矢晴が見ている

 編集部で純と会ったとき、挨拶されるまでは純を観察して、顔を見て、『優しい顔…』まで思っていたのに、その後は純を見ないように視線を外すことが多くて。授賞式の話をされたときは、純の顔を見ようとせず馴れ馴れしく肩を抱いてくるその手を見ていたり。

たしかに、矢晴は純を見ないんだよなあ、というのは以前から思っていたけども。同居5日目からの純が怖くなくなったのと、日を追うごとに、矢晴が意図的に純を見ようとする目の動きがあるなという、ぼんやりした印象が、【第13話】の純の言葉で、「純に言われて、矢晴が純を見るようになった」んだなと思う。

そう考えてしまうと、このシーンの展開が読めてしまうみたいなことになりそうだけど、純に言われて純を見て、不安が払拭されてバンザイ、みたいな安直な方面にはいかないだろうなあ。当の同居4日目の夜があんなふうなわけであるから。

とはいえ、ここの展開は、純と矢晴の関係においても重要な転機ではある気がするから、続きが気になる。どんな魔法を使ったんだ、純。

そのうち、見つめ合ったりできるようになるのかなあ、と期待するけど、先は長そうな気しかしない。


でも、【第12話】の矢晴の頭いっぱいの純の姿を考えると、案外、普通に、ちょいちょいしっかり純のことを見ていてくれているんだなあと嬉しくなったりはする。矢晴の見てきた純はみんなかわいい。


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