気持ちを伝える
はてさて、純の気持ちは伝わっているのかいないのか。
【上薗純、曰く】と題されたエピソードが、純の内面を知ることができる話になるわけだけども。
【第6話】では、「古印葵を忘れないでいようとする気持ち」を伝えるために、いろいろと考えて、伝えようとしている。
『気持ちを伝えれば伝わるはずだ』という思考が、けっこうかなり恐ろしく傲慢だわね、と思うのだけど、「愛を伝えて安心させようとしている」わりには、紡いだ言葉が狂気にまみれて、矢晴を超絶怯えさせ、恐怖を与える結果になっているのが、ちょっと純が不憫というか憐れというか。
【第7話】【第13話】での純の再訪時の対比を見ても、純の気持ちと言葉は伝わっているのかいないのか、というくらいに認識が食い違う。純は前回怯えられてしまったことを反省しての言葉選びで、真摯に伝えようとしているが、矢晴の認識では詐欺師のような胡散臭さとなっている。それでも同居にまで到達できたのだから、一応は伝わった、と言えるのだろうなと思う。
【第13話】では、同居3日目の夜に仕事部屋で矢晴のことを考えて分析して『彼の脳に触れるなら 言葉を介さない「皮膚」からじゃないと届かないかもしれない』『気持ちを言葉じゃなくて温度と感触で表さないと伝わらないかもな』と考えているものの、それが実践できたのは【第11話】の同居6日目ではある。
同居4日目は、矢晴が純のことをどう認識しているのかを聞き出すことに成功しているわけだが、それに対する純がかなり悲痛な感じで、言葉で訴えているので、前日夜に考えていた「温度と感触」はどこかに行ってしまっているような気がする。それでも矢晴が振り向いてくれているので、一応は伝わったことになるのだろうが、その結果は次の話に持ち越しなので、はやく次の話が読みたくて仕方ない。結局のところ、純の気持ちが伝わるのかどうなのか。
純は、言葉が達者なんだよなあ。四階との一件を考えても、言葉を武器にできる子なわけだし。頭の回転が速くて、言葉を構築する能力が高くて。ボディタッチが多い子ではあるけども、それで気持ちを伝えてきたわけじゃなく、他者とのコミュニケーションは言葉に頼ってきていたのだろうし。だからあんなにもビデオ通話でしゃべりたおせるのだろうなあ、とも思う。
だから、漫画も言葉に頼っちゃってて、セリフが長いし野暮ったいし……という状態になっちゃうのかなー?
矢晴がまともな思考ができる状態で、純がポンコツじゃない状態で、ふたりの会話がものすごく見たい、聞きたい。そんな状態になるのはいつだろう。
コメント