漫画がうますぎる

 また売れうつの夢を見た。読んだ内容は例によって起きたときには忘れてしまうのだが、目の前でアナログで量産される原稿を「こ、こんなに!」と感動に泣きながら読んでいた。アナログでその速さはありえん。さすが夢。と思っていたりもした。前回の夢では印象的に黒バックの純のアップが多めだった気がするけど、今回の夢ではおだやかな矢晴の絵が多かった気がする。

さて、本題。

【売れうつ】は、ほんとに、漫画がうますぎる。かゆいところに手が届くどころか、自分では触れないところにも手が届く。漫画のなかで理想として描写されているだけでなく、実際にやってのけているのが、やべーすげー。

設定の出し方も表現の仕方も絶妙で、後出し感がほとんどない。たまにちょっと説明的すぎる、これは言っとかないとと表現よりも設定説明に寄ってしまった部分も感じられるのだけど、読者に必要な設定を漏らしている・隠しているということがない分すごく信頼できる。

【第13話】で「矢晴は信頼できる語り手ではなかった(信頼できない語り手だった)」と決定的に示して多くの読者を驚かせているけど、たぶん、この「矢晴の言うことは信用できない」を最初に示したのは【第2話】の『行く気はなかった』と言いながら町を歩く矢晴の姿なのではないか、とうすぼんやり考えた。違うかもだけど。

話が進んで情報が増えてくれば、先に示されたシーンの意味が変わる・わかる、ということは、すでにそのシーンが描かれたときには後に明かされる情報も含んでいるということで。鋭く読み解く人も、ぼんやり違和感として受け取る人も、特に気に留めずスルーする人も、どんな受け取り方してても、みんな楽しめてる、楽しませてる、物語に引き込んでいく。いやもうほんと、漫画がうますぎる……。こわい。すごい。

一生懸命考えてるけどまったく追いつけない。そりゃあ作者の手のひらの上でコロコロ転がされるのが好きなんだし、手のひらから落っこちたくなくて必死でしがみついてるみたいな状況だから、追いつけるはずもなく追いつく気もなく? まいどまいど、更新のたびに広がっていく世界に心酔する。

はーーーー、すごい。たまらんくすごい。大好きだ。


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