古印葵限定
純の愛情は古印葵限定でしかないと思っていて。
矢晴は、「万人に愛を注ぐべき」とでも思っているのかどうなのか。純が矢晴になにかするときには、【第9話】『ほっといたら死ぬだろうなって人私以外にもこの世にいくらでもいるじゃないですか』とか言っちゃう。
純にとっては、「目の前で」「大好きな」「古印葵が」「死にそうだったから」「助けたい」「助けなきゃ」「助ける」ってだけのことで、他人なんか知ったこっちゃないだと思うんだよなあ。
【第13話】で第7話の純視点の心の動きを読んでも、「憧れの古印葵が消えてしまうのが嫌」だから「自分の手で助け出すから生きていてほしい」くらいの、純のエゴだろ、って印象はずっと変わらなくて。(【第5・6話】の純視点のときからその印象は変わらない。)
矢晴にとっては、純がそこまで(私財をなげうって、身も心も削って)「福田矢晴(古印葵)」に尽くすのか、信用できるわけがないとかあるわけがないとか思うのもわかるけども、「純の大好きな古印葵だからに決まってんじゃーん!」と叫びたくなる。
【第11話】の蜘蛛のシーン、矢晴が『好きなものしか愛せないのが人間の弱さですから』って言ってるのに対して私が思ったのは「純は古印葵しか愛してないぞ、だから福田矢晴しか助ける気がないぞ」ということで。ここは純が古印葵以外に目を向けないことを咎めてるんだろうか……?
【第9話】で純が『もし私を会う前からあなたが幸せに暮らしていたなら 私はここまで干渉しませんでした』『好きな人が目の前で死にそうだったからあれこれ悩む暇がなかったんです』と言うあたりには、純の常識的な節度は感じられて好き。
「矢晴が幸せに平穏に暮らしているなら干渉しない、矢晴が明らかに死にそうだったから純のわがままで助けた」「上薗純が大好きな古印葵を助けたいから、助けた」だけで、「不幸な弱者は人道的に助けなければならない、それが善人のあるべき姿」みたいな話じゃないから、大好き。
【第13話】の終盤の、純があまりにも切なくて、好きなんだけども。いろんなことを考えちゃうな、と渦巻いて。
「矢晴の妄想の中の偽りの純を否定して、矢晴自身で現実の純を確認してもらうことで矢晴の不安を払拭し、信頼関係を築きたい」ということであればいいのだけど。
「こんなに尽くしてあげてるのに、信じないなんて、矢晴がひどい」みたいに思ってるんだとしたら、ダメだろそれは、みたいに思っちゃう。と考えたところで振り返ると、【第10話】の同居4日目の夜、矢晴の妄想のなかで純の顔に書いてあった『これだけ援助してやってるんだから感謝しろ言うことをきけ反抗するな期待通りにしろ従順でいろ』というのがその後の矢晴のモノローグで『そんな言葉は純からは発せられていないが』『夜の隅から魍魎のように湧いてでてくる』と否定されてるから、純はそういうことを「言ってない」ことはわかる。
あまりに善人ムーブして純が描かれた時に、「こんないい人の純を信じないなんて、矢晴はひどい人だ」みたいに思われたら、ちょっとやだな……と思ったりして。
【第13話】の終盤の、切なくて、純の無力感もあるような気がして、純が矢晴に引きずられて潰れちゃうんじゃ……? という不安もかきたてられて。
1ヶ月後、1年後が描かれてて、純は元気なんだけど。そして1ヶ月後くらいの時点だと、「純は古印葵だけじゃなかったの……?」と不安に……。そう、今、私も不安になってるから、純視点の続きが、そして【第12話】の続きが、読みたいわぁ。
純が矢晴を助けるのは、矢晴が純の大好きな古印葵だから。純は大好きな古印葵を助けるためになんでもするけど、「素人ができる範囲」という線引もしっかりしてて、とてもえらい。かわいい。がんばれ、純。
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