ思われてる古印葵ってどんなよ? と読み進めれば納得の人物で。
ただ、古印葵の魅力が詳らかになって、純がどれだけ心酔しているかがわかればわかるほど、古印葵が純のような「大衆受けのいい売れっ子漫画家」には絶対になれないのだなということもわかってしまう。
純自身が古印葵の布教をせねばと決意したときの【第5話】『古印先生本来の良さの支持者が少なかったのかもしれない』『だとしたらもっと布教してこの世の基準を私寄りにするしかない』というひどく傲慢で狂気にまみれた思考からも、わかってしまう気がする。
そんなこと考えて布教活動を始めたわりに、プレゼンがド下手な純がえらいかわいい。そのときのインタビュー、『望海先生の好きな作品はなんですか?』って設問からバッサリカットされて、誌面に古印先生の名前すら載らなかったんだろうな……と思う。純が不憫だけど、そりゃあそうなる……って思う。
純ひとりで「古印葵のガチファンは怖い」って印象を世に振りまいてる気がするけど、別に大々的にじゃなく身近なところで済んでいるのが幸いか。幸いか……?
古印葵が厄介な人に見込まれてしまったのか、古印葵が厄介な人を生み出してしまったのか……とおかしな思考実験を始めてしまいそうになるけれど、古印葵ガチ勢の純はかわいいからなあ。
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