純の知る古印葵
純が知っていた古印葵は、「古印葵の描いた漫画」と「E・B大賞の授賞式でのスピーチ」くらいのもので。
編集部で担当から「古印葵は重めに精神やっちゃってた」という情報を得て、編集部で実際に古印葵に会えてから、やっと、「古印葵である福田矢晴という人」を知っていくことになる。
純自身は「古印葵は天才」としか言ってないくらいに、「古印葵という人」を知らない状態だったと言えるかなと思う。人となりを知る機会もなかったし。
授賞式でのスピーチもそんなに饒舌だったわけでもないから、改めて編集部で会って知り合えてから『古印葵 福田矢晴は 思っていたより饒舌だ』と考えているわけだから、ある程度、純は「古印葵がどういう人間か想像していた」とは思う。どれくらい理想化していたのかはわからないけれど。
編集部で会ったときには、もう古印葵は漫画家として活動しているわけではなくて。アル中だし、うつ病だし、ゴミ屋敷に暮らしてるし、と、純が親交を持ちたかった憧れの古印葵はもはや存在してなくて。それこそ病む前の福田矢晴も存在してなくて。
というところから、【第10話】でのネームを見てもらってアドバイスもらって『まだ古印葵は死んでない』と、純が矢晴のなかに古印葵を見出すところは、しみじみ感動する。ついでに、ここの矢晴は「純が想像していた理想の古印葵」にも近いんだろうなと思う。
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