なかなかどうして

 【第13話 後編】ラストの『祈りは矢晴の言う歪みから生まれるけど』『なかなかどうして良いものじゃないか』と言う純の笑顔が素敵なんだけど、素敵なんだけどなーー、とその純を矢晴がどんなふうに見ているのか、のほうが気になってしまう。

【第2話】では、こんな会話までは描写されていなかったから、あのシーンではこんな会話をしていたのか、と興味深くもあり、【第12話】で逃げ出してお酒飲んで、粗相した矢晴の現在の気持ちはいったいどんなだ、と気になり。

ここの会話からだと、純は『創作者のフィルターを通って濾過されたものが作品のこだわりとして表れる』『私は矢晴のフィルターが好きだよ』と言っているのが、「福田矢晴のフィルターである古印葵が好き」にも聞こえて「矢晴自身は?」みたいに思えたりする。でもたぶん、純は「フィルター含めて矢晴自身が好き」と言っているのかもしれない。

純は矢晴に『世界は変わらないけど』『世界が綺麗に見える時間はこれから増えていくよ』と「祈り」を捧げているわけだけど、それを矢晴はどう受け取るのかな? と気になる。

私個人は、その言葉があまりにも楽天的すぎて、若干の拒絶反応が起きている。素敵な言葉だと思ってるけどね。

『スリップは回復の段階であることだよ』というのが矢晴への慰めの言葉でなく、純自身が「矢晴が回復しているから、スリップした」と思っているなら、それはあまりにも、矢晴を見てくれてないな……と絶望しそうな気がしている。


たぶん、純の「祈り」のとおりに、だんだんと矢晴に見える世界は鮮明になっていくんだろうなと思うんだけど、世界が綺麗に見えるようになってきたから漫画に向き合い始めるのか、漫画を描けるようになったから世界が綺麗に見え始めるのか……と、またぐるぐるしてるわけだけど。

矢晴がなんの憂いもなく純と幸せになって欲しいんだけども、なかなかどうして。


コメント