お金の話

 矢晴と純の、漫画家としての収入の話。

無駄にリアル寄りの話にするつもりはないので、税金とかもとっぱらって、だいたい、およそ、仮の金額として、同程度に見積もって、二人の収入を比較する。

原稿料(雑誌掲載料)を1枚あたり1万円として。

矢晴は、1年〜1年半程度で単行本が1冊出せる(200ページぐらい)の生産量なので、二ヶ月に1本40ページほどの短編を描いていたと仮定。

・矢晴:1ヶ月に20ページ(上記の半分)=月収として計算すると20万円。

・矢晴:20万円×12ヶ月=年収240万円

純は、連載作家なので、毎週20ページとして、4週80ページ描いていると仮定。

・純:1ヶ月に80ページ=月収として80万円

・純:80万円×12ヶ月=年収960万円

矢晴は、ぎりぎり漫画だけで生活できるかなーくらいの収入はあった。B誌では掲載がないので完全に収入は0、バイトで賄うけど貧乏。A誌で連載が続いていたら、アシスタント雇ってもどうにかなるくらいにもなれたけど。

単行本は印税として、発行部数の10%として計算。単価500円として50円で計算すると。

矢晴は、賞が獲れてそれなりに重版かかったとしても、いいとこかなり多く見積もっても2冊合算して10万部はいかないだろうし、そこそこで見積もっても1冊1万部がせいぜいじゃないか……? くらいなので、1万部の場合と合算10万部の場合を並べてみる。

・矢晴:各1万部:50×1万=50万円を2冊で100万円

・矢晴:合算10万部:50×10万=500万円(2年2冊なので1年1冊250万円)

純は、単行本が10巻時点で700万部、15巻時点で1400万部と、巻数を追うごとに初版部数が多くなり、前の巻には重版がかかっている。だから、収入としては階段状に増えていくんだけども、それはめんどくさいので、1冊あたり現状の部数で計算する。1400万部÷15巻=1巻あたり93万部くらい。

・純:1巻あたり93万部:50×93万=4650万円

・純:年間5巻発行として:5巻分×4650万円=年収2億3250万円

・純:合算1400万部:=15巻分×4650万円=7億円

矢晴は、合算10万部発行できていたなら、A誌を離れてB誌に移って無収入でも1年〜1年半は貯金で生活できていた。ぎりぎりだろうけど。だから、B誌に移って1年ほどで【第2話】『26歳』『貯金がやばくなってきてアルバイトの毎日』『家賃を滞納しはじめたり家の電気が消えたりした』くらい困窮する。

純は、在宅アシを8人雇っていても、大豪邸を建てても、余裕で生活できるくらい。【第1話】『望海可純はおそらく凡人にとって一生分の承認と対価を毎年与えられている』

サラリーマンの生涯収入は平均2.5億円らしいので、純は1年分の原稿料と印税で、ほぼそれに並ぶ。

矢晴の受賞した賞(国内・海外)の賞金があったのかいくらだったのかはわからないけども、2冊めの単行本が多く見積もって数万部発行できていて賞金と合算したとしても、B誌に移って完全に無収入となったら2年もたない程度の収入にしかなっていない。

リアルに寄せるとここからけっこうな額の税金とかの支出があるので純にしても毎年2億まるまる残るわけではないと思うが、それでも矢晴から見たら恐ろしく金持ちなわけで。


矢晴がもし、A誌に残ってそれまで通りに短編掲載して年1回単行本を1万部発行できていたら、

・矢晴:試算:月収20万×12ヶ月+印税50万円=年収290万円

もし、隔週連載して、年2〜3回単行本を各1万部発行できていたら、

・矢晴:試算:月収40万円×12ヶ月+印税100〜150万円=年収580〜630万円

B誌に移ったとしても、ちゃんと漫画が載れば、上記程度の収入はあって、あんなになるまで困窮はしなかった。ついでに、ここで原稿料を1枚1万円としているが、B誌はここからさらに原稿料を下げようとしていた。


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