切れた縄
【第13話 後編】『私じゃ古印葵を紡げないのは私が一番知ってる』という純の言葉と、怒りや悔しさをにじませたような純の表情、純に気圧されてる感じの矢晴のふたりのコマに流れ垂れる縄。が矢晴のところで千切れている。
この物語の心象やら表象やらとして、ちょいちょい縄が出るけども。その「縄」が象徴しているものはいつも「死」だったかと思う。
矢晴が『漫画を描かなくて済む』『だからもう漫画家にならない』と「古印葵の死」を宣言したような場面。それも、ついこの間『まだ古印葵は死んでない』と確認できたのに生きたまま棺桶に詰めて、埋めてしまうような。
純はその矢晴の言葉に対して、『固い瓶のフタは急に開く!』『フタが開かない時に未来のことを決めるな!』『瓶の中身が漫画にならなくてもいい別のものでもいい』『けど開かないからって理由で瓶を放り投げるな!』と怒る。
それを受けて、「死を象徴する縄が千切れている」のは、純が「矢晴が古印葵を殺すのを阻止できた」「矢晴の中の古印葵の死を防げた」ということなのだろうか。ここがその時だったのか。
この21日目以降から同居1ヶ月まで(矢晴視点を含む)のエピソードではまだ、「古印葵がどうなったのか、どうなっていくのか」は描かれていない。1年後には「古印葵として漫画を描き上げている」ので、どこかで矢晴が漫画と向き合い始め、古印葵とともに生きていくことにする決心などが描かれるはずなのだけど、そのきっかけが、ここなのかな? と。
『私じゃ古印葵を紡げないのは私が一番知ってる』という純の言葉は、古印葵への敗北宣言と、唯一無二の古印葵を讃える言葉だなあと、しみじみ思う。好き。
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