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好きすぎて

 自分語りなのだけど。 【売れうつ】が好きすぎて。約2ヶ月ぶりの更新で興奮しすぎて【第13話】の更新後、11月に書きまくった記事数が70を超えていて。10月分はのんびりゆっくりというかそれ以前に語り尽くした雰囲気で、それまでに比べれば少なかった30弱だったけど、合わせて均せば月に50くらい? と思うと、まあ、それくらい。 話が進んだり、自分の考えが深まったり、見方が変わったりして、以前とちょっと変わったかな、とかも、こうしてずっと書き続けて記録として残し続けてるから比較可能で。ちょいちょい自分の書いてきたこと、思いを綴ってきたことを読み返す。 自分の書いてきたことだから、萌えポイントは同じだし、自分の文章が好きなナルシスト気質もあるから、【売れうつ】に関して書き綴ったものがこんだけあるのが、自分でうれしかったりはする。 一過性のものにしたくない、という思いがある。 純と矢晴と、どっちが好きなんだろう……? と考えると、どちらが……というのはありえないな……と思う。どっちも好きで。比較的、「ここが好き」とポイントを取り上げる頻度が高くなるのは純だけども、だからといって矢晴よりも純が好きというわけではないな……と思う。 矢晴には幸せになってもらいたいし、純には矢晴を幸せにしてほしいと思っている。そしてふたりで幸せに暮らし続けてもらいたいなあ、と願っている。 まだまだ同居生活も始まったばかりで、これから波乱万丈ありそうなんだけど、それもまた矢晴の忘れたくない記憶で。それを見せてもらえるのが楽しみ。 ついでに、コメント欄について。(2021/12/01追記) 私がいろんなコメント欲しいのは、売れうつのファンと交流したいわけではなくて、「ここに壁打ち用の大きな壁用意してあるから、存分に売れうつについて語っていってね!」くらいの感じで、いろんな人の【売れうつ】に関しての感想とか感情とかいろいろもろもろが読みたい、知りたい、聞きたいだけで。 コメントもらうと書かれたことに関連してたぶん数記事くらい語るとは思うので、「ここらへんどう思ってんの?」みたいに投げかけてくれてもいいなと思っていたりする。 気軽にコメント欄使ってくれたらいいなと思う。どこかの記事につけるのもなあーみたいな雰囲気だったら、「コメント一覧」のページにコメントつけてくれればいいよ!

幸せになってほしい

純と矢晴にはとことん幸せになって欲しい。 「幸せにする話」だから、矢晴は純に幸せにしてもらえるんだなあとワクワクするんだけども、今のところ、幸せっぽいシーンは同居前の【第9話】『…おかえり』『ただいま』と、【第11話】ではあるけども、まだまだ矢晴があやうい。でも笑顔はかわいい。 この【第11話】の矢晴の笑顔を見た時の純の気持ちが次の第14話で見れるかなあ? と期待している。 純は矢晴が幸せになってくれたら、自動的に幸せ感じてそうな雰囲気はあるんだけども、このふたりの幸せの着地点はどこだろう? 矢晴は1年後に漫画を描き始めてるし、古印葵が漫画家として復帰するんだろうなあと思う。純は矢晴には【第9話】で『あなたの世界が好き けど描けとは言いません』『幸せになってほしい』と言ってくれているから、古印葵が復活せずとも矢晴自身が幸せになってくれればいいのかな? とは思う。 ただ、「幸せ」というのは漠然としていて、「なにがどうなったら幸せなのか」は難しいなあと思う。ふたりが想い合って「末永く幸せに暮らしました」ってなってくれたら、それはもう幸せなんだけど、私が。ラブラブなカップルになってくれればそれだけでハッピーなんだけど、私が。 とか思っちゃうので、どんなふうにふたりが幸せになってどんなハッピーエンドになるのか、楽しみに待ってる。 矢晴にも純にも、幸せになってほしい。

top and bottom

 「攻」と「受」ってだけのことだけども。 純と矢晴がそのうちそうなるはずではあるのだけど、現状、「受」になるはずの矢晴に恋心が芽生えたか? という雰囲気で、「攻」になるはずの純の矢晴に対する気持ちがなんであるのかははっきりとしていない。 この子たち、ほんとに「BL」になってくれるの? 「そーゆーこと」してくれるの? という疑問が生まれてしまうのだけど。 「BL」にはなるけど、そのものズバリみたいな「そーゆーこと」は描かれないかもしれないな、とは思い始めた。「そーゆーこと」しちゃうとセンシティブ判定でログイン必須になるかもしれないから。作家さんが最後までログイン不要で読ませたい場合には、せいぜい朝チュンくらいかなーと。それはそれで十分だけども。 現在、【第13話】の純視点によって、純が「すごくいい人、善人」みたいな雰囲気になってしまっているのだけども、【第12話】までと【第5・6話】の純視点の純の印象と、矢晴が純に対して感じている恐怖や猜疑心の延長線上で考えると、単純に「攻と受」というよりも「top and bottom」(別の意味も含めて)みたいに思えてしまったりはするなあ、と考えたりはする。 純が「古印葵が認められていない世の中」に納得いかないと思っているのは確かなことだし、「古印葵を蔑ろにする人間」に恐ろしく冷酷であるのも確かなことだし。そういう面から派生して、古印葵である福田矢晴を監禁して独占してという方向にいってもおかしくないし、それはそれで幸せそうではある。真のハッピーエンドにはならないけども。 【第13話】でかなり切ない感じの善人ムーブによって「上薗純は全方位に善人」とか思われたら嫌だなあ、とは思っていたりするわけだけど。それとは別に、あの切ない感情を矢晴にぶつけてくるのが、「古印葵のファン」を逸脱してしまったなあ……という気にもなり。「まだ早い!」と横っ面ひっぱたきたくなる……。「お前の、大事な、古印葵である、矢晴に、負担を、かけるな!」という気分になってるわけだけど……。ううん。後編どうなるんだろー。

参考

 純が古印葵を褒めた時に【第3話】『ここでこの絵を挿入するなんてどうやって思いつくんだろうってところが本当たくさんあって何を参考にしてるのかってすごく気になります』という言葉が、わりとずっと気になってはいて。 純は「何を参考にしているのか気になる」と言うけども、矢晴はなにかを参考にしているのだろうか? と。 純が創作物を分析して手法を自作品で再現したり、物語をピタゴラスイッチ的に構築しているということを考えると、自作品は「何かを参考にして作り上げている」のだろうなと思えるわけだけど。 だから、古印葵が「参考にしているもの」が「気になる」のだろうなと。それを知れて取り入れることが出来たら近づけるかもしれない・分析できるかもしれないくらいの目算はありそうだけど。 私はむしろ、「何をどうしたらそんな表現が生まれてくるのか、頭の中を覗いてみたい」と思ったりはする。「どんな発想の出発点と経路があって」「どんな蓄積をしたらこんなふうに出来上がるのか」みたいな。この場合の「どんな蓄積」が純の言う「何を参考に」に当たる気はする。 「本人の生来のもの」に「本人が選んで蓄積してきたもの」が発露して昇華されて「作品」になる、とは思っているのだけど、「蓄積」だけを見た・知ったところで、全容はわかんないしなあ……。 古印葵は何かを参考にして画面構成してるわけでもない気がするしなあ。 そこらへんが純が古印葵の底が見えないと惹かれる理由になる気はするし、分析できない要因なんだろうなと思うけど、考えれば考えるほど古印葵、恐ろしい子……みたいな気分にはなる。

419頁

 第13話までの総ページ数が、419ページ。 単行本(コミックス)に換算すると、2巻分とちょっと。ちょっと増ページして2巻分、みたいなところ。 カラーイラストも含めると、420枚。 単行本(約200ページ)にするとしたら、 1巻:【第1話】から【第6話】の198ページ 2巻:【第7話】から【第12話】の190ページ 3巻:【第13話】から みたいな感じになるだろうか。だいたい6話で1冊になる感じではあるから、45話まであるなら、単行本7.5巻分(詰めて7冊、詰めなきゃ8冊)にはなるのかな? 純の狂気にまみれた思考と言葉に超絶怯えてる矢晴で1巻読み終わって、うおーって気分で2巻を手に取り、胡散臭い純に釣り上げられて、同居生活が始まって、粗相したあの『じゃぷっ』って音にドキドキして2巻読み終わり、こっからどーなるよ!? とドキドキしながら3巻読み始めると純視点で同居生活と2巻冒頭の話の裏側……。 と、単行本で読んでる気分になるのも楽しいな。 2巻読み終わって、そのまま続きのシーン読みたくなったら1巻に舞い戻るわけだけど。3巻読み始めたら2巻も一緒に開きたくなるし。読むときは全巻揃えて読み始めないと。読んでるうちに全冊どこか開いてるみたいになっちゃうしな。 かなり大ゴマでページ構成されてるから、商業的にもうちょっと詰めていくと、単行本5冊くらいにはおさまる感じなのかなーとか、考えてみたりする。 「40〜45話、多分1000ページ」とはキャプションで作家さんが言われていたので、もうページ数としては3分の1を超えてあと2話分くらいで半分に到達? でも話数としては15話で3分の1くらいになる感じで……? と、ちょっと混乱するのだけど。 下描き状態で45話くらい、ページ構成整えてペン入れしたら1000ページくらい、と考えると、そんな感じかな? という気分にはなる。 話は変わって、昨日は土曜で、前回の更新から3週で、ちょっと期待してたけど、やっぱり更新はなくて安心していたりする。ないことに安心するのもおかしな話だけども、これでもし更新してたら、ようやく落ち着いたつもりの私の気持ちがまた焦燥感に支配されてしまうところだった。とはいえ、本命は12月上旬の土曜日だから、まだやっぱりずっと更新期待して待ってる。

視点の違い

 【売れうつ】は矢晴視点と純視点とで構成されてて、違う視点で描くことによって、同じ出来事のそれぞれの思考や感じ方、記憶の違いとか諸々、鮮やかで、凄いとしか言いようがなくて、凄い。 創作論的なところから言うと、一人称視点での物語は「視点となっている人物の見える範囲、感じる範囲、本人の思考しか描けない」というルールというか制約がある。一人称で語っているのにその場にいなかった出来事を詳細に語ったり、テレパシーが使えるわけでもないのに、相手の考えていること、思考を語ることはできない。 小説だと、一人称で語っている人間の視界の範囲しか描写できないから、語り手が赤面したときなんかに「顔が赤い」と断言することはできない(見えてないから)みたいなところがある。 とはいえ、漫画表現としては、語り手の視界のみで描くと、「画面内に語り手がいない」ということになるから、「場面を撮るカメラは三人称視点(神の視点)」で描かれていて。たまに視点人物が見えてないところまで映してる。 というのが、また、うまいなあー! と思うわけだけど。 だから、【第9話】の表紙で、純の思考が描かれてたのは、わりとびっくりしていた。表紙だから本文の一人称視点による制約は受けてないのだな、とイレギュラーを喜んだりしていた。 そのうち、矢晴が物事を現実あるがままに受け取って描写された矢晴視点と、その時の純視点とで、同じ出来事が同じように描写され、それぞれの内面が描かれるみたいなエピソードが見たいなあ〜と思う。

14話までほのぼのライフ…

【第8話】引っ越し当日。同居1日目。 【第9話】引越し当日の夜。同居1日目の夜。 【第10話】同居2日目から5日目。古印葵は死んでない。 【第11話】同居6日目。 【第12話】〜同居1ヶ月目。矢晴が純への気持ちに気づき始めたところ。  【第13話】純視点。同居1日目から4日目。  予想:【第14話】純視点。同居1ヶ月目まで? と、考えると、純と矢晴の「ほのぼのライフ」は、同居1ヶ月目までで、矢晴が純への気持ちに気づいて粗相するまで、となるわけで? じゃあ15話以降はいったいなにになるというのか……。ふたりがお互いの気持ちを探り合い確かめ合う「もだもだライフ」になるのか、純がよりいっそう矢晴を甘やかす「いちゃいちゃライフ」になるのか、どうなのか。 同居から1年後には矢晴が漫画を完成させて、純に読ませているので、あと11ヶ月後ということになるわけだけども。 描き始めるまで半年くらいかかるかなーとか思うと、15話〜20話くらいで、矢晴が漫画を描きたくなる心境に到達するくらいまで話は進行するかしら? ふたりの距離は縮まっているのかどうなのか。純から矢晴へは0距離な気がするんだけど、矢晴は気持ちに気づき始めたこともあって全速力で離れようとしてる感じもするわけで。同居開始時点でもかなり距離取ろうとしてて、同居6日目あたりからじわじわ近づきつつも離れようとしてて、みたいな雰囲気だったとは思うんだけども。 21話〜25話くらいで、漫画描いてる矢晴と古印葵の復活を心待ちにする純とか? さすがにここらへんで5話も使わない気がするから2話、3話くらいで、漫画読んで、純がお返しの漫画描くくらいにいくかなー? で25話くらいまで? そしたら、26話くらいから45話までの20話分くらいで残りの幸せになるまでの1年ちょっと? んー。10話分で矢晴が漫画描いて純が漫画描いて、残り20話分で幸せになるまでの生活……。たぶんこの幸せになるまでの道中で矢晴がもっと納得の行く漫画描けるようになるまでみたいな話が入りそうな気がするから、話数としてはそんくらいになるのかしら……? ざっくりすぎる予想だから全く違ってくるだろうなとか思うけども。 矢晴が自分の気持ちを純に伝えてから漫画に向き合うのか、純への気持ちを忘れるために漫画に向き合うのか、とかいろんなパターンを考えてみるけど、どうなるのか見当もつかん! み...

そわ……

 前回が約2ヶ月での更新で、ゆっくりなのだと認識したので、最近は更新の確認自体はのんびりで、毎時のようにはしていない。落ち着いたものである。 とはいえ、前回の更新が「前編」だったために、さすがに「前後編」で2ヶ月あけるなんてことはないんじゃない? そわそわ……。としてしまっている。明日の土曜で3週だし? ちょうどいいんじゃないかな? とか、勝手に期待してしまっているのであるが。来るだろうか、来ないだろうか。どきどき……。 しかしながら、久しぶりの更新で興奮しすぎて先月分の倍以上の記事数でブログを更新してしまっているのでこれで明日にでも後編が来てしまったら、この11月分だけで100記事超えてしまいそうな気がする。さすがに、それは狂いすぎかと思ってしまうが、狂っているのだから仕方ない。 そういえば秋が終わるので、ちょっと前くらいには矢晴のところに編集部からの連絡が来ていて、ぼちぼち純と矢晴が編集部で会った頃合いになるかもしれないな、と思うとなんだか嬉しくなってくる。

姿勢よすぎな純が好き

 コタツでネームやってる時の純は、正座椅子使ってて。しかもタブレットは目の前に来るように高さ角度が調整できる台を使ってて真っ直ぐ見る感じで。姿勢は崩れなさそうですごい、えらい。でも、持ち上げてる手が辛そうな気はしないでもないけど、それが苦にならないように筋トレしてるのかなー。 パソコンで原稿やってるときは板タブ使ってて、下を見ることがないし、モニターは目の高さに並べてるからまっすぐ見ればいい状態で、猫背になったり俯いたりみたいな悪い姿勢にはならないようにしてて。使ってる椅子もけっこう機能的で良いやつ。 【第11話】でコタツの矢晴の後ろに陣取ったときには、たぶん骨盤クッション(これ、私も持ってる気がする……)持ってきてて。 すっごい姿勢に気をつけてるのが、えらいなあ! と思ったりしている。 実は学生時代は姿勢が悪かったりして、がんばって矯正して、いまもがんばって維持しているのかもしれないな、とも思うけど。 矢晴はもう今筋力もないから猫背だし、もともとわりと姿勢悪くなる感じで漫画描いてるし、というのもあるから、純と一緒に暮らしてだんだんと姿勢矯正されたらいいなあ。 たぶん寿命は矢晴のほうが純より何年も短いだろうから、純が矢晴の亡骸を拾うことにはなるだろうけども、それなりに健康になって長生きできるように姿勢に気を使ったりなんだりと純がサポートしてくれるといいなあーと思う。 純はこの調子だと100歳過ぎても元気に漫画描いてそうな気がする。

読み直し(第8話)

純視点【第13話】ではこのエピソードの直前が回想となっているが、第14話でこの話に言及することがあるのかどうか、ちょっと期待するけど、たぶんこのエピソードは純視点でも矢晴視点でも大差ないのだろうなと、思う。 純がふつうにいい子だからね! 純の家のお風呂の形がいまいちわからないわね……と思ったりするエピソードではある。四角いのか? 円いのか? お風呂上がりの矢晴を純が振り返るところ、正座用の椅子のおかげで体ひねるのも難儀だろうに、なぜそっちの方向に顔を向けてしまったし……? という疑問が毎度爆発してしまう。 ついでに、ダイニングテーブルとソファーの間に扉があって通路になるのか、どうなのか、も毎度謎に感じている。 まあ、それはそれとして。 矢晴がかわいい、純がかわいい、ほんわかエピソード。ほのぼのライフの開始回。 矢晴にクッションをすすめるときに、矢晴のずいぶんと卑屈な物言いに対して、少し考えてる純の『…… ……』のコマがかなり好きだったりする。じっくり考えて、最適でやさしい言葉を矢晴にかけているところが、純が素敵でかっこいい。さすがスパダリ。という気分になる。 矢晴は穏やかだし、純もやさしくて素敵だし、この『…おかえり』『ただいま』が、純と矢晴の関係で一番幸せな瞬間だったのでは……? となっている。ここが理想で、こんな日がずっと続いてくれたらいい……ほんとに。 このエピソードだと矢晴が持ってきた荷物はダンボール3つくらいか? って感じだけど、【第13話】ではもうちょっと多い。それにしても、矢晴が持ってきた荷物は衣服以外は何があるんだろう……。漫画の道具とか原稿とかある? データ保存してる外付けHDDとかある? あるといいなあ。 【第7話】と【第8話】は同日、ほぼ同時に更新されてたんだけども、ここらへんあまりにも印象の違う純のことをみんなどう思ってたんだろう……? と、他の人の感想をすごく知りたい。 当時、わりとどちらもラストシーンの蟲に話題がさらわれていた気はする。

髪の影

 【第13話】の矢晴の部屋で『笑ってませんよ』と言っているところとか、回想の中で『助けるのが目的です』とか、のシーンで、純の髪の影が強めだなあと思っていて、ふわっと、【第11話】の『毛の影を長めに強調するのは私の癖です』という矢晴の言葉を思い出すなどした。 【上薗純、曰く】はやっぱり全体シリアス調なので、髪の影に限らず影が強い気がする。矢晴に対する純の愛の重さを表現しているのかもしれないな、とも思ったりした。 純の愛が重くて矢晴を潰す、はじゅうぶんにありえそうな話な気がする。溢れ出る純の愛で矢晴が溺れる、ということも考えられる。もしかしたら、純の愛は矢晴にとって危険なものなのではないか……と、ドキドキするから、はやくくっついて幸せになってほしい。

純と矢晴の1日を想像してみる

 純は朝起きて、朝食の準備をしてから矢晴を起こしに行くのかな。 矢晴は純に起こされて、朝食。(自力で起きれないとベッドで歯磨きされて台車で運ばれる)純は矢晴を日に当てるために毎朝カーテン開けてそう。 朝食後、矢晴は自室に戻ってベッドで苦しんでたり、家の中を徘徊したり。 純は日中、仕事部屋にこもる。 昼食は、食卓でふたりそろって、かな? 矢晴が動けないときは部屋で食べさせられてるのかな? 昼食後、純は仕事。矢晴はベッドで苦しんだり、家の中を徘徊したり、荒らしたり? 夕方には純は仕事を終えて、ジョギングに行ったり。 矢晴がまともな思考ができる短い時間が夕方〜夜といった感じかなーくらい? 夕方、純は矢晴を強制的にベッドから出す。(2日に1回の布団乾燥機、2日に1回のダインソ)ここらで部屋が冷えないようにカーテン閉めるかなー? ふたりで団欒して夕食食べて、各自お風呂に入って、それぞれ自室で就寝。 矢晴はベッドのなかで眠れなくて妄想に苦しむ。睡眠薬で強制シャットダウンかな。 純は矢晴のための勉強をしてから就寝かな。 純と矢晴が一緒にいるのは、朝食、昼食、夕食と夕方〜夜の時間。あと、ちょいちょい行き逢えば、みたいな感じだろうかな。干渉しすぎるでなく、放置しすぎるでもなく、適度な距離感と、純はちゃんと仕事できてそう。できてるよね……? 【第13話】の終盤、矢晴の部屋でのシーン、カーテンが閉まってるからこれは夜なのかなぁ? と思い始めて。夜、夕食後に歯磨きしてる矢晴がマウスウォッシュ飲んで、純は入浴前だからパジャマじゃなくて。カーテン閉まってるから光源は真上の電灯で、だから純の顔にかかる髪の影が強くて? 1日の終わり頃だから顔に疲れが出てる? とか、考えたりした。 矢晴視点だと4日目の最初の出来事のように描かれてるから、朝かな? とか思ったけども。 矢晴視点だと出来事の時間も前後してるっぽい雰囲気出てきたから、すんなりと1日の出来事として時系列順かなーって思ったところが、案外違ってそうな……? 気が、する。

気持ちを伝える

 はてさて、純の気持ちは伝わっているのかいないのか。 【上薗純、曰く】と題されたエピソードが、純の内面を知ることができる話になるわけだけども。 【第6話】では、「古印葵を忘れないでいようとする気持ち」を伝えるために、いろいろと考えて、伝えようとしている。 『気持ちを伝えれば伝わるはずだ』という思考が、けっこうかなり恐ろしく傲慢だわね、と思うのだけど、「愛を伝えて安心させようとしている」わりには、紡いだ言葉が狂気にまみれて、矢晴を超絶怯えさせ、恐怖を与える結果になっているのが、ちょっと純が不憫というか憐れというか。 【第7話】【第13話】での純の再訪時の対比を見ても、純の気持ちと言葉は伝わっているのかいないのか、というくらいに認識が食い違う。純は前回怯えられてしまったことを反省しての言葉選びで、真摯に伝えようとしているが、矢晴の認識では詐欺師のような胡散臭さとなっている。それでも同居にまで到達できたのだから、一応は伝わった、と言えるのだろうなと思う。 【第13話】では、同居3日目の夜に仕事部屋で矢晴のことを考えて分析して『彼の脳に触れるなら 言葉を介さない「皮膚」からじゃないと届かないかもしれない』『気持ちを言葉じゃなくて温度と感触で表さないと伝わらないかもな』と考えているものの、それが実践できたのは【第11話】の同居6日目ではある。 同居4日目は、矢晴が純のことをどう認識しているのかを聞き出すことに成功しているわけだが、それに対する純がかなり悲痛な感じで、言葉で訴えているので、前日夜に考えていた「温度と感触」はどこかに行ってしまっているような気がする。それでも矢晴が振り向いてくれているので、一応は伝わったことになるのだろうが、その結果は次の話に持ち越しなので、はやく次の話が読みたくて仕方ない。結局のところ、純の気持ちが伝わるのかどうなのか。 純は、言葉が達者なんだよなあ。四階との一件を考えても、言葉を武器にできる子なわけだし。頭の回転が速くて、言葉を構築する能力が高くて。ボディタッチが多い子ではあるけども、それで気持ちを伝えてきたわけじゃなく、他者とのコミュニケーションは言葉に頼ってきていたのだろうし。だからあんなにもビデオ通話でしゃべりたおせるのだろうなあ、とも思う。 だから、漫画も言葉に頼っちゃってて、セリフが長いし野暮ったいし……という状態になっちゃう...

愛の単位

 愛とは、「深い」ものなのか、「大きい」ものなのか、「重い」ものなのか。 巷では「クソデカ」とか「ゲキ重」などと言われているので、「大きい」「重い」ものなのだろうかな、とは思う。 私は比較的、「底なし」と思ったりはしているので「深い」方面で考えているように思う。 実際のところ、物理的に計測できるようなものではないので、「各個人が受ける印象」でしかないと思うのだけど。 「重い」のは、「相手側に負担・苦痛がある状態」とあるので、物理的に相手を潰すような心理的重量、という感じかな? とは思える。 「大きい」のは、当人の思考の中に占める相手への思いの大きさかな? とは思える。 「深い」のは……、深いしか言いようがないというか、言い表すための言葉・文章が思いつかない。ただ、相互に育むというよりは、一方的に注ぐ、一方的に溢れ出る感じかなあ、とは思う。 矢晴は「純の愛」「純との関係」を測るために『純にとって私はチワワ何匹分だよ?』と口走ってしまったわけだけど。直近で「結婚してファミリー向けマンションを買ったのに3ヶ月で離婚したから、家が広すぎて、それを埋めるのにチワワ10匹飼うしかない」と純が言ったことを受けての「チワワ何匹」。 数量で測りたくなるくらいに、矢晴は純から注がれる愛情を自覚して受容してはいるのかな。それがどんな方向のものかはわからない。けど、チワワに喩えたときに、自分の気持ちに気づき始めて、純の愛情と自分の気持ちの方向が違うんじゃないか、とも怯えている、気がする。 読者は、この物語が【創作BL】というジャンルに属しているから、「ボーイズラブである」という指針を与えられているけども、矢晴にとっては気持ちの終着点がそこになるという「未来」はいまだ知らないわけだし。 私としては、純には底なしの愛情でもって「古印葵の熱烈なファンで福田矢晴を愛してる」みたいな感じになってほしいなとは思ってるんだけど、どうなるんだろう。

ニュートラル

 私は矢晴に対して、純がニュートラルな感じで対応するのが好きなんだなあーと、気づいた。 だから、【第13話】終盤の純が、なんだか疲れた顔をしているように見えたり、切ない表情で矢晴に訴えていたり、というのが、好きだけど、なんか、私の好きな純じゃない、という気分になってしまっているようで。 同居してまだ4日目なのに、そんな疲れた感じの顔をしないで欲しい。前日の夜にあんなに矢晴のことを考えて、いろいろ調べて勉強して、『気持ちを言葉じゃなくて温度と感触で表さないと伝わらないかもな』と考えていたのに、言葉に訴えてるし。 と、書いたところで、その疲れた顔は、矢晴のための勉強で夜更ししすぎたせいなのか……? とも思い始めた。顔にかかる髪の影と表情でかなり疲れて見えるのに加えて、目元にクマができてるっぽいし。 とはいえ、あんまり落ち込んだ雰囲気出されると切なくなるし、矢晴が余計に落ち込みそうな気がしてしまうから、純にはなるたけ明るく「矢晴がただそこにいるだけでいいんだよ」って感じの雰囲気で居て欲しい。そんな雰囲気でいるために純が無理するのはイヤだけど。 ふつうに、古印葵が好きだから矢晴がここにいて嬉しいって感じの、かわいい純がいいなー。ポンコツな感じなのはイヤだけどー。と、私はどれだけ純に理想を押し付けているんだか……とか思うけども、【第8話】【第9話】あたりの純がそんな感じで、理想的だったかと思う。 【第13話】は純視点でシリアスな雰囲気強めだから、純の表情や感情の効果とかも強いんだろうなあとは思うんだけど。余計に強く受け取ってしまっているのかもしれない。

B誌での古印葵

 小さいながらも賞を獲ってこれから、という時分ではあるまいか、という頃合いに、B誌に勧誘されて、『興味があったからB誌で打合せを始めた』と、ふわっとした理由で行ってしまったのが運の尽き、みたいな古印葵だけれども。 これまで語られた分から考えると、最低でも3作は描き上げていそうな気がする。うち1作は2ヶ月修正してボツになっているから、描き上げたと言えるかどうかとは思うけど。 B誌に移って最初の1年(25歳)は、おそらくA誌で発行した単行本の印税などで生活し、漫画を描くことだけに専念する感じではあったけども、B誌では一切採用されていない。『もがいてももがいても進展は見えず足踏み状態の日々』。この頃の担当は、黒髪セミロングの人のようで、打合せ中に黙り込んでしまう人ではないような……? 一切採用されないから原稿料という収入がなく、支出のみがかさむ。貯金が減っていく。 2年目(26歳)には、レジ打ちのバイトで生活費を稼ぎながら、漫画を続ける。年末頃に『来年…4月…に掲載するつもりで…準備しましょう』と採用されたと思われる(けど、2ヶ月修正に費やしてきてのボツ。この案件は3年目にかかる)。 3年目(27歳)は、その年の4月に掲載するつもりで2ヶ月修正してきた作品がボツになっている(2年目の案件)。(※ここで「何年もフリーターでいるのは嫌だ」と言っているから現状バイトをしていると推測されるので、26歳〜27歳の出来事と推定している)そして、この3年目の半ば(2年半)でB誌を去ることになるので、おそらくこの出来事が決定打となっているかと思う。 そして、時期は不明になるけども、『んー何度も直してもらってあれだけどジャンル自体変えない?』と言われている作品と、『描いてもらったやつ確定って言ったけど(中略)あれ全没ねまた企画からおなしゃーす』と言われている作品。 おそらくは、半年から1年程度の期間に1本、作品を採用と言われて、描き上げてはボツにされる生活になっていたかと思われる。採用された作品が読み切りなのか連載なのかは定かではないが、安定した収入への期待がなければここまでしがみつくこともなかったのでは? とも思えるし、「掲載は来年4月」「修正2ヶ月」など準備期間の長さを考えると、「連載作でまず3話分を用意」などではなかろうか? そう仮定した場合、B誌で最低でも3作、連載用の3話...

■【売れうつ】の二次創作(13)(小説)

 矢晴がちょこっとだけ運動する話。 後からちょっとえっちぃ雰囲気にしてもいいかなと思ったものの、読み返してみたらそんな感じにしなくてもいいなってなった。 ■

無償の愛

 「見返りを求めることなく注ぐ愛情」ということだけども、愛情を注ぐ本人が見返りを求めないでいることはいいのだけども、愛情を注がれる側が「見返りを求めるな、対価を求めるおまえは卑しく浅ましい人間だ」と強要して他者を使役しているということが罷り通っているなあと思う昨今。 純が矢晴の世話をする、矢晴が幸せになれるように尽力するのは、純にとって矢晴への「無償の愛」かもしれない(個人的には、純はすでに十分な幸せを受け取っているがためにそれをわずかばかり矢晴本人へと還元している状態だと思ってはいる)。 矢晴自身は「無償の愛」などというものは信じていないようで、純がなぜ自分を助けるのかを不思議に思っているし、恐怖も感じているように思う。勝手にされたことなのに後から返せと言われるかもしれないし。 【第11話】で『純さんって私を働かせるつもりもないのに住まわせてるんですか?』と言っているあたり、ギブアンドテイクだとか等価交換が必要だと思っていて、一方的に注がれる、受け取るだけに抵抗がありそう。 【第13話】の純視点、終盤の、純が矢晴にどう思われているのか知って、自分の目で確かめて、と訴えるシーンは、とても切なくて好きなんだけど、反面、なんか違わない? という気分にはなってしまう。 矢晴の病気の症状としてある他者への不信や認識の歪みを土台にした妄想による事実(現実)の誤認みたいなものを、まっすぐに向き合ってもらって信頼を得て誤差修正をしようとする、みたいな試みはとても良いことのように思えるのだけども。 あそこまで切ない表情でされると、「純の誠意を受け取らない矢晴がひどい」みたいな雰囲気を感じてしまって、いやーーーーと叫びたくなる。純が情に訴えて強要している感じにも見えてしまったり。そう見えてしまう自分の問題ではあるんだけども。 あまりにも、このシーンは、なんだか純が矢晴に対して自分の感情押し付け過ぎじゃない? 矢晴のことならすべて受け止めるみたいな、どんだけ広大なんだ純の心は! と思ってしまうくらいのこれまでの印象から転換して、わりと狭い“人間”だということを押し出してくるなあ……と思う。やっぱり「慈愛」なんて嘘っぱちじゃん…? そんな純も好きだけど! 好きだけどもなんだかぐるぐるしちゃうし、そんな“人間”押し付けられたら矢晴がよけいに病みそうな気分になってしまって、さあ大変。...

この表紙……

 【第13話】の表紙。純の奇行ってこんなのかーと、のほほんと受け取っていたけれど。よくよくじっくり考えると、 純がパジャマでコーヒーを飲んでいる=朝 矢晴が純がパジャマで活動してるくらい早い時間に起きている! ということではないか? という仮説を思いついた。 夜更ししない純がコーヒー飲むなら午前中か昼ぐらいまでの間の気がするし。わりと矢晴を起こしに来る頃には、服に着替えてる気がするから、朝のうちにパジャマでいることが珍しいような気もするし。 休みの日にだらだら過ごすから昼までパジャマ、1日パジャマの可能性も捨てがたい、とも思う。矢晴と一緒に小上がりの和室でゴロゴロだらだらしてほしー。 コーヒー飲んでストレッチしてるの、いったいどこなのさ? という疑問も生まれるのだけど。ざっと見た感じ、キッチンにはこんなふうに壁があって低い収納のあるところが見当たらなくて。 なんとなく、玄関で下駄箱か……? という気分になったりもしたのだけど。あと洗面所……? コーヒー飲みながらストレッチってだけでもじゅうぶんな奇行だなとは思ってるけど、玄関とか洗面所とかでコーヒー飲む時点でずいぶんな奇行だなと思ってしまった。

読み直し(第7話)

 【第7話】の読み直しは【第13話】と並べて。 順番は前後してしまうけども、【第7話】後半から。 【第13話】の純視点からでは、純の言葉は丁寧で、そして真摯に真剣に、矢晴を気遣い、助け出そうとしていて。 【第7話】の矢晴視点では、純の口調は軽薄で胡散臭く、詐欺師のように甘い言葉で籠絡しようとしているようで。 とはいえ、どちらも「矢晴をこの惨状から連れ出して、助けることを目的としている」。話している内容を要約すると、どちらもほぼ同じことを言っている。 「助けるよ」というメッセージだけは、矢晴の心に届いていたことにはなるから、釣り上げられたんね。藁をもつかむみたいな気分だったろうか。 【第7話】単体で読んでも、問題なくストーリーは進むのだけど、純への不信感、同居後の不穏が煽られる。それは矢晴が上薗純に対して抱いている印象と恐怖心がもたらす妄想なのだと【第13話】で明かされる。 【第5・6話】の純視点を読んでから【第7話】を読むと、直前に抱いた純への印象と異なる、あまりに軽薄で古印葵である福田矢晴を軽んじているような口調に違和感を抱いてしまい、「なんで? どうして? こんな子だった?」と混乱するわけだけども、そうして印象を撹乱することも、物語の演出だったのだなあと思うと、漫画のうまさにうなってしまう。 単話で感想を書こうと思っているのに、このシーンはここらへんも参照したい、あの話も……と次から次へと開いて、ついうっかり読み耽ってしまうなぁ。 改めて。 第4話、第6話からの続き。 純が真面目な顔してじっと見つめる先の、矢晴のものすごい恐怖に引きつった顔と防御反応が、純の威圧感をまざまざと感じさせる。だから、怖いんだってば、純。 矢晴に超絶怯えられてる純が内省するところは、ちょっと冷静さを取り戻し、自身の徹夜の異常なテンションすら反省したかなと思える。 ルームシェアの話は、同居を持ちかけた際の圧を和らげるための方便かと思ってはいるのだけど(第12話でも話題にしてるからちょっとわからなくはなってきている)、純が帰る直前の矢晴は、ちょっと警戒心を解いてる気はするから成功してるのかしら? ここの矢晴かわいいんだ。 背中に残る純の体温と感触と純の言葉が『この病気にとって蠱惑的すぎる』と蟲が芽生える。「魅力的」でなく「蠱惑的」であるところが重要なんだろうなあ。蠱毒の蠱に、「判断...

ごはんと果物

同居1週間目の温室で朝ごはんでは、イチゴ。 同居1ヶ月目の前日には、キッチンに柿とりんごと、なにかパックに入った粒状のものが置かれていて。 果物を常備してるのも、矢晴のためかなー? とは思える。純が矢晴に説明していた食事のなかにバナナは存在してたけど、ほかの果物は登場してなかったし。日常的に果物食べるのはうつにいいらしいし。 イチゴはチョコレート系と相性がいいかと思うから、イチゴとココアはいい感じだなあ、と思うけど、やっぱりあの温室で朝ごはんの「おにぎりとココア」の取り合わせはいまいち。おにぎりじゃなくて全粒粉のパンとかにしたらどうだい? みたいな気分にはなる。 でも、あのおにぎり、純が握ったのよね、と思うとえらいかわいい。きれいに三角に握れてるし。おにぎり無理くり矢晴の口に押し付けて、顔中米粒だらけにするのはどうかと思うけど、そのまま矢晴がクッションに顔を埋めるから、米粒がーーー! とか思った。米粒と涙と鼻水で、クッションがなかなか大変なことに。 そこらへんも赤子のようだわ、矢晴。 そうやって無理矢理食べさせられてるとき以外は、食卓で食べてるんだろうなあと思うけど、矢晴が三食とも食卓で食べれるようになるのはいつだろう。

酢酸

 矢晴が純の家に来て、最初の食事。そんなに量を食べられないからと残そうとするけども、純が心配するから「味変で」とお酢類を所望。出してもらったドレッシングやポン酢、米酢のなかからポン酢を選んだのだろう、真っ黒い液体をじゃぶじゃぶとご飯にかける。ポン酢でお茶漬けしてるみたいな。 純は『アル中は酢酸を摂りたがるって聞いたことがあるけど…これがあれか…』と考えながら怯えている。 アルコール中毒、アルコール依存症になってしまうと、脳みそが使用する栄養を糖から酢酸に変えてしまうようで。 アルコールが体内で分解されて酢酸にして、それを脳が消費して、と食事によらずに脳が活動できてしまう、っぽい。脳は酢酸で動いたとしても、身体を動かす、維持するための栄養は普通に必要だから、食事も大事だと思うのだけど。 アルコールを抜くために、通常の食事だけにシフトした場合、脳が働くための栄養(酢酸)が極端に足りなくなるような気がする。 と、これが、矢晴の『逃げ道がないので脳が爆発しそうになる』『そうなると脳が仕事を放棄して言葉が口から出ずうめくだけの肉になる』状態は、脳が働くための栄養がそもそもなくて、飢餓状態という感じかな? 純は食事の際にドレッシングを矢晴に用意したりはしてるけど、現状、それ以外のことはしてなさそう。「アル中は味覚の好みが酢酸寄り」程度に考えているのかもしれない。 米酢ならまだしも、調味料として味付けされたポン酢やドレッシングをあの量摂取するのは塩分などの関係が怖い気がするので、純にはぜひとも、矢晴の日々の脳みその栄養のために「お酢を使ったドリンク」を用意してあげて欲しい、と思う。 朝昼晩食前食後とおやつの時間、酢酸入りのドリンクを飲ませたら、脳みそが起動してる時間が長くなる=まともでいられる時間が長くなる、かもしれない。ただ、脳みそが働いている時間が長くなるとその分、精神的に矢晴が自分を追い込んでいく時間も長くなりそうで、そうなると脳みそ働かせないほうがマシになるけど、脳みその栄養が足りない状態が続くと、矢晴の聡明さや分析力もボロボロになるから、それは困る。 酒で酩酊してる時間って、大事だったんだな……。 ただ、酢酸入りのドリンクをほぼ常時飲用するとなると、今度は「酸による歯の劣化」が問題になりそうで。「日常的に吐いていると胃酸で歯が溶けて虫歯になる」ということはご存知...

矢晴の彼女

 純と矢晴の幸せを願う身としては、そしてまたBL好きの身としては、この矢晴の“7年付き合った彼女”の存在は邪魔でしかないんだけども、受賞をピークにどんどん病んでいく矢晴を数年支えてくれた“彼女”は、十分がんばってくれたんだなあと思う。 B誌に見切りをつけるあたりの意思決定に関与したかもしれないな、と思うと良いことをしてくれたなと、勝手に称賛してしまうが、A誌に戻ってからどんどんひどい状況になっていく矢晴には耐えきれなかったのだろうなと思う。 矢晴がB誌からA誌に戻っていなければ、純との接点のないまま、矢晴はひっそりと漫画家をやめていたんだろうなあとは思えるけども。A誌に戻ったばっかりにこんなことに……と思うと、矢晴の人生にとってどっちがよかったのだろうか……とは思う。 矢晴が順調に漫画家として安定していったら、“彼女”と結婚していただろうし、完全に病む前、矢晴が漫画を続けることをやめていたら、就職して“彼女”と結婚する方向の人生になっていただろうなと思うと、純の出る幕は完全になくて。 などなど考えていると、ちょっと複雑な気持ちになってしまう。

恋と愛

 【売れうつ】は【創作BL】なので、男性同士の恋愛模様が描かれるはずなのだけど。 矢晴は「7年付き合った彼女」がいて、純はどっちかよくわかんないけど、矢晴が【第12話】で脳内再生してる純の言った『妹だときっとかっこつけちゃうから』の「妹」を強調して考えてたあたり、矢晴は純のことを「異性を意識する人」としてとらえてるのかなー? とは思う。 矢晴はノンケで、純もノンケだと思っていたら、矢晴は純への気持ちに戸惑うし、純に受け入れてもらえない気持ちだろうと封印したくなるし、そんな気持ち抱えたままじゃ辛いだろうから『曖昧にしたい』んだろうなあ、って感じはする。 このふたり、どういう感じでどうやってくっつくんだろう? というのは読み始めた当初から思っているけど、物語冒頭で描かれた同居1年の時点で、そんな気配はなさそうな……? いやまあ、そんな初っ端からネタバラシみたいにしたら、出落ちになるか……、と思いつつ、でもやっぱりまだなのかもしれない、とかぐるぐる考える。 恋と愛、恋愛、がよくわからなくなって、辞書の語釈を並べて読んでもよくわからない。いいからくっついて好き好き言いながら、イチャイチャしてくれ! と思ってしまう。 【第12話】で矢晴が自覚し始めた気持ちは、「恋」かなーと思うのだけど、純の家という安全な場所と、純の愛という大きな繭に包まれて育って、純を恋い慕う心になったんじゃないのかなー、とは思うけども。 純はもともと最初に漫画読んだ時から古印葵に恋してたよね、とは思うのだけど。今は矢晴に対して「慈愛」で包み込んでいると思っているらしい。私はそれはちょっと信じられないのだけど。「慈愛」なんておきれいなもんか、と思いつつも、それでも純はちゃんと矢晴を大事にしてくれる。恋愛的感情から大事にしていると言うよりも、今は介護・看護・療養って方面でしかないみたいではあって、純の気持ちは見えない。できれば早めに純の気持ちを知りたいので、できれば今回の純視点の後編に描かれたらいいなと、切に願う。 健全に恋愛しようと思ったら矢晴がまずは元気にならないと、とは思うから、純にはがんばってほしいと思うけど、矢晴が純に信頼を寄せるようになると、恋愛よりも依存のほうが先に来そうな気もしてしまうし、依存だったらまだ元気になれてないということで……。ぐるぐるしてしまう。

矢晴が見ている

 編集部で純と会ったとき、挨拶されるまでは純を観察して、顔を見て、『優しい顔…』まで思っていたのに、その後は純を見ないように視線を外すことが多くて。授賞式の話をされたときは、純の顔を見ようとせず馴れ馴れしく肩を抱いてくるその手を見ていたり。 たしかに、矢晴は純を見ないんだよなあ、というのは以前から思っていたけども。同居5日目からの純が怖くなくなったのと、日を追うごとに、矢晴が意図的に純を見ようとする目の動きがあるなという、ぼんやりした印象が、【第13話】の純の言葉で、「純に言われて、矢晴が純を見るようになった」んだなと思う。 そう考えてしまうと、このシーンの展開が読めてしまうみたいなことになりそうだけど、純に言われて純を見て、不安が払拭されてバンザイ、みたいな安直な方面にはいかないだろうなあ。当の同居4日目の夜があんなふうなわけであるから。 とはいえ、ここの展開は、純と矢晴の関係においても重要な転機ではある気がするから、続きが気になる。どんな魔法を使ったんだ、純。 そのうち、見つめ合ったりできるようになるのかなあ、と期待するけど、先は長そうな気しかしない。 でも、【第12話】の矢晴の頭いっぱいの純の姿を考えると、案外、普通に、ちょいちょいしっかり純のことを見ていてくれているんだなあと嬉しくなったりはする。矢晴の見てきた純はみんなかわいい。

ダサいとはなんぞや

 矢晴も純も「ダサい」「野暮ったい」を嫌っていて、純が評価する古印葵の漫画は「セリフが洗練されてて」「センスがあって」「漫画の中で一番かっこいい」。 そもそも、「ダサい」ってなんなんだ? 「野暮ったい」ってどういうものだ? と、センスのかけらもない私からすると、まったくわからない領域ではあって。それぞれ各個で基準が違うし、語義や定義が異なって、一律で測れるようなものでなく。逆に定義が違うことによって便利に使えてしまう言葉かな、と思う。意味合いが広すぎてとりあえず言っとけば通じるみたいな。 純は自分の漫画を「古臭い」「野暮ったい」「ダサい」「センスもいまいち」とかなり酷評するわけで。 状況的に、純が四階をやりこめた後の、『空気は冷たいドブの中のような「最悪」になっていた』ような場所で、どれだけ褒められても矢晴には響かず。普通の状態で純が自作を貶さなければ純の言う『漫画の中で一番かっこいい』という褒め言葉は矢晴にとってかなり嬉しい言葉だったのでは? と思える。 【第11話】で矢晴が影の入れ方について話したときの純は『へえ〜〜なるほどなぁかっこいい…参考になります』と褒めていて、矢晴は耳まで染めて照れてたことから、矢晴にとっての「ダサい」は「かっこ悪い」ことで、「かっこいい」という褒め言葉が一番響くのかな? と思える。 【第13話】で純の回想の居酒屋での一幕では、人の悪口を言ってしまったことを「ダサい」と言ってるけども、簡易に翻訳してみると「気持ち悪くなるほどかっこ悪い」ということかなー? と考えてみたりした。 打ち切りにした連載も『自分の名前で発表したくない……』と思うほど、「ダサい」「かっこ悪い」ものだったから、『ダサくなりたくないからもう二度と漫画描きたくないんですよ』となった。純にとってもこの連載作は『どうしてこうなった?』レベルのものだったから、相当、「ダサかった」んだろうなと思える。 矢晴にとっては、連載作の出来もそうだけど、その時に生活のために原稿料が欲しくて担当の言いなりになってしまった自分のマインドが「ダサい」「かっこ悪い」ということにもなるんだろうなあ、と思う。 純にとっての「ダサい」は「野暮ったい」が一番大きいようには思う。純自身も「野暮ったい」を多用して、矢晴が純の話を聞いて『セリフも絵も野暮ったさを嫌う人だなあ』と思っているあたりに矢晴と...

純の動向

 初コメントありがとうございますた\嬉/ お返事不要とのことなので、コメントで書かれていたことに関連して私が考えていることをちょっとまとめておこうと思います。 純はこれまでファンとしてどうしてたのさ、というあたりは 空白の3年間 でちらっと考えたりはしたのだけども。 純は20歳前後で古印葵の漫画に出会ってファンになって、この時点ではごく普通にファンだったんじゃないかと思う。それなりに熱烈ではあったかと思うけども。憧れの古印先生と同じ雑誌でデビューしたいと月例賞に応募するほどではあるし。 実物の古印葵を見れたE・B大賞の授賞式で、直にサインを貰えたのかは定かではないのだけど、スピーチの内容を詳細に覚えてしまっているくらいには、生身の古印葵にも魅了されていたかと思う。けども、そのときの古印葵には“彼女”がいて。(私はここで純は生身の古印葵に恋したけど即失恋したのでは? と考えてたりする) 【第9話】で『もし私と会う前からあなたが幸せに暮らしていたなら』『私はここまで干渉しませんでした』と純が矢晴に言いながら、“彼女”らしき女性と矢晴の後ろ姿が描かれる。だから、純は矢晴がB誌に移って漫画家としての消息が途絶えてしまっている間も、「古印先生には彼女がいて、幸せに暮らしているだろう」と思っていた可能性は高いのだろうなと思えるので、なにかしらの直接干渉するようなアクションをとろうということはなかったのかなーと。それにしたって、ファンレターくらい送ってくれてもよくない? とはずっと思うのだけど。(送ったとも送ってないとも明示されてないけども) 【第5話】で、『3年ぶりに古印先生がA誌に帰ってきたときは本当に嬉しかった』『けど』『どうしてこうなった?』と古印葵の布教活動を開始するものの、世の中は古印葵を認めないというよりも存在すら感知してくれない雰囲気で、純の布教活動も空回りしていて。むしろ、純の布教活動が下手すぎるのに無駄に強火で、「古印葵のガチファン怖い」と古印葵の評価を落としているのでは……? と危惧できるなと最近また思ったりした。 矢晴が純を怖いと思ってるのは矢晴の主観と思い込みだろうけども、「古印葵ファンの上薗純」は素でヤベー奴ではある。 古印葵が連載打ち切りにしてしまったあと、おそらく純はどうにかして古印葵につながりたいと思っていたんだろうなと思うんだけども、そ...

矢晴の栄養状態

 【第13話】の冒頭、純の見てきたいろんな矢晴の姿を見ると、驚くほど頬がコケてて痩せていて。 物語序盤、編集部から連絡をもらって編集部に赴く矢晴は、げっそりやつれてボロボロで。 【第9話】からの同居生活、【第12話】の同居1ヶ月ともなると、顔つきだけでいえば、もうそこまで痩せすぎな感じがしなくなってたな! と改めて、驚く。【第2話】でお風呂に入れてもらってる矢晴は、純の体格との対比もあってか、やっぱり痩せすぎなくらい細いのだけども。 ちゃんとご飯食べて、ちゃんと血肉になってるのだなあと、感慨深く。純の栄養管理がしっかりしてるおかげだなあ、えらいぞ、純。まだまだふっくらとまではいかないけども、半年もすればもうちょっと肉がついてるかもしれないと期待する。 目の下のくまはまったく変わりないのは、栄養状態や血色の悪さというよりは、まともに睡眠を取れていない・快適な睡眠ではないことと、染み付いてる感じなんだろうかなあと思うけど。1年後も健在だし。(健在……?)

純のネーム

 5日目の昼間だか夕方だかに矢晴に読んでもらった「矢晴さんの漫画を真似して描いたネーム」をいつ描いたんだろう……? と。 そこらへん、次の第14話で描かれるかなー?って思ったりもするんだけど。 純はネーム兼下描きは5時間で描けるとは言ってるから、昼間にちゃちゃーっと描いたかなー? 夜更ししない子だけど矢晴の療養計画とか夜中にやってる感じだから、ついでに「古印先生復活計画」とかも立ててその一環でネーム描いたりしたかなー? とか、考えてみる。 ネーム見て貰う前に矢晴に『0から1を何個も作る人の方がすごいと思いますけどね』と矢晴を褒めてはいるんだけど、これには矢晴は無反応で。翌日に影の入れ方で『へえ〜〜なるほどなぁかっこいい…参考になります』って褒めた時は矢晴は耳まで染めてちょっと嬉しそうなんだけど、この差はオキシトシンのせいなんだろうか……とふと、思う。先のは褒められたように聞こえないからかしら? 褒められて嬉しいポイントじゃなかったからかしら? とかとか。 それにしても、純は、「これ以上先のネームを渡してくるな」と担当に言われているにもかかわらず、毎週毎週きっちりネームつくってる気がする……むしろ、原稿2〜3週以上先の分をやってるんじゃないのか……? とまで思う。ストック多めだから矢晴のあれやこれややっても平気とか……? みたいな。 この矢晴の漫画を真似したネームは結局採用されたのかどうかはちょっと気になるなーとは思っていて、矢晴視点ではこれがどうなったのかは描かれてないけど、連載の途中で望海可純の漫画が古印葵風の漫画に変わるのは、担当は受け入れないんじゃ……? とも思えて。 それはそれとして、純としては憧れの古印先生風に描いたネームを古印先生に見てもらった上、指摘が1箇所ということは、ほかは問題なかったということで? 純は理想の漫画に近いものが描けていたんだろうか?

読み直し(第4話)

 第3話の続き、編集部を出て散歩。 純から離れたいんだろうなあ、という感じで早足でぐいぐい先に進む矢晴が、この頃はこんなに動けていたのに……という気分になってしまう。 所持金明かして帰ろうとする矢晴だけども、逆につけこむ隙を与えているように思うし、純が年下であることを確認して、酒が飲めるなら、と言っている矢晴は、かなりズルい。【第11話】で『正直で矮小なものでいたい』と言っているけど、端々でズルい感じが出てしまっていて、だから「情けない、死にたい」と落ち込んでしまうんだろうなあと思う。 カフェでのサインや居酒屋までの道中、居酒屋でのことは、矢晴視点では「なにをしゃべったか覚えていない」とモノローグが入るけど、ミント色の鉄柵はちゃんとあって、【第6話】の純視点でのエピソードにつながる。 『編集部を出てからは』『漫画家同士なのに不自然なくらい漫画の話題を一切しなかったのは覚えてる』と矢晴は語るけども【第13話】で居酒屋で「古印葵のペンネームの由来」を話しているから、酒飲んだ後半の出来事ではあるし、覚えていたくない話として記憶から完全に消去したのかな? と思える。ペンネームの話は「漫画の話題」ではないとも思えるけど。 ここまで矢晴がベロンベロンで覚えていないと言っても、純視点で矢晴が居酒屋で話したことがボロボロ出てくると、実は案外、普通に「漫画の話題」をしたのじゃないかと思えてくる。漫画を読まなくなる前の作品の話しかできないけど。もしかしたら、望海可純のデビュー作についての話もしたのか? とドキドキしてくる。 矢晴のアパートの自室を見た純の『掃除するんで』というシーンの純の顔が、かっこいい。男の顔してる。と、初見のときから思っている。矢晴に対しては人当たりのいい笑顔か乙女な顔ばっかり見せてた(四階に対しては冷酷な感じだったし)のが、怒りに燃えた効果とともに、男らしいんだ。好き。 一晩明けての朝。徹夜で掃除してた純。起きて純から水をもらった矢晴の白い靴下か足裏が黒くて、純の黒い靴下は白くなってる。初見時から黒いな、白いなとは思ってはいたけど、【第13話】の『白い靴下が黒くなって黒い靴下が白くなるような床』と言うのを聞いてからだと「黒いな! 白いな!」と改めて。 純はそのシーンの足の形が靴にも見えてたから、純は土足で掃除したのか? そりゃあなにが落ちてるかわからんし、...

蜘蛛のこと

 わからないからけっこう引きずっている。 蜘蛛が矢晴の幻覚と幻聴の「産物」であるのか。「象徴」とは思えるけども、やっぱりそれが「産物であると、わかる」という境地には辿り着けそうにない。 【第11話】で、「矢晴が蜘蛛を手で押し潰す素振りをした」「けど、蜘蛛は生きていた」ということから、「潰したのに死んでないから幻覚」ということなんだろうか? 【第7話】では、矢晴が生きている蜘蛛を見て、その蜘蛛から想起して顔を蜘蛛の糸で覆ったのは、矢晴の想像・妄想だろうけど。 蜘蛛が喋るわけがないから「幻覚と幻聴」ということだろうか? そこらへんは「漫画的表現」としか受け取れないから、かわいいなあ、としか思えなくて。 むずかしいなあ。 とはいえ、【第11話】のタイトルが【蜘蛛・オキシトシン】なのは、蜘蛛に注意を払わせたいという作者の意図があるだろうなと思った。ここで蜘蛛に注意を引くことで、【第7話】の蜘蛛のシーンを思い出させる、もしくは読み返した際に注目させて、【第13話】の該当シーンをさらに盛り上げる意図があったかと思う。 【第13話】を読んで、読み返して【第7話】で気づかせて、【第11話】でも気づかせるという、読み返すことをも前提とした仕掛けにもなっているかと思う。

純の欠点

 純のスパダリぶりには舌を巻く。 累計1400万部に到達するほどの人気漫画を描き続け、大きな家で超効率化な暮らしぶりで特段家事に追われるでなく、自由な生活を送っていて。 うつ病、アルコール依存等を患う憧れの作家の療養のために、いろいろ考え勉強して実践して。 対外的にも明るく社交的で、頭がよく、真っ当な社会人、大人としての良識も持ち合わせ。 およそ、人間的に非の打ち所がない、欠点のない人間に思えるわけだけど。 そんな上薗純の唯一の欠点は、「古印葵を好きすぎること」だろうなあーと思う。 古印葵の話に乗ってこず、明後日の方角で盛り上がっていったアシたちに苛立って怒りをつのらせグループを退会したり。 古印葵の話がしたいのに乗ってこないインタビュアーの望んでいない反応にキレ散らかしたり。 古印葵に罵詈雑言浴びせた編集者を社会的に抹殺せんばかりにやりこめたり。人気作家と一編集者でバトルになったら出版社に利益を生む作家が残るの当然だし。そもそもこの一件は編集者側が圧倒的に悪いし。 きっと各所で「望海可純は古印葵さえ絡まなければ、すごく才能も実力もあって人間的にもいい人なのに……」と噂されている気がする。

古印葵限定

 純の愛情は古印葵限定でしかないと思っていて。 矢晴は、「万人に愛を注ぐべき」とでも思っているのかどうなのか。純が矢晴になにかするときには、【第9話】『ほっといたら死ぬだろうなって人私以外にもこの世にいくらでもいるじゃないですか』とか言っちゃう。 純にとっては、「目の前で」「大好きな」「古印葵が」「死にそうだったから」「助けたい」「助けなきゃ」「助ける」ってだけのことで、他人なんか知ったこっちゃないだと思うんだよなあ。 【第13話】で第7話の純視点の心の動きを読んでも、「憧れの古印葵が消えてしまうのが嫌」だから「自分の手で助け出すから生きていてほしい」くらいの、純のエゴだろ、って印象はずっと変わらなくて。(【第5・6話】の純視点のときからその印象は変わらない。) 矢晴にとっては、純がそこまで(私財をなげうって、身も心も削って)「福田矢晴(古印葵)」に尽くすのか、信用できるわけがないとかあるわけがないとか思うのもわかるけども、「純の大好きな古印葵だからに決まってんじゃーん!」と叫びたくなる。 【第11話】の蜘蛛のシーン、矢晴が『好きなものしか愛せないのが人間の弱さですから』って言ってるのに対して私が思ったのは「純は古印葵しか愛してないぞ、だから福田矢晴しか助ける気がないぞ」ということで。ここは純が古印葵以外に目を向けないことを咎めてるんだろうか……? 【第9話】で純が『もし私を会う前からあなたが幸せに暮らしていたなら 私はここまで干渉しませんでした』『好きな人が目の前で死にそうだったからあれこれ悩む暇がなかったんです』と言うあたりには、純の常識的な節度は感じられて好き。 「矢晴が幸せに平穏に暮らしているなら干渉しない、矢晴が明らかに死にそうだったから純のわがままで助けた」「上薗純が大好きな古印葵を助けたいから、助けた」だけで、「不幸な弱者は人道的に助けなければならない、それが善人のあるべき姿」みたいな話じゃないから、大好き。 【第13話】の終盤の、純があまりにも切なくて、好きなんだけども。いろんなことを考えちゃうな、と渦巻いて。 「矢晴の妄想の中の偽りの純を否定して、矢晴自身で現実の純を確認してもらうことで矢晴の不安を払拭し、信頼関係を築きたい」ということであればいいのだけど。 「こんなに尽くしてあげてるのに、信じないなんて、矢晴がひどい」みたいに思ってるんだ...

■【売れうつ】の二次創作(12)(小説)

 本編では出てこなかった、矢晴が純の家に引っ越すことに決めたところを。後からでも本編で描かれたらとてもうれしい。どういうふうに矢晴が決めて、どんなふうに純が喜んだか見たいから。 ■

純のノートとか

 純がびっしり書き込んでるノートとか、見ているパソコン画面とか、読める文字が書いてあると読んでしまう。 読んで、調べて、おおおーーってなってる。 例えば、ノートに「凍り付き」って書いてるから、「凍り付き」「凍りつき反応」とか見てみると、「首を引っ込めたカメ」とかでてくる。 【第7話】の冒頭、純に怯えて窓際に逃げて、肩にめり込むほどに首を引っ込めていた矢晴は、まさにこの状態の防御反応だったと思う。生命の危機を感じている。そりゃもう『あなたの亡骸は私が拾いたいんです』なんて、今すぐ殺される気分にもなろうてと、思う。怖いのよ、純。 四階の罵詈雑言はモザイクがかかってるから判別は不可能なんだけど、たぶん「ていうか」が2箇所ある。はず。と思う。

お金の話

 矢晴と純の、漫画家としての収入の話。 無駄にリアル寄りの話にするつもりはないので、税金とかもとっぱらって、だいたい、およそ、仮の金額として、同程度に見積もって、二人の収入を比較する。 原稿料(雑誌掲載料)を1枚あたり1万円として。 矢晴は、1年〜1年半程度で単行本が1冊出せる(200ページぐらい)の生産量なので、二ヶ月に1本40ページほどの短編を描いていたと仮定。 ・矢晴:1ヶ月に20ページ(上記の半分)=月収として計算すると20万円。 ・矢晴:20万円×12ヶ月=年収240万円 純は、連載作家なので、毎週20ページとして、4週80ページ描いていると仮定。 ・純:1ヶ月に80ページ=月収として80万円 ・純:80万円×12ヶ月=年収960万円 矢晴は、ぎりぎり漫画だけで生活できるかなーくらいの収入はあった。B誌では掲載がないので完全に収入は0、バイトで賄うけど貧乏。A誌で連載が続いていたら、アシスタント雇ってもどうにかなるくらいにもなれたけど。 単行本は印税として、発行部数の10%として計算。単価500円として50円で計算すると。 矢晴は、賞が獲れてそれなりに重版かかったとしても、いいとこかなり多く見積もっても2冊合算して10万部はいかないだろうし、そこそこで見積もっても1冊1万部がせいぜいじゃないか……? くらいなので、1万部の場合と合算10万部の場合を並べてみる。 ・矢晴:各1万部:50×1万=50万円を2冊で100万円 ・矢晴:合算10万部:50×10万=500万円(2年2冊なので1年1冊250万円) 純は、単行本が10巻時点で700万部、15巻時点で1400万部と、巻数を追うごとに初版部数が多くなり、前の巻には重版がかかっている。だから、収入としては階段状に増えていくんだけども、それはめんどくさいので、1冊あたり現状の部数で計算する。1400万部÷15巻=1巻あたり93万部くらい。 ・純:1巻あたり93万部:50×93万=4650万円 ・純:年間5巻発行として:5巻分×4650万円=年収2億3250万円 ・純:合算1400万部:=15巻分×4650万円=7億円 矢晴は、合算10万部発行できていたなら、A誌を離れてB誌に移って無収入でも1年〜1年半は貯金で生活できていた。ぎりぎりだろうけど。だから、B誌に移って1年ほどで【第2話】『26歳』『貯金がや...

読み直し(第3話)

 第2話からの続きで、編集部。 古印葵のガチファンの望海可純が、古印葵に罵詈雑言浴びせた四階をやりこめる。 その話しぶりが頭良すぎて、やり方がえげつなくて、怖い怖いって感じ。第5話、第6話読んでから読むと、そりゃー普通に怒りますわ……と、純の地雷を踏んだ四階の哀れさが引き立つ気がする。 純もずっと聞いてないで途中で止めてやればいいのに……と思わんでもないけども、四階がしゃべってる最中に飛び出したら殴りかかってたかもしれない、とも思わせる。暴力的なこと得意そうでもないし、暴力事件に古印葵巻き込みたくないだろうし、と勝手に考えてみる。 その後、帰ろうとする矢晴を引き止めて編集部の打ち合わせ用のブースで古印葵を褒め称えて、自作と比較して、って古印葵ファンな純は可愛いんだけどもさ。 【第13話】で矢晴が居酒屋でしゃべってたペンネームの由来の話から漫画を描きたくない理由までの純の回想を読んだ後だと、ここのシーンの「比較されたことで静かに怒ってる矢晴」という印象が「純が矢晴の特大地雷踏んでった!」に変わっちゃうんだけども。なんか、うわーってなった。 【第13話】の『ダサくなりたくないからもう二度と漫画描きたくないんですよ』で、【第3話】の『私の漫画は』『ダサいとこき下ろした漫画の100分の1の価値になるだろ』と。考えすぎかしら? それにしても、古印葵も望海可純もダサいの野暮ったいのとを嫌ってるわねえ……。(ダサい=野暮ったい、な気はするんだけど) そりゃあ、あんだけ理由並べて離れようとするわなぁ……と、しみじみ思ってみたり。これ以降は純が「ダサい」って言わなくなった(野暮ったいは言う)のは居酒屋での矢晴の話聞いたからかなー? って思ったけど、1年後に『自分の作品思い出したら組み立てダサすぎて恥ずかしくなってきた』とか普通に使ってたね、しかも比較して。純のおばか。

古印葵の一番のファン

 【上薗純、曰く】を読むにつけ、純は古印葵の一番のファンで理解者だなあという思いが強くなる。 古印葵のなかに溢れる言葉たちを絞りに絞って凝縮したエッセンスが散りばめられた「古印葵の漫画」から、純は的確にさらに詩的に、「古印葵の言葉たち」を受け取って言葉にして紡げそうで。 【第1話】で純は感想を言葉にしないで漫画で返すと、なかなかに怖いこと言ってくれるけども、全部を言葉にして矢晴に伝えたら、矢晴は純の言葉のセンスに嫉妬もしそうだけど、純がどれだけ古印葵の作品を、矢晴を理解しているのかが矢晴に伝わるんじゃないかなあ、と思えて、一番の理解者として矢晴に受け入れられそうな気もして。 そういうエピソード来るかしら……? んで、ぜんぜん違うしなんのこっちゃかわからん話だけど、気になるので。できればそこは単位を揃えてくれまいか……、と気になって気になって。そんなだったらこんなになってないんだもの……。

漫画がうますぎる

 また売れうつの夢を見た。読んだ内容は例によって起きたときには忘れてしまうのだが、目の前でアナログで量産される原稿を「こ、こんなに!」と感動に泣きながら読んでいた。アナログでその速さはありえん。さすが夢。と思っていたりもした。前回の夢では印象的に黒バックの純のアップが多めだった気がするけど、今回の夢ではおだやかな矢晴の絵が多かった気がする。 さて、本題。 【売れうつ】は、ほんとに、漫画がうますぎる。かゆいところに手が届くどころか、自分では触れないところにも手が届く。漫画のなかで理想として描写されているだけでなく、実際にやってのけているのが、やべーすげー。 設定の出し方も表現の仕方も絶妙で、後出し感がほとんどない。たまにちょっと説明的すぎる、これは言っとかないとと表現よりも設定説明に寄ってしまった部分も感じられるのだけど、読者に必要な設定を漏らしている・隠しているということがない分すごく信頼できる。 【第13話】で「矢晴は信頼できる語り手ではなかった(信頼できない語り手だった)」と決定的に示して多くの読者を驚かせているけど、たぶん、この「矢晴の言うことは信用できない」を最初に示したのは【第2話】の『行く気はなかった』と言いながら町を歩く矢晴の姿なのではないか、とうすぼんやり考えた。違うかもだけど。 話が進んで情報が増えてくれば、先に示されたシーンの意味が変わる・わかる、ということは、すでにそのシーンが描かれたときには後に明かされる情報も含んでいるということで。鋭く読み解く人も、ぼんやり違和感として受け取る人も、特に気に留めずスルーする人も、どんな受け取り方してても、みんな楽しめてる、楽しませてる、物語に引き込んでいく。いやもうほんと、漫画がうますぎる……。こわい。すごい。 一生懸命考えてるけどまったく追いつけない。そりゃあ作者の手のひらの上でコロコロ転がされるのが好きなんだし、手のひらから落っこちたくなくて必死でしがみついてるみたいな状況だから、追いつけるはずもなく追いつく気もなく? まいどまいど、更新のたびに広がっていく世界に心酔する。 はーーーー、すごい。たまらんくすごい。大好きだ。

【感想】第13話 上薗純、曰く その(3)前編

 【第12話】から2ヶ月近く経過して、待ち焦がれていた更新。【第13話】、しかも【上薗純、曰く】で嬉しい。 今までの【上薗純、曰く】では純のシリアスな顔が表紙を飾っていたけれど、今回の【第13話】では、1コマ漫画の純の奇行。いつもこんなことやってるのか、かわいいな、純。タイトル文字は、歪んでもなく、ひび割れてもなく。 純視点の話になるので、【第12話】の続きではなく、【第6話】の続き。矢晴視点の【第7話】同居開始の【第9話】【第10話】の途中まで。(でも、過去回想してる起点は【第12話】あたりの純) 無声の回想。純が見てきた矢晴の姿。編集部、居酒屋、膝枕で眠る矢晴、布団をかぶって怯えている矢晴、クッションで眠る矢晴、引っ越してきた矢晴。 次のページからは、居酒屋で酔っ払って、ペンネームの由来を話す矢晴と、同居3週間が過ぎた頃に病気の話をする矢晴の姿が映り、純のモノローグが重なる。『古印葵 福田矢晴は』『思っていたより饒舌だ』『思慮深いが故に』『言葉に憑りつかれて言葉に苦しんで言葉を厭う人なのだろう』という、言葉選びが、とても素敵で好き。 純の回想の中での矢晴は、したたかに酔っ払って、自身のペンネームの由来について話し、『ダサくなりたくないからもう二度と漫画描きたくないんですよぅ』とこぼす。ここの矢晴はかなりチクチク言葉を使っていて、この矢晴の話しぶりから純は『チクチク言葉は使わない方がいいって実感して反省した』のかな? 矢晴を追い詰めちゃうから反省したのかな? どっちだろ。 回想終わって、同居1日目。引越し当日。矢晴が食事を残して夜に食べてもいいか聞いてるから昼ごはんっぽいかな。矢晴は小食。酒ならいくらでもという矢晴に『絶対だめです』と純が言うから【第9話】で家の説明を聞いてる矢晴が『酒が入れられてないかチェックするってことか』と思っていたシーンにちょっと納得がいく。ここで純にダメって言われてるからね〜。 ご飯食べるのにポン酢とかドレッシングがあれば味変で〜と出してもらったポン酢をご飯になみなみと注ぐ矢晴に『ヒッ』と怯える純がかわいい。矢晴よりもリアルチックな描写なのもおもしろいんだけども。衝撃受けて震えてる純とかめったに見れるもんじゃないレアって感じがする。 同居1日目の夜は、私が一番好きな恍惚とする純のシーンがあるのだけど、純視点ではかなりはしょられ、か...

純の古印葵への信用度

 純の古印葵への信用度はかなりのもんではないかと、ふと思った。 【第8話】で眠っている矢晴を置いて買い物に行っているところで。 初めて読んだ当初は、「矢晴をひとりぼっちで置いていって矢晴の身が心配じゃないかな?」とは思っていたのだけど、何度も読むうちに別のことを考え始めた。 純に防犯やらなんやらの意識がまったくないわけではないのは、【第4話】【第7話】でわかる。【第8話】では、「憧れの古印葵」であることしかわからない相手(とはいえ、矢晴には記憶はないが、居酒屋でかなりいろいろしゃべってるのでそれなりに人間性を知っているとは言えるのだが)を、眠っているとはいえ、1人置いて買い物に出れるものかどうか、というのが、防犯的な部分で気になり始めた。 普通に他人を信用できない・用心するタイプであれば、「不在中に金目のものを盗まれるかもしれない」とか「不在中に家財を壊されるかもしれない」など考えてもよさそうなものだなと思うのだけど、純は「憧れの古印葵だから、もしそうされたとしても、問題ない」くらい考えていそうな気がしてしまう。これは信用なのかどうなのかわからないくらいだけども。 たぶん、純はそんくらいのレベルで古印葵である矢晴を信用してる気がするんだけど、現状、矢晴は純を信用してくれてないのが切ないなあ。

駆り立てたもの

 【売れうつ】の【第13話】が更新されて、しかも待望の【上薗純、曰く】で、と興奮しすぎて、頭の中に渦巻くいろいろをどんどん外に出さないと! とキーボード叩きまくっていたら、更新のなかった先月の記事数を軽く超えた。狂いすぎだなと思う。 これまでの【上薗純、曰く】でも、純は編集部で担当から『たまーーーにですけど』『数年前に亡くなりましたよって』『人づてに訃報聞いたりするんですよね』とあり得るかもしれない最悪の事態の話を聞いて、かなりショックを受けていて。『絶対会いたいので念には念を…』と、古印葵に会うことを固く決めている。もし、これで矢晴が編集部に来ないことになったとしても、「古印先生来れないらしい」だの「古印先生と連絡が取れない」だのと、なんらかの情報が得られる。生死の確認はできることになるわけで。 実際に会えた古印葵はかなりやつれてて、矢晴のアパートはゴミ屋敷で、その惨状に心を痛めながら徹夜で掃除して。高校時代の同級生が消えてしまった過去と重ねて、古印葵が消えてしまうかもしれないと考えて。徹夜で労働後の変なテンションで前のめりに古印葵に迫って怯えられてしまって。 矢晴からは「過干渉はやめろ」「古印葵は死んだと思え」と言われたものの。 家に帰って、翌日お弁当持って矢晴の家を訪れて。自分が片付けたままで『ペットボトル以外何も変わってない…』という状況に『動いた形跡がない』『外に出たとも思えないなにかを食べた形跡もない』『普段からこうなのか…?』と矢晴の惨状をさらに思って、『この人の惨状を知っているのはこの世で私だけ?』『今すぐ引きずり出さないとこの人本当に消える』と古印葵を失いたくない死なせたくない思いに駆られて、助け出すことを決意して実行に移した。 【第1話】で『あんな生活から無理矢理引っ張り出してよかった…』と言っているのと、【第9話】で矢晴に『どうしてここまでしてくれるんですか?』に答えて『あのまま放っていたら矢晴さん死んでたので』『好きな人が目の前で死にそうだったからあれこれ悩む暇がなかったんです』という台詞の裏側が詳細に語られた。 矢晴視点の【第7話】と純視点の【第13話】では、「上薗純が福田矢晴のアパートを再び訪れた日」の「同じ出来事」を描いているのに、矢晴の記憶と純の記憶のあまりの違いに驚くわけだが、矢晴の妄想やネガティブ変換を鮮やかに描き出して、...

同居4日目

 矢晴視点と純視点が出揃った(まだ後編が残るけど)同居4日目。 ただまあ物事の起きた順番が不明ではあるけども 【矢晴サイド】 矢晴がマウスウォッシュを飲んで純に見つかる 『情けない…情けない…死にたい…』と枕で頭を隠すようにして丸まっている 『サブスクの映画でも観てくださいと言われて』と1人で広いリビングで寝る 憂鬱になり部屋に戻ると乾燥機から出したばかりの布団がある 身分不相応な布団にはさまれ『嘘つきで泥棒なのにどうしてここにいるんだろう』と『夜の隅から魍魎のように湧いてでてくる』妄想に囚われ苛まれる 【純サイド】 ベッドで苦しむ矢晴を介抱するように背中をさする純 妄想に囚われた矢晴の『こんなのみてなにがたのしいんだよ』『わらうな…… ……わらうな!』に対して純が答える『笑ってませんよ』 矢晴に自分はどのように見えているのかを問う純 『私の顔を見て確かめてください』と言う純の必死な声に起き上がり振り返る矢晴 (後編につづく?) マウスウォッシュを飲んだのが朝か昼か夜かも不明なのだけど、印象としては朝〜昼くらいかなーと思える。純がパジャマじゃないから。 リビングで映画流しながら寝てたのが夕方くらい? 夜には妄想に囚われて。 純サイドに描かれたことがどこに挟まるのかわかんないけども、夜中の矢晴の妄想には影響を与えていない。けど、5日目、6日目の矢晴の様子を考えると、矢晴と純との関係がぐんと深まるエピソードなわけで。気になるー。 なにせ、5日目、6日目は、矢晴が純に対して恐怖を感じるシーンがないわけで。むしろ、同居してたった5日、6日で、古印先生復活の兆しだとか、どんな魔法を使ったんだ、純!? みたいな気分ではあったから、4日目の純サイドの話があってうれしい。

純の知性と攻撃性

 古印葵の前だとやたらと知能指数下がって能天気な感じな純だけど、すごい頭いい子なわけで。【第13話】で久しぶりに頭いい感じの純が見れて嬉しい。後編も楽しみ。 今んとこ古印葵の前だとおバカっぽい感じなのは、矢晴を怖がらせないために極力明るくしてるのか、矢晴が「純は変な子」と思っているからの投影なのかは定かではないけども、純がちょっとシリアス調で接すると矢晴が怖がってるからなあ。どうなんだろうなあ。 改めて【第7話】の純がなぜあんなに軽薄で胡散臭い感じの妄想になるのか、を考えたりしていた。【第3話】の矢晴の目の前で見せた四階への攻撃性がフィルターになるのだったら、矢晴はもっと純に対して恐怖を感じていてもいいような気がする。生命の危機すら感じるような。 ただ、その時に見せた純の知性を「狡猾さ」として矢晴が認識しているのであれば、『本当に善意なのか証明できるんですか?』『一時のノリや金持ちの遊びや私を陥れる噓じゃないってどうやって証明してくれますか?』『期待だけさせて口約束なんて破り放題なの知っ…て』といった矢晴の台詞から、「売れっ子漫画家が酔狂で自分を騙して遊んでいる」「善意で助けようなんて人間はいるはずがない」という思いから、矢晴には純がああ見えていた、と思う。 そしてまた、同居してからもその思いは強固で、純に嘲笑される妄想が多くなるわけで。憧れの古印先生にずっとそう思われてる純がかわいそうだけど、仕方ないね。 【第13話】で『こっちを…』『私の顔を見て確かめてください』『あなたが背中で見ている不安は存在しないことを』と言われて、起き上がって振り向いた矢晴がそこになにを見るのか、がとても気になるのだけど、どうなるんだろう。でも、5日目も6日目も7日目も、矢晴は純に嘲笑される妄想に囚われてるからなあ……後編、どうなるんだろう? 妄想は妄想、現実は現実、みたいに切り離せるようになるのかな? 【第10話】の同居4日目の夜に『そんな言葉は純からは発せられていないが』『被害妄想と本物の記憶の境界が曖昧になっていく』とは言ってるから、わかんないなー。 で、純の攻撃性は、基本的には「古印葵を守るため」にだけ発揮されていると思うのだけど、矢晴の思った『その攻撃性がいずれどこかでこちらにも向く』というのが後々かかわってくるのかどうか、というのも気になるは気になるんだけども。可愛さ...

忘れたくない記憶の話

 なんだか、どうにも、自分の読み方と他の人の読み方が違うような……? と思えてしまっていて、執着度合いが違いすぎるのだろうなと思うし、各キャラクターへの印象も受け取り方も違っているような……? そりゃもう、各個人で受け取り方が違うのは当然すぎることではあるのだけども。そしてどれが正解ということもないのだけど、「他の人が感じた衝撃を感じてみたい」「詳細に聞いてみたい」と思ってしまう自分がいる。 【第1話】の始まり方から、そもそも矢晴の一人称視点の物語だと認識した状態で読んでいて、『これからする話は』『2年ぶりに漫画を描くまでの間にあった』『忘れたくない記憶の話』だから、【上薗純、曰く】以外のエピソードは、「福田矢晴視点の、矢晴の記憶の話」として読んでる。 だから、純の顔や行動が怖い時は、「矢晴が純に対して恐怖を感じている」として処理してるんだよな、自分は。と、改めて思う。そもそも純は古印葵限定で優しい子で、対外的には明るい人で、古印葵を認めない系の人間には普通に怖い子だしな、と思っているし。 漫画の描かれ方としては、神の視点(第三者視点)でカメラが回っているから、「一人称視点の矢晴の視界以外の部分」も見えて当然、と思っていて。 そして時々、物語の展開として、矢晴の認識外の出来事も描かれる(【第8話】の眠りに落ちる矢晴の額を撫でる純の手とか、【第10話】の『まだ古印葵は死んでない』とか)、と思っていて。 【第7話】の純には違和感しかなくて、それが完全に矢晴の妄想の産物でした、と【第13話】の純視点で明かされた時には「やっぱり純はいい子だった! よかったー!」という安堵のほうが大きかったわけで。 【第7話】と同時に更新されていた【第8話】の純のほうが自分の認識している純だったから、ここでもやっぱり「純は古印葵に優しくて、いい子」と安堵してるわけだけども。 矢晴にとっては【第7話】の「自分が生み出した妄想の記憶」も、「忘れたくない記憶」なのかなあ、と改めて思うと、矢晴はやっぱりすごい人だな、純が惚れ込むのもわかる、みたいな気分にはなる。 そして、矢晴が矢晴視点で語るのは『2年ぶりに漫画を描くまでの間』のことだから、物語が第1話の冒頭につながった後は、どういう視点で純と矢晴が幸せになるまでの1年以上が描かれるのかということも、ずっと気になってて楽しみにしている。

純の奇行

 【第11話】で『いつもの奇行だし好きにさせるか…』と矢晴が思っている、その「いつも」の「奇行」がどんなものなのか、気になっていたのだけど。 「いつも」というからには、かなりいろいろ頻繁に、だろうなと思う。「奇行」というからには、普通はやらなさそうなこと。 たぶん、ひとつめの奇行は、矢晴が引っ越してきた時にずっと飛び跳ねていたことかな? 矢晴の顔をはさんで変な顔にするのも奇行の部類な気がするけど、これは【第11話】で初めてやったっぽい反応。 そして、【第13話】の表紙の「ストレッチしながらコーヒーを飲む」のは、まさしく「いつもの奇行」なんだろうなあ、と思う。 かわいいな、純。

言葉

 【第13話】で純が矢晴を形容して『思慮深いが故に 言葉に憑りつかれて言葉に苦しんで言葉を厭う人なのだろう』と語るのが、前々から思ってることではあるけども、純の言語センスが高度すぎるなと思う。 なんかこう、矢晴も言語センス高い方だと思うのだけど、純の方が言葉の選び方、使い方が、矢晴よりも詩的で上品で洗練されてる気がして。 もしかして、ここらへんが、矢晴が望海可純に対して抱いている劣等感みたいなところなのかしら? と思い始めた。 望海可純がデビューした時の漫画を読んで、そこに自分の理想とする言葉の使い方があったのだとしたら。 望海可純は古印葵の極力削った言葉のセンスと多くの言葉が凝縮されて込められた絵や画面に惹かれてるけど、古印葵は望海可純の言葉を尽くした表現に惹かれてるとしたら。 漫画としてのジャンルが恋愛ものと王道バトルで違うから比較されるようなものではないけども、矢晴自身が自分の漫画と理想の漫画として比較してしまうからA誌から離れたとしたら。 ただでさえ、漫画が読めなくなってきていた時期、B誌で自分の漫画はまったく採用されずもがいているところで、望海可純は連載を始めてて、自分の理想の言葉が並ぶ望海可純の漫画を読むことなんてできなくて『望海可純の連載は3話目から読んだ記憶がない』ということだったとしたら。 お互いが相手を理想としていて、望海可純は古印葵に近づきたい、古印葵は望海可純に劣等感を抱くから離れたい、みたいに思っているのだとしたら……。 と、考えてしまう。 小さくても賞をとって、これからというときに矢晴がA誌からB誌に移ってしまったのが謎なので、いろいろ理由を考えてしまう、そのうちのひとつの仮説だけども。 【第5話】の『もし私の漫画が嫌いだったら私が原因で来ないかもしれません』とか、【第4話】の『私は純さんの漫画読んでないです』『私はあなたに無関心です』『たぶんこれから先も望海可純先生の漫画は読まないです』とか。ちょっと気になるなーと。やっぱり矢晴は望海可純を意識してA誌から離れたのかしら? A誌では短編しか描かせてもらえてないけど、賞とったとたんにB誌から「すぐにでも連載しませんか?」みたいに誘われてつい移っちゃっただけかもしれないけども。矢晴が雑誌移った理由ってこれから明かされたりするのかなー?

伏線

 というか、後々詳細に説明される、明示される、利用されるために事前に登場させるもの。 【第13話】の同居1日目のお昼ごはん。矢晴がポン酢やらドレッシングやらをじゃぶじゃぶ使う。→【第12話】で、同居3週間が過ぎた頃の食卓で、矢晴の前にドレッシングが置かれている。 【第13話】の同居3日目の夜。純が矢晴のために調べて考えているシーン。「朝の日光浴」「サプリ」「薬との飲み合わせ」→【第1話】矢晴が純の家に住んで1週間目の「温室で朝食(日光浴)」「サプリ」『ちゃんと薬の飲み合わせを調べたから副作用はないと思う』。 【第13話】の同居3日目の夜。「オキシトシン」「心地よい皮膚接触」「親しい人間との団欒」→【第11話】思考の共有としてのふれあい。より親しくなるために敬語を外す。 【第13話】同居4日目。「矢晴の頭の中の純」→【第7話】、【第1話】『頭の中で矢晴を泣かせる奴は誰?』『お前』。 みたいな感じで、後の話で読み返した時に「なるほど」「ああ、ここに」って感じになる。 のが、ほんと随所に散りばめられてるから、【第13話】の純が見てたオキシトシンについての文章の中の「オスの交尾行動」が気になるんだってばさ。これもそうゆうの? ねえねえ。

寒そう

 純に掃除されちゃった矢晴のアパートの部屋は、これまで矢晴が過ごしてきた部屋よりも一層寒かっただろうなと思う。 暖房器具のなさそうな部屋でもともと寒そうではあるけども、ゴミで窓が塞がれてたから窓ガラスから伝わって部屋の空気を冷えさせる冷気はそこまでひどくならなかっただろうし、ゴミの体積によって冷える空気の量も少なかっただろうし。とはいえ、本気の冬は厳しそうではあるけども。 そう考えると、純の再訪時の矢晴は、「眠れてない」「空腹」「妄想強化」に加えて「寒い」というのがあって、そりゃもう、まともな思考、判断はできそうにないなと、さらに納得してしまう。 その後に純の家でお風呂に入って温まって、お弁当とピザを食べて満腹にして、ロボット掃除機に追いかけられてちょっと運動して、クッションで気持ちよく眠ったら、妄想もとけるわねえ、と。 あの、『……おかえり』『ただいま』のシーンがたまらなく愛しい。そして純の『こんな日がずっと続いたらいいですね』という台詞が、【第13話】を読んだ今、また純の気持ちを思うと、泣けてくるし、その後再び眠りに落ちた矢晴を撫でる純の手が、もうもう! 素敵だ。 たぶんお弁当は矢晴の家で食べてるんじゃないかなーと思える。純に妄想から引き戻してもらった後、とにかく食べてってお弁当もらって、そこそこの思考力が戻ってお風呂屋さんの話して、休みだって、だったら家のお風呂どうぞ、最近シャワーヘッド変えたし使って〜って話の流れだったかもなあ。

どんなだろ?

  ちょっと読みたい。買いに行こ。   「読書日録」は、李龍徳の第3回。溺英恵の『売れっ子漫画家×うつ病漫画家』、深沢潮の『翡翠色の海へうたう』、津村記久子の『つまらない住宅地のすべての家』を読む。 #すばる12月号 — 集英社 すばる編集部 (@subaru_henshubu) November 9, 2021

私は

 純が矢晴に言う、「私は」で始まる言葉が好きだなと思ってる。 【第4話】『私は 本気です』 【第4話】『私は あなたを一ミリも忘れたくない』 【第6話】『私は ずっと覚えてました これからもずっと覚えてます』 【第6話】『私は あなたの前では「たかが」を渡さず口だけ出す偽物なんかにならない』 【第13話】『私は あなたを嘲笑ったりしない』 ほかの誰でもなく上薗純が「私が」と矢晴に対してまっすぐに「誓う」言葉のようにも思えて。 『私はあなたの前では「たかが」を渡さず口だけ出す偽物なんかにならない』だけは、眠っている矢晴を膝枕して考えていることだから、直接矢晴に伝えたわけじゃないのがもどかしいのだけど。 【第13話】冒頭の純が見てきた矢晴の姿のなかで、純の膝枕で眠る矢晴が純の視点(純の視界)から描かれてて、イメージじゃなく、ほんとに膝枕してたんだなあ〜と嬉しくなっちゃったけど、純の膝枕は高すぎない? という気分にもなったり。 話を戻して。 個人的に「私は」と高らかに個人を宣言する人が好きというのもあって、純のこういった台詞が好き。 あと、矢晴に言ったわけじゃないけど、【第5話】『私は漫画のルーブ・ゴールドバーグ・マシンを考えてるだけ』という台詞も好き。

呪いの蟲

 以前に、蟲は純のぬくもりから生まれた矢晴の純への恋心かなー? と考えてたけども、見方を変えて考えてみる。 これが、本当に「呪いの蟲」であったなら。 矢晴が純を信用しないため・できないために自ら生み出した「呪い」と妄想。背中にいる蟲が見ているのが、矢晴の妄想から作り出された偽りの純。背中の目。 【第7話】で生まれた「呪いの虫」が、矢晴の妄想を強固にして、再訪時の純は背中の蟲が見た妄想の純。 【第8話】での古印葵が引っ越してきたことに喜ぶ純、についてはちょっと解釈が外れるような気がするけど、実はずっと飛び跳ねてなかったのか? と考えると、矢晴の妄想にはなるのかな? 『人間らしく振る舞わなくていいですよ!』という純の台詞が矢晴の妄想だったり? ここはちょっと無理やり。もしかしたら、ここでは妄想は見てなくて、でも「呪い」は矢晴の背中にしっかりいるよ、っていうことかもしれない。 【第9話】純の指に背中を撫でられてのけぞる蟲が、純に襲われると思い込ませて、純の語るメソッドの再現やらに恐怖を覚えさせた。 【第11話】での純とのふれあいで笑顔になった矢晴の背中で蟲が溶けるのは「呪いが解ける」前兆で? 【第12話】まだ強固に残る「呪い」が、矢晴が純への気持ちを自覚し始めたことで、純への気持ちを否定したくて新形態になろうとしている。 そう考えると『眠れない夜のうちに肥え太った幼虫がいる』というのが、『夜の隅から魍魎のように湧いてでてくる』数多の妄想を食べて成長してきた「呪いの蟲」といえるのかなーと。 恋心なのか、妄想の呪いなのか、どっちなんだろー?

オキシトシン

 純が矢晴とふれあって、矢晴にオキシトシン出させようとしてるけども、矢晴に触れてる純にもオキシトシン出てるよね……? それは相互作用するよね、ふれあい。 むしろオキシトシン効果で「慈愛」とか言っちゃってるんじゃないかとも思えるんだけども。(あれは徹夜での肉体労働した後の異常なテンションも入ってるから違うけど。) 「オスの交尾行動」か…………。というのが、頭から離れなくて! 【売れうつ】の作者さんは無意味な描写はされない方だなあと、読んでて思ってて。だから、この【第13話】で純が見てるオキシトシンに関する記事に「オスの交尾行動」がどうのという表示もあるのは、理由があることで……? そしてこの作品は【創作BL】なのだから! と、ドキドキしてしまうわけで。 いやまあ、このふたりが幸せになってくれれば、別にいたさなくてもいいんすよ。してくれるならかぶりつきで見たいけども。 だってそもそも、「BLだから」って読み始めてるし。 とはいえ、読んでて「このふたりには、そういうのないほうがいいな」ってなって、「でも、あってもいいな」「あったらいいな」と変化してきたところに「オスの交尾行動」なんて単語が飛び込んできたら、そりゃもう、鼻息荒くなるってもんで。 あー、ドキドキするわー!

読み直し(第2話)

 第2話は、第1話(第12話)からの続きの同居1ヶ月目の粗相した日から、過去回想、純との出会いまでで、【第13話】での印象の転換の影響はあまりない、かな。 矢晴が使ってるマットレスは「フィギュアスケートの選手が使ってるやつ」なんだったら、液体がマットレスの内部に染み込んでとどまってしまう素材ではないから、安心していいよ、矢晴。心配ない、大丈夫。 純が矢晴をお風呂に入れて洗ってくれて、着てた服も洗ってくれる。矢晴は『他人のションベンがしみた服を素手で触ってる』と考えてそれをやらせてしまっていることに青ざめてるけども、純にとっては問題ないことだということを『身体の外側のことはいくらでも見せてよ』『内側はいくらでも隠せるんだし』という言葉で表して、安心させようとしてる、かな。 矢晴は横目でだけど純のほうへ視線を向けてるから、ここに矢晴フィルターは存在してない。 純としては【第6話】の挿話で考えてた『心の内を喋る価値のある人間』になりたいだろうなあ。矢晴が生きていくうえで頼りにできる存在になりたいだろうなあ。でも、現状は、「純にはわからない矢晴の心の中の動きで、純のもとから逃げ出して酒に逃避した」状態だから、まだ純は矢晴が心の内を喋る価値のある人間じゃないわけで。行動と言葉で「矢晴が一番大事、優先順位の第一位」を示してると思う。 その後、回想で矢晴のこれまでが語られて、【第1話】では古印葵が漫画を描けなくなった直接的な理由と状態の過去回想だったけども、【第2話】では古印葵の過去からこれまでと望海可純のことを過去回想してる。 編集部に呼ばれて、編集部に行って。四階に罵詈雑言浴びせられて、脳がバグって『そこからの記憶の画質は少しグシャッとしている』ところからの、望海可純の登場が鮮明なところがかなり好きだわーと、改めて思う。 四階に言い返すこともせず黙って聞いてる担当に矢晴が絶望にも似た感情を抱いてるだろうなあというところから、颯爽と助けてくれる主人公よろしく、って感じでの純の登場。 純の笑顔に『優しい顔…』って矢晴が思ってるところが好きで好きで。純の笑顔がかわいくてかわいくて。純は優しくていい子なんだよー、古印葵限定だけど。

第7話の矢晴

 純に同居を持ちかけられてあまりの圧に腰を抜かしているという状態から、純が帰って、布団に潜り込んだものの眠れたわけではなく、1日ずっと考え続けて、純の手の感触や体温を呪いと思い続けて、『あいつはそれを分かってて言ってる』と妄想を強固にしていった。 「眠れていない」「丸1日食べていないから空腹(むしろ純に奢ってもらった夕食吐いてるから2日分空腹かもしれない)」「妄想強化」の三拍子揃った状態で、純が来て、布団から出ずに対応しているから、純の顔を見ていない。 【第13話】の冒頭、純の記憶のなかの矢晴で、その日の矢晴は『期待だけさせて口約束なんて破り放題なの知っ…』『て…』と純を振り向いた瞬間だろうから、ここがたぶん、純の『やっとこっち見てくれた』のシーンだろうなと思われ。 【第7話】は全体ほとんど矢晴の妄想で改変されてるから、時系列もぐちゃぐちゃなんじゃないかな? と思える。 矢晴に見えてる純は軽薄で胡散臭いけど、一応、妄想のなかでも純は矢晴を助けるつもりだと訴え続けてはいるから、うっすらと矢晴の心には届いてて、イヤホンケーブル、契約書を経て『やっとこっち見てくれた』で見える本当の純の優しい笑顔に飛び込んだ、という感じではないかな? と、都合よく組み立ててみる。 そういえば、【第13話】の感想を見ると、「純への印象が変わった!」「すべてがひっくり返された!」というのが目立ってて、あれ…? もしかして、私みたいに「やっぱり純はいい子だったー、よかったー」って思ってるのは少数派…? というか、私だけ……? みたいな気分になってるんだけど、どうなんしょ?

言葉選び

 いい加減、記事数が多くなりすぎて、前になに言ってたっけ? と探すのに検索を駆使しないといけなくなった。 私、今まで純のことどう思ってたっけ? といろいろ読んでるわけだけど。以前から純への印象は変わってなくて、今回の【第13話】で「やっぱりいい子だった!」と思ってるわけで。第7話の感想なんかは、なんで純がこんな胡散臭いの? と戸惑ってた。 ちょいちょい、「純の言葉選びがまずくて、矢晴の地雷を踏んでいく」とは思ってたんだけど、これは……「純の言葉選びがまずいんじゃないな!?」と思い始めた。 いやまあ、純視点(1)で「古印葵は天才」しか言わないあたりとか、言葉選びがまずすぎるとは思ってるわけだけど。ここらへんの、「自分のプレゼン不足棚に上げて怒ってアシグループ退会」とか、純も大概だぞ? って思ってる。 話を戻して。 矢晴と接してる時は、純の言葉選びがまずくて矢晴の地雷を踏んでいくわけじゃなくて、矢晴が純の言葉を矢晴フィルターで曲解してるシーンなんだなと。 矢晴フィルターの発動の合図が、矢晴の瞳かなー? とはぼんやり感じ始めた。ぐるぐるぐるって乱暴な感じで描かれた瞳のとき、だいたい「純がまーた地雷踏んだ」みたいな気分になってる私。

ほのぼのライフ

 14話まではほのぼのライフということで。 第12話までで、同居1ヶ月目までの矢晴視点が描かれて、 第13話から純視点の同居生活、前編で4日目。後編が第14話で、とすると、同居1ヶ月目まで行くかな? 当初の予定と変わって14話まで、というのが延びてる可能性もありそうな気がするけども。 前編、中編、後編とかなったりしないかなー?

食卓

 純の家の、4人がけのダイニングテーブル。 座る位置が、都度変わってるなあというのが、ちょっと気になる。 「ここが矢晴の席」「ここが純の席」とは定まってなくて、自由なのかな? とはいえ、必ず対角線で座るのは、「矢晴が正面から顔を見なくていいように」という純の配慮なのか、「矢晴が正面から純の顔を見たくないから」対角線に座っているのか。 不安定なときは顔を見ても、たぶん、笑顔なら「嘲笑ってる」、真顔なら「怖い」みたいな矢晴フィルターでのネガティブ変換がかかっちゃうんだろうなあ、と【第13話】を読んだ今は思ってしまうわけだけど。 でも、「矢晴と食卓を囲むのが嬉しくて楽しそうな純」は矢晴に見て欲しいわぁ……。

純との散歩

 編集部で純と矢晴が会ってからの内心やら行動を整理してみる。 矢晴が編集部で四階に罵詈雑言浴びせられてる時、純が割り込んで挨拶する(矢晴は挨拶する純の笑顔に『優しい顔…』という第一印象をもつが、すぐに望海可純の名前に反応して顔色を変える) 純が四階をやりこめる(折々で矢晴はゾッとしている) 矢晴が担当編集に連載打ち切りの謝罪をして帰ろうとするところを純に引き止められる 純が『私本当に古印先生のファンなんです!』と熱い口調で語るのを矢晴は聞いている(汗がすごい) 純の褒め方が自作との比較になり『それ以上喋るな』と心の中で思い始める 『望海先生の漫画の方が……』『この世に中学2年生向けの〜』(※純の謙遜が嫌味に聞こえるから、ここらでフィルター発動してるかな?) 矢晴の内心で純の攻撃性の理由が列挙される 『こいつとは関わらない方がいい』と考えて、帰ろうとする矢晴を、純が焦って『今から! 散歩しませんか?』と引き止める 純から喫茶店でのサインを求められ、矢晴はここ(編集部)で書いて解散を提案するが、肩を抱かれて編集部から連れ出される 住宅街や公園の横を歩く 望海可純のペンネームの成り立ちや純の本名を聞く 古印葵のペンネームの理由を問われて『恋愛漫画ばかり描くから花の名前がいいかなって思っただけで…』と簡単に答える。本名を教える。 『矢晴さんって呼んでいいですか?』という純に、矢晴は内心で『やだな…』と思いながら『……ご自由に』と許可する 所持金を明らかにして喫茶店を断り帰ろうとする矢晴を、夕食も奢ると純が引き止める(※純の顔がいやらしいのはフィルターかしら?) 矢晴は、純の年齢を確認し、アル中症状の震える手と相談し、『酒が飲めるなら…』と純の誘いに乗る 喫茶店で純の手帳にサインする『この名前ももう捨てたんですけどね…』『私はずっと覚えてましたこれからもずっと覚えてます』 喫茶店から居酒屋への道中、ミント色の鉄柵を見て矢晴が足を止める。純は写真を撮らないのかと問う 居酒屋(桜紅屋)で映画の話(たかが金)(矢晴は映画の話をしたことは覚えているが細かいところは覚えていない模様) 『上薗純は馴れ馴れしい身体接触こそあれ身の上話とかつっこんでこなくてすごく気が楽だった』『後半は全然覚えてないので確信は持てないが』 居酒屋で古印葵のペンネームの話『くそしょーもないですよ由来』『...

読み直し(第5話・第6話)

 他の話数はちょっと置いておいて。先に「純視点」だけをまとめて(5・6・13)。 んー。純視点だけでも、純への印象が変わっちゃうな。第5話、第6話は、「古印葵を認めない世の中への怒り」が強いせいかな。第13話だと、古印葵に理解してもらえない自分への悲しみが強い……というのか、病んだ古印葵の現状への純の辛さが強い……というのか。ちょっと表現しにくいのだけど。 第5話、第6話だと、わりと純が異常性の高い人という印象が強くなる。古印葵に異常に執着してる人。『これは慈愛』のあたりからは特に狂気をはらんでる雰囲気がある。ただ、純が本当に古印葵が好きなのだっていうことは間違いなく。 第13話だと、矢晴を助けるために自分ができることを真面目に考えて、真摯に矢晴に向き合おうとしてるけど矢晴は純を見てくれなくて報われてなくて。辛いわ。このまま純が矢晴の病気に引きずられやしないかと怖くなる。純まで病みかねん。 第5話、第6話が、実は矢晴フィルターがかかってる、なら、純の異常性は矢晴の印象になるかなーとは思うんだけど、どうなんだろう?

矢晴の現実も辛い

 【第13話】で、矢晴が見てるものと純が見てるものの違いがまざまざと語られて描かれて、そりゃまあ「矢晴が現実を歪めて受け取っている」ということなんだけども、そうなってしまった矢晴の現実も辛いものがあるよなあ、と。 純も矢晴の現実を知るたびに愕然としてるし。 『予約しても一ヵ月先になるのにそれまで誰が助けてくれるんですか……』という矢晴の言葉が。今、助けがほしいと思っても、一ヵ月先ではすでに手遅れ。それまでの間を支えてくれる人がいれば、また別だろうけど。病院に行けたとしても、当座の薬出されるだけで即座に治るわけでもないし、継続して通院できたとしてもそれぞれの期間がやっぱり一ヵ月とかあれば、その間どうするよ? みたいなことになるし、どんどん気力は落ちていくだろうし。 矢晴が病院には行かなくても、薬はネットで手に入れるのは、「薬を飲めば少しは楽」と思ってるからだなと思うんだけど、純が矢晴の部屋で矢晴の状態を見て『薬だけあってもこんなの解決しないじゃないか』と、すでに何もかもに諦めモードで自暴自棄というかセルフネグレストな状態の矢晴を支えてくれるようなものがないことを知って。 純が間に合ってよかったよ……ほんと。

純の調べ物

 純がいろいろ調べてるのを、ノートに書かれたものやらサイトに書かれてるものやら、じーっと見てたら、「オキシトシン」について調べてるとこで「オスの交尾行動」って文字が見えて……。 同一のサイトではないだろうけども、それを取り扱った記事を見たら『オスの交尾行動を調節する脳-脊髄神経回路』とか書かれてて。 ん? 脊髄……? 背骨の中の空間……? んんーーーー? 矢晴の蟲…………??? と。 オスの交尾行動かぁ……。と、なんか、ドキドキしてきた。

背中の目

 純に対する矢晴(鬱)のフィルターが「出来た」のは、編集部で会って「純が四階をやりこめたのを見たから」というと、どうにも、「純の自業自得」みたいに思えちゃってちょっと異を唱えたい気にもなるのだけど。そんな自業自得だったら辛いわ。 もともと、うつ状態のなかで「誰も信用してない・信用できない」のが、純にも発動してるんだな、とは思う。 きっかけとして、矢晴フィルターが発動を始めたのは、【第3話】の『それ以上喋るな』あたりからかなーとは思うけど。いろいろ理由をつけて、「こいつは信用できない」って決めつけた感じ。 矢晴が見てない状態の純の顔が胡散臭い感じで表現されるのは【第4話】の『いっぱい食べさせたくなりましたよ』『夕食も奢らせてください』なんだけど。あと、矢晴の部屋を掃除して同居もちかけて『何様だよあんた!!』って矢晴に拒絶された後の『じゃあここで死ぬんですか?』『それはやだなあ…』『ファンとして…』かな。 『私があなたを助けたいのと』『私の漫画はなにか関係あるんですか?』はフィルターかかってなくて、『あなたの亡骸は私が拾いたいんです』にはフィルターがかかってるようには思える。 で、特に問題の【第7話】は全面的に、矢晴フィルターかかってるよな……。怯えて部屋の隅に逃げてるし、再訪時には布団から出てないし。 寝込んで考え続けてる中で『呪いか?』『あいつはそれを分かってて言ってる』『私がそう思うだろうこともあいつは分かってる』で、どんどんフィルター強固にして。 で、『やっとこっち見てくれた』だけはフィルター解除されてるかなー? と思う。純の顔がやさしいから。ただちょっとつながりがわからないんだけど。蜘蛛を見て、『外のことを私に見せないでくれ』って考えてるところから、首筋に蜘蛛がいるところまでは矢晴フィルター発動中の合図には見える。 同居してからは、「矢晴が恐怖を感じているところ」の純には矢晴フィルターかかってると思う。【第9話】だと『もしかしてこれが…目的ですか?』からのシーン。 【第11話】の『矢晴さんはヒモの才能ありますよ』あたりからのシーンは、純の台詞からして矢晴フィルターで歪んでると思われ。純が背中側にいるから矢晴からはまったく顔が見えない。蜘蛛が登場してから蜘蛛が立ち去るまでの一連くらい、かな? 【第12話】は全体的にほんのり矢晴フィルター発動してる気がする...

読み直し(第1話)

 毎度恒例の最新話が更新されたから最初から読み直す。 今回の【第13話】は純視点ということもあって、最初から読み直すとまた、見え方が変わるというか、解像度が上がるというか。 矢晴が純をどういうふうに見ていたか、現実(純の認識)とどう違うのか、が描かれたことで、【第1話】で語られている『担当に言っても友人に言っても』『冗談だと思われてなにも理解してくれない誰も助けてくれない』が、助けようにも矢晴が現実を歪んで認識しているから、その手が届かなかったのでは……? とも思える。みんな諦めて去ってしまった感じ。純はがんばって踏みとどまって矢晴を助け出してくれてよかったよー。 【第13話】で純が矢晴を分析して『彼の自己肯定は一度破壊されてから再建されていない』と考えてるのが、【第1話】で『つまりプライドとアイデンティティは捨てなきゃいけない』『自分の一番大事なものを根本から否定する作業なのだと』『描きたいものがなくなった』といったところで、ここでとことん……と再認識できて。ここだけで破壊されたわけじゃなく、2年半のB誌で受けた仕打ちにA誌での連載がトドメになってるわけだけど。3年かけてとことん破壊された状態だもんなあ……、これをどうにかしようと思ってる純は大変だ。 そしてまた、同居1週間目の。『頭の中で矢晴を泣かせる奴は誰?』『お前』『叱っとくよ』が。【第13話】で矢晴の認識の仕方をわかって、すごい悲痛な感じで『こっちを……』『私の顔を見て確かめてください』と言ったけど、【第12話】同居6日目であんなに笑顔を見せてくれたけど、まだまだ矢晴はこうなのかーーー! と。 うわーうわー。 あまりにすごくて、手汗でヨレるから1話ずつ、ゆっくりしか読み返せない、今。

あら かわいい

 ちょっとお聞きになった? 『あら かわいい』ですってよ! 奥さん! 同居初日の夜の恍惚とした純が、純視点ではこんなに軽かったなんて……、と膝をつきながらも、純が寄りかかってきた矢晴に対して『あら かわいい』って、なんでしょ! もー、おまえがかわいい! 矢晴はあんなに純の言葉が恐ろしくて、純に襲われるって思って防御しちゃったりしてたのに、そのときの純ったら、別にどうとも思わず、緊張ほぐして嫌なこと考えないようにって『いっぱい褒めよっと!』だけだったのかと。肩を抱いて、怯えて逃げちゃった矢晴に『あれれ???』だけだったのかと。 【第9話】の表紙の『かわいい顔して』に続いて、【第13話】の『あら かわいい』と、純は矢晴が「かわいい」んだね! 「かわいい」から「弟」みたいに思っちゃうのかなー。お世話しちゃうぞーって気分かなー。これ、「古印葵がかわいい」じゃなくて「福田矢晴がかわいい」んだろうなあとは思うんだけど。矢晴が歪んだ認知でひねくれてても、かわいいって思い続けてくれそうで、よかったな。 がんばれー、純。

ペンネームの由来

 【第13話】で古印葵のペンネームについてちょっと語られる。居酒屋で酔っ払った矢晴が、愚痴混じりに話す。 酒が入って酔っ払ってからの話は全然覚えてないと語った矢晴が『編集部を出てからは漫画家同士なのに不自然なくらい漫画の話題を一切しなかったのは覚えてる』と【第4話】で語ってるわけだけど、ペンネームの話は「漫画の話題」ではないからか、「ダサい」悪口と一緒に語ってしまったから忘却したのか。 【第4話】で純に『先生は古印葵ってかわいい名前ですけど理由あったりします?』に対して『ペンネームは…恋愛漫画ばかり描くから花の名前がいいかなって思っただけで…』と簡単に答えてるけども、【第13話】の純の回想のなかでは、酔っ払ってから詳細に話してる。 『そーゆぅ話ばっか好きなんです』というのが「恋の愛の」みたいなところかな? 「KOINO AINO」みたいなところ『OとAを入れ替えて』「KOIN AOI(NO)」、花の名前にして「古印 葵」になるのかな? まんまダサくすると「恋野愛乃」とかになったのかもしれないなー。それはそれで少女漫画だったらアリな気がする。 『「なんで男なのに少年漫画じゃないの?」ってしつこく聞かれてうざいから女の名前で女のフリする』という理由もあって。「なんで男なのに」とかは確かにうざかろうてと思う。矢晴は映画も好きだし「男のくせに恋愛漫画(映画)かよ」とかも言われちゃってたのかなー? やだねー。 『あいつら歴史も文豪も知らねーんです』と語るから、古印葵の下地はそこらへんになるのかな。映画も好きで、文豪の作品も好きで。「言葉」が好きなんだろうなあと思うと、望海可純が自分の漫画の「言葉がダサい」と思っていることは、矢晴(古印葵)にとってはなにか言わねばならんところだった気がする。だから、「言葉が親切」って語ったかなー。 古印先生、小説家になってもいいんじゃないのか……? と思えるけど、そういう直接言葉で表現するよりも、絵に込めて読者の心に何十倍もの文字を描き出したいのかもしれないな。

温度と感触

 純は最初からボディータッチが多い。『こちとら生まれた時から図々しい人間ですからね…』ってくらいだから昔からそうなんだろうなあーとは思う。純が自分のことそういう認識してるんだ、ってところにはちょっと驚いたけど。 言葉では歪んでしか伝わらないから、温度と感触、スキンシップで矢晴をサポートしようと考えてたのが今回の話でわかるわけだけど、【第11話】での思考の共有もそういう意図があったんだろうなと、そしてものすごく効果的だったなと。 えー。そういうこと考えてからたった3日よー? てきめんじゃないのー! 【第13話】ではまだ4日目までしか描かれてないけど、その数日の純の苦悩と努力が、6日目のあの笑顔でとりあえず報われるわけで。笑顔見れた時の純がどんなか早く読みたーい(昨日更新されて今朝読んだばっかりだというに)。 運動もさせたいみたいだから、スキンシップ兼ねてストレッチとかできるようになるといいなあ、と思う。(そういう話はちらっと考えてた) あと、この考え方だと、矢晴の顔をぎゅっとして変な顔にさせるのも、顔の筋肉ほぐそうとしてるよね? と思える。 頻繁に布団乾燥機かけるのも、快適に過ごしてほしいってのと、物理的にベッドにいられない時間を作ろうとしてる気がするし。 純がほんと献身的で、本業大丈夫か……? と心配になるくらいなんだけど、線引きはしっかりしてるし、引きずられてもいなさそうで、頼りになるわぁ。 とはいえ、まだ4日目の途中までしか描かれてないから、純の悲痛なまでの訴えは矢晴に届くのかどうか、届いたからこその6日目なのか、とどきどきして待つ。

純と矢晴(それぞれの視点、ちょっとまとめ

 同居1日目: 矢晴視点:飛び跳ねてる純。夕食後疲れてソファーで臥す。純の家の説明を受ける。風呂に運ばれる。風呂に入る。自室の説明を受ける。純が矢晴を助ける理由を聞く。ベッドの柔らかさと純との体重差から沈み込んだ純のほうへ傾いて寄りかかる。矢晴の漫画を褒める純に肩を抱かれる。純の言葉に恐怖する。苛まれて睡眠薬を多めに飲む。 純視点:昼食時に矢晴が小食であることを知る。ポン酢をどぶどぶにかける矢晴に驚く。夜、緊張をほぐそうと矢晴を褒める。寄りかかってきた矢晴の肩を抱いたら怯えられる。 同居2日目: 矢晴視点:昼に起きる。断酒を決意し、純に財布を預ける。料理酒、みりんを飲んでいるのを見つかる。サイダーをもらう。ロボット掃除機に責め立てられて怖くて鼻水が出る。丸めたティッシュを放ったら純にキャッチされて返される。この日は捨てた。ベッドで泣いて、純に背中をさすられる。 純視点:矢晴に通院予定を聞く。矢晴が病院に行っていなくて、薬をネットで買っていることを知る。 同居3日目: 矢晴視点:2階に上がり、純の仕事部屋の扉を見る。料理酒とみりんを探すが見つからない。この日も捨てた。ベッドで泣いて、純に背中をさすられる。 純視点:矢晴の病院の予約(3週間後)をとる。夜、矢晴に対して自分ができることをネットや本で調べて勉強している。言葉によらない温度と感触でのアプローチを考える。 同居4日目: 矢晴視点:マウスウォッシュを飲んでいるのが純にバレる。サブスクの映画でも見ていてと言われてリビングで寝る。自室に戻る。乾燥機から出したばかりの布団がある。身分不相応と妄想に苛まれる。 純視点:マウスウォッシュを飲んで寝込んだ矢晴を介抱するように背をなでる。矢晴の認識する純の姿を知る。認識の違いに唖然とする。本当の自分を見て矢晴の思う不安はないと確認してくれと矢晴に訴える。振り向いた矢晴と話をする。 同居5日目: 矢晴視点:純が実家に送る荷物を詰めるのを見る。純のネームを読む。純にアドバイスする。 純視点:矢晴にネームを読んでもらう。 同居6日目: 矢晴視点:夕方まで妄想に苦しむ。純がジョギングから帰ってくる。布団乾燥機をかけると言われてコタツに移動する。純と思考の共有をして、間接的に絵を描く。敬語をやめる。純が触れてきても痛くならない。笑顔になる。時間切れで妄想に苦しむ。 純視点:朝は台...

頭の中で

 矢晴の頭の中の純が、矢晴フィルターのかかった純が、すごい軽薄で傲慢で、と考えると、これまでの話で「それはちょっと傲慢すぎるんでは?」って思ったシーンの純は矢晴フィルター通過済みみたいな矢晴の妄想かなー。それ以外はぎり現実準拠みたいな……? 【第13話】の終盤、『矢晴さんの中では私はどんな顔をしてるんですか?』から矢晴フィルターのかかった純と現実のはずの純の認識の純の対比があって、矢晴の認識が恐ろしく歪んでることがわかって、矢晴が純をどんな人間だと思っているか、というか、矢晴に見える純はどんなものか、が読者にも純にもわかる。 ところから、【第1話】に舞い戻って、同居1週間目の『頭の中で矢晴を泣かせる奴は誰?』『お前』『叱っとくよ』が、うわー!わー!わー! って気分になる。 【第7話】の後半、純が矢晴のアパートを再訪したときの会話は、ほぼ全部矢晴フィルターかかってると思うんだけど、少しは気持ちが通じたから釣り上げられたんよね?

やっぱり純はいい子だった

 \祝/200記事目! 【第7話】で感じてた違和感(第5・第6話の純視点で受け取った純との差)の正体が明かされて、同居してから時折感じていた違和感とかが、あらかた「矢晴の妄想の産物」らしいということがわかる【第13話】。 こんな嫌なやつだったの…? と純に不信感をいだきかけていたけども、それもこれもあらかた矢晴の妄想だったらしい。 『これは慈愛』のシーンに感じた印象はそのままだけど。純視点なんだから、そこが覆ることはないな。 矢晴がけっこうチクチク言葉使って他人の悪口言っちゃったけど、それを「ダサい」として『ダサい人間になるくらいなら死にます』とまで言っちゃう。だから、純は『矢晴さんに会ってから』『チクチク言葉は使わない方がいいって実感して反省したことですかね』って言ったんだろうなあ。それは、「矢晴を責めることもしないよ」っていう宣言だったのかもしれない。 今回の純視点、すごい純が真剣な表情してるところばっかりで、矢晴に対して真摯で真剣なのはいいけど、あまりに直接的に「心配してる」みたいな顔してたら矢晴の気持ちの負担になりそうな気はした。けど、たぶん意識して笑顔で接してもネガティブ変換されちゃうんだろうなあーとも思えて。【第12話】の食卓のシーン、別に「矢晴は大勢のうちの1人」みたいな話じゃなかったのかもしれないな……と、ほんとに思う。 でもほんと、矢晴に対してちゃんと世話して向き合って、どうにかしようとしてる純はいい子だったし、「自分にできる範囲」ってきちんと区分してるのえらーい! 医者に頼らず自分が! とかじゃないのが良い。とても良い。 純がとても素敵で、さらにとても好きになる回。矢晴視点で進む話のなかでは、「矢晴から見た得体のしれない純」になるから、これからの展開で「どこが矢晴の妄想でどこがホントの純なのか?」も考えないと、ってのと、これまでの展開でも考え直したいから読み返さないと!

あら、ツイが

 えー、えー、作者さん、そろそろ正体明かしちゃう感じ……? ツイ見たのは今さっきだけども、こうして告知してくれたりすると確かにうれしい。助かる。 その時間寝ちゃってて見れてなかったのが悔やまれるけども!

だい13わ!

 きゃー! 純曰くだー! あまりに眠くて寝てしまって目が覚めたのが未明、なかば諦めつつ更新してみたら、あったー!! うれしい! そして、今回は、待望の純視点。純の矢晴への印象と居酒屋での話、同居1日目から語られて、同居4日目まで、が【上薗純、曰く(3)前編】ということだから、曰く(3)は後編もあるのね!? (4)で後編かもしれないけど。 同居1日目が昼ごはんからだから、朝のうちに引っ越してきたんだなー。なんか印象としては昼過ぎに引っ越してきて、純が飛び跳ねてて、夜ご飯食べて家の説明受けてお風呂かなって思ってたんだけど。 あと、同居1日目の昼には「酒はダメ」って純が言ってるから、矢晴視点の【第9話】での1日目の夜に矢晴の部屋の小さい冷蔵庫のところで矢晴が『酒が入れられてないかチェックするってことか…』って思ってるシーンで違和感あったけど、もう同居に際してお酒は飲まない約束してあったのかな? それにしても、これまでの話から純の印象がすごく大きく転換する話だなあ。 純、そんなこと言ってなかったんじゃない! ってシーンが山盛りで。突き合わせてじっくり読み返さないと、という気分になる。 【第6話】の『これは慈愛』が本心で「慈愛」ということはない、って印象は変わらないけど、【第7話】の2回目の来訪の純が「軽薄で胡散臭そう」に見えてたのは、「矢晴にはそう見えてた」ってだけで、本当の純は必死に説得しようとして、真摯に向き合ってた。うわーうわー。これはすごい。 居酒屋のエピソードで、矢晴が『ダサい人間になるくらいなら死にます』『ダサくなりたくないからもう二度と漫画描きたくないんですよぅえっっプ』と言ってるところで、もしかして、純が自分の漫画を卑下して『古臭くて野暮ったくてダサくなるし』とか言ってたのも、「矢晴にそう聞こえてた」だけってことかしら? 「ダサい」「野暮ったい」のを嫌っているのは矢晴だけだったり……? んー。そこまではいかないか。純も「自分の漫画がダサい、野暮ったい」のは嫌ってて、それが古印葵の「ダサいのは死ぬほど嫌」な部分を刺激して、【第10話】での「純の漫画を肯定する」って行動にいったんなら、これは「矢晴の自己肯定」にもつながる話なんじゃ……? どうなんだろ? そしたら、純があんなに瞳きらめかせて『まだ古印葵は死んでない』ってシーンがさらにきらめく気がする。 『...

時間設定

 時間というか、年月、季節の設定は、わりとふんわりざっくりだなあと思ってはいる。 「今いつだよ!?」と追及したくなる質なので、ときどき混乱するわけだけども。 古印葵がB誌に移ったのが25歳年明け早々だったとしても、27歳のどこかでA誌に戻って連載始めて(準備期間はどれくらいだろ? 2〜3ヶ月位?)夏、としても、B誌に「2年半」はいなかったような……? という気分にはなるし。 4話で打ち切りにしたのが夏か夏の終りくらいだったとして、翌年秋に【第5話】の小説挿絵の話が浮上してるなら、1年以上にはなる。 28歳の秋の終わりに編集部に呼ばれて、純と知り合って、同居して、1ヶ月も経ったら冬だよねえ、とは思う。純の家では矢晴と編集部で出会った頃にはこたつが出てるから、それなりに寒い時期になってると思うので、すでに冬に入っていたかもしれない。 時間設定がざっくりになるのは、「〓年〓月」とか言わずに、「〓歳」と表現するからだろうなとは思っている。誕生日によって、その年の季節帯とかが変わるから。春始まりなのか秋始まりなのか、とかで変わる。 古印先生、誕生日いつだろー? 今の雰囲気的には秋か冬みたいには思えるんだけど、春とか夏生まれだったりするかな。生まれたのが晴れた日で名前に「晴」が入っているのかな。どうだろな。

古印葵と望海可純

  古印葵 望海可純 21歳 A誌:デビュー 19歳 22歳 A誌:短編掲載 20歳 23歳 A誌:初の短編集、短編掲載 21歳 24歳 A誌:2冊目の短編集、年末に受賞 22歳 A誌:デビュー【鬼弾児】 25歳 A誌→B誌: 23歳 A誌:連載開始【シヴァ・アンバー】 26歳 B誌: 24歳 A誌:連載中 27歳 B誌→A誌:A誌で連載、4話で打ち切りにする 25歳 A誌:連載中、単行本10巻、累計700万部 28歳 26歳 A誌:連載中、単行本15巻、累計1400万部。アニメ化 やっぱり、古印葵はB誌に移ったりしなけりゃ、望海可純と同時期かちょい早くかに連載開始してたんじゃなかろうか……? とは思える。 恋愛漫画と王道バトル漫画じゃジャンルが違いすぎて、比べられるとか比べて劣ってると感じるとかない気がするし。 連載とれなくても、わりと定期的に短編掲載されてたわけだし、それはそれでいいんでは? と思ったり。ただ、「漫画家としての成功は連載」みたいに矢晴が思ってたんなら、A誌で細々と短編を掲載してる横で望海可純の連載がぐんぐん人気出てくのを見るのは辛いかもな、とは思う。 でもやっぱりジャンルが違いすぎて、売れ方が違うことを羨むみたいのはお門違いだな、と思えるから、古印葵は望海可純のなにをそんなに意識するのか、みたいには思う。なんなんだろう。 これがふたりとも同じジャンルだったら、ライバル視したり意識したり、同じ雑誌に載りたくないって他所に移ったりもわからないでもない気分にはなるかな、と思うんだけどなあ。 限られた掲載枠の奪い合いで絶対負ける、という感覚が古印葵にはあったかもしれないなと思わないでもないけど、でもなあ、やっぱりなあ、なんか違う気がするんだよなあ。

そわそわ……

 そろそろ来てくれまいか……と、毎度そわそわしているわけで。 ぼちぼち続きが来てくれまいかと、これまでの12話を読み返し。【第8話】の最終ページだけのどの向きが逆になってることを発見したり。 何度も読み返すことで、これまでわからなかったところをそれなりの解釈ができるようになるだろうかと期待したりもしてたけど、やっぱり【第6話】の純の高校時代の話と【第12話】のヘビの台詞だけはわからないままだった。 ここらへんは先の話に繋がったりするだろうか。どうだろう。

■【売れうつ】の二次創作(11)(小説)

 矢晴と同居して数週間くらいの純の話。ほのぼの系。 こういう軽めのだと、割とすぐに文章がまとまるなと、前回の暗めのに比して時間がかかってないことで実感している。 会話文が苦手だなと以前から思ってはいたのだけど、「自分より頭のいい人が話す自分では理解が及ばない会話」が書けないだけなんだなと、当たり前のことに思い至る。 ■

曖昧にしたい気持ち

 【第12話】でチワワに喩えようとしてしまった純との関係をきっかけに、矢晴が純へのなんらかの「気持ち」を自覚して逃げ出して、『曖昧にしたい 曖昧に』と酒を買って逃避しちゃうほどの「気持ち」がなんなのか、はっきりさせたい読者になっている今日このごろ。 純は右耳だけにピアスをつけてるってのが、そういう意味合いなのだとしたら、同性愛者ではあるから、矢晴が純に恋したとしても、受け入れてもらえるだろうし、そもそもたぶん古印葵に恋してるから大丈夫。 矢晴は「7年付き合った彼女」がいるから、異性愛者だったわけで、同性である純にそういう気持ちを持ったらそりゃあ混乱しちゃうだろうなあとは思える。 純が他の子と仲良くしてるのがイヤイヤ、とか、純の家に自分以外の人間が来る(住む)のはイヤイヤ、とか、純にとっての自分の価値が大暴落した気分がイヤ、とかだけだと、「純が自分だけを大事にしてほしい」くらいの依存、独占欲かなあ? くらいに思う。 けども、やっぱり「チワワ」のエピソードが絡むだけで、純のこと好きになっちゃってるね! ね! と盛り上がっちゃうわけだけども。 この矢晴の気持ちが、どう矢晴が自覚して、どのように純に伝わって、どんなふうに実っていくのか気になる、知りたい、続きが読みたーい。

■【売れうつ】の二次創作(10)(小説)

 ふんわりと、暗い感じで見たいシーンを詰めただけ。 ■

とうとう来なかった

 10月はまるっと更新がなかったのがさみしいなあ。9月上旬に【第12話】が来てるから、2ヶ月近く。ああ、ほんとに更新ゆっくりになったんだなあ。『以降の更新は特に遅い』と言いながらの想定してるよりも早い更新だったりしてたから、変に期待しすぎてしまった。反省。 とはいえ。 純への気持ちにあふれた矢晴がどうなるのか、知りたいし。 矢晴の気持ちに純が気づくのかどうかとか、知りたいし。 一緒にお風呂入ったあとのふたりの様子が知りたいし。読みたいし。 続きが気になるから、第13話がはやく読みたい。