承認欲求と自己肯定
矢晴は承認欲求が強い、というか、連載持たないと、人気作家にならないと、といった自身に課した規定ラインが高い気がする。
「細々とでも満足のいく漫画が描ければ幸せ」という気持ちもあっただろうけども、それ以上に、「世に認められないと」って気持ちのが強いんだろうなあ、と思う。
自己肯定や自尊感情の補強のために他者の承認を必要としていると言うよりも、自己肯定すらあやしいなと思う。B誌での仕打ちやA誌での連載失敗も要因ではあるだろうけども、生育環境からかもなあーと、「もともと仲の悪かった家族」とか「何年も連絡を取ってない姉」とか「使命感から逃げたい人生」なんてあたりから考えてみる。
今現在、矢晴は自分のことを「ダメ人間」と言うし、純からの承認は「福田矢晴ではなく古印葵あて」とでも思っていそうだし、【第12話】では純の話から自分の価値が下がったような気分になっているし、自分は無価値だと思っているし。というあたり「自己肯定」は破壊されたまま再建される気配はなさそう。
完膚なきまでに破壊されたような自己肯定が、たった1ヶ月で再建されるものでもないだろうから、まだまだこれからなんだろうけども。
【第13話 後編】の21日目、矢晴が言った『純が聞いてくれればもう充分だよ』という言葉はその前後から考えても、現状を受け入れた自己肯定から出てきた言葉ではないと思っていて。
純は矢晴の自己肯定を再建するのか、新たに構築するのか、できるのか。矢晴が本気で「純さえいればそれでいい」と言う日は来るのかどうか。気になるー。1年以上先なんだろうけどー。
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